ニットの帽子がわが家のフェンスにかけられていました。帽子を拾った人がフェンスに掛けたようです。
1週間経っても落とし主は現れません。
今の季節、手袋やマフラーの落とし物をよく見かけます。落とし主も困るでしょうが、落とされたまま放置されている落とし物も可哀そうです。
母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
大ヒットした映画のキャッチコピーにこういうのがありましたね。
2022年12月26日 富士塚「山田富士」で撮影
映画「人間の証明」でキャッチコピーとして使われたのは、西条八十の『ぼくの帽子』。
この詩に惹かれ小説も読み映画も見に行きましたが、覚えているのは美しい詩だけ...
ぼくの帽子 西条八十
母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。
母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね、
紺の脚絆に手甲をした。
そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ深い谷で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの。
母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?
そのとき傍らに咲いていた車百合の花は
もうとうに枯れちゃったでせうね、そして、
秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。
母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう、
昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、
その裏に僕が書いた
Y.S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。
❦ஐ*:.٭ ٭:.*ஐೄ❦ஐ*:.٭ ٭:.*ஐೄ
子供にとってお母さんとはどれだけ大きな存在でしょうねぇ。下の画像のかわいい坊やもどれだけお母さんを慕い甘えていることか?
坊やが大人になったころ、そんなことはみんな忘れてしまい、ふと何かの拍子に優しかった母を思い出すのでしょう。風がサッと吹いてくるように、時々…
かわいらしい坊や
霧積高原の宿で、ひとりの青年が、西条八十のこの詩を宿の弁当の包み紙に見つけ、母への懐かしさに立ちすくんだといいます。青年とは森村誠一、のちにこのエピソードを元に書いた小説がベストセラー「人間の証明」。何が作品のきっかけになるか、分からないものですね。
人間の証明の八端となったのは「金湯館」のおにぎり弁当だそうです。
画像はお借りしました。
秘境にたたずむ一軒宿、霧積温泉の金湯館。訪れてみたいですね。
画像はお借りしました。
ミイラ化したバラの花。花びらが散らずにドライフラワーのようになっていました。花が大きいので少しグロテスクな感じがしますね。
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