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朝比奈切通と上総之介塔

 鎌倉は皆さんご存知の様に、周囲は小高い山で囲まれた自然の要塞の様な地形をしています。そこには「鎌倉七切通」と言われる様に七つの切通があります。今回はそのうちの一つ、「朝比奈切通」という場所に行った事を書いてみます。

 朝比奈切通とは、鎌倉北東部にある切通で、鎌倉霊園の近くにある切通です。鎌倉市から横浜市(金沢区)方面に抜ける場所と言われています。私がここへ行ったのは本年5月2日、GWの最中、GIXXER150で散歩がてらに向いました。
 鎌倉とはとても興味深い場所だと私は何時も感じます。それなりの規模の街ですが、少し奥に入ると静かな森と小川があるという場所で、なにか森林と都市部が隣接している様な、そんな街です。

 私の家から今回は環状四号線をひた走り、朝比奈から鎌倉に入る事を考えました。大船から先へ進むと、上郷自然観察の森というのがあり、そこはゲンジボタルも生息している様な森があります。横浜市も広いもので、みなとみらい地区の様な場所もあれば、こんな里山の様な場所も未だ点在しているのです。そしてそこを過ぎてトンネルをくぐると、横浜横須賀道路の朝比奈ICに出ます。

 この朝比奈ICを少し過ぎると、左手に小じんまりとした墓標の様な塔があります。これが「上総之介塔」と言われるものです。

◆上総之介広常の記念塔

 「鎌倉殿の13人」では佐藤浩市氏が名演していた上総之介広常ですが、この「上総之介」というのは官職名で、戦国時代になると織田信長もこの官職を一時期名乗っていました。本姓は桓武平氏の流れを受け、上総国(現在の千葉県上総一宮周辺)の領主であり坂東の有力者であった様です。
 大河ドラマにもありましたが、石橋山の戦いに敗れ、命からがら安房の国の逃れた源頼朝の下に、打倒平家で駆け付けた武将とされています。この上総之介広常の大軍勢が加勢する事により、その後、源頼朝は坂東を平定し、後に鎌倉幕府を開く事が出来たとも言われています。ただあまりに源頼朝への態度が不遜であった事、また京の都に攻め上るよりも坂東平定を強く求めたという事から、謀反の疑いを掛けられ誅殺されてしまいました。

 この上総之介広常の邸宅が朝比奈近辺にあったという事から、この記念塔が建立されたそうです。過去の大河ドラマ「草燃える」では、俳優の小松方正が演じましたが、とても傲慢な役だったと聞いています。しかし今回、佐藤浩市氏の演じた上総之介広常は、単なる傲慢な武将という事ではなく、態度も大きく語り口も乱暴でしたが、根は正直な田舎武者として演じられていました。だからドラマの中で中村獅童演じる梶原景時が成敗すると、「上総之介ロス」なる言葉もSNS上で出てきたのでしょう。

 確かに歴史書の「吾妻鏡」でも成敗されて後、その遺品の甲冑の中から源頼朝の武運を祈る願文が見つかり、源頼朝はそれを知ると誅殺した事を後悔し、一族を赦免したと書かれていますが、これから見ても単なる粗野だけの武将では無かった事が判ります。

 恐らく鎌倉幕府として体制を固める中で、上総之介広常の強大な軍勢は無視できない存在となった事から、将来的な幕府の安定を考え、敢えて謀反の咎をかぶせて誅殺したという事が、歴史的な真実ではないでしょうか。こういう事は現在でもベンチャー企業で大成した時等には往々にして起こる事だと思います。要は大きな功績者の存在が、後々の企業体にとってリスクになるという事ですね。

◆朝比奈の切通

 上総之介塔から朝比奈峠を抜け、鎌倉霊園の先を左に入ると朝比奈の切通があります。
 話は若干それますが、私が学生時代、先輩たちで鎌倉霊園に肝試しに行った時、先輩の一人が「肩が重い・・重い・・」と言い出した後、何やらおかしくなってしまったので急いで撤退、車の中で顔を叩いたりしたのですが中々正気に戻らず、鎌倉市内に入った頃に漸く正気を取り戻し、「あれ?何してんの?」と本人もあっけに取られたという話がありました。また過去にタレントの北野誠氏が池田貴族̪氏(故人)と、心霊探検でこの場所を訪れたとも言われていますが、この霊園は神奈川県で屈指の心霊スポットと言われています。
 また朝比奈峠には、今から三十数年目には「お犬婆さん」というのが住み着いていたと言われていて、こちらも学生時代の先輩が目撃したと騒いでいました。何でも深夜、朝比奈峠を走っていると、斬バラ髪で白髪、ボロボロの服をまとったおばあさんが道端を歩いていたそうで、私の先輩も「やった!初めて幽霊見た!!」と喜んだそうですが、よくよく見たら生きている御婆さんで、話しかけると「近所に住んでいるのよ!ほっとてちょうだい!!」と言われたとか。

 ちょっと話が横道にずれましたが、鎌倉霊園の先、左へ曲がり少し行った先の適当な場所にバイクを止めました。鎌倉へ車で行った場合には駐車場を探すのも一苦労なのですが、バイクの場合には、ちょこっと止める事が簡単に出来るのがとても良い感じです。

 ここから朝比奈ハイキングコースに向い歩いて行くのですが、少し歩くと「梶原太刀洗水」というのがあります。これは梶原景時が上総之介を成敗した後、その大刀を洗った水だと言われています。(本当なのか、、は判りません)

 そこから先に歩みを進める事、15分ほどで「朝比奈切通」に到着しました。

 この日は犬の散歩に来ていたご夫婦や、子供連れの2家族ほどしかおらず、とても静かな感じでした。横浜近郊にもこんな場所は有るんですよね。


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