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TAKATA's air-bag scandal

TAKATA's air-bag scandal (2014-2017)    

タカタ(エアバックとシートベルトで世界で2割シェア)の高田重久会長兼社長が2016年6月28日の定時株主総会で辞意表明した。死亡事故がこれだけ多発した(16年11月までに米国だけで11人)事態をタカタは反省すべきだ。

それからほぼ1年 タカタは2017年6月26日東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し受理された(米国子会社連邦破産法11条を申請 タカタは私的整理を模索したがメーカー側が透明性の高い法的整理を求めたとのこと)。3月末のグループの負債総額は約3800億円。しかし自働車会社が肩代わりしているリコール費用(全世界で約1億個のリコールとなるが、米国でも6割以上の未回収分がある)1兆3000億円を含めると戦後最大の製造業倒産となる(これまでの最大は2016年11月のパナソニックプラズマデイスプレイ5000億円 2番が2012年2月のエルピーダメモリ4480億円)。再建のスポンサーは中国寧波均勝電子傘下の米自動車部品大手キーセイフテシィシステムズKSSとのこと(均勝は2016年6月にKSSを1020億円、9億2000万ドルで買収したばかり)。再建は健全な事業を新会社とし、悪化したエアバック事業を旧会社に残して旧会社ここがリコール費用などを弁済するというもの。その代り新会社は旧会社にリコール費用などの補償基金として1750億円を支払うとのこと。つまり自動車各社が取り立て不能として弁済を厳しく求めなければ、旧会社も存続できることになる(ホンダをはじめメーカー各社はタカタ支援を表明している)。また三井住友など取引金融機関も特別融資枠設定で支援するとのこと(DIPファイナンスともよばれる つなぎ融資)。

問題は未回収のものから将来発生する事故に対する補償負担をどするか。問題は起きていないものの 生産している乾燥剤入り製品の安全性は問題なしといえるか(2017年7月11日 NHTSAは乾燥剤入りの270万個をリコール対象にすると発表した)。など。

東証は2017年6月26日 タカタの株式を7月27日付けで上場廃止を決めた。翌6月27日 タカタは株主総会を開いた。

リコールを生んだ原因はエアバックを膨らませるのに2000年ごろから爆発力の強い硝酸アンモニウムを使うようになったこと。高温多湿の環境での品質劣化への対策が十分でなかったことだ。トラブルが2005年ごろから生じたのにこれを放置。2009年に米国で最初の死亡事故が生じた後も、問題を放置した責任は重い。

他方で日本車にエアバックの搭載がいち早くはじまったのは同社の存在があったからこそともされる。

問題の背景として、創業家が6割の株を支配する中での社内の風通しの悪さ。エアバック事業の連結売上高6割を占める米州拠点の独立性が強く、本社がコントロールできなかったこと。メーカー側ニインフレーター(ガス発生装置)の作動を検証する装置がなく、事故原因の究明をタカタ任せにしたこと。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2017年1月13日にまず米司法省はタカタ元幹部3人を詐欺罪で起訴。同社と最大10億ドルの和解金(うち司法省への直接の罰金は2500万ドル)での合意を発表している。極めて納得できないことは起訴されたのが、すでに退職している技術者で、高田重久会長兼社長ではないことだ。また和解金額は、リコール関連費用が1兆円を超えるとされるなか最大10億ドルとされたことだ。背景にある問題は、オバマ大統領の任期切れである1月20日までの決着を急いだことだが、なぜこのように軽い処分で決着したのかは、それまでの大騒ぎとの落差を感じる。

2017年4月までに、タカタを法的整理する前提でタカタを事業を継続する新会社と、リコール債務を弁済する旧会社に分離する案が検討されていることが明らかにされている(出資者は米キーセイフティシステムズKSS.その親会社は中国の寧波電子)。ただただ信じがたいことは、なおタカタがこの瞬間も企業として存続を続けていることだ。大口債権者である自動車メーカーは債権放棄に応ずる姿勢を示していることだろう。タカタの問題について、メーカー側にも責任があるなら、この対応はわからなくはない。しかし、タカタの再建のために債権放棄するというのであれば、少なくとも創業家の責任を厳格を問うべきはずだ。

