2018年9月に発足したばかりの産業革新投資機構JICが早くも行き詰まった。2018年12月10日 民間出身の役員が全員辞任を表明し事実上活動を休止することになった。直接の原因は、高額報酬だが報酬の高低より、自ら9月に出した報酬案を2ケ月後の11月に否定した経済産業省(島田隆次官)にも相当な問題がある。また政府の関与を強めれば、リスクキャピタル投資の判断がゆがめられることはあきらかなのに政府関与の姿勢を強めた担当大臣(世耕弘成経済産業省)も感覚がおかしい。問題はファンドの性格。官が主導して、企業再生を含めてリスクマネーを供給する立場なのか、あるいは産業育成のためのリスクマネー供給のいずれなのか、腰が据わってなかったのではないか。前身の産業革新機構INCJに対する評価の違いにもその点がみえる。外側からみると産業革新投資機構は産業革新機構の後継。その役割のすべてが変更されるものではないとみるのが自然だが。
第四次産業革命に向けたリスクマネー供給に関する研究会報告書 スタートアップ企業に対する投資を主とした投資対象として謳っている。