敬宮愛子内親王殿下の立太子実現に向けて、国会動向と参考記事をレポートします。詳細はコメント欄をご覧ください。
【参考記事】高森氏、旧宮家案では「皇統断絶・王朝交代」「天皇系図一変」の可能性(5/24)
神道学者で皇室研究者の高森 明勅氏は、「旧宮家養子縁組プラン」は皇位継承の安定化につながらないどころか、万が一にも実現すれば、皇統断絶・王朝交替に直結し、天皇系図が一変する可能性があると警鐘を鳴らす。
◎皇統が途絶えて「王朝交替」となり「天皇系図」が一変する可能性…「旧宮家養子縁組プラン」の致命的な欠陥 PRESIDENT Online 2024年05月24日
https://president.jp/articles/-/81820
■与野党協議の動向(5/17~23)
▲5月23日に開催された”皇位継承や皇族数確保に関する与野党の全体会議”終了後、ぶらさがり取材に応じる立憲民主党の野田佳彦議員、馬淵澄夫議員。
この日、突然の方針変更があり、毎週開催予定だった全体会議はいったん停止。今後は、正副議長が各党各派の意見を個別に聞いて論点を整理した上で、
全体会議の開催を検討するという。次の全体会議開催がいつになるかは未定。
画像出所:下記「立憲民主党 国会情報」動画より
◎立憲民主党 国会情報 2024年5月23日
https://www.youtube.com/watch?v=jWhXmj11uCE
◎ 【速報】皇族数確保の会議毎週開催は撤回 運営方針が突如転換 議長が各党の意見を聞いたうえで次回開催へ フジTV系 5/23(木) 18:06配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/66e02340a4c2dc82275969464240823d292e0c4b
◎ 【速報】「皇族数確保策」会議で各党が意見表明 今国会の成案目指す“女性皇族は結婚後も皇室”に賛同も子の扱いで溝 フジTV系 5/17(金) 16:19配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/addf1f24c0d299c4050befdecba5970e7fc47601
◎ 【解説】“皇族数確保”の与野党協議きょう始まる 焦点は愛子さま佳子さまなど女性皇族の結婚後と旧宮家男子の将来 フジTV系 5/17(金) 9:02配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/66b25ca67f91bf2014fd7474b2692ada030b8213?page=1
■東京新聞社説、国民の声を反映しない国会議論を批判(5/21)
◎<社説>皇族数の確保 国民の声を反映せねば 東京新聞 2024年5月21日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/328348
【参考記事】森暢平氏、「旧宮家養子案」批判第16弾を掲載(5/20)
◎ 伏見宮家は江戸時代でさえ皇位「有力候補」でなかった 社会学的皇室ウォッチング! エコノミストonline 2024年5月20日
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20240520/se1/00m/020/001000d
■毎日新聞世論調査「女性天皇賛成81%」(5/19)
◎女性天皇「賛成」81% 毎日新聞世論調査 2024/5/19 17:45(最終更新 5/19 18:37)
https://mainichi.jp/articles/20240519/k00/00m/010/081000c
◎女性天皇の容認上昇、社会の注目の高まりが背景に 2024/5/19 20:42(最終更新 5/19 21:58)
https://mainichi.jp/articles/20240519/k00/00m/040/174000c
■日本共産党の小池書記局長、「皇位の男性限定は憲法違反」(5/17)
日本共産党の小池晃書記局長は、5月17日に衆院議長公邸で開かれた衆参両院の「皇位継承などに関する全体会議」に出席し、有識者会議の報告書は「天皇は男系男子によって継承されるべきことを”不動の原則”としている」と批判。次のように述べた(要約)。
(女性女系天皇について)
憲法の規定に照らせば、日本国民の統合の象徴である天皇を男性に限定する合理的理由はない。女性天皇を認めることは日本国憲法の条項と精神に照らして合理性をもち、女系天皇についても同じ理由から認められるべき。
(皇統に属する男系の男子を皇族とする案について)
男系男子を養子縁組で皇族とする案は、事実上、女性天皇を否定するもの。すでに75年以上も日本国民として過ごしてきた旧皇族の子孫から国民の権利を奪うことになり、「皇統の継承」と称して600年以上も遠い血筋をさかのぼることなどは憲法に照らして重大な問題があり、到底国民の理解は得られない。
(国民にオープンな議論とすべき)
全体会議終了後の記者会見で小池氏は、議事録を非公開とし、結論が出てから公開するとしたことについて、「オープンな議論と繰り返していたはず。非常に疑問だ」と批判した。
◎男性限定 憲法に反する 皇位継承全体会議 小池書記局長が言及 赤旗 2024年5月18日
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik24/2024-05-18/2024051802_07_0.html
■社民党の福島みずほ党首、「女性天皇容認・旧皇族皇室入り反対」(5/15)
社民党の福島みずほ党首は5月15日の記者会見で、安定的な皇位継承について「女性天皇を認めるべきだ」と述べた。党見解に「男系男子に限る合理的な理由はなく、女性が継承することを制限するべきではない」と盛り込んだことも明らかにした。
福島氏は旧宮家の男系男子が養子として皇籍に復帰する案に関し、「恣意(しい)的に行われる可能性もある。全くの邪道だ」と断じた。
◎社民の福島党首、女性天皇容認を 時事通信 2024年05月15日15時27分配信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024051500823&g=pol
【参考記事】河西秀哉氏、国会議論と国民世論の乖離を危惧(5/13)
名古屋大学大学院准教授の河西秀哉氏は、女性女系天皇を望む国民世論がある一方、国会で議論される2案はどちらも女性女系天皇にはつながらないものであることを指摘。議論の方向がこれでいいのかとの疑問を表明した。
<一部抜粋>
ここで大きなポイントは、女性皇族が結婚後も皇室に残る場合も、旧皇族の男系男子を養子に迎える場合も、女性皇族が天皇になるということはないということ。つまり今回国会で議論される2つの案のどちらを採用するにしても、たとえば愛子内親王が天皇になることはないということなんです。
だから最初に述べたように女性天皇や女系天皇について世論がかなり高い割合で賛成しているにもかかわらず、これから国会で議論される2案は世論と大きく乖離(かいり)しているので、この議論の方向性でよいのかということがポイントになると思うんですね。
◎安定的な皇位継承の在り方をどう考えるか? NHK 読むらじる(2024/0513)
https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/my-asa/myk20240513.html
◎河西氏の該当コメント(公式Xアカウント)
https://x.com/hi_kashi/status/1791399036949610579
■世界日報(統一教会機関紙)社説が「男系男子絶対支持」表明(5/13)
『世界日報』は5月13日社説で、日本の皇室について「女系を排し男系男子を絶対とする」べきとの見解を表明。これまで指摘されてきた「男系男子派=反天皇・反皇室派」という捻じれた関係は、この社説により一層明らかになった。
<一部抜粋>
女性宮家の子孫は皇位継承の資格を得ることになり、女系天皇の誕生につながるため、われわれは創設にも明確に反対する。
◎【社説】皇位の安定継承 「男系男子」を揺るがすな 世界日報 2024年5月13日
https://www.worldtimes.co.jp/opinion/editorial/20240513-181253/
◎世界日報Xアカウント
https://twitter.com/TheSekainippo
【参考記事】高森明勅氏、「女性天皇」を必然とする4つの理由解説(5/09)
◎ 「90%が容認」世論調査も進まぬ「女性天皇」実現への道 識者が本誌に語っていた「4つの理由」と「解決策」 FLASH 5/9(木) 21:36配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/cc05d5ede6124e26dc66c431945e056e521a3549
【参考記事】■自民党の船田はじめ衆議院議員、「女性女系天皇の可能性」排除せず議論を(4/30)
自民党の船田はじめ衆議院議員は、自身のブログ「はじめのマイオピニオン」で、安定的な皇位継承の議論には「男系の男性天皇だけでなく、男系の女性天皇、女系の男性天皇、女系の女性天皇の可能性を排除せず、恒久的な皇位継承の安定化につなげるべき」と述べた。
◎皇位継承について 船田元マイオピニオン - my opinion - 2024.04.30
https://funada.org/funadapress/2024/04/30/%e7%9a%87%e4%bd%8d%e7%b6%99%e6%89%bf%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6-2/
■女性天皇賛成90% 女系天皇賛成84% 共同通信世論調査(4/28)
共同通信社が皇室に関する全国郵送世論調査の結果をまとめ、公表した。
・皇位継承の安定性について「危機感を感じる」「ある程度感じる」が計72%
・女性天皇を認めることについては賛同が計90%
・皇族以外の男性と結婚して生まれた子が皇位を継ぐ「女系天皇」は「賛成」「どちらかといえば賛成」が計84%
・戦後間もなく皇室を離れた旧宮家の男性子孫を皇族にし「男系・男子」の天皇を維持する考えには、「反対」「どちらかといえば反対」が計74%
・女性皇族が結婚後も皇室にとどまって活動する「女性宮家」創設は賛意が計77%
◎皇位継承に「危機感」72% 女性天皇容認は90% 共同通信・東京新聞 2024年4月28日 05時13分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/324004
・名古屋大学大学院准教授 河西秀哉氏のコメント 4/28(日) 12:09
https://news.yahoo.co.jp/profile/commentator/kawanishihideya/comments/ca2116e1-615d-4e22-92fe-3f018011a42e
多くの国民が女性天皇を望んでいる結果が出ています。国会はこうした意見を踏まえて議論を進めることこそ、代議制のあり方ではないでしょうか。「象徴」としての天皇の地位は「国民の総意に基づく」と憲法に書かれています。
・十文字学園女子大学非常勤講師 坂東太郎氏のコメント 4/28(日) 19:33
https://news.yahoo.co.jp/profile/commentator/tarobando/comments/5d30bd59-bde1-409f-afe0-b612d677e19e
「女性天皇を認める」に賛成した方の脳裏にに浮かぶのは多分、愛子さまでしょう。女系でなく女性天皇は歴代8人を数えていて「日本の文化にかなってい」ないというわけでもないですし。背景の1つに愛子さまが天皇ご一家で「父が天皇」という直系の血筋という事実が説得力を持っていると推測されます。悠仁さまは現状、「天皇ご一家」の分家ともいえる秋篠宮家の跡継ぎ。この「秋篠宮家の」という表記も便宜上で単に秋篠宮としたならば文仁親王のみを指す言葉なのです。
こうしたあれこれは家父長制の概念。ただ憲法および国民の多くは皇室に限って捨て去ったはずの身分制や家父長制を飛び地のように認めていて、当然その論理も残置されます。この問題は記事の通り、悠仁さま御誕生で沙汰止みとなったまま今日に至っていて皆が先送りしてきた課題です。憲法の「国民の総意」とう文言を考え合わせると「計90%が賛同」は重い数字といえます。
【参考記事】高森氏、国民世論と国会議論の乖離を指摘
