仏像写真家を目指す私にとって、土門拳さんは雲上の人である。四年前の東北カメラ旅で、酒田の土門拳写真館を訪ねた。氏の写真集で仏像写真を幾度もみているものの、大判のオリジナル作品は迫力があった。今度の浜松の仏像写真展を企画したとき、うちのカミサンは土門さんのように大きく引き伸ばさないとダメよなどと、私を嗾けていたが、そもそも土門さんの足元にも及ばない自分には、分不相応と相手にしなかった。アマチュアはアマチュアらしく、カメラも小さくいいものではないし、弟子を従えてるわけでもないなどと言い訳しても始まらない。
放送をみていて、土門さんはピントがピシッとしていないと気に入らなかったらしく、撮影前に長時間仏像と対峙して撮影されたとのこと。これまで何冊も読んだ土門さんの本にも、そういうことが書かれていたのを思い出す。とにかく厳しかった人で、今日の番組に出演していた元弟子の方々も同様の話をされていた。
しかし、土門さん流の顔や手やお腹や足などの部分撮影など、大胆な撮影手法には感ずるものがあり、時々真似事をしている。光の具合、アングル、切れのいい写真を撮るためには、もっともっと血の滲むような心意気と努力が必要だ。土門さんの仏像に対する真剣な眼差し、信念を感じるようになりたいと思う。
今日は一日(ついたち)、あいだみつをの心のカレンダーに「今からここから」と書いてある。愛車に仏像写真展のすべてを積み込んだ。いよいよ明日浜松へ出発する。12月4日から1週間私の仏像写真家としての「今からここから」が始まる。
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