生物を細胞単位の集合体と捉えてみれば、ナノテクノロジーの固まりなのかもしれない。一つの受精卵が分裂/増殖し生物を形づくる。光合成でエネルギーを糖質に変換し、地上を徘徊し、空を飛び、水に潜る。何一つ教育をうけていなくても自立的に生息し、社会を作り、子孫を残す。身体に傷をうけても再生してしまう。人でなどは2匹の個体になってしまう。
今までの機械は、あくまでも部品の集合体だ、どんなに優れた自動車でも、ビス一本から自動的に自動車まで成長することはできない。ナノテクノロジーは、一個の種から製品をつくりあげるかもしれないし、自動車が壊れても自立的に故障を修理再生してしまう。ナノテクノロジーの薬を飲めば、血管のつまりを取り除いてくれる、ガンだけを治療してくれる、老化した部品を新品に再生してくれる。夢のような技術なのだろうか?
微小の物は極大と繋がっている、核分裂が巨大なエネルギーの取り出しを可能とした。核と言う微小なものの中にとてもないエネルギーが内包されていた事実の発見とその用途。大きな力は利用方法がコントロールできない。
ナノテクノロジーの軍隊ができたら、既存兵器では勝負にならないだろう。
本書は20年以上前の著作だが、ドレクスラーが描いたナノテクノロジーの開発にはまだまだ時間がかかるようだ。(何しろ小さいから開発されても分からないが)
K・エリック・ドレクスラー 著
相澤 益男 訳
定価 1,890 円 ( 本体価格 1,800 円)
ISBN 978-4-89362-089-7
四六判 並製
380 頁
1992年1月 発売
ナノテクノロジーの提唱者 K・エリック・ドレクスラー博士によるナノテクノロジーとその展望を描いた、ナノテクノロジーに関する原典といえる本。
ナノテクノロジー、それはナノ(10億分の1)メートルサイズの世界で繰り広げられる新しいテクノロジー。生きている細胞よりもずっと小さいナノマシンが、毛細血管の中を移動し、細胞を修復し、病気を治し、人類に健康と長寿をもたらす。ナノテクノロジーによる病気治療、長寿社会、宇宙開発などの可能性と社会的対応を示唆し、来たるべき世界と科学技術の青写真を描く。
著者:K・エリック・ドレクスラー
1955年4月生まれ。境界領域科学の学士号をMIT(マサチューセッツ工科大学)にて取得、工学修士号をMIT([NSF:全米科学財団フェローシップ])にて取得。 さらに博士号を分子ナノテクノロジーの研究でMITにて取得。 MIT宇宙システム研究所、MIT人工知能研究所の研究員、現在スタンフォード大学コンピュータ科学科の客員研究員を経て、The Foresight Institute(フォアサイトインスティチュート:先端技術のために組織された非営利の教育機関)の所長を勤める。
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