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香港一国二制度 Occupy Central

1997年7月に香港を英国から返還されたとき、中国は香港に「特別な地位」を50年間維持すると約束した。(1984年12月の中英共同声明)。しかし中国色が進む中、2017年の行政長官選挙で民主派が候補者を出せない事態が懸念され始めている。すでに2012年3月の行政長官選挙の時も候補の入れ替えがあったことは経験済み。こうした中国政府の対応は、統一問題を抱える台湾にも波紋を呼んでいる。言われている仕組みは業界団体などから選ばれた1200人からなる指名委員会が候補者を選び、それに有権者が一人1票を投じるもの。(指名委員会の半数以上の推薦が必要という条件からすると候補者は一人の信認投票になる可能性も高いのでは)全人代の常務委員会の決定(2014年8月31日)。民主派は指名委員会の指名がなくても有権者の1%以上の署名さえ集めればだれでも出馬できる「有権者指名」構想を主張したが実現はむつかしそうだ。このあとは香港政府による選挙法改正案作成 香港の立法会での審議に移る。


 2014年9月28日学生を中心とする民主派指導者(主要団体は3つ 香港学連 学民思潮 和平占中)たちが幹線道路で座り込み占拠を始めた。学生側の要求は制度見直しのほか、梁振英行政長官の辞任。ただ制度の見直しや辞任要求でレベルを上げ過ぎているのかもしれない(要求は要求として対話の実現などを低い目標として掲げることも考えられる)。10月1日には10万人規模のデモが実施された(こうした騒ぎに伴い中国政府は国内の旅行会社に香港かの団体旅行の新規受け入れ制限する通知を出したとされる)。問題は中國指導層としても、全人代の決定を覆すことはありえないと妥協する余地がないということだ。この間曲折を経つつ10月21日には香港政府と学生側の直接対話も実現(対話の実現を阻んでいたのは成果がなければ占拠を拡大するという学生側の態度だった。もちろん戦術としてこの言い方もわからないではない。香港政府側代表はNo2の政務官。学生側代表は香港学連の周永康秘書長(香港大学4年 香港大は名門 入学者の8割香港1割中国本土)。それぞれ5人ずつが出席して公開で実施され学生側は2017年の次期行政長官選挙での立候補制限の撤廃を要求した)。バリケードを排除しようとする警官隊との小競り合いが繰り返されたが、香港政府側も自制している。時間の経過とともに学生側にも手詰まり感が見えてきた。そうだとしてもこの事件(Occupy Central和平占中)は一定の意味があった。中国側の言う一国二制度の解釈権が、中国側(中国共産党)にあり、民主的な議会制度とは程遠いものしか、香港は獲得できないということが明確になったように見えることだ(学生団体は全人代の決定のもとになった香港政府の報告書に問題があった、また全人代の決定は来年の全人代で見直しが可能と学生側は現在の中国の法体制を前提にして修正を迫っている)。このことは中国との一体化を望む台湾の人たちにも「警告」になった。中国との性急な一体化で、政治的自由という大きなものが失われる可能性が高いということだ。このあと11月30日(日)夜から学生団体は大規模集会を開き政府庁舎の包囲閉鎖を宣言。12月1日朝、これを阻止しようとする警官隊と激しく衝突したとされる(なお1日夕方には高等法院がバス会社からの占拠により損失を被っているとの申立てにより金鐘の幹線道路の一部について占拠禁止命令を出した。)。12月3日 市民団体和平占中の発起人3人が強制排除による流血をさけるため、学生に撤退を呼びかけるとともに警察に自首するとして、記者会見を開いた。
Leaders surreder to Hong Kong police、The Guardian, Dec.3, 2014

他方で10月にも香港上海両証券取引の間で相互取引(注文の相互取次)がスタートする予定があった。それぞれの投資家が地元の証券会社を通じて売買注文ができるというもの。これについては当初は10月27日(月)からであった。しかし中国の証券監督管理委員会はゴーサインを出さず延期。結局3週間遅れて11月17日(月)開始となった(これに合わせて繁華街でのバリケードが一部強制撤去された)。
機関投資家以外に中国国内株売買を認めることになる(海外の投資家は香港の証券会社を通じて上海株を自由に売買できるようになる)。中国国内空は期間投資家に加えて50万元以上の資産を金融口座にもつ個人であれば、国内の証券会社を通じて香港株を売買できる。投資総額には5500億元(約9兆円)の上限、1日あたり北京(上海)行きは130億元(約2300億円)(総額3000億元) 香港行きは105億元(約1900億円)の上限を付けて投機マネーの過度の流出入は抑制する方針。予想されるのは香港上海重複上場の中国本土企業株(香港のH株 上海ではこれまで外国人投資家には厳しい取引制限)への裁定取引。香港上場単独株(テンセント 香港取引所など)の人気上昇が予想されている。最初の1週間では香港から上海が上限に達したのに対して、上海から香港は上限の2割弱。
これをにらんで香港に資金をうつす投資家の動きから香港ドルが高止まりしている。7月以降1ドル7.75香港ドルに張り付き、香港金融管理局による介入も指摘されている。介入は2012年12月以来2年半ぶり。(香港はドルペッグ制 1ドル7.8香港ドル 7.75~7.85香港ドルを超えると金融管理局が介入)金融管理局は香港上場の中国本土企業による配当支払いや海外企業による香港企業M&Aによる一時的要因によるものと説明している。
Area Studies

Democracy the first 2014/12/25 占领中环
original in Sept.18
revised in Dec.25, 2014

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