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親子愛

2015年06月19日 04時14分02秒 | ハチパパのひとり言

通勤電車の先頭か最後部に乗ることが多い私は、駅員の補助板で乗り降りする車椅子の人をよく見かける。電動車椅子の性能もよくなって、駅のバリアフリーの施設拡充もなされ、障がいを持っていても一人で外出が可能になっていいことだと思う。

過日、通勤途中の横浜市営地下鉄で、十代後半と思しき息子を抱きかかえ、電車の座席に座らせようとしている母親がいた。すぐ近くの人が補助を申し出たが、母親は丁重にお断りして自分で息子の後ろに座り込み何とか座席に座らせた。

何故車椅子を持たないのかわからないが、人の助けを借りずに必至の形相で障がいの息子を座らせ、汗を拭いホッとした様子も束の間、辛苦の顔は見る者にも辛い。

健常者の私たちには、障がいの子を持つ親の苦労は分かっていても、実際同じ立場になったらどうなるだろう。悲観と悲嘆に明け暮れて、心中まで考える人もいるかもしれない。この日の親子のように必至に生きていけるだろうか私には自信がない。

障がい者の中で最も大変なのは全盲の人だと思う。聴覚と触覚を研ぎ澄まして、音と形状を察して街中を歩く。十年くらい前、東京新橋駅の階段でスイスイ杖を頼りに歩く盲人の男性を眺めていて、健常者の私が階段を踏み外しそうになった。自分が恥ずかしかった。

人間としての自由をはく奪された障がい者、不自由な中で一生懸命生きようとしている。時々障がいを持つ子を抱えた夫婦の離婚調停をするが、やりきれない気持ちでいっぱいになる。母は強しと言われるが、障がいを持つ母親の辛苦は耐えがたいものだろう。我々健常者にできるのは、納税と寄付と行動力で支援するしかない。

 



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