Entrance for Studies in Finance

NISAとiDeCo

2014年1月スタート 愛称ニーサNISA Nippon individual saving account(少額投資非課税制度)は急速に普及した。

年間100万までの投資から生じる収益を投資した年から5年間非課税とする制度(非課税期間は5年間)。非課税となるのは配当・譲渡益。毎年100万なので5年間では一人につき500万の非課税枠が与えられる。ただし投資可能期間は10年(5年経過後も100万円分まではさらに5年間繰り越せる)日本に住む20歳以上の人(20歳以上の居住者)ならだれでも利用できる。受付2013年10月から開始。口座開設には6ケ月以内発行の住民票必要。税務署で非課税適用確認(口座は一人一口座しかもてないため口座の重複の有無を確認)。

10年間の期限付きで開始(金融庁や金融業界は恒久化を目指している 非課税期間が有期だと期限が迫ると、通常の口座にうつすことはできるが、売却を促す結果になるとされる)(当初案は投資可能期間3年 非課税10年 非課税投資額300万)最終案はそれぞれ 10年 5年 500万)2014年スタート時の運用対象は外国株を含む上場株式。公募型の株式投資信託。株価指数連動型投資信託ETF、不動産投資信託REIT。これに対して国債、社債、公債債投資信託、FX、外貨預金には投資できない。100万という投資額でリスクを抑えた投資という観点から、国内投信がお勧め商品とされる。なお金融機関によっては、NISA向けに販売手数料が無料のノーロード投信を用意したり、株式の買い付け手数料を無料化するものがあり、確かに顧客にとってチャンスかもしれない。なお2014年に始まったNISAは2018年末に最初の非課税期間満期を迎えた。簡単には19年分の非課税枠にロールオーバー処理できる。2015年からは非課税口座を開く金融機関を毎年選べるとのこと(また口座を一度廃止した場合 つぎの年以降に口座を再度開設することを認めることにするとのこと)。

 2014年3月末で流入金額は6080億円。総口座数は421万(これは日本証券業協会の数値で2014年5月28日発表。別の報道では475万:2013年末時点の国税庁による口座開設数 2014年1月23日発表。2013年3月末で650万ともされている。国税庁の数値は銀行分がはいるために多いと思われる。政府目標は2020年に1500万口座 残高25兆円 確定拠出年金の加入者2013年10月時点で465万に匹敵)。利用は60歳台以上の中高年が中心(61%)とされる。女性比率が高いことも特徴(通常2割強であるものが4割)。配当利回りの高い個別株に資金は集中している(60%)ようだ(武田薬品工業 みずほFG キャノン 三菱UFJ トヨタ自動車などが上位だったとのこと。報道は配当金狙いと伝えるが三菱UFJの配当利回りは2.4% トヨタ自動車は2.8%であるので、必ずしもそうえいない。知名度とか安定感も大きな要素ではないか。配当利回りは2014年4月4日現在)。このNISA効果もあって、証券会社の顧客預かり資産は急増しているとのこと。2014年3月末1兆34億円 投資信託6212億円 上場株式3645億円 上場投信91億円 不動産投信86億円 開設者の3割弱が投資 NISAの利用者はその65%以上は60歳以上
 
NISAは2015年9月末で口座数460万(うち稼動241万)、総買付額2兆7684億円にまで膨らんだ。口座数で15%、積立額で6%が積み立て投資に向かった。利用者の半数以上が60歳以上の高齢者だとされる。

2016年に向けた見直しの議論では、非課税対象額の引き上げや非課税期間延長の議論があった。議論の末に2016年から非課税枠(年間投資上限額)100万が120万に拡大された(この結果 非課税期間は5年間は変わらなかったので2016年からは最大600万円分の投資を非課税にできるようになった)、また14年スタート時は対象年齢20歳以上のところ、別に0歳から20歳未満の子供向けNISAを非課税枠80万円で創設された(2016年から19歳以下の未成年者を対象にしたジュニアNISAが開始された 口座名義人は子供 運用管理者は親や祖父母)。投資した年から最長5年の非課税期間(配当や売却益にかかる20%の課税が5年間かからない)。本人が18歳まで引き出し制限。本人確認書類、親子関係証明書類、マイナンバーなどが必要。 

