ハチの家文学館

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詩集『死の淵より』

2019年10月17日 02時41分09秒 | 

高見順 に対する画像結果

何気なしに、書棚から高見順の詩集『死の淵より』を取り出して読む。高見順が入院中に書いた63編の詩集である。

本の裏表紙に万年筆で『1973.9.1』と私のサインが記されている。昭和48年に浜松の書店で買ったもので、前のカミサンを27歳で亡くした翌年である。本のタイトルの死の文字に惹かれて読み漁った記憶がある。

人生の詩というのは、死を身近に感じた時にこそ生まれるものではないかと思う。今のように幸せでのほほんとしていては、真に迫った詩など書けるわけがない。

『死の淵より』

円空が仏像を刻んだように

詩をつくりたい

ヒラリアにかかったナナ(犬)が

くんくんと泣きつづけるように

わたしも詩で訴えたい

カタバミがいつの間にかいちめんに

黄色い花をつけているように

わたしもいっぱい詩を咲かせたい

飛ぶ鳥が空から小さな糞を落とすように

無造作に詩を書きたい

時にはあの出帆の銅鑼のように

詩をわめき散らしたい

 



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