
越前和紙を基材とした印画紙で印刷した愛染明王(長野県長雲寺)
日曜日の朝放送の、NHK総合テレビ「小さな旅」を楽しみにみている。今日は福井県越前市の「紙漉(す)く女神の里」と題する越前ふすま和紙を漉く女性たちの話題。
最盛期70人ほどいたふすま和紙を漉く職人も、需要が激減して今は高齢者の女性3人のみとなった。
寒い冬は紙の繊維をつなぐトロロアオイの粘りが増すことで、「寒すき和紙」が最もいいと、女性たちが冷たい水で紙を漉き、合間に熱いお湯で手を温める。
普通の和紙を漉くよりも大きくて重いふすま和紙は体への負担も重く、腰痛に苛まれながらも伝統を守り抜く。そういう女性たちの立ち姿に感動する。
その技術を継承する人もいない中で、ある工房の27歳の娘が東京から帰ってきて、父親の跡を継ぎたいと修行を始めた。しかし、「嬉しい気持ちと同時に、この仕事で一生食べていけるかどうか不安もある」と、父親には跡を継いでもらえる喜びと不安が入り交じる。
この越前和紙は大好きだ。私が仏像写真の印刷に使用している印画紙が、福井県越前市の和紙を基材として製作されており、撮影した仏像の風合いにぴったりな表現をしてくれている。
数度にわたる仏像写真展でも、一般に知られる印画紙とは全く違う、越前和紙の風合いが仏像の表情をより一層引き立ててくれて、来場者の多くの人から絶賛していただいた。今日の番組を見て、越前和紙をますます好きになった。
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