皇室研究家の高森明勅氏は、敬宮愛子さまへの国民の期待が高まっていること、国会で審議されている皇位継承案がその国民の思いとかけ離れていることを指摘する。
<一部抜粋>
もし国会で「女性天皇」を認める皇室典範の改正がなされ、これまで通り「直系優先」の原則が維持されれば、次の天皇には敬宮殿下が即位されることになる。それは、国民の間に高まっている願いとまさに合致するのではないだろうか。そのような国民の素直な気持ちを、大衆の気まぐれとか一時的なブームなどと、上から目線で軽んじるのはいただけない。天皇陛下のお子様が即位されることは「世襲制」のもとでは当たり前だ。にもかかわらず、ただ「女性だから」というだけの理由で即位の可能性を排除している今のルールの方が、時代錯誤であり異常だろう。
ところが、ここで視線を国会に向けると、そこには寒々しい光景しか目に入ってこない。皇位継承問題は、6月23日まで開かれる予定の今の国会中に、一定の決着を見る可能性が浮上している。だがその中身は、将来の安定的な皇位継承とはまったく無縁な、目先の皇族数の減少を抑えるだけの、後ろ向きな方策にすぎない。
有識者会議が提示し国会で議論されている2案がいかに無意味かつ実現不可能なものか、高森氏はこの記事の中でも明らかにしているので、関心がある方はご確認を。
◎国民の愛子さまへの期待はますます高まるばかり…日赤ご就職に際して文書で表現した自身の「皇室観」 プレジデントオンライン 4/26(金) 6:17配信
https://president.jp/articles/-/80731
【参考記事】森氏、江戸時代の皇位継承から「男系より直系」「男系より女系」例を提示
成城大教授の森 暢平氏は「これでいいのか旧宮家養子案」第13弾として「男系より直系が皇位継承の本質原理だ」、第14弾として「女系重視の前例もある 江戸時代の皇位継承論理」を『エコノミストonline』に掲載。
第13弾記事では、江戸時代、桃園天皇が21歳の若さで亡くなった後、その第一皇子(4歳)や、中継ぎとなり得る壮年の宮家親王が複数いたにもかかわらず、亡き天皇の姉である21歳の智子内親王(後桜町天皇)が後を継ぐこととなった経緯を説明し、次のように述べる。
<一部抜粋>
現在、旧宮家復帰案を唱える人たちは、男系継承だけが皇位継承の伝統と考えている。だが、直系継承こそがより本質的な原理であるという近世史家の指摘は重要である。その原理で言えば、悠仁さまより愛子さまへの継承のほうが、より近世の伝統に近いということになるだろう。
後桜町天皇の聡明さは、現在の愛子さまを彷彿とさせる。女性だから皇位に就けないというのは日本の伝統ではない。女性だからこそできることもあると後桜町の生涯が教えてくれる。
また、第14弾記事では、後桃園天皇亡き後、当時8歳の師仁を閑院宮家から迎えて光格天皇とした背景には、欣子内親王(当時生後9か月)との縁組みが前提であったこと、欣子内親王の血を引く御子の皇位継承が望まれていたことなどを解説。次のように述べる。
<一部抜粋>
男系継承の重要性を強調する人たちは「男系」だけが皇位継承を説明する唯一の論理だと考える。だが、それは適切ではない。中宮欣子内親王と光格天皇の次の時代の継承の議論をたどれば、女系によって天皇本家の血筋をつなごうとする意識も観察されるからだ。
(略)光格→仁孝→安仁という男系継承よりも、後桃園→欣子→悦仁という女系継承のほうが重視されたのである。
◎「男系」より「直系」が皇位継承の本質原理だ 社会学的皇室ウォッチング!/111 サンデー毎日×エコノミスト 4/15(月) 15:45配信
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20240415/se1/00m/020/001000d
◎女系重視の前例もある 江戸時代の「皇位継承」論理 社会学的皇室ウォッチング!/112 サンデー毎日×エコノミスト 4/22(月) 16:26配信
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20240422/se1/00m/020/002000d
森暢平氏が批判する旧宮家養子案など政府案については、河西氏も次のように批判している。
・名古屋大学大学院准教授 河西秀哉氏のコメント(ヤフーニュース)
https://news.yahoo.co.jp/profile/commentator/kawanishihideya/comments/9bab90ba-95f0-4014-a09f-29aa2c4761c5
このような案で、本当に国民の納得を得られると考えているのでしょうか? 現在の案は基本的には、女性皇族を単にこれかも公務を担わせる存在にしか考えていません。夫になる人も、子どもも宙ぶらりんとなり、極めていびつな家庭ができあがります。
また、旧宮家を直接皇族にできるような方法は、男系ということだけで天皇としてしまう案です。象徴天皇制の展開過程ともズレていると思います。もっと、今の時代や社会にふさわしい案があるのではないでしょうか。そうした声をもっと強く訴える必要があります。
【参考記事】元木氏、国民は「悠仁天皇」より「愛子天皇」を望んでいる(4/12)
<一部抜粋>
英国、北欧3国、ベルギー……。欧州を見て気づくのは、人権が保障され政治参加が進んだ先進国に君主制が残っていることです。君主制とは特定の家系に特権を与える差別的なものであり、民主主義とは相反する――。おそらくそれが一般的な理解でしょう。しかし欧州では、最も民主的に見える国々にしぶとく君主制が生き残っています。このパラドックスをどう見ればいいのか。
君主制が民主主義と適合的だからではなく、時代に合わせてうまく変化してきたから残ったのだと私は見ます。『民主化の波に敵対した王室は倒れ、受け入れた王室が残る』現象が、20世紀前半に起きました。波に乗らなかったドイツやロシアなどでは王制が終焉(しゅうえん)を迎えています」
時代の流れを見ることのできないこの国では、遠からず天皇制は崩壊するのかもしれない。
◎国民は「悠仁天皇」より「愛子天皇」を待ち望んでいる…「愛子さまフィーバー」を見守る紀子さまの胸の内 プレジデントオンライン 4/12(金) 8:17配信
https://president.jp/articles/-/80562?page=1
■毎日新聞、もう先送りは許されない(4/10)
毎日新聞は有識者会議の2案について説明し、それが実現したとしても「その場しのぎの策にとどまる」と批判している。
<一部抜粋>
旧宮家が皇室を離れたのは70年以上も前にさかのぼる。その子孫の民間人が唐突に皇族となることに、国民の理解が得られるのか疑問だ。そもそも、皇室に入る意思を持つ男系男子がいるのだろうか。政府は「具体的に把握していない」と国会で答弁している。
両案が実現したとしても、一時的に皇族数を確保するための、その場しのぎの策にとどまる。今国会で結論を出し、持続的な皇位継承策を話し合う次の段階に進まなければならない。皇位継承権を女性に広げるかどうかの議論を避けて通ることはできない。
愛子さまは大学を卒業し、日本赤十字社に就職した。悠仁さまは9月に18歳を迎え成年となる。若い皇族の人生設計に関わる問題であり、時間的な猶予はない。憲法で天皇は「日本国の象徴」と定められ、その地位は「国民の総意に基づく」と明記される。与野党は、国民の幅広い支持が得られる制度改正の道筋を示さなければならない。
◎皇族確保の政党間協議 もう先送りは許されない 2024/4/10 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20240410/ddm/005/070/094000c
■皇位継承に関する見解、各党が提示(4/04)
今国会での議論に向けて、各党は皇位継承に関する意見集約を行っている。有識者会議で示された2案「女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する案」「養子縁組による旧皇族男系男子の皇族復帰案」に対する見解を明らかにするもので、日経新聞は次のように現在の各党の立場をまとめた。
画像出所:日経新聞2024年4月4日 21:00 配信記事(URL下記)より引用
この2案は、公務の担い手としての皇族数を確保するための案で、皇室を将来に渡って安定的に維持していくための対策とはなっていない。女性女系天皇を認めない限り皇位の安定継承は望めないが、旧統一教会≒日本会議=男系男子継承固執派メンバーが多数を占める自民党が招集した有識者会議では、女性女系天皇を認める案が検討されるはずもなかった。
女性女系天皇に賛成する立場から、この2案とも「反対」としたのは共産党のみというのが現状だ。しかし、この表には出ていないが、れいわ新撰組も女性女系天皇賛成であることを過去に表明している。早々にその見解が提示されるよう期待したい。
立憲民主党は、女性皇族が結婚後も皇族身分を保つ案に賛成しているが、皇族女性の夫や子供の身分を「皇族とする」案、「皇族としない」案と両論を併記するという。女性皇族の夫や子を皇族としないでよしとするとは、まともな人間の思考とは思えない。周囲が皆一ツ目だから自分も二つある目の一つを潰して一ツ目にならなければとでも思ったのか。2005年の有識者会議報告書が明らかにしたように、皇族女性と男性皇族を同じ待遇にする、女性女系天皇を認めるという道を選ぶ以外、皇統を守る術はない。野党各党は、自民党案に引きずられて理性・知性を失わないよう願いたい。
<自民党>
◎自民党、男系維持へ旧皇族の復帰容認 意見集約へ 日経 2024年4月4日 21:00 (2024年4月4日 23:18更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA03EZ40T00C24A4000000/
◎皇族確保、養子縁組は有効 自民、早期に見解策定 毎日新聞 2024/4/4 21:22
https://mainichi.jp/articles/20240404/k00/00m/010/284000c
◎婚姻後も女性皇族、自民に容認論 4カ月ぶり議論再開 日経 2024年3月18日 19:30
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA162850W4A310C2000000/
◎【速報】皇族数確保について国会で検討進めると首相 共同通信 2024年03月17日 12時00分
https://www.47news.jp/10663201.html
<立憲民主党>
◎女性宮家の配偶者・子「皇族身分有する」案も検討を 立憲が論点整理 朝日新聞 2024年3月12日 21時20分
https://digital.asahi.com/articles/ASS3D6W0BS3DUTFK00P.html
<国民民主党>
◎皇族確保具体化、国民が求め提言 衆院議長に 毎日新聞 2024/3/29
https://mainichi.jp/articles/20240329/ddm/005/040/114000c
◎皇位継承、国民民主が党見解 女性皇族の身分保有「必要」 玉木代表「男系男子が基本」産経 2024/3/22 18:53
https://www.sankei.com/article/20240322-RWB4JRA6FVJ73LSMAPH6I3U7WU/
◎皇位継承、男系男子が前提 国民民主 時事ドットコムニュース 2024年03月22日17時44分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024032201057&g=pol
<公明党>
◎女性皇族の婚姻後の身分保持を提言、公明党が意見書 日経 2024年4月2日 18:40
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA027K50S4A400C2000000/
◎女性皇族の配偶者・子「皇族にならなくてもいい」 公明・北側氏 朝日 2024年3月13日 20時24分
https://digital.asahi.com/articles/ASS3F6H8DS3FUTFK00W.html
【参考記事】女性天皇実現への議論が進まないのは一重に国会議員の勉強不足と保身ゆえ(4/06)
「未来永劫、皇室が続いてほしいと願うのであれば、女性天皇を認める以外の選択肢はない」とする皇室研究家の高森明勅氏は、女性天皇を認めるべき4つの理由をあげた後、国会で議論が進まない理由をこう指摘する。
<一部抜粋>
「女性天皇」が必然だとしても、現実には議論は進んでいない。「昨年秋以来、与野党で安定的な皇位継承の確保についての検討が進められていますが、与党は当然のこと、野党もほとんどが男系男子に傾いている。今回も中途半端な形、不本意な形でしか決着がつかないと思います。第2ラウンドに向けて、なにより世論の喚起が必要です」
