Entrance for Studies in Finance

OPEC減産見送りとロシア(2014年11月)

石油輸出機構(1960年設立 加盟12ケ国 本部ウィーン 世界の原油供給の3分の1担う シェール革命やロシアなどの非OPEC諸国増産により3割程度に低下)が2014年11月27日の総会で減産(現在は日量3000万バレル)を見送った。その後、原油価格が急落した(11月28日午前スポット価格前日比3.6ドル安の68.4ドル 原油先物は68ドル台)。
OPEC heading for no output cut, Nov.26, 2014
世界経済の減速 欧州・新興国の需要減とシェールオイルなどの供給増(米国カナダのシェールオイルの規模が想定以上に増産続く 米国の産油量は今や日量900万バレル近くサウジの産油量に迫っているとされる) リビア・イラクで生産量回復 で供給過剰感がある中でも減産見送りは、米国のシェールオイル業者に減産を迫るもの(バレル80ドル割れで採算の厳しい油井があるとされ、70ドル台では採算割れ油井が増えるとのこと)政治的な駆け引きであるようだ(と同時にサウジとすれば生産枠シェアの維持 サウジは米国向け価格をさげてシェールに対抗 サウジは財政に余裕があり減産で値上げすれば顧客が米国に流れることを懸念 対立するイラン・ロシアなどの原油生産国をけん制するサウジの?戦略とされる 他方で原油に財政を依存するベネズエラなど100ドル割れの状況で逆オイルショックに陥っているとされデフォルトが懸念されるとのこと)。
今後シェールの増産が続くと3000万バレル(サウジはその3分の1約973万バレルを生産する最大の産油国)の顧客維持は困難になる。
2014年9月まで4年間おおむな100ドル超える価格だった(2014年をとると92ドル台からスタート。2014年6月半ば105ドル超え。9月下旬90ドル割れ。2008年に1バレル147㌦の史上最高値を記録 この高価格ガシェール開発を促した)が、その後急落(米国で量的緩和終了に伴い原油市場から株式市場に投資資金流出も背景)。2014年9月8日1バレル98.90ドル1年2ケ月ぶりの安値 11月3日1バレル78ドル台(2年4ケ月ぶり80ドル割れ) 11月4日4年半ぶりの安値の1バレル81ドル台に下落。
相場上昇による資源ブーム ⇒ 非OPECの石油増産 シェール革命 バイオエタノールの増産 などの供給増 +
中長期には自動車の低燃費化、航空機の燃費改善 省エネと脱石油 などの消費抑制 ⇒ 供給過剰
金融危機対応の終了による金融政策修正 ⇒ 投資マネーの流出
値下がりを嗅ぎ取った投資家によるプット買い増える(プットの買い増える 原油価格下がると利益増える プットの値段上昇)。
値下がりを感じた投資家は先物買い持ちの解消急ぐ(先物売りが増える)。
原油価格値下がり(日本の原油輸入における中東依存度は9割近い)は、航空会社 海運のなどの経営に好影響。円安の影響受ける化学業界では石化製品の価格引き上げで苦慮。日本貿易赤字は縮小。ガソリン価格(エコカーの普及+天候不順 ガソリン需要落ち込む)・電気料金下落(原油価格に連動するLNG価格も下がる見込み 電力会社では冷房に備えたLNGが2014年夏の気温が上昇しなかったため在庫として残り冬場の手当ては十分とのこと)は個人消費には下支え。物価上昇を期待して金融緩和を続ける日銀にとり物価の下落要因の追加はマイナス要因。
時間の経過とともに原油安(10月13日北海ブレンド原油1バレル90ドル 2年3ケ月ぶり安値とされた12月15日WTI期近物一時55.02ドル 5年7ケ月ぶりの安値 ドバイ原油も16日午前一時57.50ドル 5年7ケ月ぶり)がとくにロシアを追い詰めていることが明確になってゆく。ウクライナ問題(2014年2月ソチ五輪 3月クリミア半島の編入 欧米による対ロ制裁始まる(政府高官の資産凍結 渡航制限⇒欧米の対ロ取引手控えへ ロシア株の下落) 5月中露が天然ガス供給契約 6月 ロシアはガス代金未払いとしてウクライナへのガス供給停止:EU諸国は天然ガスの脱ロシア急ぐ 7月マレーシア機撃墜事件 7月と9月米欧が追加制裁:プーチン政権を支える複数の企業の金融市場での資金調達制限など EUとウクライナが連合協定締結 10月首脳会議でウクライナへのガス供給で条件合意:ウクライナ、ロシア、独仏)をめぐる欧米の制裁と対抗措置としての食料品輸入の禁輸措置(中東欧で食糧品あまりデフレ深刻に)。ルーブル安による国内物価上昇(インフレ)。2014年1月1ドル33ルーブル台軟調。10月13日40ドル第半ばこの時点で過去最安値
ルーブル相場は2014年7月16日米国が本格的な対ロ制裁を発動したことで下げが加速。11月27日のOPEC減産見送りはロシアの困窮を強めた。12月15日67㌦第前半。過去最安値、年初から5割下落。12月16日ロシア中央銀行が政策金利を10.5%から17%に緊急に引き上げたが、下落基調は変わらなかった。16日午前1時。異例の大幅引き上げ6.5%。
2014年12月16日ルーブルは78ドルまで下げた。海外からの融資返済が滞るリスク(反面 ロシアの外貨準備は12月1日現在で4190億ドルと巨額で債務返済危機には陥ることはないとされる しかし国営銀行や国営企業に資金調達の困難が伝えられる)。原油はWTIが一時54ドル割れ。インドネシア、オーストラリア、メキシコ、ノルウェーなど他の資源国通貨も落ち込む。しかしもっともひどくはロシアルーブルとロシアの株価。ロシアの油田の多くが生産コストが高く、さまざまな資源開発構想が停止あるいは破棄に追い込まれているとのこと。
分類:Area Studies

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