中古品は流通を続け、さらに新たに装着されて事故が続く問題が浮上している(17年4月)。2017年7月には

遡ると2016年5月26日 タカタが財務アドバイザーに米投資銀行ラザードを選んだことが発表された。又投資ファンドKKRほか投資ファンドがスポンサーとして名乗りを上げたこともわかった。自動車メーカーはこの投資ファンドの動きを警戒している。ファンド側は、債権をもつメーカー側に巨額の債権放棄を求めて利益を上げる可能性があるからだ。タカタ(エアバックとシートベルトで世界シェア2割)はスポンサーとして競合2社オートリブ、TRWを除く判断を示したとされる。メーカー側は部品調達の円滑性を考慮して3社体制を望み、独占禁止法への配慮もあって競合2社を外す判断となっている。メーカーの部品調達問題が見え隠れするのが、タカタ問題の特徴だ。 

2016年11月になると、再建の方向は自動車メーカーの意向を強くさらに反映したものになった。まず米子会社については破産法11条申請で調整。タカタ本体については投資ファンドKKRが意見交換の相手から消えた。しかしスポンサーにはなお4つの候補が残り、選択は難航している。1)ダイセル―ベインキャピタル連合 2)オートリブが有力だが、1)については日本国内での法的整理という方針が難点(中小メーカーに配慮して私的整理を模索)、2)については独禁法との調整が難点とされた。

タカタの取引先は日米欧の車メーカー10社以上。ホンダに直接影響が大きいことは分かっているものの、金額の違いもあり、ホンダを含めメーカーは互いに主導権を取れない状況とされる。すでに米運輸省高速道路交通安全局NHTSAは、硝酸アンモニウムを使いながら乾燥剤を含まないエアバックすべてのリコールを決定してタカタに命じている(2016年5月)。この結果、リコール台数は世界で1億台を超えることになった。これまでの事故を起こした型式を中心としたリコールのやり方が最終的に見直されたかたち。リコール費用は1兆円を超える。2016年3月末のタカタの現預金は537億円、自己資本は1218億円である。

タカタ製のエアバック(世界シェア2割で2位 トップはスウェーデンのオートリブ 2000年代前半品質管理が不十分なまま米国やメキシコの工場から出荷 ホンダのほかトヨタ、日産にも納品 2008年11月にまずホンダがタカタ製エアバックで異常破裂があるとしてリコール。2009年5月には米国でホンダ車が死亡事故 2013年4月にタカタ製補助(助手)座席エアバックに問題があるとしてトヨタなど4社が世界で380万台リコール 2014年6月に問題なしとしたものも含めエアバックも含めて追加リコール:これはNHTSAの指示(6月調査リコール決定 運転席用エアバックの異常爆発 4地域)により4地域(フロリダ ハワイ バージン諸島 プエルトリコ)に限定して実施。 2014年7月マレーシアでホンダ車で死亡事故 2014年10月に再度リコール 対象は米国だけで780万台)をめぐるリコールでホンダがゆれた(死亡事件は5件。2009年に米国で2件 2013年に米国で1件 2014年に米国とマレーシアで各1件)。製品の欠陥については弁解の余地はないとされている。2014年10月2日にはフロリダ州でエアバックの破片がのどに貫通して女性が死亡した。