2018年1月かスタートしたのは積み立て型NISA。非課税額は年間40万まで非課税期間は20年なので最大800万の投資を非課税にできる。積み立て型と、もともとのNISAとは選択制(つまりNISAかつみたてNISAかどちらか片方しか利用できない)で将来積み立て型への一本化が考えられているとのこと。金融庁は、積み立て型NISAの対象を、手数料の安い投信に適格を絞り込む方針(対象は金融庁が認定した投資信託 契約期間が無期限化20年以上。毎月分配型でないもの。口座管理料購入解約手数料がゼロあるいは低めのもの・・・この金融庁の方針は快挙ともいえるが市場への強い介入ともいえる。日本の投信の手数料は高すぎ業界はそのことに安住してきた)。年金制度への不安から若年層を一定獲得したとされ、40歳代以下で利用者の7割を占めるとのこと。毎月100円単位でスタート可能。

個人型確定拠出年金iDeCo(原則20-59歳に積み立て、引き出し時期は60歳以降)は従来の自営業者と企業年金のない会社員から、2017年から専業主婦や公務員に広がり(20歳以上の全員に拡大 対象者は約4000万から6700万に拡大)、加入者が増えている(2017年4月末で加入者は48万9000人。増加ピッチは月6万近い。6月末で55万程度。2016年末の25万前後の2倍以上)。これは掛け金が全額所得控除の対象になり、所得税・住民税を減らせるのが大きなメリット。運用中の利益も非課税。問題は60歳になるまで引き出せないこと。

積立型NISAやiDeCoの普及は、契約している個人が月初めあるいは月末を設定することが多い。その結果、市場への買い付け圧力が月初めに集中。結果として月初めの株高というアノマリーにつながるとの指摘がある

NISAは、英国のISA(アイサ 1999年に7000ポンドの非課税枠でスタート)がモデル。

英国では預金や国債も対象(預金型の人が英国では半分。)。英国では購入した商品を売却してほかの投資に回すことができる拠出額限度額方式。これに対して日本の制度は購入額限度額方式なので購入したものを売却すれば、枠の使用はおしまい。回転商いには使えない。
 2016年の見直しに向け検討されたのは非課税枠の引き上げ。非課税期間の延長。制度の見本となった英国でも2014年7月に株式型非課税枠を1.5万ポンド(約250万)に引き上げる(現在の非課税枠は株式型が1万1520ポンド 預金型はその半額とのこと)。英国のように親が子のために長期間資産形成する制度(ジュニアNISA 英国で2011年導入 18歳未満の未成年が対象 非課税枠3720ポンド)の導入も検討。

 NISAは2003年以降行われていた軽減税率制度の廃止に伴うもの

上場株式などの譲渡益や配当に国税地方税合わせて10%の
軽減税率を適用する制度は2013年末で打ち切り
2014年1月以降 本則の20%に戻す

総括:新たに購入する長期保有目的の株、株式投信を入れておくには適切な口座。
   値上がりしたところで売却して利益を確定するのにも使える。
   今後制度変更される可能性はあるが
   来年から5年で総額500万の範囲 毎年100万まで株式などへの投資について
   専用口座を使用した 新規投資について 
   譲渡益 配当が非課税 となる制度
   売却すると非課税枠は回復しないなど 制約が多く細かな運用には適していない。   

モデルは英国のISA individual saving account 1999導入(愛称 アイサ)
導入当初は2009年までの時限措置 導入7年後に効果が検証され恒久化決まる
英国で口座数は総人口の約2割
投資信託残高の約2割がISAを通じるというほど普及しているとのこと

original June 9, 2014

revised Dec.27, 2018

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