忘憂之物

米国も厭味だけどアメリカを美国とかちょっとマッテww


台湾に行くため職場を数日休んだ。その連休明け、久しぶりに意気揚々と出勤した私は各部署にパイナップルケーキを土産で配り、お愛想の台湾どうでしたか?という質問には「はい、良い天気でした」と「旅行慣れ」していると思しき生意気な返答をしつつ、さてさて、私がいない数日間、施設ではどんなことがあったのかな?と連絡ノートやファイルケースを覗き込んでいると、さっそくにも何人かが「○○さんが今朝、どこそこでコケタ」とか「△さんが熱発しているようですけど」とか「昨日の深夜ですけど、□さんが救急搬送されました」とか矢のように言ってくる。

だから、それをいま、読んでるからちょっとマッテ、とりあえず△さんの入浴もちょっとマッテ、□さん死んだの?ああ、生きてるのね、などと言いながら「私物入れ」を開けると、そこにもたくさんの印刷物があった。ケアプラン作成関連の書類や会議の報告書などだったが、そこには妙なふくらみもあった。めくると「韓国のり」が放り込んである。「韓流おばさん(本物)」のいやがらせかと思ったが、コレも土産とのことだった。職場の誰かが韓国旅行したのだ。

該当者を見つけて礼を言う。「韓流おばさん(本物)」ではなく、別の30代半ばの女性職員だった。私は社交辞令的な「のんびりできましたか?そうですか」で済まそうとしたのだが、よくぞ聞いてくれました、韓国はすごくよかったです、韓国は日本の植民地でした、と旅行の全行程とウリナラの素晴らしさを説明しようとする。ウンザリしている私にも「誰と行かれたんです?」と問うから、家族です、と答えると「わたしもです」とのことだった。ちなみに、この女性職員は独身である。「18歳にもなった倅が親と旅行したい、というのも気持ち悪い話ですよね」と言いかけたが、慌てて飲み込んだ。

私は辛うじて、へぇ~それはそれは、御両親も喜ばれたでしょう?と社交辞令を続けたが、コレはどうやら的外れだったようで、この30代半ばの女性職員は「自分のお金出すなら、親となんか行くわけないw」ということだった。18歳の我が倅は我ら夫婦に「いつかお金を稼げるようになったらヨーロッパ旅行をプレゼントする」と大言壮語して、大きなお世話だボケ、旅行くらい勝手に行くから、お前はとりあえず、マザコンとシスコンを治療しろ、と叱られる始末であるが、これはちょっと褒めてあげてもいいのかもしれない。

台湾の空港でもカートに荷物をぜんぶ載せて、それを倅に運ばせて我ら夫婦は手ぶらで歩いていたのだが、それを見つけた大阪日台交流会の野口会長が「ちょっとかわいそうやでw」と優しく注意してくれた。私は「ああ、あはは、まあ、あはは」と誤魔化したのだが、それで私が、そうですね、可哀そうですよね、ということでカートを押し、倅が手ぶらで歩いていれば、今度は他の誰かが「親に荷物を運ばせて、子が手ぶらで歩いているとは」と言うから、それもそうだとなるわけで、最終的には私がカートごと家族を持ち上げて運ぶ、という落語みたいなオチになるかもしれないが、倅にはもう少しだけ優しくしてもいいかもしれない。最近の世の中には「大人になり切れない大人」が少なくない。

昼休み、その女性職員がさっそくやっていた。韓国はどこでも楽しいし、何でもおいしいし、元気があってすごかったと。しかしながら、そんなことはどーでもいい感じの他の女性職員らからは「カタツムリのクリーム」を求められていた。土産にないのか、と。

そういえば、ちよたろさんも台湾に行った、ということで問われた。「カタツムリはないのか」もしくは「あったのか」とのことだ。私は何のことかわからず、そんなモノ出来れば口にしたくないと言ったら、なんでもソレは化粧品、いわゆる「コスメ(化粧品)」のことだということだ。流行っているらしい。私はすぐに、エスカルゴではなく「人肉カプセル」を思い出した。

韓国には「補身」という概念があるとここにも書いた。これに「湯」をつけると「補身湯(ぽしんたん)」となり、体に良いとか滋養強壮に抜群といわれたら、韓国人は思考が止まって飛びつく。なんのことはない、それの美容バージョンだと思えばいい。

