8月3日午後3時、NHKテレビにくぎ付けとなる。番組のタイトルは、「敗れざる君たちへ~作家重松清 阿久悠“甲子園の詩”を辿(たど)る旅」。5日に始まる夏の全国高校野球選手権大会第100回記念を前に再放送された。
阿久悠さんには「甲子園の詩(うた)」という363編の詩があり、そのノートの内容が映し出されていたが、多くは無名の敗者に対して書かれたものだった。それらの詩に描かれた球児たちのその後を作家・重松清氏がたどる。
延長15回裏満塁で、痛恨のサヨナラボークをした宇部商の藤田修平投手、そして8回で無念の降雨コールドゲーム敗退となった岩手県立高田高校の選手たちを訪ねるドキュメントタッチの番組だ。
1998年第80回全国高等学校野球選手権大会2回戦、愛知代表・豊田大谷と山口代表・宇部商の試合。延長15回裏、豊田大谷はサヨナラ勝利のチャンスを迎えた。カウント2-1から宇部商・藤田が211球目を投じようと腕を少し前に出した時、無意識に投球動作を中断し腕を後ろに戻してしまった。
この行為を見逃さなかった球審が、宇部商にとって無情の「ボーク」を宣告。3時間52分に及ぶ試合は投手がボールを持ったまま、甲子園大会史上初のサヨナラボークで豊田大谷が勝利を収める結果となった。
東日本大震災で大きな被害を受けた高田高校の阿久悠さんの詩の石碑は流されずに残った。石碑の終わりにこう記されている。
高田高の諸君 君たちは甲子園に 一イニングの貸しがある そして 青空と太陽の貸しもある
さすがは作詞家阿久悠さんだ。敗者に手向けた励ましの言葉がすごい。作詞家として数千曲もの歌詞を書いている人が、甲子園の高校野球中継にくぎ付けとなって、詩人としての魂を込めて感動の場面に鋭い感性で詩を書いていた。
NHKでそんな番組をやってたなんて、見逃して残念です。
夏の甲子園、毎日テレビ観戦しています。
今日は平安高校が100回記念大会で、甲子園通算100勝目をあげました。偶然とはいえこれも高校野球ならではのドラマだと思います。