昔からある資産流動化方法との違い
昔からあるsales and leaseback
保有不動産の資金化
身内に売却して身内から借りて利用を続ける
sales and leaseback
point: 売却はみかけだけ
資金も身内からきている
証券化は旧来のsales and leasebackとどこが違うか
point: 実際に売却 つまり第三者に渡っている
資金は外部の第三者投資家から来ている そこで仕掛けが必要 発達
証券化の技術について
内部信用補完 internal credit enhancement
スプレッドアカウントspread account
超過担保 over collateralization
優先劣後構造 senior-subordinated structure
外部信用補完 external credit enhancement
保険 insurance
CDS credit default swap 実際に支払えるかをカバー
格付けrating 一斉の格下げ もとの格付けの正しさ
いずれもhistorical dataに依存するのが
MBO mortgage backed securities
CMBO commercial mortgage backed securities
CLO collateralized loan obligation
CDO collateralized debt obligation
Synthetic CDO : loanの代わりにCDSを組み込んだ商品
証券化securitizationについて(2)
証券化の意義
オフバランスシート バランスシートを小さく
資産回転速度 資金回収の加速
資産規模の圧縮 一時的には現金を取り戻す効果
資金調達
信用格付け高位企業 資金調達源の多様化
信用格付け低位企業 低コスト資金導入も可能
1)すでに存在する(債権をベースにした)特定事業や資産の証券化 資産証券化
債権を流動化するための
既存不動産
債権(貸付債権 リース債権など)→ 集合債権 → 証券化
2)これから行われる特定の事業を展開するための証券化
債権をつくるための証券化
当該事業projectのキャッシュフローを抜きだすことで資金集めが可能になる
3)これから複数の事業を行うための証券による資金調達 ex.不動産投信
不動産事業
資金集め → 建設 → 売却・賃貸
↓
証券化
4) PFI private finance initiative (道路 住宅 上下水道 発電所・・・)
資金集め → 建設 → 特定事業収入
↓
証券化
事業会社の資金集めとの違い
事業会社corporationの資金集めでは
社債・株式発行 → 事業会社 → 事業は複数・・何をするか投資家は見えない
結果として経営者の手腕などに期待
M&Aについて(1) mergers and acquisitionとは(1)
merger : 二つのものが一つになること
acquire : 相手の支配権を取得すること
財務戦略としてのM&A
参入であり
規模拡大
業務多角化
退出である
同業種の買収
1.規模の追求 市場の独占あるいは規模の経済の追求
例 営業エリアが違う 取扱い品目が違う・・・補完性がある
規模の拡大になる
コストダウン あるいは 市場規模の追求
異業種の買収
ライフサイクルによる衰退
新規業種 新規商品の必要性
参入障壁 買収は時間を買うこと 同時に参入障壁を乗り越える方法
規模
サンクコスト
学習曲線
転換費用 など
1.事業ポートフォリオ 新しい成長事業の取得
ライフサイクル でみると 事業はやがて衰える 新規事業必要
PPM論(BCG) 現在のCash Cowそして将来のSTARが必要
そこでagility はM&Aが選択枝に。
2.複合企業(コングロマリット)論 事業経営の安定には企業の複合化が必要
1960年代のアメリカ 複合企業 がもてはやされるが
しかし業種が異なると 企業文化 必要な知識は違う
複合企業はシナジー効果が得にくい
やがて否定的に見られるように
企業は得意な分野(コア)に特化するべき
↓
選択と集中 一方では売却 コアに経営資源を集中
シナジー効果synergy effectの議論
A + B < AB
AB: AとBが合併した状態(どちらかが他方を吸収した状態)
企業価値が増えると見ると分かりやすい
市場がどう反応するか
M&Aのニュースで株価が上がるケース 下がるケース
シナジー効果 補完性 営業エリア 商品などが補完的
→ 営業力の強化 商品メニューの強化
3.買収ファンドの登場と成功
買収ファンドは様々な業種に投資しても成功している
つまりシナジー効果が働かない企業を買収して成功している
なぜか
↓
鍵は経営戦略の転換にある
グループ経営の議論に変化
シナジーの追求 → 反省 もたれあいになっていないか。