少し前に「ゴキブリ」があった。不気味な話で申し訳ないが、大きめのゴキブリを「特製ヨーグルト」と一緒にミキサーにかけ、この「クリーム状」のアレを顔に塗ればお肌によろしい、というものだった。画像もあったが止めておこう。

ゴキブリの皮には「キチン質」と呼ばれる成分があるとのことだ。これが美容に良い、とされたものだから、韓国人女性は思考停止、飛びついた。全体を潰して使うから、ゴキブリの体内にあるコラーゲンもアセチルグルコサミンも吸収できるらしい、と職場の女性らに紹介したら「・・・それはちょっと」ということだった。日本人女性の「美」に対するこだわりとはこの程度なのか。

ともかく、いまは「カタツムリ」らしい。これも殻ごとミキサーで潰してゴリゴリ塗るのかと思ったら、カタツムリの場合は「粘膜」を使うらしい。カタツムリが這った後に残るネバネバには「ムチン」とか「コンドロイチン」などという成分が含まれ、これまたお肌に良いとのことだ。きっかけは南米のチリ。カタツムリの養殖業者で働く人の手がキレイだと話題になり、調べてみると、やはり、カタツムリの粘膜がよろしいのだとわかった。だから南米やスペインでも、ちゃんと流行った。すなわち「ひと昔前」に終わったブームだったが、いま、韓国では大ブームとなり、日本にも輸出されまくっている。

化粧品の値段など、私は高いか安いか知らないが、この「カタツムリ」は少し高めだったらしい。となれば、そこは韓国人のことだ。ちゃんと安く売ろうとする業者も出てくる。他のメーカーと差別化を図るため、創意工夫してアスベストを入れたり、ホルムアルデヒドを入れたりして、涙ぐましい「企業努力」の成果を発揮したら、最近、これが日本でもバレた。韓国製の医療品や化粧品1122品からアスベストが出て、韓国政府は回収命令を出したが間に合わず、96.2%のアスベスト入りクリームは市場に出回っている。ということは「20代のお肌をキープ!」ということで、水に溶かすとホルマリンになるホルムアルデヒド入りのカタツムリを、今日も日本のどこかで顔に塗っている女性がいる。若さをキープ、保存するには、なるほど、ホルマリンに浸かるのもよろしかろう。

そういえば、日本でも「茶のしずく」があった。女優の真矢みきが「あきらめないで!」と言っていたから「返品しても金を返さない」とか「連絡がつかない」という被害者の人も「あきらめないで」訴訟を起こしている。この石鹸を使うと、なんと小麦アレルギーになる。厚生労働省が調べると、原因物質は「グルパール19S」と呼ばれる保湿成分だった。これを肌から吸収すると、お肌が若返るどころか、パスタを喰ったらかぶれて炎症を引き起こす。酷いのになれば全身がかゆくなり、皮膚障害を起こし、呼吸困難となる。急性のアレルギー反応(アナフェラキシー)だ。もちろん、死に至る場合もある。

私も以前、妻に「バラ石鹸」とか買い与えたし、妻自身もいろいろと怪しげな「コスメ」を買ってくるから、もしや、と心配になったが、幸い、近頃の妻は「美顔ローラー」がお気に入りでころころしているだけだとわかる。それに妻は、ある意味「本能的」に体に良い、あるいは美容に良い、とされるものを好んでいるとも気付く。台湾旅行でも、周囲のおばちゃんから「若いねぇ~」と言われて上機嫌だった妻だが、倅と「カップル」と思われていたのには参っていた。私にも「それってバカっぽいっていうこと・・・?」と不安な心境を吐露していた。私は、いやいや、なんとなく、若いって感じがするんじゃないか?とフォローしておいた。たぶん、大人なのに泣いたりするからだと思う。

ま、我が妻はそれだけではない。先ずは喰いモノだ。菓子類が好きだ。ゼリーとかプリンが好きである。肉なら鶏肉、豚肉。牛ならホルモンとなる。そして果物もそうだ。主食と言っても過言ではない。冬になれば「しらたき」などを好む。ひとつひとつ確認していくと、コラーゲンもビタミンCもヒアルロン酸もセラミドも摂取しているのだとわかる。