いったいなぜ議論は進まないのか。「それは政治家の問題です。国会内にある『男系男子』への根拠のない思い込みによる固執ですね。彼らは『男系男子』が明治になって初めて採用されたルールであることさえ知らない。推古天皇以来、後桜町天皇まで10代・8人の女性天皇が実在したわけです。明治になって排除されただけですから、男子限定というルールはなかったということです。
古代の大宝令、養老令は『女帝の子』に女系で『親王』の身分を認めており、そういう意味でも、男系に限定したのは明治からということがわかる。『男系男子』が、神武天皇以来の皇室の伝統だという錯覚に基づいて思考停止している。それが、政治家として、いちばん楽だからです」
◎愛子さまが天皇に即位することはあるのか…皇室研究家が指摘する「女性天皇」を認めるべき4つの理由 FLASH 4/6(土) 6:01
https://news.yahoo.co.jp/articles/3371e68d3f90e17633f97a242f94df2a5890d9cd
【参考記事】陛下ご学友が「敬宮愛子様立太子」支持を表明(3/06)
天皇陛下のご学友である乃万暢敏(のま・のぶとし)氏が、自身のYoutubeチャンネルで、「敬宮愛子内親王殿下の立太子」支持を鮮明に打ち出しました。
▲「本日からこのチャンネルは敬宮愛子内親王殿下の立太子、これを強く進めていくチャンネルにしたいと思っております」と述べる乃万氏
◎【評論家 乃万暢敏の1人語り】敬宮愛子内親王殿下、立太子の可能性について
https://www.youtube.com/watch?v=To6sXeZ9dXI
(動画の内容一部抜粋/一部要約)
日本という国を考えた時、皇統がどうあるべきかを真剣に考えなければならない時期に来ていると思います。このまま秋篠宮家に皇統が移ってしまった時に、私たち今この日本に生きている人間が、後世に対して大変な過ちを犯す可能性があると個人的に思うわけです。小さなチャンネルではありますが、敬宮愛子内親王殿下に立太子していただきたいと、ここで強く申し上げるつもりです。
陛下のお立場では皇統問題に触れることはできません。この問題について私と陛下とで話し合いを持ったり、議論をしたことはございません。今後も私は陛下に対してそのようなことを申し上げるつもりもございません。しかし、皇后陛下・敬宮愛子内親王殿下には強く申し上げたい。今、私達が決断をしないと、この日本という国、その国柄、この長い皇統の歴史、国民一人ひとりの生き様、ありよう、こういったものを将来に禍根を残すことになる可能性が高いことを申し上げたいと思うのです。
国会議員の先生方におかれましては、この問題を今一番の議題として取り上げ、国会内で議論していただき、立法化し、愛子内親王殿下の立太子ということを考えていただきたい。立法府でこのことを考えていただかないと、事は前に進みません。日本は法治国家であり議員制をとっているわけですから、国会でこの決議をしていただくしか方法はないのです。
百歩譲って国会内で議論がまとまらないのであれば、これは国民投票に訴えていただきたい。どれだけの国民が、この問題について真剣に考えていけるかが大事です。私達の孫・子の世代に対し、いかに私達が責任を持てるか。ごく小さなチャンネルですが、今後、皆様方でこの問題を考え、話し合う場にしていきたい。オープンな議論を希望しています。きちんと理由を述べてコメントをしていただければ、どんな内容であってもきちんとお答えしていくつもりでおります。
(談話の書き起こし全文をコメント欄でお読み頂けます)
<乃万暢敏氏プロフィール>
昭和34年東京赤坂に生まれる。昭和47年学習院初等科卒業。昭和50年同中等科卒業。昭和53年同高等科卒業。昭和53年同大学文学部史学科入学。日本中世社会経済史専攻。同大学院人文科学研究科(史学専攻)。今上陛下とは小学校から大学院までのご学友。卒業後も家族ぐるみで親交が続いている。
【参考記事】「皇位継承問題」今国会で6月末までに決着?高森明勅氏の予想と嘆き(2/23)
皇室研究家・高森明勅氏は、皇位継承問題について「通常国会が閉会する今年6月末までに決着する可能性が高い」と予測。しかし、有識者会議報告書が提案する2案については「支離滅裂」かつ「実現性が低すぎる」と批判し、「現実的に考えて、女性・女系天皇を認める以外の選択肢はありません」と述べる。
◎皇位継承問題「6月末まで」決着? 専門家が指摘する“現状案”の「支離滅裂さ」と女・女系天皇に対する「政府の本音」 弁護士JPニュース 2/23(金) 9:01配信
https://www.ben54.jp/news/914
(一部抜粋)
◇実は国会議員も「女性天皇賛成派」が多い
「国会議員の中では男系支持者が優勢」とのイメージがあるかもしれないが、実は2019年に『週刊朝日』が衆参両院の議員に行ったアンケートでは以下の結果が。
Q.愛子さまが天皇に即位できるように皇室典範の改正をするべきと思いますか
A.「するべき」28%、「するべきではない」8%、「無回答・回答拒否」65%
Q.女系天皇を認めることに賛成ですか、反対ですか
A.「賛成」29%、「反対」13%、「無回答・回答拒否」58%
「そもそも『天皇』は日本国憲法第1章に掲げられた大切な問題なのに、国会議員の圧倒的多数が『無回答・回答拒否』というのが問題ではありますが、少なくとも明確に意思表示している人たちで見れば、女性・女系天皇を認めるべきという意見の方が実はかなり多いという結果になっています。ただし少数であるはずの反対派の声が大きく、一定の政治的配慮をせざるを得ないというのが現状です」
「岸田首相のメッセージは必ずしも女性天皇の可能性を全面的には排除しておらず、今回予想される国会での決着も、野党などの取り組み次第では、少しでも皇位継承を安定化させる方向に報告書の案を近づけることは可能でしょう。そこで残った課題は、今後さらに議論が進むことに期待したいですね」(高森氏)
【参考記事】女性天皇論を妨げる「保守を掲げながら皇室の将来に責任を負わない人たち」(2/12)
この記事に登場する宮内庁関係者は、女性天皇だった可能性が高い「飯豊天皇」「神功天皇」等にふれ、歴史を深く掘り下げないまま女性天皇の議論を妨げる「保守を掲げながら皇室の将来に責任を負わない人たち」の存在を嘆いています。
◎愛子さま 担当記者は「まさか就職されるとは」と驚き…忘れてはならない“危機”も デイリー新潮 2/12(月) 10:55配信
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/02121045/?all=1
【参考記事】「象徴天皇の未来」Webアンケートは女性天皇支持が約7割(2/11)
朝日新聞デジタルがWebで呼びかけたアンケート結果が出ています。開始直後は「女性天皇支持」が圧倒的でしたが、これに気づいた男系男子派文化人がアンケートへの参加を呼びかけた結果、「男性に限った方がよいい」選択肢が急に伸び始めたという経緯がありました。これまで行われた正規の世論調査では、天皇は男性に限るとする意見は10~20%以下であることがほとんどです。Webアンケートの難しさがうかがえます。
▲朝日新聞デジタル(フォーラム:「象徴」って何だろう)調査結果より一部抜粋
◎(フォーラム)象徴天皇の未来は 朝日新聞 2024年2月11日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S15861428.html
◎「象徴」って何だろう Webアンケートと結果発表
https://www.asahi.com/opinion/forum/194/
■皇位継承めぐる国会質疑(1/31、2/02)
開催中の第213回国会(2024年1/26~6/23)で、皇位継承をめぐる質疑応答が行われました。立憲民主党党首で衆議院議員の泉 健太氏と岸田総理(1月31日)、立憲民主党参議院議員の田島まいこ氏と岸田総理(2月2日)の質疑応答について、当編集部で文字起こしをしたものを掲載します。
実際のやり取りは、国会中継の動画等でご確認下さい。
●衆議院本会議:泉 健太氏と岸田総理(1/31)
<衆議院議員 泉 健太氏の質問>
平成29年の「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する付帯決議」(注1)で、国会が政府に検討を要請したのは、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等についてです。しかし、令和3年12月に出された有識者会議報告書(注2)では、皇族数の確保が喫緊の課題であるとして、皇位継承の問題とは切り離され、悠仁親王殿下の次代以降の皇位の継承について具体的に議論することには現状は機が熟しておらず、かえって皇位継承を不安定化させるとも考えられますと記載されています。
やはり各党が合意をした安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等を先送りせず真正面から議論し、一定の結論を示すことが責任ではありませんか。総理、この点をお答えください。
さらに、総理は自民党総裁選で、女系天皇には反対と述べられました。今もそのお考えですか。あわせて女性天皇についての見解もお聞かせください。
女性宮家の創設については野田内閣のもとで平成24年に提出された皇室制度に関する有識者ヒアリングをふまえた論点整理(注3)では、女性皇族が婚姻後、配偶者や子を皇族とする案も検討されましたが、今回の報告書では、婚姻後も本人のみ皇族、配偶者や子を皇族としない案のみが示されました。総理、これが複数案を比較検討した結論なのか、お答えください。
注1)天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する付帯決議(↓)
注2)「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議 2021(令和3)年12月22日 内閣官房
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/taii_tokurei/index.html
・報告の概要
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/taii_tokurei/pdf/houkoku_gaiyo_20211222.pdf
注3)皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理 2012(平成24)年10月5日 内閣官房
https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12251721/www.kantei.go.jp/jp/singi/koushitsu/pdf/121005koushitsu.pdf
(概要)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/taii_tokurei/dai1/siryou7.pdf
<岸田総理の答弁>
安定的皇位継承についてお訊ねがありました。皇位継承については、有識者会議において、さまざまな分野の方々から幅広く意見を伺って、慎重かつ真剣に議論をした結果として、悠仁親王殿下までの皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないという結論に至ったものと承知をしております。
また、女性皇族の婚姻後の配偶者と子については皇族とする考えも含めて比較検討が行われたものと承知をしております。
そして、政府から報告書を提出し、国会でご議論をいただくという状況の中で、女系天皇女性天皇について私の個人的な考えを今この場で申し上げることは差し控えますが、政府として、有識者会議の報告書を尊重することとして、国会に対して報告を行ったものであり、立法府の総意が早期に取りまとめられるよう、国会において、積極的な議論が行われることを期待しております。(以上)
◎資料:NHK 国会中継「代表質問」~衆議院本会議場から中継~1月31日 午後1:00-午後3:42
https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2024013112976
(配信期限 :2/7(水) 午後3:42 まで)
●参議院本会議:田島まいこ氏と岸田総理(2/02)
<参議院議員 田島まいこ氏の質問>
