重松清さんの短編小説を、もう一度読もうと文春文庫を捲る。4年ほど前に書店で見つけたもので、「トン汁」「おまじない」「しおり」「記念日」「帰郷」「五百羅漢」「また次の春へ」の7編が掲載されている。これらは東日本大震災後、重松さんが何度も被災地に足を運んで、実際の話を題材に書き上げたものと思われる。
彼の小説が好きになったのは、「とんび」「愛妻日記」を読んでからで、その後「うちのパパが言うことには」「娘に語るお父さんの歴史」も読んだ。今日の短編もそうだが、様々な家族の生き方が小気味よく描写されていて、エンディングもほのかな余韻のある表現になっているのがいい。
昨日、久しぶりに来た息子がリビングにあった私の読みかけの本「また次の春へ」を見て、「重松清読んでいるんだ、いいよね」と言っていた。家族思いの息子には、家族をテーマにした重松さんの本が好きなのかもしれない。
3歳と生後4ケ月で母親を亡くした息子たちは、母親の温もりを知らない。父子家庭20年の間、おばあちゃんがいたものの寂しい思いをして来ただろう。そういう生い立ちもあって、いま二人の息子は家族をすごく大切にしている。父親らしいことはしてあげられなかったのに、私といまのカミサンに対する気持ちも行動も優しい。家族に感謝である。
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