2014年11月20日、米連邦議会上院商業科学運輸委員会はタカタ問題に関する公聴会を開催。タカタとホンダの幹部が追及を受けた(タカタは2つの原因を示した。一つは部材をプレスする際の力の加わり方。一つはエアバックを作動させる火薬硝酸アアンモノウムの湿度管理)。ホンダはこのほか2003年以降1792件の事故の報告を怠っていた(として不誠実さが指摘されている この事実の公表は11月23日)。かつそこにはタカタの死傷事故8件が入っていたとされる。ホンダはタカタのエアバック問題についても2004年に把握しながらまずは放置(2005年になってタカタに写真報告)。2007年に複数の異常破裂でようやくタカタと調査を開始。そして2008年11月に始めてリコールを出したが、結果として2009年以降の死亡事故の発生を防げていない。報告漏れの可能性についても2011年には気がつきながら調査を実施したのは指摘が強まった2014年9月からとされ(NHTSAのよる指摘は2012年1月とされる。ホンダの釈明は報告範囲についての認識の相違で独自に入手した警察の捜査記録や委託した民間会社から得た情報は報告の必要はないと考えていたというもの。しかし仮にそうだとしても死傷事故に関することまで報告から外すのは意図的といわれてもやむを得ないのではないか)、タカタだけでなくホンダも企業として不誠実、安全を軽視していると指摘される状況に陥った。これは2000年成立のトレッド法(車両の構造的欠陥が疑われる事故や損害賠償の通知がメーカーに届いた場合、四半期に一度NHTSAに報告を義務付けたもの)に違反する。ただ社内にも法務担当セクションもあるはずなのに、このような法解釈がなぜ生じたのかは理解できない。さらにコンピュータのプログラムミスを一因に上げているが、報告書類でプログラムミスがあって放置されているというのは論外、企業としてあってはならないレベルではないだろうか。報告漏れは報告すべき件数の6割に及ぶとされる。

2014年11月26日NHTSAは、タカタは地域限定リコールが適切であることを裏つける情報を提供していないとしてあらためて全米規模でのリコールを要請。12月2日までに対応しない場合は1台に月7000ドルの制裁金を課すとした。全世界で1000万台以上のリコールと見込まれている。

タカタの対応は分かりにくい。タカタは自動車会社のリコールには協力するとしながら、NHTSAから求められている全米規模のリコールについては2014年12月3日午前の米連邦議会下院の公聴会でも明言を避けた。この12月3日の清水博副社長の発言は、地域限定のリコールは最善といっているように読める。この発言は人命軽視ととられかねない。確かにどういう発言をしても批判を受けたろうが、望ましいのは全量リコールでそれに向けて、準備を開始していると踏み込むべきではなかったか。おそらくそう言えないのは、会社のトップでないので会社の方針について責任ある発言はできないからだ。つまりタカタ会長がここに出席して、自社製品で死者がでたことにきちんと謝罪するとともに全米規模のリコールを明言するべきではなかったか。対応の稚拙さをみているとタカタの将来については絶望的にならざるをえない。折も折、2014年11月 日本の岐阜でトヨタ車の助手席用エアバックが廃車解体時に異常破裂を起こし、トヨタではリコールを発表した。運転席用エアバックのリコールの全米への拡大が実現しても問題は終息しないという指摘が出た。 

タカタの主張は全米規模の運転席用エアバックのリコール(800万台追加)の根拠がないということと、リコールは自動車メーカーに対してなされるべきもので部品メーカーへの指示は筋違いであるとの2点。しかしタカタがもしそう考えるなら、なぜ地域限定のリコールで安全を確保したと言い切れるのかについて、タカタ自身が資料を示すべきだろう(タカタの主張は調査リコールで回収したなかから不具合は発見されていないというもの。ただタカタに絡む追加リコールが終息しないことが、タカタの発言力を弱めている)。NHTSAは高温多湿地域外のノースカロライナでフォード車で不具合が見つかったことを、全米へのリコール拡大の根拠としている。この主張の方がタカタの主張より説得的だ。不安が広がっているのに、タカタの態度はその不安に答えたことになったいない。根拠を示せていないのはタカタも同じ。タカタの製品で死者まででているときに、タカタの態度は賢明とは思えない。原因ははっきりしないとしても消費者の不安を鎮めるために、自動車メーカーに協力して最大限の努力をしますと答えれば十分だったのではないか。タカタの態度は、不必要にリコールの要請にリコールを要求する相手は誰かとか、全米リコールの根拠はないとか、わざと論戦をしている印象があり挑発的である。

タカタの対応は、日本の自動車全体の信用を落とした。日本の自動車業界がタカタを守っているように見えるのはもどかしい。

Takata takes no action, Dec.2,2014
Takata rejects US demand, Dec.3, 2014
トヨタがタカタ問題で動くワケ 2014/12/05
NHTSA Defects Investigation, Dec.6, 2014
タカタは何を間違えたのか 東洋経済2014年12月6日 
タカタの火薬は安全だったのか 東洋経済2014年12月12日 タカタが使っていた硝酸アンモニウムについて他社が使っている硝酸グアニジンに比して安定性が劣ることが語られている。製品の安全性検査が不十分だった可能性もある。
タカタ会長米公聴会に出席せず 2014/12/10タカタのエアバック問題特集 2014/12/24
他方、ホンダは原因究明と交換部品の調達をタカタに依存。原因究明のため、自動車メーカー間に協力を呼びかけたトヨタ(12月3日公聴会)と印象で大きな差がついた。 

