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福岡県糟屋郡篠栗町 明王院 地蔵菩薩
団塊の世代が定年を迎え始めてから10年になるという中で、定年後の生き方が変わりつつあるという。
仏像、とりわけ地蔵菩薩に関心の高い私としては、ネットの情報で「お地蔵さん現象」という興味のあるワードを見つけた。
定年男性の「新形態」が発生している。それは「パソコンの前のお地蔵さん」現象である。
壮年期に手書き→ワープロ→パソコンと早いテンポで切り替わり、過渡期の順応に四苦八苦した世代である。その反動でリタイア直後は額に汗して動くアナログな世界に浸った人が多い。そして10年後にひっそりと自室に戻って「仕事抜き」でパソコンと再会したらハマってしまったらしい。
団塊の世代の男性らは定年後にこぞってFacebookを積極的に始めた。リタイア組が大量流入した後は中高年のグルメや旅の記事があふれた。オジさんらは、知人、元同僚らを見つけては「自分が孤立していない」ことを証明するための記事や情報を流し続ける。
時間を忘れてパソコンに向き合ううちに、「石のお地蔵さん」のようにパソコンの前で動かなくなってしまったのである。はたから見たら「引きこもり」なのだが、定年男子はもろもろ経験済みの後の「自主的引きこもり」。
もし定年男子が「パソコン万能感」で理論武装し、家庭内で管理職手腕を発揮して、妻に効率化やカイゼンを迫ったらたまったものではない。元来、日々の暮らしはあやふやで予定通りいかない超アナログなものである。「人生百年」時代の団塊世代の妻たちにとって、まだまだ続く夫との生活を「パソコン命」で振り回されるのはごめんである
そこで夫の居宅対策の見直しに、「逆濡れ落ち葉」作戦をしてみよう。
データによれば団塊の世代が敏感に反応するのは「健康」と「グルメ」である。「エコノミー症候群の予防にプールで泳ごう」とか、「夜のウオーキングに用心棒でついてきて」とか、「おいしいランチの店に連れてって」とか「食材の買い出しに行くから荷物を持って」とか言いくるめて、ともかくパソコンの前から引き離そう。
キーボードから離れた指と手をつないで歩こう。シニア割引の映画館でいっしょに泣いたり笑ったりしよう。孫育てに引き込んで「すてきなイクジイ」と褒めそやそう。
そうやってディスプレーから出てこない五感をフルに使わせれば、いずれ「笠地蔵」のように歩きだしてお礼を言われるかもしれない。くれぐれも地蔵化防止の時機を逸しないようにすることが肝心である。
誠に納得のいく的を射た記事に出会った。まさに自分が「パソコンの前のお地蔵さん」になっている。パソコン命でカミサンを振り回すことはしないが、「またパソコン!?」としょっちゅう言われるし、「身体を動かさないとダメになるわよ」と注意される。事実その通りでパソコンばかりやっているのはよくない。
近頃はなるべく外出するようにして、万歩計が5千歩~8千歩になるよう歩いている。自宅付近を含めて横浜は起伏の多い地形ゆえ、運動になるし以前より歩くことが楽しくなった。自分の健康寿命を少しでも伸ばせると思うと苦にならない。
「パソコンの前のお地蔵さん」にならないよう気をつけたい。
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