先日、喜ばしい報道がありました。それは天皇皇后両陛下のご長女、愛子様が大学を卒業され、就職されるというニュースです。能登半島の震災被害で心を痛める中で、愛子様に励まされ、希望を取り戻す国民も決して少なくないのではないでしょうか。
2017年に国会が付帯決議を通じて政府に要請したのは、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等でした。しかし、2021年の有識者会議報告書では、それが皇族数の確保に変わりました。総理に伺います。
政府の報告書では、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する一方で、配偶者の男は一般国民のままとする案が示されました。国民統合の象徴であり、国政上の権能を有さない天皇・皇室の憲法上の地位とその皇室を構成する女性皇族が、参政権を含め国民としての自由権利を保障される配偶者および子と、ひとつの世帯を営むということは、はたして整合性をもちえるのか、見解を伺います。
くわえて総理は、2021年の総裁選を含めSNS等でも、皇室の歴史や伝統、そして国民の皇室に対する見方などを考えれば、女系天皇は考えるべきではありませんと述べられています。総理が指摘される皇室の歴史の中で、男系男子の天皇はいつからの伝統なのか、総理のご見解をお願いします。
<岸田総理の答弁>
安定的な皇位継承に関する政府の報告内容についてお訊ねがありました。女性皇族の婚姻後の配偶者と子については有識者会議において、ご指摘のような点もふまえつつ、皇族とする考え方も含めて比較検討が行われたうえで、皇族という特別の身分を有しないこととする考え方が示されたものと承知をしております。政府としては、こうした有識者会議の報告書を尊重しているところであります。
また、わが国の皇位継承については、男系継承が、古来、例外なく維持されてきたところであります。(以上)
資料:国会中継「代表質問」~参議院本会議場から中継~2/2(金) 午後1:00-午後4:24
https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2024020214403
(配信期限 :2/9(金) 午後4:23 まで)
【参考記事】女性・女系天皇を認めるべき(園部逸夫・元最高裁判事)
小泉純一郎首相の私的諮問機関として設置された「皇室典範に関する有識者会議」(2005年)で、座長代理を務めた園部逸夫・元最高裁判事(94)は「皇位の安定的継承が危機にさらされ続けている」と指摘し、「皇室制度の安定的継承のためには、直系を維持することが重要。女性天皇、女系天皇を認めなければいけない」と話す。
◎園部逸夫・元最高裁判事「女性、女系天皇を認めるべき」 皇室典範改正、進まぬ議論に提言
弁護士ドットコムニュース 2023/10/30(月) 10:48配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/acaddbc405c7c1bb7e6cd80f461fe388fcae4bf1?source=sns&dv=sp&mid=other&date=20240202&ctg=dom&bt=tw_up
【参考記事】女性・女系天皇を認めるか男系男子にこだわり続けるか分岐点(菅野志桜里・元衆議院議員/弁護士)
2024年の日本を占う上で重要な争点となりそうなのが皇室改革。スムーズな皇位継承や皇室の維持を図るため、女性宮家、女性天皇、女系天皇といった議論を進めることが喫緊の課題となっている。元衆議院議員で弁護士の菅野志桜里氏は、2024年の皇室について予測する。
◎菅野志桜里氏が予測する2024年の皇室 「女性天皇」や「女系天皇」を認めるか、男系男子にこだわり続けるかの分岐点
女性セブン2024年1月4・11日号 2024.01.02 07:00
https://www.news-postseven.com/archives/20240102_1929576.html?DETAIL
【参考記事】高森氏、旧宮家案では「皇統断絶・王朝交代」「天皇系図一変」の可能性(5/24)
神道学者で皇室研究者の高森 明勅氏は、「旧宮家養子縁組プラン」は皇位継承の安定化につながらないどころか、万が一にも実現すれば、皇統断絶・王朝交替に直結し、天皇系図が一変する可能性があると警鐘を鳴らす。
◎皇統が途絶えて「王朝交替」となり「天皇系図」が一変する可能性…「旧宮家養子縁組プラン」の致命的な欠陥 PRESIDENT Online 2024年05月24日
https://president.jp/articles/-/81820
■与野党協議の動向(5/17~23)
▲5月23日に開催された”皇位継承や皇族数確保に関する与野党の全体会議”終了後、ぶらさがり取材に応じる立憲民主党の野田佳彦議員、馬淵澄夫議員。
この日、突然の方針変更があり、毎週開催予定だった全体会議はいったん停止。今後は、正副議長が各党各派の意見を個別に聞いて論点を整理した上で、
全体会議の開催を検討するという。次の全体会議開催がいつになるかは未定。
画像出所:下記「立憲民主党 国会情報」動画より
◎立憲民主党 国会情報 2024年5月23日
https://www.youtube.com/watch?v=jWhXmj11uCE
◎ 【速報】皇族数確保の会議毎週開催は撤回 運営方針が突如転換 議長が各党の意見を聞いたうえで次回開催へ フジTV系 5/23(木) 18:06配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/66e02340a4c2dc82275969464240823d292e0c4b
◎ 【速報】「皇族数確保策」会議で各党が意見表明 今国会の成案目指す“女性皇族は結婚後も皇室”に賛同も子の扱いで溝 フジTV系 5/17(金) 16:19配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/addf1f24c0d299c4050befdecba5970e7fc47601
◎ 【解説】“皇族数確保”の与野党協議きょう始まる 焦点は愛子さま佳子さまなど女性皇族の結婚後と旧宮家男子の将来 フジTV系 5/17(金) 9:02配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/66b25ca67f91bf2014fd7474b2692ada030b8213?page=1
■東京新聞社説、国民の声を反映しない国会議論を批判(5/21)
◎<社説>皇族数の確保 国民の声を反映せねば 東京新聞 2024年5月21日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/328348
【参考記事】森暢平氏、「旧宮家養子案」批判第16弾を掲載(5/20)
◎ 伏見宮家は江戸時代でさえ皇位「有力候補」でなかった 社会学的皇室ウォッチング! エコノミストonline 2024年5月20日
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20240520/se1/00m/020/001000d
■毎日新聞世論調査「女性天皇賛成81%」(5/19)
◎女性天皇「賛成」81% 毎日新聞世論調査 2024/5/19 17:45(最終更新 5/19 18:37)
https://mainichi.jp/articles/20240519/k00/00m/010/081000c
◎女性天皇の容認上昇、社会の注目の高まりが背景に 2024/5/19 20:42(最終更新 5/19 21:58)
https://mainichi.jp/articles/20240519/k00/00m/040/174000c
■日本共産党の小池書記局長、「皇位の男性限定は憲法違反」(5/17)
日本共産党の小池晃書記局長は、5月17日に衆院議長公邸で開かれた衆参両院の「皇位継承などに関する全体会議」に出席し、有識者会議の報告書は「天皇は男系男子によって継承されるべきことを”不動の原則”としている」と批判。次のように述べた(要約)。
(女性女系天皇について)
憲法の規定に照らせば、日本国民の統合の象徴である天皇を男性に限定する合理的理由はない。女性天皇を認めることは日本国憲法の条項と精神に照らして合理性をもち、女系天皇についても同じ理由から認められるべき。
(皇統に属する男系の男子を皇族とする案について)
男系男子を養子縁組で皇族とする案は、事実上、女性天皇を否定するもの。すでに75年以上も日本国民として過ごしてきた旧皇族の子孫から国民の権利を奪うことになり、「皇統の継承」と称して600年以上も遠い血筋をさかのぼることなどは憲法に照らして重大な問題があり、到底国民の理解は得られない。
(国民にオープンな議論とすべき)
全体会議終了後の記者会見で小池氏は、議事録を非公開とし、結論が出てから公開するとしたことについて、「オープンな議論と繰り返していたはず。非常に疑問だ」と批判した。
◎男性限定 憲法に反する 皇位継承全体会議 小池書記局長が言及 赤旗 2024年5月18日
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik24/2024-05-18/2024051802_07_0.html
■社民党の福島みずほ党首、「女性天皇容認・旧皇族皇室入り反対」(5/15)
社民党の福島みずほ党首は5月15日の記者会見で、安定的な皇位継承について「女性天皇を認めるべきだ」と述べた。党見解に「男系男子に限る合理的な理由はなく、女性が継承することを制限するべきではない」と盛り込んだことも明らかにした。
福島氏は旧宮家の男系男子が養子として皇籍に復帰する案に関し、「恣意(しい)的に行われる可能性もある。全くの邪道だ」と断じた。
◎社民の福島党首、女性天皇容認を 時事通信 2024年05月15日15時27分配信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024051500823&g=pol
【参考記事】河西秀哉氏、国会議論と国民世論の乖離を危惧(5/13)
名古屋大学大学院准教授の河西秀哉氏は、女性女系天皇を望む国民世論がある一方、国会で議論される2案はどちらも女性女系天皇にはつながらないものであることを指摘。議論の方向がこれでいいのかとの疑問を表明した。
<一部抜粋>
ここで大きなポイントは、女性皇族が結婚後も皇室に残る場合も、旧皇族の男系男子を養子に迎える場合も、女性皇族が天皇になるということはないということ。つまり今回国会で議論される2つの案のどちらを採用するにしても、たとえば愛子内親王が天皇になることはないということなんです。
だから最初に述べたように女性天皇や女系天皇について世論がかなり高い割合で賛成しているにもかかわらず、これから国会で議論される2案は世論と大きく乖離(かいり)しているので、この議論の方向性でよいのかということがポイントになると思うんですね。
◎安定的な皇位継承の在り方をどう考えるか? NHK 読むらじる(2024/0513)
https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/my-asa/myk20240513.html
◎河西氏の該当コメント(公式Xアカウント)
https://x.com/hi_kashi/status/1791399036949610579
■世界日報(統一教会機関紙)社説が「男系男子絶対支持」表明(5/13)
『世界日報』は5月13日社説で、日本の皇室について「女系を排し男系男子を絶対とする」べきとの見解を表明。これまで指摘されてきた「男系男子派=反天皇・反皇室派」という捻じれた関係は、この社説により一層明らかになった。
<一部抜粋>
女性宮家の子孫は皇位継承の資格を得ることになり、女系天皇の誕生につながるため、われわれは創設にも明確に反対する。
◎【社説】皇位の安定継承 「男系男子」を揺るがすな 世界日報 2024年5月13日
https://www.worldtimes.co.jp/opinion/editorial/20240513-181253/
◎世界日報Xアカウント
https://twitter.com/TheSekainippo
【参考記事】高森明勅氏、「女性天皇」を必然とする4つの理由解説(5/09)
