不可能、不確定、不完全―「できない」を証明する数学の力
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内容紹介
数学の解説を読むとき、「~することはできないと証明された」などという記述をみるとなんとなく、「数学も万能じゃないんだ」とがっかりすることはないだろうか。だが、実は「不可能の証明」は、一般性を増すほど困難である。むしろ数学や物理においては、そういった一見ネガティブな証明を発展させることから、多くの新しい成果が生まれてきたのだった。本書は、「整備工場に預けた車はなぜ決して約束の期日に戻ってこないのか」、という問題を数学的に検討することからスタートし……●現代物理学最大の成果である、「物体の速度と位置の二つを同時に、正確に知ることはできない(たとえば、そのものの速度を正確に知れば、位置の不確定さは無限大になり、どこにあるのかぼんやりとしかわからなくなる)」という不確定性原理●「論理的に矛盾のない体系には必ず、その体系によっては証明不可能な命題が含まれている」と証明し、人間の理性の限界を解明したと評されることもある不完全性定理●「個々人の選好傾向を集計することで社会的に好ましい選好を導くルールを作るのは不可能である」と数学的に証明し、「民主的な投票方法はありえない」と一般に解釈されているアローの不可能性定理の、三大「できない」証明を初めとして数学・物理の成果を紹介する解説書である。
内容(「BOOK」データベースより)
数理科学の真の底力は、ネガティブな証明で新たな地平を開き、ポジティブな成果をもたらすことにある。三大「できない証明」を柱に数学のしたたかさを明かすユニークな解説書。
著者について
著者:ジェイムズ・D・スタイン(James D. Stein) カリフォルニア州立大学ロングビーチ校の数学教授を長年務めた。著書として本書のほかにThe Right Decision: A Mathematician Reveals How the Secrets of Decision Theory Can Help You Make the Right Decision Every Time がある。
訳者
熊谷玲美(くまがい・れみ):翻訳家・ライター。1975年生。東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻修士課程修了。著書に『読める! 分かる!! 面白い!!! カガク英語ドリル』(共著)、訳書にバーガー&スターバード『カオスとアクシデントを操る数学』、オレル『明日をどこまで計算できるか?』(ともに共訳、早川書房刊)、プレイト『イケナイ宇宙学』(共訳)がある。
田沢恭子(たざわ・きょうこ):翻訳家。1970年生。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科英文学専攻修士課程修了。訳書にトロロープ『他人家族』、ボイル&シムズ『ニュー・エコノミクス』がある。
松井信彦(まつい・のぶひこ):翻訳家。1962年生。慶應義塾大学大学院理工学研究科電気工学専攻前期博士課程(修士課程)修了。訳書にバーガー&スターバード『カオスとアクシデントを操る数学』、オレル『明日をどこまで計算できるか? 』、スピーロ『ポアンカレ予想』(すべて共訳、早川書房刊)がある。
[目次]
- 修理に出した車はなぜ約束の日にあがってこないのか?
- 第1部 宇宙の記述(万物の尺度)
- 現実との整合性
- すべてのもの、大なるも、小なるも
- 第2部 不完全な道具箱(不可能な作図)
- 数学のホープ・ダイヤモンド
- その二つ、決して見えず
- 論理にさえ限界がある
- 空間と時間-これで全部?
- 第3部 情報-ゴルディロックスのジレンマ(マーフィーの法則)
- 秩序なき宇宙
- 宇宙の原材料
- 第4部 到達できないユートピア(基盤の亀裂)
- 密談の部屋
- 鏡のなかにおぼろに
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