クレオパトラはミルク風呂に入った。それが角質除去や代謝を高める、と今ならわかっている。死海にも入った。普通の海水には肌に刺激の強い塩化ナトリウムが含まれるが、死海には引き締め効果、お肌を活性化させる塩化マグネシウムが豊富だった。死海には天然ミネラルが普通の海の30倍もある、とは知らずとも、クレオパトラもアリストテレスもソロモン王も死海に浸った。アトピー性皮膚炎や関節炎にも効果があり、いまでは「死海療法」などというモノも登場した。

クレオパトラはバラの香油もたらした。今の世では、それを「アロマ」とか言う。リラックスが美容に良いというのも今では常識となった。クレオパトラは入浴後にもバラの香油を全身に塗った。それはホルモンバランスを整えたり、更年期の精神状態を明るく活発にする効果がある、と今ならエステシャンが言う。ハチミツやらアロエなども塗ったり喰ったりした。「モロヘイヤ」なども好んで喰っていた。健康=美容の観点も抑えていた。だからアスベストはミイラをくるむ布で使った。

メイクやヘアスタイルもやった。アイシャドウを引いたのは古代エジプト人が最初だ。かつらを使ってヘアスタイルも楽しんだとされる。乗馬をしてスタイルを保った。ムダ毛の処理もやった。勉強もして数ヶ国語を話した。化学や物理、音楽にも長けていた、と言われる。外見よりも洗練された内面美が垣間見える。「美」とはなんのことなのか、を追求する姿勢こそが「美」なのだろうか。「美」のためならゴキブリでも塗るわよ!は、果たして「美しい」のだろうか、と考えさせられる。

健康を害してまで、あるいは自分で学ばず、雑誌やテレビで紹介されていたという程度で夢中になることは「美」とは思えない。景色が美しいと感じる人は、その人の心情が美しいのだ、という言葉があるように、女性が「美しくなろう、あろう」とするならば、その心情こそが美しくなければならないのかもしれない。それとやはり内面美だ。

「韓流おばさん(本物)」もK-POPの広告塔のお仕事をしているときはアレだが、先日、中途半端な痴呆症の爺さんがブチ切れて介護拒否、小便漏らしながら大暴れしていたことがあった。その爺さんに私を含む職員らが難儀していたとき、さらっと現れた「韓流おばさん(本物)」はピンサロのホステスのように隣に座り、耳元で「どしたん?ん?」とかやって宥めてしまったことがあった。ンで、また、このエロジジイが素直に介助を受け入れているのをみて、ただのスケベやないかい!とツッコミ入れながらも、その実、私は感心していたのだった。ちょっとくらい朝鮮歌手の歌でも覚えてみようかと思った。

利用者さんに優しく接している女性職員は美しい(と見える場合もあったりする)、のである。

特徴を問われれば「ぶす」しか思いつかないようなアレでも、今の日本の総理大臣を「こ・・・こいずみ?」という「バカ」なコレも、利用者さんと笑顔で接していれば天使に見えるときもある。モノも言えない寝たきり老人、何をしても無反応な利用者に、嬉しそうに数分間も話しかける「意地悪おばさん」も女神になれるときがある。もちろん、頭が悪そうな茶髪の男性職員でも、そこは汗を流しながら、一所懸命にオムツ交換していたりすると、きゃ、かっこいい♪となるわけだ。ならないか、そうか。

―――先日、また職場の人と飲みに行ったのだが、その待ち合わせ場所というのが偶然、妻の職場の近くだった。夕方、いつもの如く1時間ほど、少し前に到着して、前から目を付けていた路地裏の小さくて汚い飲み屋で先に飲ってやろう、と企てた私だったが、つい気が向いて妻の職場の前を歩いた。当たり前だが、妻は働いていた。

小さい店の中を行ったり来たり、小さい妻はちょこまかと動き回って働いていた。以前、娘が初めてのアルバイトで小さなスーパーのレジ打ちをしたときがあったが、これを夫婦でこっそりと見に行ったことを思い出した。私は入り口付近、ガラスに張り付いて見ていたから警備員が緊張していた。妻よりも小さい娘が、ぶかぶかの制服を着てレジの前に立っていた。お客さんが来て商品をレジに打ち込んでいた。一所懸命なのが表情でわかった。

娘はそうやって稼いだ初任給で「回転ずし」に連れて行ってくれた。まだ一緒に暮らしている倅は、最近、基本的に私よりも小遣いがある(私は妻からもらう他ない)から、ちょくちょくメシを奢ってくれたりもする。友人らとUSJに遊びに行き、でかい袋に土産を大量に入れていたが、その中には「あきらかに女性にプレゼントする類の土産」が別の袋にあったから、私はてっきり、バイト先で女でも出来たのかと思っていたのだが、これがやっぱり「おかあさん」のモノだと知って心配にもなった。そんな倅の悩みは「餓鬼っぽい」と言われる風貌である。中学生日記のようなビジュアルである。