グループ経営に2つの潮流: いずれもありうる
シナジーを追及するグループ
役割分化 企業の自立性を強調するグループ
M&Aについて(2) M&Aの効果とは何か
規模の経済 economies of scale 範囲の経済economies of scope
生産量 販売量の増加
単位当たり生産費の低下
営業エリア 営業人員拡大の効果
共同調達による調達コスト切り下げ
共同配送 部門統合による経費節減効果
開発費抑制
設備投資の圧縮(過剰設備の削減)
近年では まずAgility 迅速さ
Speed がなぜ大事か 先行者のメリットがあるから
1) sunk cost 2)switching cost 3)learning curve
Critical Mass 決定的な大きさ
Bandwagon effect ; winner takes all 消費者のherd行動が生み出す
Competence 競争力(競争上の優位性) 獲得維持の重要
時間を買う買収事例
第一生命保険(2009年に株式会社化 2010年上場 銀行窓販でも先鞭 外貨建て終身生命保険が人気:問題が指摘された時期もあるが 海外展開にも積極的 ベトナム オーストラリアなどに100%子会社) 米中堅のプロテクテイブ生命買収で最終調整(2014年6月) 買収額5000億円超 実現すれば日本の生保によるアメリカ生保初めての買収
M&Aに関連する問題
1.動機としての保身entrenchment 仮説 Schleifer & Vishny(1988 & 1989)
→ 失敗するM&Aが多いことを説明する
entrenchment仮説
本当にそうなのかはまだ検証不十分Jensen(1984 & 1988)
保有比率との関係
5-25%の中途半端な保有率のときに 企業価値を損なう行動 Morch et al(1998)
Han & Suk:過剰な所有は保身行動にチェックがかからない問題があるとする
2.少数株主の保護 3分の2以上の多数を占めた側が少数株主を排除することが認められている。これをスクイーズ・アウトsqueeze outという。問題はその時の対価の決め方にある。多数株主がその立場を利用して、不当に低い価格で株式を買い取ることをfinancial tunnelingと呼んでいる。
少数株主の排除はやむを得ないとしても、対価が不当に低いものにならないように、少数株主が保護される必要があると考えられる。
3.企業買収が仕掛けられた場合の、さまざまな買収対抗策がある。Shark repellant.
焦土作戦 重要な資産を売り払ってしまうなど。
ポイズンピル(毒薬) 買収とともに株式が多量に発行される仕掛けなど。
ゴールデンパラシュート 役職員に高額の退職金を設定してゆく方法は、役職員にとってはどちらにころんでも自分を守る方法になるだろう。
黄金株の発行
買収されることで企業の支配権に移動があった場合、契約を無効にする条項をCoC(change of control)条項という。この条項は、ライセンス契約などで多くみられるが、債務に関してこれを付けることで、毒薬の代わりにすることができる。
一般に買収は現在の経営者に友好的な友好的買収と、敵対的な敵対的買収に区別される。買収価格の点で敵対的買収は価格が上がりやすく、また人材が失われるリスクも高いので、
友好的買収の方が成功しやすいとされる。
買収を目的にしたファンドが組成されて、買収により利益を出すことを目的に、資金融資を受けたファンドが買収を実行する、こうした買収をleveraged buyout(LBO)と呼んでいる。LBOの世界では、従来は考えられなかったような大企業をターゲットにした買収が見られるようになった。
近年の日本では、設備投資のための融資に代わって、企業買収に絡んだ融資がしばしば耳目を集めている。設備投資のための資金がしばしば、大きさとして予測がつくのに対して、企業買収に絡んだ資金はしばしばその予測を超えるものであることが多い。そのためであろうか、企業買収で資金手当ての方法として頻繁に登場するのが、協調融資枠そして協調融資である。このような協調融資で、買収資金を手当てしたあと、社債発行などで長期低利資金に乗り換えるといったことが、しばしばみられる。
Corporate governance 株主の立場から会社の経営を監視する仕組みをコーポレートガナバンスという(福光)。業務執行状況とリスクの把握、会社の戦略の決定(舵取り)、経営資源の配分(1992英キャドバリー報告書)。
問題の所在 principal agency problem
経営者は株主の代理人として企業を経営している がしばしば
自分の利益を優先させる しかしその状況が改善されない なぜか
株式分散保有 株主 合理的アパシーapathy(無関心)