ホンダはその後2014年12月8日に タカタ製エアバックについて米南部に限定していた調査リコールを全米に広げると発表した。背景には 関連部品の調達問題があるとのこと。その後2015年3月12日には交換部品を2015年春内に調達するメドがついたとしている。

 
 死者が出る重大事態にもかかわらず、タカタの姿勢は誠実さが感じられないものだった。事故は2015年1月にテキサス州でも再発。死者が再び出る。米運輸省高速道路交通安全局NHTSAとは対立を続けた。2015年2月20日にNHTSAは、提出資料に求めていた補足説明がなく調査協力が不十分として姿勢を改善するまで1日あたり1万4000ドルの罰金を科すとした。2015年2月25日には回収したインフレーター全品の保管命令。タカタは自身が進めている原因説明の調査結果の詳細を明らかにしない不誠実を絵に描いた態度を貫いた

2015年5月19日 米運輸省とタカタは欠陥エアバッグで全米で過去最大3400万台のリコール(回収無償修理)で合意に達したと発表した。最初の2008年のリコールから7年。タカタは原因を究明できず、死者は分かっているだけで8名。1台平均8000円程度の経費とされるので、リコールの負担だけで1000億円を超える。タカタは自動車メーカーと経費分担を協議するというが、なぜ自動車会社がこの問題で負担せねばならないのか、そのロジックはよくわからない

2015年5月29日の国土交通省の発表ではタカタのエアバックの異常破裂は国内でも2011年から15年の間で計12件〔その多くは製造が2001-2003年の間で長期間高湿度のもとで火薬が劣化 エアバック作動時の異常破裂の原因になるとの仮説と対応している〕。走行中の事故は4件。残り8件は解体中の破裂。12件中の10件については、タカタの工場の品質管理がずさんでインフレーターに水分が入り込むなどして火薬が劣化したことが原因とのこと。であればタカタに釈明の余地はないのではないか。

 2015年6月22日 米上院商業科学運輸委員会が出した報告書で、安全性より利益を優先していた可能性を指摘された同社は、報告書は多くの誤解を含んでいるとして、反論する姿勢を示した。もちろん事実誤認があれば反論は当然であるが、大事なことは人命を重視する姿勢を実際の態度で示すことであった。実際には同社はリコールについて 限定しようとする態度 自動車メーカー任せの態度を貫いた。その姿勢のどこが人命重視だろうか?6月23日の公聴会証言でようやくであるが、タカタはドライバー席のエアバックのインフレータを全製品取り替えると明言した。この言葉が正直遅すぎた。

タカタは、大半の事故が高温多湿な地域で起きている(そもそもの原因は湿度管理が不十分だったことにある)、また交換品の供給能力に限界があるとして危険性が高いと判断するフロリダなど高温多湿地域にリコール対象を限定した(2014年10月20日に米運輸省高速道路交通安全局NHTSAは問題が指摘されているタカタ製のエアバックを搭載している自動車の保有者に対して修理を促す声明を発表している。インフレーターという部品の不具合が原因とされる。そのなかでこの事故は高温多湿地域で起こりやすいとしてフロリダ・ハワイ州など7州地域でとくに緊急性を要するとしている 対象は474万台 うちホンダが280万台と6割を占める 当初高温多湿地域に限定する判断はNHTSA自身が2014年6月時点ではそうしていた。その後、NHTSAは世論に押される形で組織防衛もあって全米リコールに進んだとされる。)。10月21日にNHTSAはリコール対象を780万台に拡大。10月22日には連邦地検がタカタの情報開示について調査に乗り出したとの報道。10月23日日産は運転席用も含めタカタのエアバックのリコールを発表。タカタは米運輸省高速道路交通安全局NHTSAによる11月18日までに全米規模にリコール対象拡大を求めた要請に対して態度を保留したが、このタカタの態度は厳しく批判されている。車というのは移動が前提であり、タカタの主張には合理的な根拠が考えられない。厳しくいうなら人命軽視となるからだ。そうした人命感覚をもつメーカーがエアバックを作ること自体が許されがたいことだろう。タカタの対応や責任者の発言はどうも世間感覚とずれているようにみえる。原因が明らかでない以上、欠陥の可能性のあるすべてのタカタ製エアバックについてリコールをかけるのは当然。そうでなければ不安が解消されず問題は拡大する一方ではないだろうか

