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朴槿恵(パク・クネ)から文在黄(ムン・ジェイン)への政権移行に伴う不安

2017年3月10日 韓国の憲法裁判所は、韓国国会の弾劾訴追を受けた審理で大統領朴槿恵(パク・クネ)の一連の行為を違憲違法行為と認定。朴槿恵(パク・クネ)は大統領を罷免された(2013年2月に政権を引き継いだパククネは2014年4月のセウオル号事件までは国民の支持を得ていたようにみえる。またその後も2016年2月に、北朝鮮による弾道ミサイル発射に対して開城(ケソン)工業団地閉鎖で対抗する姿勢を取ったことは、北朝鮮への圧力強化を望む日本政府としては、支持できる行為だったことは疑いがない。

 パク・クネ政権と日本は長年の懸案であった従軍慰安婦問題で2015年12月28日に日韓合意にたどり着いた。少なくとも日韓関係を改善しようという方向性において、日本にとっては好ましい政権であった。また対北朝鮮では2016年1月の核実験のあと、2016年2月、開城(ケソン)工業団地の閉鎖を決断するなど、強硬姿勢を取った点でも、外交姿勢については共感できた。パク・クネ政権と日本は長年の懸案であった従軍慰安婦問題で2015年12月28日に日韓合意にたどり着いた。少なくとも日韓関係を改善しようという方向性において、日本にとっては好ましい政権であった。また対北朝鮮では2016年1月の核実験のあと、2016年2月、開城(ケソン)工業団地の閉鎖を決断するなど、強硬姿勢を取った点でも、外交姿勢については共感できた。それだけにパククネ政権の退場に失望感が日本側にあることは事実だろう。

2017年5月9日 韓国の大統領選挙で文在寅(ムン・ジェイン)が選出された(得票率は41.08%)。大変日本から見ていると不思議だが、北朝鮮との緊張の高まりにも関わらず、韓国株は2017年に入ってから上昇基調。内政混乱、対中関係悪化、北朝鮮問題の三重苦を意識していないかに見える。半導体、携帯、液晶パネルなどの輸出がバネになっているようだ。北朝鮮問題には慣れているのか(シリア空爆時の緊張を除くと)、少なくとも過敏ではにない。おおむね同様の動きを示すのがウオンである。2017年に入ってからウオン高の基調が続き、株価も1-6月の間ほぼ一貫して上昇した(韓国の場合は2016年1月から2017年半ばまで株価上昇が続いた。)。

文在寅の政策は、労働者寄りであったり(大統領選で非正規労働者の待遇改善を主張した、当選後 最低賃金の引き上げ、公共部門の非正規職員の正規職員化等を実施)、反原発の推進といった点で、台湾の 蔡英文民進党政権と似ている。政治の混乱にもかかわらず株価が上昇を続けた点(半導体メモリーやディスプレーや需給がひっ迫した)も韓国と台湾は似ている。ところでやはり日本から見て気になるのは南北融和政策であろう。韓国と中国の関係が米軍のTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)の配備を懸念して緊張。対韓感情の悪化から中国で展開する韓国系スーパーの多くが営業停止に追い込まれたとされる。また韓国への団体ツアーも3月から禁止されたとされる(これらの問題もパククネを追い詰める一因になった)。文在寅はどうも対北融和政策の機会を探っているように見える点が気がかりである。たしかにそれは韓国にとっては、北朝鮮そして中国との関係を緩和することになるだろう。しかしもしもそこまで進めば、米国はもはや韓国を同盟国とは見れないのではないか。問題は韓国という国がどちらを向くのかということに関わっている。

 2016年4月13日開票の総選挙で 与党セヌリ党が大敗した。これは、対北朝鮮への強力な姿勢(南北協力事業の開城工業団地の全面中止・・・2016年2月)。在韓米軍の地上配備型ミサイル迎撃システムTHAAD配備問題(ここでこれまでの親中路線とは違う路線を選択したように見え、事実中国はnに伴い、2016年10月、中国からの観光客急減になって現れる。この動きは翌年2017年にかけて続いた。現代自動車の販売が落ち込む。スーパーのロッテが休業に追い込まれる。韓国向け団体旅行が中止されるなど。2017年3月段階)Korea 中国の韓国いじめ

中韓自由貿易協定締結2014年11月 低い水準での自由化の評価 締結という外交的成果急ぐ。中国経済への過度の依存が中国停滞のリスク(チャイナショック)を韓国にしわ寄せしている。国内では消費の落ち込み 低インフレ 少子高齢化など。中国減速の影響のほか、中国では中国企業との競争激化(半導体、デイスプレー、携帯電話のいずれもがふるわない。中国が中間財の自給率を高める戦略にシフトした結果、中間財を供給して伸びてきた韓国企業の輸出が減少。しかし韓国では輸出内容の切り替えが進まないとされる。

