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韓国創作ミュージカルを代表する人気作で、2016年の初演以降韓国で度々再演され、中国でも14都市で上演され話題を呼んだ作品。今回が日本版初演。
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◇STORY◇
東京に留学していた文学青年セフン(海宝直人)は、自身が日本で使っていたペンネーム「ヒカル」の名で、尊敬する小説家・ヘジン(浦井健治)に“ファンレター”を送り親交を深めていた。
セフンは東京から戻るが実家に居場所がなく京城の新聞社で手伝いを始める。作家を志す彼がそこで出会ったのは文学会「七人会」のメンバーで、そこには憧れの小説家ヘジンも居たのだ。
セフンは早速ファンレターのことを話そうとするが、ヘジンが肺結核を患っているうえ、心を通じ合わせてきたヒカルを女性だと思い夢中になっている姿を見てなかなか話すことができず、セフンはこれまでどおり手紙を書き続け完璧な「ヒカル」であろうと決心するが・・・
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出演者はたった7人だけどまさに少数精鋭で、全員が歌も演技力も抜群のキャスト。
文学を志すメンバー達の物語なので抽象的かつ抒情的で繊細なセリフを歌唱と演技とで繋いでいくが、歌唱もセリフの一部のようで、ミュージカルというよりは重厚な会話劇のような舞台だった。特に2幕はずっと壮絶なシーンが連続するので観ているこちらも苦しくなるくらい。
海宝さんはピュアで控えめなセフンを確かな歌唱で演じていて、セフンが生み出した「ヒカル」を演じた木下さんは最初ぼんやりしていた「ヒカル」のキャラクターを徐々に強くはっきりと演じ最後は恐怖すら感じるくらいだった。
いつもキラキラした王子様や堂々とした王様を演じることの多い浦井さんが今回はそのオーラを完全に消していて、ボサ髪でヨレヨレ背広を着て猫背でとぼとぼ歩く冴えないオジサンを見事に演じていたけど(ファン心理としてはちょっと複雑
)、死の間際での命を削るような歌唱と演技には圧倒された。
日本統治下の1930年代朝鮮で朝鮮語文学に命を懸けるという重いテーマで終始緊迫の場面が続くので、通常のミュージカルのように各シーンの歌唱のあとに拍手が起こる事がほとんどなく、観客全員が最後まで固唾を飲んで展開を見守っている雰囲気だった。
私は今まで、中世ヨーロッパや近代アメリカを舞台にした作品を観ることが多くて、今回の作品のような日本統治下の朝鮮半島の歴史や文化も韓国ミュージカルも詳しくないので全てを理解するにはとても難しいけど、特に戦時下のような状況で不要不急の贅沢品と思われがちな文学、音楽、絵画、そしてエンターテインメントなどの「芸術」には、きっと誰かを救うこともあるという事だけは分かった気がする。
◇CAST◇
セフン:海宝直人、へジン:浦井健治、ヒカル:木下晴香
◆観劇記録◆
シアタークリエ 12列 29番
<チケットぴあ先行抽選(第4希望当選)>
小さい劇場なので今回のような演劇要素の強いミュージカルには向いているし、オケピは舞台奥の見えない場所だったので今回のようなシビアなストーリーの舞台では演技の邪魔にならなくて良かった。
座席は目の前が通路で一番上手側(右側が壁!笑)だったので、前に座席が無いから集中して観ることができたし、舞台までそれほど遠くないのでオペラグラスはほぼ不要だった。
切ないお話だけど是非観てみたい。。
fu-koさん押しの浦井さんがいつもと違う役を演じてたようだけど
王子様から死の間際の人まで演じ分けられるの凄いね。。
定期的に生の芸術に触れているfu-koさんが羨ましいわヾ(*´∀`*)ノ
小説が好きなkateさんなら好みの作品かも。
浦井さん、、、初めて見る役柄だったので最初誰だか分からなかったくらい(笑)。
「憑依型」の役者さんだったのね~と初めて知ったので、これからはどんどんいろんな役を見てみたくなった♪
「生の芸術」、定期的に触れるといろいろ考えさせられるし、推しに会えれば精神安定作用もあるしね♪(^_-)-☆