Entrance for Studies in Finance

テレビ事業 パナソニック ソニー と 東芝 の比較

薄型テレビが売れても不採算(2010年から2011年)
 2010年は出荷台数伸びるが
 パナソニックもソニー、サムソン電子でさえテレビ事業は赤字化
 ソニーの薄型テレビでの世界シェアは2位ー3位クラス。それでも赤字。
 でも 東芝が黒字なのはなぜか。


背景:液晶パネルの大幅な値下がり
液晶パネル値下がりは2010年後半から始まる
 またパネル価格の急激な低下な低下が背景にあるとも
 新興国の低価格品との競合 パネル価格低下は
 パナソニック シャープなどテレビ用パネルを抱えるメーカーの収益を圧迫
価格値下がり → テレビ用の大型パネル投資は ほぼ全社で抑制へ
テレビ用液晶パネルは8月9月と値下がり。前年同月比で2-3割安。震災後の安定崩れる。
パネルメーカーは赤字に追い込まれる サムソン電子のパネル部門 LGデイスプレーなど
パネルメーカー 減産へ
液晶用素材メーカー(JSR DICなど)にも影響
パネル生産は製造装置があれば可能 工場力不要で日本企業の強み発揮できない
中国で大型パネル工場が2012年に相次いで稼働 大幅な過剰生産見込まれる

背景:成熟したテレビ市場で不可避の価格競争
 TVの店頭価格が急落 テレビ事業も悪化 
 しかしもともとテレビ事業はソニー パナソニックなどで赤字要因になっていた
 のでこれは赤字の拡大という事態を意味した。
 先端技術の投入にもかかわらずテレビのコモデテイー化
 デジタル家電化を目指すもののデジタル技術の陳腐化の早さ
 先進国市場は成熟 価格競争激しい
 低価格のパネル用いるメーカーと争うことに → 不採算化
生産量でコストを下げる戦略は競争で追いつかず破たん 

テレビの販売不振要因
家電エコポイント終了(2011年3月 ポイント減額は2010年12月)による特需減
震災後はテレビの販売激減 
テレビ在庫積み上がる 在庫効率の悪化 在庫回転日数が増加している
地デジ移行(2011年7月24日)による買い替え一巡も影響
   2011年3月 家電ノエコポイント制度終了
   2011年7月 アナログ放送終了(7月24日 東北3県以外)  
家電量販店全国2300店における薄型テレビ販売台数
 2011年8月 前年同月比38%減
 2011年9月   同   52%減 
米国でも個人消費不振 販売価格値下がり
世界的な景気失速

白物家電がまだまし
 伝統的白物家電の収益が良い
 理由は価格が安定していること(価格に下方硬直性)
 高機能化 高付加価値化 節電ニーズの取り込み
 エアコン 冷蔵庫など
 アジア 先進国へも販売拡大の余地 消費地でもあるアジアで増産体制
     新興国専用モデル 低価格 現地ニーズへの対応 など

事業転換遅れる巨象化したパナソニック
パナソニックがテレビ事業縮小 最新鋭の国内プラズマパネル工場停止へ
パナソニックは事業全体の海外シフトを進めているが 
  テレビ事業赤字続く国内向けテレビは国内生産
パナソニックは三洋電機(2009.12傘下に収める)・パナソニック電工(2004子会社になり重複事業の整理進める)との統合を控える
このような大きな再編が戦略的展開を妨げている可能性もある
 2011年4月 三洋電機とパナソニック電工を完全子会社化
 2011年8月31日 パナソニック電工の2012年1月に吸収合併を決議
 2011年10月 パナソニックと三洋電機 国内の家電事業を統合
 2012年1月 3社の事業を統合 従業員規模38万5000人(2010年3月期ベース)で日立35万2000人 トヨタ31万8000人を超える巨大企業 組織 給与 人事 システムの統合