◎ 「90%が容認」世論調査も進まぬ「女性天皇」実現への道 識者が本誌に語っていた「4つの理由」と「解決策」 FLASH 5/9(木) 21:36配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/cc05d5ede6124e26dc66c431945e056e521a3549
【参考記事】■自民党の船田はじめ衆議院議員、「女性女系天皇の可能性」排除せず議論を(4/30)
自民党の船田はじめ衆議院議員は、自身のブログ「はじめのマイオピニオン」で、安定的な皇位継承の議論には「男系の男性天皇だけでなく、男系の女性天皇、女系の男性天皇、女系の女性天皇の可能性を排除せず、恒久的な皇位継承の安定化につなげるべき」と述べた。
◎皇位継承について 船田元マイオピニオン - my opinion - 2024.04.30
https://funada.org/funadapress/2024/04/30/%e7%9a%87%e4%bd%8d%e7%b6%99%e6%89%bf%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6-2/
■女性天皇賛成90% 女系天皇賛成84% 共同通信世論調査(4/28)
共同通信社が皇室に関する全国郵送世論調査の結果をまとめ、公表した。
・皇位継承の安定性について「危機感を感じる」「ある程度感じる」が計72%
・女性天皇を認めることについては賛同が計90%
・皇族以外の男性と結婚して生まれた子が皇位を継ぐ「女系天皇」は「賛成」「どちらかといえば賛成」が計84%
・戦後間もなく皇室を離れた旧宮家の男性子孫を皇族にし「男系・男子」の天皇を維持する考えには、「反対」「どちらかといえば反対」が計74%
・女性皇族が結婚後も皇室にとどまって活動する「女性宮家」創設は賛意が計77%
◎皇位継承に「危機感」72% 女性天皇容認は90% 共同通信・東京新聞 2024年4月28日 05時13分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/324004
・名古屋大学大学院准教授 河西秀哉氏のコメント 4/28(日) 12:09
https://news.yahoo.co.jp/profile/commentator/kawanishihideya/comments/ca2116e1-615d-4e22-92fe-3f018011a42e
多くの国民が女性天皇を望んでいる結果が出ています。国会はこうした意見を踏まえて議論を進めることこそ、代議制のあり方ではないでしょうか。「象徴」としての天皇の地位は「国民の総意に基づく」と憲法に書かれています。
・十文字学園女子大学非常勤講師 坂東太郎氏のコメント 4/28(日) 19:33
https://news.yahoo.co.jp/profile/commentator/tarobando/comments/5d30bd59-bde1-409f-afe0-b612d677e19e
「女性天皇を認める」に賛成した方の脳裏にに浮かぶのは多分、愛子さまでしょう。女系でなく女性天皇は歴代8人を数えていて「日本の文化にかなってい」ないというわけでもないですし。背景の1つに愛子さまが天皇ご一家で「父が天皇」という直系の血筋という事実が説得力を持っていると推測されます。悠仁さまは現状、「天皇ご一家」の分家ともいえる秋篠宮家の跡継ぎ。この「秋篠宮家の」という表記も便宜上で単に秋篠宮としたならば文仁親王のみを指す言葉なのです。
こうしたあれこれは家父長制の概念。ただ憲法および国民の多くは皇室に限って捨て去ったはずの身分制や家父長制を飛び地のように認めていて、当然その論理も残置されます。この問題は記事の通り、悠仁さま御誕生で沙汰止みとなったまま今日に至っていて皆が先送りしてきた課題です。憲法の「国民の総意」とう文言を考え合わせると「計90%が賛同」は重い数字といえます。
【参考記事】高森氏、国民世論と国会議論の乖離を指摘
皇室研究家の高森明勅氏は、敬宮愛子さまへの国民の期待が高まっていること、国会で審議されている皇位継承案がその国民の思いとかけ離れていることを指摘する。
<一部抜粋>
もし国会で「女性天皇」を認める皇室典範の改正がなされ、これまで通り「直系優先」の原則が維持されれば、次の天皇には敬宮殿下が即位されることになる。それは、国民の間に高まっている願いとまさに合致するのではないだろうか。そのような国民の素直な気持ちを、大衆の気まぐれとか一時的なブームなどと、上から目線で軽んじるのはいただけない。天皇陛下のお子様が即位されることは「世襲制」のもとでは当たり前だ。にもかかわらず、ただ「女性だから」というだけの理由で即位の可能性を排除している今のルールの方が、時代錯誤であり異常だろう。
ところが、ここで視線を国会に向けると、そこには寒々しい光景しか目に入ってこない。皇位継承問題は、6月23日まで開かれる予定の今の国会中に、一定の決着を見る可能性が浮上している。だがその中身は、将来の安定的な皇位継承とはまったく無縁な、目先の皇族数の減少を抑えるだけの、後ろ向きな方策にすぎない。
有識者会議が提示し国会で議論されている2案がいかに無意味かつ実現不可能なものか、高森氏はこの記事の中でも明らかにしているので、関心がある方はご確認を。
◎国民の愛子さまへの期待はますます高まるばかり…日赤ご就職に際して文書で表現した自身の「皇室観」 プレジデントオンライン 4/26(金) 6:17配信
https://president.jp/articles/-/80731
【参考記事】森氏、江戸時代の皇位継承から「男系より直系」「男系より女系」例を提示
成城大教授の森 暢平氏は「これでいいのか旧宮家養子案」第13弾として「男系より直系が皇位継承の本質原理だ」、第14弾として「女系重視の前例もある 江戸時代の皇位継承論理」を『エコノミストonline』に掲載。
第13弾記事では、江戸時代、桃園天皇が21歳の若さで亡くなった後、その第一皇子(4歳)や、中継ぎとなり得る壮年の宮家親王が複数いたにもかかわらず、亡き天皇の姉である21歳の智子内親王(後桜町天皇)が後を継ぐこととなった経緯を説明し、次のように述べる。
<一部抜粋>
現在、旧宮家復帰案を唱える人たちは、男系継承だけが皇位継承の伝統と考えている。だが、直系継承こそがより本質的な原理であるという近世史家の指摘は重要である。その原理で言えば、悠仁さまより愛子さまへの継承のほうが、より近世の伝統に近いということになるだろう。
後桜町天皇の聡明さは、現在の愛子さまを彷彿とさせる。女性だから皇位に就けないというのは日本の伝統ではない。女性だからこそできることもあると後桜町の生涯が教えてくれる。
また、第14弾記事では、後桃園天皇亡き後、当時8歳の師仁を閑院宮家から迎えて光格天皇とした背景には、欣子内親王(当時生後9か月)との縁組みが前提であったこと、欣子内親王の血を引く御子の皇位継承が望まれていたことなどを解説。次のように述べる。
<一部抜粋>
男系継承の重要性を強調する人たちは「男系」だけが皇位継承を説明する唯一の論理だと考える。だが、それは適切ではない。中宮欣子内親王と光格天皇の次の時代の継承の議論をたどれば、女系によって天皇本家の血筋をつなごうとする意識も観察されるからだ。
(略)光格→仁孝→安仁という男系継承よりも、後桃園→欣子→悦仁という女系継承のほうが重視されたのである。
◎「男系」より「直系」が皇位継承の本質原理だ 社会学的皇室ウォッチング!/111 サンデー毎日×エコノミスト 4/15(月) 15:45配信
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20240415/se1/00m/020/001000d
◎女系重視の前例もある 江戸時代の「皇位継承」論理 社会学的皇室ウォッチング!/112 サンデー毎日×エコノミスト 4/22(月) 16:26配信
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20240422/se1/00m/020/002000d
森暢平氏が批判する旧宮家養子案など政府案については、河西氏も次のように批判している。
・名古屋大学大学院准教授 河西秀哉氏のコメント(ヤフーニュース)
https://news.yahoo.co.jp/profile/commentator/kawanishihideya/comments/9bab90ba-95f0-4014-a09f-29aa2c4761c5
このような案で、本当に国民の納得を得られると考えているのでしょうか? 現在の案は基本的には、女性皇族を単にこれかも公務を担わせる存在にしか考えていません。夫になる人も、子どもも宙ぶらりんとなり、極めていびつな家庭ができあがります。
また、旧宮家を直接皇族にできるような方法は、男系ということだけで天皇としてしまう案です。象徴天皇制の展開過程ともズレていると思います。もっと、今の時代や社会にふさわしい案があるのではないでしょうか。そうした声をもっと強く訴える必要があります。
【参考記事】元木氏、国民は「悠仁天皇」より「愛子天皇」を望んでいる(4/12)
<一部抜粋>
英国、北欧3国、ベルギー……。欧州を見て気づくのは、人権が保障され政治参加が進んだ先進国に君主制が残っていることです。君主制とは特定の家系に特権を与える差別的なものであり、民主主義とは相反する――。おそらくそれが一般的な理解でしょう。しかし欧州では、最も民主的に見える国々にしぶとく君主制が生き残っています。このパラドックスをどう見ればいいのか。
君主制が民主主義と適合的だからではなく、時代に合わせてうまく変化してきたから残ったのだと私は見ます。『民主化の波に敵対した王室は倒れ、受け入れた王室が残る』現象が、20世紀前半に起きました。波に乗らなかったドイツやロシアなどでは王制が終焉(しゅうえん)を迎えています」
時代の流れを見ることのできないこの国では、遠からず天皇制は崩壊するのかもしれない。
◎国民は「悠仁天皇」より「愛子天皇」を待ち望んでいる…「愛子さまフィーバー」を見守る紀子さまの胸の内 プレジデントオンライン 4/12(金) 8:17配信
https://president.jp/articles/-/80562?page=1
■毎日新聞、もう先送りは許されない(4/10)
毎日新聞は有識者会議の2案について説明し、それが実現したとしても「その場しのぎの策にとどまる」と批判している。
<一部抜粋>
旧宮家が皇室を離れたのは70年以上も前にさかのぼる。その子孫の民間人が唐突に皇族となることに、国民の理解が得られるのか疑問だ。そもそも、皇室に入る意思を持つ男系男子がいるのだろうか。政府は「具体的に把握していない」と国会で答弁している。
両案が実現したとしても、一時的に皇族数を確保するための、その場しのぎの策にとどまる。今国会で結論を出し、持続的な皇位継承策を話し合う次の段階に進まなければならない。皇位継承権を女性に広げるかどうかの議論を避けて通ることはできない。
愛子さまは大学を卒業し、日本赤十字社に就職した。悠仁さまは9月に18歳を迎え成年となる。若い皇族の人生設計に関わる問題であり、時間的な猶予はない。憲法で天皇は「日本国の象徴」と定められ、その地位は「国民の総意に基づく」と明記される。与野党は、国民の幅広い支持が得られる制度改正の道筋を示さなければならない。
◎皇族確保の政党間協議 もう先送りは許されない 2024/4/10 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20240410/ddm/005/070/094000c
■皇位継承に関する見解、各党が提示(4/04)
今国会での議論に向けて、各党は皇位継承に関する意見集約を行っている。有識者会議で示された2案「女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する案」「養子縁組による旧皇族男系男子の皇族復帰案」に対する見解を明らかにするもので、日経新聞は次のように現在の各党の立場をまとめた。
画像出所:日経新聞2024年4月4日 21:00 配信記事(URL下記)より引用
この2案は、公務の担い手としての皇族数を確保するための案で、皇室を将来に渡って安定的に維持していくための対策とはなっていない。女性女系天皇を認めない限り皇位の安定継承は望めないが、旧統一教会≒日本会議=男系男子継承固執派メンバーが多数を占める自民党が招集した有識者会議では、女性女系天皇を認める案が検討されるはずもなかった。
女性女系天皇に賛成する立場から、この2案とも「反対」としたのは共産党のみというのが現状だ。しかし、この表には出ていないが、れいわ新撰組も女性女系天皇賛成であることを過去に表明している。早々にその見解が提示されるよう期待したい。