娘も「小さいこと」を気にしていた。私はいつも「座敷わらし」とからかっていたが、そんなお地蔵様のような童顔も気に入らない様子だった。つまり、トカゲがどれほどのロリコンなのかもわかる。小学生レベルの漢字も不安ながら、彼は絶対に「萌え」と書けると確信するほどだ。娘は妊婦なのに「中学生」と間違われる、と自虐的に笑ってもいたが、これは「おかあさん」も一緒だったりする。妻はもう43歳になるはずなのだが、まあ、私は旦那だからアレだけれども、お世辞を差し引いても「若く見える」と客観的にそう思う。

働いている妻に見とれていると、後ろから職場の人が声をかけてきた。駅から近く、少し歩いていたら私を見つけたのだという。彼は、なにしてるんです?と問う前に、私が何を見ていたのかを知っていたようだった。

「狙ってるんですか?ww」

と危ういことを問うてくる。

私が「ww・・・嫁はんですよ。狙ったのは16年前ですな」というと、少し驚いていたが、困ったように「はぁ・・・」と返答した。ま、そりゃそうだ。

恥ずかしい話だが、妻が一所懸命に走り回る様子を見ていると、思わず、その場に立ち尽くしてずっと見ていたくなった。涙が滲んでくる。決して高くはない給料ながら、妻はこうして、ずっと働きながら家事をこなしてきた。ある意味、そこには計算も計画もなく、ただひたすらに愚直に、真面目に、贅沢も言わず、阿呆みたいに、毎日毎日、何が面白いのか、くたくたになるまで働き、子供を育て、犬を育て、私の面倒も見てくれていた。そうなのだ。今でも100円アイスで大喜びする妻が美しくないはずがない、のだ。


「いつもの店」に行った。先輩職員の若い彼はフライドポテト?を喰いながら、酒とジュースを混ぜた不味いのを飲んでいた。そんな将来と見込みがある彼に言ってみた。

「先週の20時をちょっと過ぎたとき、金井さん(仮名)のオムツ交換してたときね、木戸さん(職員・仮名)と一緒にやってたでしょ?」

はぁ・・・そうだったですかね、まあ、たぶん、はい・・・

「アレ、なんかきゃっきゃと笑い声してましたけど、たぶん、陰部洗浄用のボトルで金井さんの陰部にお湯かけて、嫌がるのを笑ってたんでしょ?前も見ましたけど」

・・・・・・。い、いや、あの・・・

「ちょ~~~カッコ悪い。ちょ~~~ダサい。最悪にしょうもない。あなたが気にしている、その“失敗したぁ”とかいう髪型はカッコイイ。車もカッコイイ。服のセンスもカッコイイ。顔も若さもスタイルも、背の高さも足の長さも、わたしゃあんたにゃ敵わない。でもね、そんなあんたはちょ~~カッコ悪い。いま、一緒に住んでる彼女、結婚とか考えてます?」

・・・・はい、まあ、いずれは・・・

「その彼女が金井さんの居室のカーテンの隙間、ベッドの横、つまり、その場で見ていたとしたら、陰部洗浄のボトルで遊ぶあなたになんと言いますかね?」

・・・・そりゃ・・・はぁ・・・

「やめなさい!カッコ悪い!!!」

・・・・でしょうね・・・すいません・・・・もうしません・・・

「もうしないの?絶対に?カッコ悪いとわかった??」

・・・・・はい。

「じゃ、もうカッコイイ。カッコ悪いと認めて直すのはカッコイイ。これはね、確実です。なぜかというとね、コレは私の妻が教えてくれたんです。だから妻は、おとしゃん、カッコイイ!!と言ってくれます。16年。これからもカッコ良くしましょうね。これであと、カッコ悪いのはあいつとあいつ、ですなww」

「ンで、これ、はい、どうぞ」

・・・い、いや、あの、ぼく日本酒はちょっと・・・

「日本酒!カッコイイ!!ジュースチュウハイ!カッコ悪い!!」

・・・・・・。

この居酒屋にも飽きてきた。そろそろ他も探すとしよう。
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