 韓国経済は2016年7-9月まで4四半期連続で0%台の成長率を続けた(GDPの5割が輸出とされ最終需要は中国と米国。中国の伸び悩みが韓国を直撃している。財閥企業中心の経済体制。サムソンが2016年8月に発売したギャラクシーノートセブンの発火問題でつまづいた。最新型の高級機種:大型の有機ELパネルを使用、瞳の虹彩を使った個人認証機能など最先端機能を盛り込んだ・・・でアップル追撃を考えた投入だったが失敗に終わった。 これは電池の不具合で発熱 各地で火事を引き起こした 9月にリコール、10月に生産停止に追い込まれた。この原因については サムソンは電池に原因説だが 回路設計ミスも大きい。電池に対する負荷多すぎた などでまだ解明されていない。いずれにせよ電池が充放電を繰り返す中で加熱それが原因でショートした。これと同様の事故は2006年にソニーのパソコン電池をめぐっても起きている。本体の設計に問題があるばあい、サムソンのノートセブンでの回復は今後遠のくと考えられる。いずれにせよ、サムソンのブランドイメージは全世界的に傷ついたといえよう。背景にあるのはアップルとの関係。アップルは競争をしかけたサムソンを供給者から外し、iPhone 7では台湾のTSMCに半導体を任せるようになった。ギャラクシーノートでの躓きはサムソンの戦略を崩すもので、 大きいことなのではないか。サムソンの事業は半導体と携帯の2本脚であるが、半導体だけの一本足になったと評された。なお液晶 有機ELパネル部門も好調。その後 米国で発売する洗濯機の一部で不良品が見つかり2016年11月回収においこまれた。 韓国躍進の象徴、世界で販売5位の現代自動車も12年ぶりの2016年9月全面スト、一時的に引き下げられた個別消費税が本則に戻った結果、国内売上高が減少した等の結果、大幅に稼働率を落とし、業績を悪化させた。米国では人気車種との自社の商品との食い違いも失速の大きな理由。傘下だが人的交流のない起亜の方が国内販売好調とのこと。)。

 パク・クネ大統領はその後、友人崔順実(チェ・スンシル)によりマインドコントロールされ、国政判断をしていた疑いが急浮上した(2016年10月)。最初は国政情報を私人チェ・スンシルに流した疑いであったが、やがて国政に介入させ、不当に利益を上げさせたのではないか、国政の判断をパク・クネ自身がゆがめたのではないかと指摘されるようになった。大統領就任直後の清新なイメージは霧散してしまい、国民の支持率は5%にまでさがったとされている(2016年11月)。

パク・クネ政権と日本は長年の懸案であった従軍慰安婦問題で2015年12月28日に日韓合意にたどり着いた。少なくとも日韓関係を改善しようという方向性において、日本にとっては好ましい政権であった。また対北朝鮮では2016年1月の核実験のあと、2016年2月、開城(ケソン)工業団地の閉鎖を決断するなど、強硬姿勢を取った点でも、外交姿勢については共感できた。

2014年 韓国への直接投資額は20億弗前年比3割減 2014年 韓国の対中貿易は2353億ドルで10年前の3倍 韓国を訪れる日本人観光客 22013年前年比22%減 2014年17%減

2015.5-7 MERS(5.20-7.4 計168人の感染者)の影響で観光減

2015.4-6 GDP伸び悩み 実質前期比0.3%増〔年率〕1.2%程度 前期は0.8%増から減速 中国景気鈍化など

2015.6.11 韓国銀行 追加利下げ 過去最低の1.5% 家計の債務残高 GDPの7割

2015.3.12 韓国銀行 利下げ 1.25% 0.25%下げ 政策金利1%台は初めて 2月のCPIは0.5%で1999年7月以来の落ち込み ウオン対円で7年ぶりの高値

2014年 GDP 3.3%増

2014年12月支持率 40%割れ 円安ウオン高に韓国で危機感

2014年10月15日 韓国銀行 利下げ0.25%下げ 年2% 9月のCPI前年同月比1.1%

2014年4月16日のセウオル号沈没直前の韓国
韓国1人あたりGDP2万5000㌦。2013年のGDP伸び率実質2.8%。不動産市況の低迷⇒逆資産効果。家計負債大きい。家計負債は2013年6月末で980億ウオン(90兆円)。名目GDPの8割
日韓関係冷え込みから対韓直接投資減少(2013年 3年ぶりに前年比マイナス
サムソン電子一強とも(たとえば株式時価総額でダントツの大きさ)。2番目が現代自動車
2013-15年の物価安定目標はCPIで年2.5-3.5%(2012年10月発表。3年ごとに発表)