立憲民主党は、女性皇族が結婚後も皇族身分を保つ案に賛成しているが、皇族女性の夫や子供の身分を「皇族とする」案、「皇族としない」案と両論を併記するという。女性皇族の夫や子を皇族としないでよしとするとは、まともな人間の思考とは思えない。周囲が皆一ツ目だから自分も二つある目の一つを潰して一ツ目にならなければとでも思ったのか。2005年の有識者会議報告書が明らかにしたように、皇族女性と男性皇族を同じ待遇にする、女性女系天皇を認めるという道を選ぶ以外、皇統を守る術はない。野党各党は、自民党案に引きずられて理性・知性を失わないよう願いたい。
<自民党>
◎自民党、男系維持へ旧皇族の復帰容認 意見集約へ 日経 2024年4月4日 21:00 (2024年4月4日 23:18更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA03EZ40T00C24A4000000/
◎皇族確保、養子縁組は有効 自民、早期に見解策定 毎日新聞 2024/4/4 21:22
https://mainichi.jp/articles/20240404/k00/00m/010/284000c
◎婚姻後も女性皇族、自民に容認論 4カ月ぶり議論再開 日経 2024年3月18日 19:30
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA162850W4A310C2000000/
◎【速報】皇族数確保について国会で検討進めると首相 共同通信 2024年03月17日 12時00分
https://www.47news.jp/10663201.html
<立憲民主党>
◎女性宮家の配偶者・子「皇族身分有する」案も検討を 立憲が論点整理 朝日新聞 2024年3月12日 21時20分
https://digital.asahi.com/articles/ASS3D6W0BS3DUTFK00P.html
<国民民主党>
◎皇族確保具体化、国民が求め提言 衆院議長に 毎日新聞 2024/3/29
https://mainichi.jp/articles/20240329/ddm/005/040/114000c
◎皇位継承、国民民主が党見解 女性皇族の身分保有「必要」 玉木代表「男系男子が基本」産経 2024/3/22 18:53
https://www.sankei.com/article/20240322-RWB4JRA6FVJ73LSMAPH6I3U7WU/
◎皇位継承、男系男子が前提 国民民主 時事ドットコムニュース 2024年03月22日17時44分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024032201057&g=pol
<公明党>
◎女性皇族の婚姻後の身分保持を提言、公明党が意見書 日経 2024年4月2日 18:40
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA027K50S4A400C2000000/
◎女性皇族の配偶者・子「皇族にならなくてもいい」 公明・北側氏 朝日 2024年3月13日 20時24分
https://digital.asahi.com/articles/ASS3F6H8DS3FUTFK00W.html
【参考記事】女性天皇実現への議論が進まないのは一重に国会議員の勉強不足と保身ゆえ(4/06)
「未来永劫、皇室が続いてほしいと願うのであれば、女性天皇を認める以外の選択肢はない」とする皇室研究家の高森明勅氏は、女性天皇を認めるべき4つの理由をあげた後、国会で議論が進まない理由をこう指摘する。
<一部抜粋>
「女性天皇」が必然だとしても、現実には議論は進んでいない。「昨年秋以来、与野党で安定的な皇位継承の確保についての検討が進められていますが、与党は当然のこと、野党もほとんどが男系男子に傾いている。今回も中途半端な形、不本意な形でしか決着がつかないと思います。第2ラウンドに向けて、なにより世論の喚起が必要です」
いったいなぜ議論は進まないのか。「それは政治家の問題です。国会内にある『男系男子』への根拠のない思い込みによる固執ですね。彼らは『男系男子』が明治になって初めて採用されたルールであることさえ知らない。推古天皇以来、後桜町天皇まで10代・8人の女性天皇が実在したわけです。明治になって排除されただけですから、男子限定というルールはなかったということです。
古代の大宝令、養老令は『女帝の子』に女系で『親王』の身分を認めており、そういう意味でも、男系に限定したのは明治からということがわかる。『男系男子』が、神武天皇以来の皇室の伝統だという錯覚に基づいて思考停止している。それが、政治家として、いちばん楽だからです」
◎愛子さまが天皇に即位することはあるのか…皇室研究家が指摘する「女性天皇」を認めるべき4つの理由 FLASH 4/6(土) 6:01
https://news.yahoo.co.jp/articles/3371e68d3f90e17633f97a242f94df2a5890d9cd
【参考記事】陛下ご学友が「敬宮愛子様立太子」支持を表明(3/06)
天皇陛下のご学友である乃万暢敏(のま・のぶとし)氏が、自身のYoutubeチャンネルで、「敬宮愛子内親王殿下の立太子」支持を鮮明に打ち出しました。
▲「本日からこのチャンネルは敬宮愛子内親王殿下の立太子、これを強く進めていくチャンネルにしたいと思っております」と述べる乃万氏
◎【評論家 乃万暢敏の1人語り】敬宮愛子内親王殿下、立太子の可能性について
https://www.youtube.com/watch?v=To6sXeZ9dXI
(動画の内容一部抜粋/一部要約)
日本という国を考えた時、皇統がどうあるべきかを真剣に考えなければならない時期に来ていると思います。このまま秋篠宮家に皇統が移ってしまった時に、私たち今この日本に生きている人間が、後世に対して大変な過ちを犯す可能性があると個人的に思うわけです。小さなチャンネルではありますが、敬宮愛子内親王殿下に立太子していただきたいと、ここで強く申し上げるつもりです。
陛下のお立場では皇統問題に触れることはできません。この問題について私と陛下とで話し合いを持ったり、議論をしたことはございません。今後も私は陛下に対してそのようなことを申し上げるつもりもございません。しかし、皇后陛下・敬宮愛子内親王殿下には強く申し上げたい。今、私達が決断をしないと、この日本という国、その国柄、この長い皇統の歴史、国民一人ひとりの生き様、ありよう、こういったものを将来に禍根を残すことになる可能性が高いことを申し上げたいと思うのです。
国会議員の先生方におかれましては、この問題を今一番の議題として取り上げ、国会内で議論していただき、立法化し、愛子内親王殿下の立太子ということを考えていただきたい。立法府でこのことを考えていただかないと、事は前に進みません。日本は法治国家であり議員制をとっているわけですから、国会でこの決議をしていただくしか方法はないのです。
百歩譲って国会内で議論がまとまらないのであれば、これは国民投票に訴えていただきたい。どれだけの国民が、この問題について真剣に考えていけるかが大事です。私達の孫・子の世代に対し、いかに私達が責任を持てるか。ごく小さなチャンネルですが、今後、皆様方でこの問題を考え、話し合う場にしていきたい。オープンな議論を希望しています。きちんと理由を述べてコメントをしていただければ、どんな内容であってもきちんとお答えしていくつもりでおります。
(談話の書き起こし全文をコメント欄でお読み頂けます)
<乃万暢敏氏プロフィール>
昭和34年東京赤坂に生まれる。昭和47年学習院初等科卒業。昭和50年同中等科卒業。昭和53年同高等科卒業。昭和53年同大学文学部史学科入学。日本中世社会経済史専攻。同大学院人文科学研究科(史学専攻)。今上陛下とは小学校から大学院までのご学友。卒業後も家族ぐるみで親交が続いている。
【参考記事】「皇位継承問題」今国会で6月末までに決着?高森明勅氏の予想と嘆き(2/23)
皇室研究家・高森明勅氏は、皇位継承問題について「通常国会が閉会する今年6月末までに決着する可能性が高い」と予測。しかし、有識者会議報告書が提案する2案については「支離滅裂」かつ「実現性が低すぎる」と批判し、「現実的に考えて、女性・女系天皇を認める以外の選択肢はありません」と述べる。
◎皇位継承問題「6月末まで」決着? 専門家が指摘する“現状案”の「支離滅裂さ」と女・女系天皇に対する「政府の本音」 弁護士JPニュース 2/23(金) 9:01配信
https://www.ben54.jp/news/914
(一部抜粋)
◇実は国会議員も「女性天皇賛成派」が多い
「国会議員の中では男系支持者が優勢」とのイメージがあるかもしれないが、実は2019年に『週刊朝日』が衆参両院の議員に行ったアンケートでは以下の結果が。
Q.愛子さまが天皇に即位できるように皇室典範の改正をするべきと思いますか
A.「するべき」28%、「するべきではない」8%、「無回答・回答拒否」65%
Q.女系天皇を認めることに賛成ですか、反対ですか
A.「賛成」29%、「反対」13%、「無回答・回答拒否」58%
「そもそも『天皇』は日本国憲法第1章に掲げられた大切な問題なのに、国会議員の圧倒的多数が『無回答・回答拒否』というのが問題ではありますが、少なくとも明確に意思表示している人たちで見れば、女性・女系天皇を認めるべきという意見の方が実はかなり多いという結果になっています。ただし少数であるはずの反対派の声が大きく、一定の政治的配慮をせざるを得ないというのが現状です」
「岸田首相のメッセージは必ずしも女性天皇の可能性を全面的には排除しておらず、今回予想される国会での決着も、野党などの取り組み次第では、少しでも皇位継承を安定化させる方向に報告書の案を近づけることは可能でしょう。そこで残った課題は、今後さらに議論が進むことに期待したいですね」(高森氏)
【参考記事】女性天皇論を妨げる「保守を掲げながら皇室の将来に責任を負わない人たち」(2/12)
この記事に登場する宮内庁関係者は、女性天皇だった可能性が高い「飯豊天皇」「神功天皇」等にふれ、歴史を深く掘り下げないまま女性天皇の議論を妨げる「保守を掲げながら皇室の将来に責任を負わない人たち」の存在を嘆いています。
◎愛子さま 担当記者は「まさか就職されるとは」と驚き…忘れてはならない“危機”も デイリー新潮 2/12(月) 10:55配信
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/02121045/?all=1
【参考記事】「象徴天皇の未来」Webアンケートは女性天皇支持が約7割(2/11)
朝日新聞デジタルがWebで呼びかけたアンケート結果が出ています。開始直後は「女性天皇支持」が圧倒的でしたが、これに気づいた男系男子派文化人がアンケートへの参加を呼びかけた結果、「男性に限った方がよいい」選択肢が急に伸び始めたという経緯がありました。これまで行われた正規の世論調査では、天皇は男性に限るとする意見は10~20%以下であることがほとんどです。Webアンケートの難しさがうかがえます。
▲朝日新聞デジタル(フォーラム:「象徴」って何だろう)調査結果より一部抜粋
◎(フォーラム)象徴天皇の未来は 朝日新聞 2024年2月11日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S15861428.html
◎「象徴」って何だろう Webアンケートと結果発表
https://www.asahi.com/opinion/forum/194/
■皇位継承めぐる国会質疑(1/31、2/02)
開催中の第213回国会(2024年1/26~6/23)で、皇位継承をめぐる質疑応答が行われました。立憲民主党党首で衆議院議員の泉 健太氏と岸田総理(1月31日)、立憲民主党参議院議員の田島まいこ氏と岸田総理(2月2日)の質疑応答について、当編集部で文字起こしをしたものを掲載します。
実際のやり取りは、国会中継の動画等でご確認下さい。
●衆議院本会議:泉 健太氏と岸田総理(1/31)
<衆議院議員 泉 健太氏の質問>
平成29年の「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する付帯決議」(注1)で、国会が政府に検討を要請したのは、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等についてです。しかし、令和3年12月に出された有識者会議報告書(注2)では、皇族数の確保が喫緊の課題であるとして、皇位継承の問題とは切り離され、悠仁親王殿下の次代以降の皇位の継承について具体的に議論することには現状は機が熟しておらず、かえって皇位継承を不安定化させるとも考えられますと記載されています。