生産委託進めたソニーでもテレビはなお収益圧迫(2011年3月期) 
 (薄型テレビ 家庭用ゲーム機 携帯電話が三つ子の赤字と言われてきた)
 家庭用ゲーム機 携帯が2011年3月に黒字転換 残るはテレビ
 液晶テレビに移行するも 液晶テレビは急速な価格低下で不採算化
 テレビ 欧米の事業売却 生産委託比率は5割まで上昇
4極開発生産体制の整理・統廃合 
 アセットライト戦略
 パネルの海外調達比率上げる 研究開発そのものの海外シフト
 頼みのインターネット事業で情報流出問題でソニーは顧客の信頼を
 失った可能性がある。
 ネットを通じたコンテンツ配信事業がプレイステーションを安値で普及させた
 狙いだったとされる。しかしゲーム機でなく
 高機能携帯電話(iPhone)やタブレット(iPad)で事業モデルを作った
 アップルとの距離は急速に開きつつある。
 プレステ(ゲーム事業)という遊びにソニーはこだわりすぎたの
 ではないか。テレビでもソニーはネットテレビを打ち出したが
 現在のところは、これがなお成功したとはいえない。
 ソニーは収益の半分以上(6割)を金融が稼ぐ形になっている。
 テレビ事業の赤字 スマホも生彩欠けエレクトロニクスは不振であるものの
 外部委託 部品調達先削減など改革を進めた結果 エレクトロニクス部門も
 ようやく黒字転換。研究開発機能を担う国内事業はなお累積で赤字。
 ソニーはハイテク株でなく金融株の声。本業で評価されなくなったソニー
 ソニーの強みは総合力とされる。いわゆる業務用(ノンコン)。映画館用プロジェクター。
 業務用カメラ。そしてコンテンツそのもの。ハードからソフトまでというのが
 強みとされる。

 ソニーのカメラ用センサーはスマートフォン向けに好調。
画像センサーでソニーのシェアは世界の6割(競合は東芝 米オムニビジョンテクノロジーなど)。
CMOSイメージセンサー(光を電気信号に変換する半導体部品)で
最先端技術を保有。カメラの画質精度の向上に欠かせない。
福岡や熊本の工場の生産能力を増強。一度東芝に売った長崎県諫早の
工場設備を買い戻すなど総額で1000億円近い投資をして
2012年3月末までに生産能力を倍増させる方針。生産量拡大で製造コストを下げることと
高機能センサーの開発を急いでいる。

 ソニーはエリクソンとの合弁会社ソニーエリクソンの完全子会社化(2012年1月をめどに
エリクソン保有の50%の株式を約1110億円で買い取る予定)。
パネルは液晶テレビ製造原価の6割を占める。その引き下げが急務。
 まず2009年にシャープと初めて間もない液晶パネル共同生産事業で追加出資を見送り
(2011年4月)、続いて、サムソンとの液晶パネル合弁事業(2004年に開始)の解消
を目指していることを明らかにした(パネル価格下落の中でほぼ半量の引き取りが負担に
なっていた 2011年10月末)。
 
でも東芝のテレビ事業は黒字
自前主義から委託へ 東芝は数年前から台湾企業に生産委託 
  EMSの活用
  東芝のテレビ事業は黒字維持
事業見直しの必要は各社承知している
垂直統合モデル は破たんしている
→ 外部調達 海外生産 を増やす構造転換必要
  自前主義から 割り切りへの転換もわかっている
例 シャープは大型パネルは外部調達に変更
  国内生産を減らし輸入を増やしているが必要なのはスピードの加速
なお液晶については
スマートフォン タブレット端末用需要は増加 対応して
国内液晶メーカーは不採算の大型パネルから
中小型パネルに生産の中心の転換を進めている。そこで生じたのが
東芝 ソニー 日立の中小型液晶事業を統合する ジャパンデイスプレー設立の動きである。
2011年8月31日に3社が合同記者会見。そこに産業革新機構が出資するという構図は
参照 中小型液晶事業 シャープ そして 東芝・ソニー・日立連合

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