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悲しくて泣くのでは無い、その健気さに涙するのです。
その日の朝、高新のテレビ欄を観ていて目に留まったのは
にっぽん紀行(殻を破るシャッター……鳥取少年カメラマンの挑戦)
と題されたNHKのドキュメンタリー番組(2010/12/21/19:30~)
見逃した方はどうぞ、コチラ↑からNHKオンデマンドに。
帰ったらコレを観ようと思っていたのに夕景の撮影にかまけていて直前まで失念していた。
しかし、縁とはそういうモノだろうか、珈琲を飲ませて貰おうと入った「美容室」?
で地デジテレビに替えた早々のモニターでニュース番組を観ていて「そうだ!」
と思い出したのです。
「歳がいって、涙腺が伝々」ではなく「子供時代の感受性が蘇っているんだ」
と良いように解釈しているのですが、今もこの映像を思い出す度、涙目になっている。
聴覚に障害をもつ16歳のカメラマンA君、これまでコンテストでも度々好成績を収めて
きた実績の持ち主である、しかし最近「ある出来事」に衝撃を受けたことがトラウマとなり
「人を撮ることが大好き」で鳥取砂丘をバックにポートレート専門で撮影するスタイルにも関わらず
人に声を掛けることが難しくなった、いわばカメラマン(プロ、アマを問わず)が必ず対面あるいは経験する
壁に直面した思春期の少年が、自らその殻を破って成長していくドキュメンタリーなのです。
趣味、或いは生き甲斐を同じくする者として感銘を受けた方が多かろうことは、この表題でググってみると
52,600件も、ヒットする結果から想像できるでしょう。
めざましい技術の進歩により誰でも簡単に写真を撮ることが出来るようになった現代ですが
自分自信が感動し、他人の心をも動かされる作品などと、いうもモノを生み出すには
かなり高度な知識やテクニックを要することは間違いない事実でありましょう。
私共は、自然や静物撮りを専らとしているので、せいぜい暑さ、寒さ位しか苦労は無いのですが
「ヒューマンポートレート」となると、そう簡単にはいきません。
ヒューマンポートレートとは、その人物の内面を引き出し写し撮る能力が要求されます
即ち、人とのコミュニケーションが不可欠なのですが、A君の場合、自ら持つ障害が
大きく壁となり立ちはだかっているにも関わらず、彼自身はいたってその事については問題視
してなく、専ら自分の事を理解して貰う方法を模索しているように感じました。
彼のうけたトラウマの原因は、あるとき写真を撮らせてもらおうと、女性の後肩をポンと叩いたそうです
その時、不意を突かれた女性が思惑、驚いてしまい多分に「変な少年的、視線」を浴びたのだと思います。
聾学校ではそのような、方法でコミュニケーションを取る切っ掛け付けをするのが普通だそうですが
一般社会でそれが理解されない、受け入れられない事に初めて気づかされた少年の悩み
その現実の厳しさに「涙する」のであります。
写真部の先生に指導を受けながら、そのハードルを越え、数秒のカットに浮かんだ彼の作品をみた瞬間
思わず、手を叩き『やったねえ、撮れたねえ』
と呟いた「おでんちゃん」も写真家魂の一片を見せてくれました。