やはり各党が合意をした安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等を先送りせず真正面から議論し、一定の結論を示すことが責任ではありませんか。総理、この点をお答えください。
さらに、総理は自民党総裁選で、女系天皇には反対と述べられました。今もそのお考えですか。あわせて女性天皇についての見解もお聞かせください。
女性宮家の創設については野田内閣のもとで平成24年に提出された皇室制度に関する有識者ヒアリングをふまえた論点整理(注3)では、女性皇族が婚姻後、配偶者や子を皇族とする案も検討されましたが、今回の報告書では、婚姻後も本人のみ皇族、配偶者や子を皇族としない案のみが示されました。総理、これが複数案を比較検討した結論なのか、お答えください。
注1)天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する付帯決議(↓)
注2)「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議 2021(令和3)年12月22日 内閣官房
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/taii_tokurei/index.html
・報告の概要
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/taii_tokurei/pdf/houkoku_gaiyo_20211222.pdf
注3)皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理 2012(平成24)年10月5日 内閣官房
https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12251721/www.kantei.go.jp/jp/singi/koushitsu/pdf/121005koushitsu.pdf
(概要)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/taii_tokurei/dai1/siryou7.pdf
<岸田総理の答弁>
安定的皇位継承についてお訊ねがありました。皇位継承については、有識者会議において、さまざまな分野の方々から幅広く意見を伺って、慎重かつ真剣に議論をした結果として、悠仁親王殿下までの皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないという結論に至ったものと承知をしております。
また、女性皇族の婚姻後の配偶者と子については皇族とする考えも含めて比較検討が行われたものと承知をしております。
そして、政府から報告書を提出し、国会でご議論をいただくという状況の中で、女系天皇女性天皇について私の個人的な考えを今この場で申し上げることは差し控えますが、政府として、有識者会議の報告書を尊重することとして、国会に対して報告を行ったものであり、立法府の総意が早期に取りまとめられるよう、国会において、積極的な議論が行われることを期待しております。(以上)
◎資料:NHK 国会中継「代表質問」~衆議院本会議場から中継~1月31日 午後1:00-午後3:42
https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2024013112976
(配信期限 :2/7(水) 午後3:42 まで)
●参議院本会議:田島まいこ氏と岸田総理(2/02)
<参議院議員 田島まいこ氏の質問>
先日、喜ばしい報道がありました。それは天皇皇后両陛下のご長女、愛子様が大学を卒業され、就職されるというニュースです。能登半島の震災被害で心を痛める中で、愛子様に励まされ、希望を取り戻す国民も決して少なくないのではないでしょうか。
2017年に国会が付帯決議を通じて政府に要請したのは、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等でした。しかし、2021年の有識者会議報告書では、それが皇族数の確保に変わりました。総理に伺います。
政府の報告書では、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する一方で、配偶者の男は一般国民のままとする案が示されました。国民統合の象徴であり、国政上の権能を有さない天皇・皇室の憲法上の地位とその皇室を構成する女性皇族が、参政権を含め国民としての自由権利を保障される配偶者および子と、ひとつの世帯を営むということは、はたして整合性をもちえるのか、見解を伺います。
くわえて総理は、2021年の総裁選を含めSNS等でも、皇室の歴史や伝統、そして国民の皇室に対する見方などを考えれば、女系天皇は考えるべきではありませんと述べられています。総理が指摘される皇室の歴史の中で、男系男子の天皇はいつからの伝統なのか、総理のご見解をお願いします。
<岸田総理の答弁>
安定的な皇位継承に関する政府の報告内容についてお訊ねがありました。女性皇族の婚姻後の配偶者と子については有識者会議において、ご指摘のような点もふまえつつ、皇族とする考え方も含めて比較検討が行われたうえで、皇族という特別の身分を有しないこととする考え方が示されたものと承知をしております。政府としては、こうした有識者会議の報告書を尊重しているところであります。
また、わが国の皇位継承については、男系継承が、古来、例外なく維持されてきたところであります。(以上)
資料:国会中継「代表質問」~参議院本会議場から中継~2/2(金) 午後1:00-午後4:24
https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2024020214403
(配信期限 :2/9(金) 午後4:23 まで)
【参考記事】女性・女系天皇を認めるべき(園部逸夫・元最高裁判事)
小泉純一郎首相の私的諮問機関として設置された「皇室典範に関する有識者会議」(2005年)で、座長代理を務めた園部逸夫・元最高裁判事(94)は「皇位の安定的継承が危機にさらされ続けている」と指摘し、「皇室制度の安定的継承のためには、直系を維持することが重要。女性天皇、女系天皇を認めなければいけない」と話す。
◎園部逸夫・元最高裁判事「女性、女系天皇を認めるべき」 皇室典範改正、進まぬ議論に提言
弁護士ドットコムニュース 2023/10/30(月) 10:48配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/acaddbc405c7c1bb7e6cd80f461fe388fcae4bf1?source=sns&dv=sp&mid=other&date=20240202&ctg=dom&bt=tw_up
【参考記事】女性・女系天皇を認めるか男系男子にこだわり続けるか分岐点(菅野志桜里・元衆議院議員/弁護士)
2024年の日本を占う上で重要な争点となりそうなのが皇室改革。スムーズな皇位継承や皇室の維持を図るため、女性宮家、女性天皇、女系天皇といった議論を進めることが喫緊の課題となっている。元衆議院議員で弁護士の菅野志桜里氏は、2024年の皇室について予測する。
◎菅野志桜里氏が予測する2024年の皇室 「女性天皇」や「女系天皇」を認めるか、男系男子にこだわり続けるかの分岐点
女性セブン2024年1月4・11日号 2024.01.02 07:00
https://www.news-postseven.com/archives/20240102_1929576.html?DETAIL
2024/06/11 共同通信
https://news.yahoo.co.jp/articles/c31b75e3e008ac203cb79105ec978be030d92529
衆参両院は、各党派で協議する皇族数確保策を巡り、23日に会期末を迎える今国会中の意見集約を断念した。額賀福志郎衆院議長は立法府の総意を取りまとめたいとして今国会中を目標に掲げたが、自民党と立憲民主党は女性皇族が婚姻した場合の身分付与の範囲といった個別論点で溝が埋まる見通しが立たず、早期の集約は困難となった。複数の関係者が11日、明らかにした。
衆参両院の13党派が参加した代表者会議は5月に2回開かれた。当初は毎週開催する方針だった。国会の審議日程が窮屈なことを理由に各党派への個別聴取に切り替えたものの、聴取は進んでいなかった。今週後半に始める方向で調整しており、終わらない場合は閉会中も継続を検討する。
約2年4カ月ぶりの開催となった5月の代表者会議では、政府の有識者会議が2021年に皇族数確保策として答申した(1)女性皇族が婚姻後も皇族の身分保持(2)養子縁組による旧皇族男系男子の皇族復帰―の主要2案が中心テーマとなった。自民、公明党などは2案を評価する立場を取った。
※共同通信のURLにはどうやらNGワード(?)が入っているらしく、これを記載するとコメント投稿ができなくなってしまうので、今回だけはヤフーニュースのURLを記載しております。ご了承くださいませ。
2024/05/24 9:00 プレジデントオンライン
https://president.jp/articles/-/81820
今国会では、20年以上も停滞していた、安定的な皇位継承の在り方の議論が本格化しそうだ。神道学者で皇室研究家の高森明勅さんは「先日の共同通信社の世論調査では、90%が『女性天皇』を認めると回答している。政府・国会は、こうした『国民の総意』を無視した案を軸に検討を進めようとしており、中でも『旧宮家養子縁組プラン』は、憲法違反になる可能性があるばかりでなく、皇統の断絶や王朝交替の危険性も秘めている」という――。
◇90%が「『女性天皇』認める」
去る4月28日、共同通信社が皇位継承問題をめぐる世論調査の結果を発表した。
国会において「立法府の総意」を取りまとめる各党の協議がまさに始められようとするタイミングで発表された調査結果は、注目すべき内容だった。
この調査は郵送によるもので、回答者自身がわざわざ返送した。その手間を考えると、皇室というテーマについてある程度、関心を持つ人が多く加わっている可能性も想定できる(返送総数2061、代理回答などを除き有効数1966、全体の回収率65.5%)。
皇位継承問題における最大の焦点というべき「女性天皇」についての結果はどうだったか。
「あなたは、女性皇族も皇位を継ぐ『女性天皇』を認めることに賛成ですか、反対ですか」という質問への回答は、「賛成」(52%)「どちらかといえば賛成」(38%)の合計がピッタリ90%だった。これは極めて高い比率だ。
「どちらかといえば反対」(6%)「反対」(3%)の合計はわずか9%。1ケタにとどまった(無回答が1%)。
一般的に世論調査において、特定のテーマへの回答で100%賛成とか反対という数字はあり得ない。もし80%を超えたら驚異的に高い比率といえるだろう。ところが、女性天皇を認めることへの賛成は、多少の温度差があっても90%が賛成という結果だ。これはもうほとんど「国民の総意」と表現しても、決して言い過ぎではないだろう。
政府・国会としても、明白な「国民の総意」を無視することは許されないのではないか。
◇時代遅れな男尊女卑のルールへの拒否感
これまでも、各種の世論調査で女性天皇を認めることへの賛成は7〜8割、またはそれ以上という比率が多く見られる。したがって、女性天皇を認めることは、大衆の気まぐれとか一時的なブームなどという見方は、当たらない。
なお、女性天皇に賛成した人たちに対して賛成の最大の理由を尋ねた回答は、「天皇の役割に男女は関係ないから」が50%、「過去には女性天皇がおり、海外には女性国王がいるから」27%、「男性に限る制度では、安定的な皇位継承はできないから」19%……という結果だった。
さらに、詳しく「女系」という概念の説明をした上で、「女系天皇」(※)によっての賛否を問うたところ、「賛成」(38%)、「どちらといえば賛成」(46%)の合計84%に対して、「どちらかといえば反対」(9%)「反対」(5%)が合計14%だった。
※女系天皇:母親が天皇だったり母方だけに天皇の血筋を持つ天皇のこと。たとえば敬宮殿下が即位される場合は、天皇陛下の血統に基づくので、「男系の女性天皇」となり、次にもし敬宮殿下のお子様が皇位を受け継がれるとしたら、その方は女性天皇である母親の血筋によって即位されるから、ご本人の性別に関係なく「女系の天皇」ということになる。