セウオル号の事故は、対応の不始末から韓国政府 パク政権の支持率を大きく下げる切っ掛けになった。乗員乗客476名 救出172名 死亡295名 行方不明9名とのこと。注目されるのは乗組員15名が救出される一方、乗客の多くが犠牲になったこと。批判されるべきなのは、乗組員は制服などを脱いだり着替えて乗客を偽装し、乗客の救護活動することなく逃亡したこと、当時操舵にあたっていた3人全員が乗客を捨てて逃亡していること。多くの乗客が船室に残るようアナウンスで指示されて死亡に至ったこと。事故の原因が過積載にあることなど。他方、救出する側の作業員にも8人の犠牲者が出ており、救出活動が危険を伴うものであったことが理解される。

2014年4月のセウオル号沈没以降の韓国
セウオル号沈没後の自粛消費不振。外食、宿泊、交通などサービスがすべて不振に。
ウオン高による輸出型企業の収益悪化(先行き不安から利上げ観測。2014年7月半ばからウオン下落に転換は介入の効果)
経常黒字が増える中での介入を米財務省は批判2014年4月(先進国の金融緩和が原因というのが韓国側主張)

2013年前半 イミュンバク前大統領(2012年竹島上陸で日韓関係冷え込み)と違い外交姿勢で人気を保っていたパククネ政権
2013年前半から後半へのウオン高で韓国企業の業績がさえない。2013年のGDPは12年比2.8%増(内需が1.3% 輸出が1.5% 伸び率は3年ぶりに前年上回る;13年のGDPは名目1134兆ウオン(110兆円;日本の4分の1;対米姿勢で失点した前政権とは違いパククネは2013年2月の政権発足後、高い国民支持率を保っていた。外交分野での高得点が背景。4月の北朝鮮による開城工業団地中断のおどしに屈せず8月再開合意にこぎつけたこと。5月の訪米;6月の訪中にも成果を上げたことなど。
経済の悪化と支持率低下 発足直後支持率60%前後
しかし経済状況が次第に悪化したことから支持率は低下。公営企業改革をめぐる混乱が加わり、2013年12月に大統領への支持率は50%を割ったとされる。 ウオン高による輸出の伸びの停滞。株価低迷;8%前後の若年失業率など経済がマイナス要因となっている。 リーマンショック以降;外国人保有の株式債券保有額は300兆ウオン増えた。2013年5月末で512兆ウオン。 韓国株の30%超を外国勢が保有。外国勢が売りに転じると韓国株はたちまち崩壊する可能性もある。外国マネー流出が株価低迷(北朝鮮リスク顕在化;中国経済減速も背景)米国の量的緩和から脱却の影響も日本より強く受ける。金融取引税を検討とされるのもこうした外資に弱い経済体質が原因だ。 韓国経済のもう一つの特徴は家計資産に占める不動産の比率の高さ。8割弱が不動産(金融資産の割合は日本の3分の1)。人口の4分の1が首都圏に集中。首都圏の不動産市場の影響(景気後退のなかでの不動産市況悪化)が景況を増幅。
2012年にも韓国通貨当局の為替市場介入は当然のように語られた。おそらく2013年も介入を続けたはずだが、ウオン高の勢いを止められない。国際決済通貨でないことが、このような介入の容認につながっているとの指摘があるが、日本としては韓国の市場介入には不満の残るところ。
ところで2013年11月韓国政府は電気料金の引き上げを打ち出した。韓国の安い電気料金(OECDの平均より3割;日本より6割安い)は韓国の国際競争力の一つの要因とされてきたが、韓国電力公社の赤字に帰結していたほか、電力需給がひっ迫する懸念が高まっている。2014年11月に発表されたエネルギー基本計画では、原発の新設を続ける方針を決めたが(電力需要予測を引き上げるとともに原発依存率を26%:2012から29%:2035に引き上げる)、電気料金の上昇につながる、原発廃止路線をとれない判断があったとされる。

外交で親中路線を明確化
2013年のGDP実質成長率は2.8%(2014年1月23日発表速報値。内需が1.3% 輸出が1.5%)。2013年のGDPは1134兆ウオンで110兆円。日本のGDPの4分の1の水準。2012年の実質成長率は1.9%(内需が0.6% 輸出が1.3%)。2012年より回復したものの低成長。 輸出はIT大手の半導体、スマホが伸びているほか自動車、石油化学製品も堅調。中国向け輸出が増えている(2013年9月中韓FTA交渉が進展し2014年中の妥結が見込まれるなど韓国は親中路線を歩んでいる)。懸念材料はウオン高。2014年1月29日の韓国総合株価指数終値は1941.2013年末の2000台の推移に比べ停滞感。(現代自動車やポスコの業績低下。サムソン電子の販売減速。背景には海外生産比率の違いもある。サムソン電子などは海外生産比率が高く為替変動に耐性がある)先行きへの不安広がる。

財閥(チェボル) サムソン 現代自動車 SK  LG ロッテ ポスコ 現代重工業 GS 韓進 ハンファ
地域研究

2017年7月10日更新

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