後記高齢者の運転免許更新に必須の、認知機能検査が6月1日にやって来る。この検査の一番苦手な問題が記憶力の検査である。77歳にもなると認知機能の衰えは否定できない。前日三度の食事で何を食べたか、スラスラと答えられるかと言うと全く自信がない。その日の食事さえもすべて記憶していないこともある。
人間の記憶に関する研究は、神経学者や脳科学者の専門分野であり、その記憶のメカニズムを解き明かそうという研究は様々に試みられているが、現時点ではまだまだ未解明な部分が多いというのが現実のようだ。これまでの研究から、人間の記憶は「海馬」という脳内部の左右に位置しているタツノオトシゴのような形をした器官に一時的に保存されるということがわかっており、そこで整理された様々な情報のうち、必要な情報だけが「大脳皮質」に送られ、保存されるということがわかっているらしい。
アルツハイマー病の患者は、自分の言ったことや行動をすぐに忘れてしまうという特徴を持っているが、アルツハイマー病の患者においては、まずはじめに海馬の萎縮から始まるため、それが短期記憶を忘れることにつながると考えられているとのこと。
脳とは記憶そのものであり、「海馬」や「大脳皮質」、こういった場所が記憶の想起に必要な重要な場所で、神経細胞のネットワーク全体を観察してみると、脳とはある一定の場所に保存されるものなのではなく、脳のシステムそのものが記憶であるとの結論に神経科学者ククシュキン氏らは至ったそうだ。
脳科学者、神経科学者の中には、人の記憶を、いつしかメモリーカードなどに保存することができ、誰かに移し替えることも可能だと述べてる方々もいるらしい。もし人間の記憶、個性などがすべてそうい電気的な信号として保存できるようになれば、いつしか人間は電脳世界に意識を移し、そこで永遠に生きるようになる、なんていう本当に映画のような話でさえ真面目に議論しようとする学者もいるとのこと。
もし人の記憶を移すことが可能になるのであれば、人間は誰も勉強する必要はなく、頭の良い人の記憶をもらえば良い時代が来てしまいそうだが、肉体が消滅しても亡き家族の記憶がDVDなどの記録メディアに残っていて、声は出なくても文字にして再現されたらいいなと思う。青森県恐山のイタコの力を借りるようなものだ。
喜怒哀楽すべての記憶を脳に残すことは、記憶容量の限界もあり無理だと思うが、楽しく嬉しい思い出、辛く悲しい思い出も、映像とともに脳の外に保存出来たらすばらしいではないか、夢のような話ではない気がして来た。
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