昨年8月初版発行の文春新書「70歳!」、人と社会の老いの作法というサブタイトルにも惹かれて即購入。70歳というのは、戦後70年経っての意味もあるらしい。
百寺巡礼でも有名な五木寛之氏と宗教学者釈徹宗氏の対話集で、帯の表には「終わらざる老いの日々 いかにして生きようか」、死を見つめてきた作家と気鋭の宗教学者からの感動のメッセージと書いてある。
私も72歳、この本の所々でなるほどと教えられることが多い。高齢化社会といえども、今の若い人と生き様や考え方の相違が大きいこと、この国の未来がどうなるのか考えさせられることがたくさんある。
私たちは戦後の高度経済成長期を体験し、バブルの崩壊も知っている。しかし、今の若い人たちは、長い間経済の低成長に慣らされ、低金利と低価格の世界で生活している。
安倍首相が経済最優先であれこれとぶち上げているが、今の世の中は正社員と非正規社員の格差は縮まらず、生涯賃金格差は開くばかりで、企業の生き残りのための雇用策しかない。
私たちの場合は、殆どが正社員で終身雇用が当たり前だった。消費拡大を謳いあげても、子どもの教育費、年金不安などで、先々のことを考えて生活を切り詰め、貯蓄に少しでも回そうという世帯も多い。
デフレに慣れ切った今の若い人たちは、私たち高齢者が体験した経済の好循環を知らない。賃金所得の増加というより、株価の高騰で儲けたお金に期待する消費構造では心許ない。
いつの間にか経済の話になってしまったが、高齢者と若い人の生き方、考え方の相違、宗教観の変化など、この本から教えられることが多かった。
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