2015年7月9日 ホンダは新たに世界で450万台の追加リコールを発表。これまでのリコールは世界で2450万台(ホンダの2014年世界生産台数の5倍)。理由が全く分からないのはホンダがタカタに対して責任追及の姿勢を見せないことである。ホンダ側にもこの問題で責任があるということであろうか

2015年11月3日 米NHTSAはタカタに対して最大2億ドルの制裁金を科すと発表した。1)エアバックのリコールで情報提供が遅れたことに対して7000万ドル(現金で)。2)火薬に硝酸アンモニウムを使ったインフレータの出荷停止を求め、違反した場合は1億3000万ドル。

2015年11月4日 ホンダがタカタ製インフレーターを使ったエアバック部品の採用中止を決める。・・・しかしこの決定は遅すぎるうえに ホンダは、タカタが自社以外のインフレータを使って製造したエアバックについては、搭載中止を明言しなかった。問題はタカタというブランドへの信頼が失われていることではないだろうか。なぜホンダはタカタを守り続けるのか?この不可解な姿勢には説明が欲しいところだ

2015年11月17日 日産自動車は2015年10月 国内の自動車事故で助手席のエアバックの異常爆発によりケガ人が出たことを国土交通省に報告した。国土交通省によると2011年9月以降 タカタ製エアバックによる異常爆発14件起きておりこのうち走行中は今回を含め6件。今回は金属片が女性の額と左腕に突き刺さるという「重大な事故」だといえる。海外で死亡事故は8件。もはやタカタ製エアバックを放置することは許されなかった。

2016年1月22日 米運輸省高速道路交通安全局NHTSAはタカタ製エアバックで米国で9人目の死者がでたと発表した。

2016年2月23日 タカタ製エアバックの欠陥について調べていた独立委員会(日米欧10社)が原因を特定したと発表した。(1)硝酸アンモニウムを使いながら乾燥剤を入れていない製品があった(2008年から乾燥剤投入開始) (2)高温多湿な環境への長期間の露出 エアバックをエアコン近くなどにとりつける (3)湿度管理が不十分な組み立て工程 の3点。タカタが依頼した独フラウンホーファー研究所も同様の見解とのこと。しかしこれら(硝酸アンモニウムを使うことがそもそもの原因である)はすでに早い段階から指摘されていたことがらで 結論がここまで伸びたのは、外から見ている者には奇妙だとしか言いようがない(理由(3)は工場での湿度管理が悪かったことを意味する (1)は工程管理上の問題 (2)は設計上か工程上のことのいずれかともとれるし、広く言えば環境を広く言っているともとれる)。

リコール台数は世界で6000万台。かかった費用は6000億円を越えた。タカタが自社で負うべき費用を免れるために、あるいはそれを少しでも減らそうと、調査の結論を長引かせ、本格的リコールを遅らせて死者を拡大させたとしたらその責任はあまりにも重い。タカタは創業家が株式の6割を占め、その高田重久氏が会長と社長を兼任する会社。2015年3月期の売上高6428億円。問題発覚時の自社の責任を認めなかったこと、監督機関や議会と対策で協調するのではなく、争うような態度を続けたことなど、人命を軽視する印象を内外にあたえた。

2016年2月23日 ロイター通信の報道は、米当局は硝酸アンモニウムを使ったタカタ製エアバックすべてのリコールの必要性を調査しているとのこと。仮にそうなれば対象は米国だけでこれまでの2900万個から1億2000万個に拡大するとのこと。またタカタエアバックによる死者はこれまでに10人でているとしている。

2017/07/12修正更新(original Nov.4, 2015;revised Nov.26,2016) 

分類:Business Focus 

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