分散型保有のもとでは 誤った経営が是正されない 誤った経営の内容 →
会社の私物化 報酬のつり上げ ポストへの固執 自らの権威の絶対化
投資先を保身的に決定 → 企業経営を劣化 しかし辞めないということ
持ち合い制度mutual holdingもなぜガバナンスが働かない一因か
互いの利益のために考慮して互いに経営に口を出さない
バブル経済 収益の低い投資が放任された とみることができる
銀行中心bank-basedの資金供給 +分散型保有では経営者変更に時間がかかる
機関投資家institutional investors
企業年金や投資信託(日本では生命保険も注目される) 議決権行使が不十分だとされる(生保は営業との関係で経営陣の出した議案に反対しにくい また議案の精査をするには時間をかけた聞き取りが必要で投資家に大きな負担という指摘もある。しかしこのような機関投資家の態度が経営のチェック機能を弱めている)
機関投資家(金融機関や年金基金など)の議決権(平均では3割)行使の在り方が重要になっている これまでは賛否をつけない白紙委任が多かった。政府は機関投資家に対して議決権行使の個別開示を求める方針(2013年4月 2014年にも行動指針定める)
口を出しても(具体的には面談するなど コストがかかる)成果(ベネフィット)は不確実 影響力をますため他の投資家と協調すると「共同保有者」として認定されて大量保有報告制度による報告義務が発生する恐れもある。
企業年金 従業員が同意した形で自社株投資
機関投資家に議決権行使を求める声は強まっている
緊張感のある経営につながる
Voice型かExit型か
ストックオプション制度(ある固定価格で一定数の株を入手できる権利を報酬として与えるもの
好業績 高株価 高報酬 業績連動報酬 その手段の一つとしてstock option
業績連動賞与
従業員の給与の成果主義化とのバランス 経営者を株主利益に近付けるとされる
しかし ストックオプション制度への批判
経費として意識されないため過大化しやすい
株価と企業の業績は必ずしも連動しない。
経営者の行動や判断が業績に表れる時期にはズレがある。
内部統治internal controlか市場統治market controlか
取締役会boardの在り方
独立外部取締役の多数化 内部昇進者でなく外部の取締役が多数となるようにする
その取締役会が経営者の経営を監視する 他方、経営者は執行役員会を別に組織して経営にあたる。場合によっては経営者を更迭する・・・・これがアメリカの大会社の経営のありかた。
背景にはCEOの力が強いのでそれをけん制する意味がある
こうしたアメリカの大会社の取締役会と似たものが日本でも一部の企業にある(監査委員会設置会社あるいは委員会設置会社 2013年8月で上場会社中57社)。ただ大多数の日本の会社は取締役会と執行役員会が重なっている(監査役設置会社と呼ばれる)。2003年に委員会設置会社が選択可能になって10年で普及しない理由は、社外取締役の確保の困難。指名・報酬の2委員会への経営トップの抵抗感だとされる(このほか監査委員会とあわせ3委員会を組織。各委員会に最低2人の社外取締役を確保する必要がある)。
日本の取締役会を持つ会社の問題点 取締役は社内昇進組なので代表取締役に反旗を翻すことは起こりにくい。結果として経営方針の転換が起こりにくい。
社外取締役の設置・複数化が求められている(上場会社に義務付けるべきとの意見が長年ある 東証上場企業2013年6月現在で導入企業の割合は60.8% 1社当たり社外取締役は平均1.10人 日経調べ)。社外取締役が経営者仲間ではダメではないかという指摘。社内取締役でも全社的な観点から発言すればよいのではともされるが。事実上 全会一致で運営される日本の取締役会では 社外取締役の義務付けやまた次期社長選任への関与(例 指名委員会に参加させること)は大きな意味をもつとされる
社外取締役の設置 社外取締役の質 取引銀行出身× 筆頭株主の経営陣×
独立社外取締役 社外取締役を置かない企業の社長の取締役選任賛成率 通常9割が7-8割に下がる傾向 社外取締役のほか役員報酬の個別開示に関心集まる(2013夏)
市場型 株式保有が集中型か分散型か 市場型ガバナンス:株式市場や企業買収を肯定
Market-based; Bank-basedより早い変化 プロセスの外部化が後押し
低株価 現在の経営に問題 → 買収 市場を通じたガバナンス 経営戦略転換
意見表明 voice型 exit型 Wall Street rule → 企業買収成立 容易
近年 金額大きくなり 集中型に →
機関投資家 stewardship rule
内部統治では社外取締役のほか役員報酬の個別開示が現在の関心
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