大企業の脱税の話がないことでちょっと内容は期待はずれだ。しかしところどころにテクニック的な記述もあり、参考になった。著者は国税査察官であったらしい。なんでも強制調査と任意調査の2種類があるが、強制調査を担当するのが国税査察官、通称マルサ。税務署の資料調査課が行うのは任意調査でこれは課税が目的。両者は大きく異なるものだという。なるほど。
最初に述べられているのは使途秘匿金課税の問題。これには法人税、法人住民税のほか、秘匿金に制裁的な課税40%が行われるとのこと。そこで使われるテクニックが架空外注費だとのこと。たとえば下請けから、孫請けと数段間のクッションを踏ませて、その最後からキックバックされる。実際には、実際の工事代金を水増しして振り込むなど、手口は巧妙とのこと。
蓄積した裏金はタマリとよばれる
税務署からみた対象所得捕捉率 クロヨン サラリーマン9割 自営業者4割
トーゴーサンピン サラリーマン10割 自営業者5割 農林水産業者3割 政治家1割
2014年から税務調査は 原則として事前通知必要になる
脱税請負人のことをB勘屋という 倒産した会社から領収書を買い取り、経営者に売るなど
累積赤字の会社が他社の脱税のために利益を被るケースもある
取引に協力してくれる会社を見つけて、買掛金を増やす
かつては相続人が海外居住の場合、国外財産の相続税を回避できた。現在は被相続人が日本に居住しておれば、相続人が外国籍でも国外財産に課税できるように制度改正された。
かつては日本の非居住者が株を売却しても 租税条約上キャピタルゲインに課税されなかった 富裕層のなかにはキャピタルゲイン非課税国に逃げ出すものが多かった そこで出国時点で1億円以上の有価証券を所有している者には、有価証券の譲渡又は決済があったものとみなして課税する国外転出時課税制度が導入された。・・・しかし罰則があるといえど、課税されるのに正直に申告するひとがいるかどうか?
タックスヘイブン 富裕層は租税回避が目的であるのに、他国籍企業は利益追求が目的で本来 別々の問題 タックスヘイブンとは 税金が存在しないか 極めて低税率の国・地域
利益を移す方法は様々あるがシンガポールにペーパーカンパニーをつくり そこから資金を借りて利息を支払う方法など
脱税は7年遡って調査することができる 脱税をした瞬間に 7年間も税務署の影におびえて暮らさなければならない
(脱税は警察が捕まえに来ません。国税庁が検察に告発して、特捜部が捕まえに来ます。・・・これは脱税が国事犯罪で非常に重いものだという、国家の論理からきている・・・国家は税金なしには成り立たないからです 佐藤優 いま生きる「資本論」 新潮社 2014年 p.86)
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