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永遠の序奏

2018年10月19日 12時06分19秒 | ハチパパのひとり言

             京都 永観堂の紅葉 

古くからの愛読書「ある永遠の序奏」を久しぶりに読む。書棚の中で最も手垢のついた大宅歩の遺された詩文集だ。

33歳で生涯を閉じた大宅歩は、評論家大宅壮一の長男で、15歳から亡くなる直前まで詩や箴言を書き綴っていた。

この本の中で一番好きな詩「ある小さな永遠の序奏のために」は、何度読んでも感動する。とくに最後の部分『ねえ、君、黙って 生きてゆこうよ』は、私の人生そのもののような気がする。

 ある小さな永遠の序奏のために

永遠というさだかな 想いを
いつも 心の波間に 浮かべることのできる
そんな 小っぽけな 詩が
たった一つでいい 書けたならば
私の人生は ただ それだけのために
どんな 孤独を 味わおうと かまやしないんだ

ひとの世なんて だけど
そんな幼い祈りに似た 決意だけが
意味のない 永遠を 心に感じさせるんだ
だからこそ 書けもせず うたえもせずに
こうして 今宵も 暗い想いの上に 漂流って
生きながらえて いるのじゃないか

「ほら そこに
 白雲が
 とんでいるよ
 この星の夜空に
 白い花びら
 みたいにね」

こんな 何の変哲もない 自分の ことばを
はるかに くりかえし 凝視めながら
小さく微笑んで 生きてゆくのが
はてしない 永遠の道なんだ

「ねえ、君、
 黙って 生きてゆこうよ」

本の裏表紙に万年筆でこう書いてある。1967.5.22自由が丘三省堂にて。昭和42年東京自由が丘の銀行支店に勤務していた頃である。青少年時代のような衝動はもうないが、人間は感性の動物である。幾つになっても詩人でありたいと思う。人生の喜怒哀楽を詩や箴言や俳句で表現したい。たとえそれが拙いものであっても・・・。

写真は、本文とは関係のないものだが、紅葉の季節がやって来る。とくに京都の紅葉が好きだ。来月大阪での会食の帰り、京都に一泊して紅葉巡りを楽しむつもり。

 



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