令和の皇室で「女性天皇」について問えば、多くの人はごく自然に敬宮としのみや(愛子内親王)殿下のご即位(いわゆる「愛子天皇」)の可能性を思い浮かべるだろう。
天皇・皇后両陛下は常に国民に寄り添って下さり、幅広い人々から敬愛の念を集めておられる。その両陛下のたったお一方の「皇女」でいらっしゃり、高貴かつお優しさにあふれた魅力によって、ますます国民の関心と好感度が高まる敬宮殿下。
その敬宮殿下が、ただ「女性だから」という“だけ”の理由で、皇位継承資格が認められない。
そんな明らかに時代遅れな男尊女卑のルールに対して、圧倒的多数の国民が拒否感を抱いている事実が、今回の調査で明らかになった。
◇「旧宮家養子縁組に反対」は74%
一方、すでに一般国民として80年近く生活してきた旧宮家系子孫男性を、皇族との養子縁組によって新しく皇族に加えるというプランも、政治の場では検討されている。
このプランは人々にどのように受け取られているか。調査結果はおよそ想定通りだった。
「どちらかといえば反対」(55%)「反対」(19%)が合計74%、「賛成」(7%)「どちらかといえば賛成」(18%)が合計25%。
しかも興味深いことに、「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答した人たちの中でさえ、最大の賛成理由として皇位継承資格の「男系男子」限定という「伝統」(?)を「守る必要があるから」と答えたのは、ごく少数だった。わずか21%という低さだ。全体の25%しかなかった「賛成」のうちのさらに21%。ということは全体では5.25%にすぎない。
現代の普通の感覚をもつ日本人にとって、明治の皇室典範で初めて採用された「男系男子」限定という側室制度と“セット”だった不合理なルールは、さすがに受け入れられないことが分かる。
◇「旧宮家養子縁組プラン」は継承安定化につながらない
旧宮家養子縁組プランへの賛成の理由で最も多かったのは、「皇位継承資格者が増え、皇室の安定につながるから」というものだった(賛成者の63%、全体の15.75%)。しかしこれは、残念ながら誤解にもとづく。
なぜなら一夫一婦制を前提として、側室制度が不在で少子化という条件下では、たとえ複数の養子縁組が実現したと仮定しても、男系男子限定という無理なルールを維持しているかぎり、「皇室の安定につながる」ことはないからだ。
しかも、このプランは憲法上、「国民平等」の別枠とされている天皇・皇族ではなく、一般国民の中から旧宮家という特定の家柄・血筋=門地の人たちだけに、他の国民には禁止されている皇族との養子縁組を例外的・特権的に認めようとするもの。なので、憲法が禁止する「門地による差別」(第14条)に該当する疑いが指摘されている。それに対して、提案者の政府(内閣法制局)はいまだに説得力のある説明ができないままだ。
◇「天皇系図」が一変する可能性も
逆に、同プランへの反対理由で最も多かったのは「女性皇族が天皇に即位できるようにすればよいから」(反対者の60%、全体では44.4%)。
皇室に皇族として生まれ育っておられても、女性だからという理由で皇位継承資格を認めない。そのせいで皇位継承の将来を危うくしておきながら、それを放置したまま民間で一般国民として生まれ育った人を、男性だからという理由で、婚姻も介さないで皇族の身分を与える。
令和の現代にそんな時代錯誤な企てを政治家が画策しても、国民はとても納得できない。そのような国民の意思がよく表れた調査結果といえる。
ここで、旧宮家養子縁組プランの重大な問題点を指摘しておこう。それは将来、万が一にも旧宮家系子孫が天皇として即位するようなことがあった場合、現在の皇統はもはや断絶したと見るほかないだろう、ということだ。それはいわゆる「王朝交替」に当たるのではあるまいか。
旧宮家養子縁組プランの対象とされる賀陽・久邇・東久邇・竹田の4家のうち、誰かが養子として皇族になった場合、その子息が即位したと仮定すると、「天皇系図」はどのように描かれるか。
まったく一変してしまう。
◇これまでの皇室の血筋が途絶えてしまう
まず、第102代・後花園天皇以来、今の天皇陛下に至るこれまでの皇統は途絶える。
それに取って替わるのが、“もう1つの皇統”などといわれる北朝第3代・崇光天皇から栄仁親王(伏見宮第1代)→貞成親王→貞常親王へと受け継がれた伏見宮の系統だ(第2代・治仁王の血筋は受け継がれていない)。
いわゆる旧宮家はすべて旧伏見宮の系統で、広い意味で皇室の血統を引いていても、もはや皇籍離脱して“国民の血筋”になっている。だから、もし旧宮家系の天皇が即位すれば、それは歴史上かつて例を見ない、国民の血筋を引いた(父は元国民からの養子で、祖父母はともに国民という)天皇の登場を意味する。
それまでの皇統から、新しく“旧宮家王朝”に交替するといえば、事態の深刻さが伝わるだろうか。
こんな事態になれば、天皇という地位の権威も正統性も、深いキズを負うだろう。国民の素直な敬愛の気持ちも致命的に損なわれかねない。
◇もし平将門が即位していたら
歴史上の事例で説明すれば分かりやすいかもしれない。
第50代・桓武天皇は平安遷都を行った天皇として広く知られているだろう。その桓武天皇から血縁で5世代離れた子孫に平将門がいる。天皇の男系子孫なので(広義の)「皇統に属する男系の男子」の1人だ。
有名な「平将門の乱」を起こし、“新皇”を自称して関東の独立を企てたとされる。
この人物は、養子縁組プランの対象になる旧宮家子孫のケースと同じく、皇籍を離れてから3代目に当たる。天皇との血縁なら、旧宮家子孫だと22世(!)という遠さになるので、それよりも遥かに“近い”。
それでも、もし平将門が天皇になっていたら、(広義の)「皇統に属する男系の男子」の即位であっても、明らかに王朝交替と見なされたはずだ。
それは同じく天皇の男系の血筋につながる平清盛や源頼朝、足利尊氏など、他の誰でも同様だ。
◇過去には例がない「国民の血筋」の即位
ちなみに歴史上の異例とされる、第59代・宇多天皇が皇籍離脱後わずか3年ほどで、お子様の第60代・醍醐天皇などと一緒に皇籍復帰したケース。この場合はどうか。
両天皇とも「天皇のお子様」(宇多天皇は光孝天皇の子、醍醐天皇は宇多天皇の子)という立場で即位しておられる。なので“国民の血筋”の介在はない。よって当然、王朝交替に当たらない。
また、第26代・継体天皇は応神天皇の5世の子孫とされ、歴代天皇の中で天皇からの血縁が最も遠い。しかし、当時は皇籍離脱の制度がなかった。だから、遠い傍系ながら皇族(当時はまだ「天皇」という称号が未成立なので正確には王族)のお子様として即位したことになる。
つまり国民の血筋は介在せず、これも上記のような王朝交替と見ることはできない(歴史学上の王朝交替説をめぐる詳しい議論については拙著『日本の10大天皇』幻冬舎新書など参照)。
要するに、国民の血筋となった平将門や源頼朝などが即位するような事態は、過去にまったく例がなかった。
しかし、旧宮家養子縁組プランは違う。それが制度化されると、国民の血筋となった旧宮家系子孫男性が今後、即位するかもしれないという危ない話だ。
◇「旧宮家系」は皇統に含まれるのか
政府は「皇統」という概念を広くとらえて、旧宮家系という“国民の血筋”も皇統に含まれる、と拡大的に解釈しているようだ。しかし、先の歴史上の事例からして、そのまま素直に受け入れにくい。
法学的にも皇統について、単に生物的・家系的な血統を意味するだけでなく、現に「皇族(という身分の)範囲内にある」という規範的な要件を外すべきでないとの指摘がある(里見岸雄氏『天皇法の研究』)。
とくに注意すべきは、旧宮家系子孫の当事者自身が以下のように述べている事実だ。
「『皇統』とは法律用語で、『皇統に属する』とは『皇統譜に記載がある』という意味と同一で、すなわち皇族であることと同義語である。……
歴代天皇の男系男子には『皇統に属する男系の男子』と『皇統に属さない男系の男子』の2種類があり、皇位継承権を...
2024年5月21日 06時51分 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/328348
皇族数の確保に関する与野党の協議が始まった=写真。象徴天皇制は国民の理解なしには成立し得ない。世論の動向を踏まえつつ、男女平等など憲法上の原則を十分に踏まえた議論が求められる。
憲法1条は天皇の地位について「主権の存する日本国民の総意に基(もとづ)く」と定める。天皇制の在り方を論ずる場合は、国民の意思を十分に尊重することを前提とすべきだ。少なくとも与党の数の力で、一方的な意見を国民に押し付けてはならない。
与野党協議では、2021年に政府の有識者会議が示した(1)女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する(2)養子縁組で旧皇族の男系男子が皇族復帰する-の2案が議論の軸になる。
秋篠宮家の悠仁さま以降の世代で、皇族数が足りなくなる危機感からの議論とはいえ、この2案はいずれも男系男子による皇位継承を前提にしており、問題点は明らかだ。
(1)では、結婚後の女性皇族の配偶者と子については「皇族の身分を有しないことが考えられる」と同会議の報告書は記す。女系天皇を封じている。
一方、(2)は、1947年に皇籍離脱した旧11宮家の子孫である男系男子を対象とするが今の天皇との男系の共通祖先は約600年前の室町時代まで遡(さかのぼ)る。長く民間人だった人でもある。国民の理解が得られるかは疑問だ。
共同通信の世論調査によると、旧宮家の皇族復帰に「反対」「どちらかといえば反対」は合わせて74%を占める。同調査で注目すべきは、女性天皇を認めることに計90%が賛同していることだ。
その理由についても「天皇の役割に男女は関係ない」(50%)と回答している。女系天皇についても「どちらかといえば」も含めて「賛成」が計84%を占める。この民意は重く受け止めるべきだ。
しかも、2019年の天皇退位特例法の付帯決議で求められたのは、安定的な皇位継承策だ。この問題を先送りし、皇族数に論点をずらしたのは疑問だ。女性・女系天皇案など皇位継承の本論について論議すべき時であろう。
毎日新聞
2024/5/19 17:45(最終更新 5/19 18:37)
https://mainichi.jp/articles/20240519/k00/00m/010/081000c
毎日新聞は18、19の両日、全国世論調査を実施し、女性が天皇になることについて尋ねたところ、賛成が81%に上り、反対は10%にとどまった。現在、皇位を継承できるのは、父方が天皇の血筋を継ぐ男系の男子のみだが、女性天皇を容認する考えは広がっているようだ。
調査は、携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)機能を使う方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせ、携帯543件、固定550件の有効回答を得た。
◎女性天皇の容認上昇、社会の注目の高まりが背景に 毎日新聞世論調査
毎日新聞
2024/5/19 20:42(最終更新 5/19 21:58)
https://mainichi.jp/articles/20240519/k00/00m/040/174000c
毎日新聞が18、19日に実施した全国世論調査は、女性天皇容認が81%に上るなど、女性皇族に対する社会の注目の高まりが読み取れるものになった。
「女性が天皇になること」への賛成は、調査方法が異なるため単純比較はできないが、小泉純一郎政権が女性天皇実現を視野に有識者会議を設置した後の2005年2月調査では87%だった。秋篠宮家の長男悠仁さま(17)が誕生した直後の06年9月調査で72%に下がり、17年4月調査は68%とほぼ横ばいだったが、今回は大幅に増えた。
今回の調査では、政府の有識者会議が21年12月にまとめた報告書で示された皇族数確保策の一つ、女性皇族が結婚後も皇室に残る案(①)への賛成は56%で、過半数となった。
こうした背景には、女性皇族の存在感の高まりがあるとみられる。天皇、皇后両陛下の長女愛子さま(22)は今春、日本赤十字社に就職し、働きながら公務を本格的に始めた。・・・
(以下有料)
2024年05月15日15時27分配信 時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024051500823&g=pol
社民党の福島瑞穂党首は15日の記者会見で、安定的な皇位継承について「女性天皇を認めるべきだ」と述べた。党見解に「男系男子に限る合理的な理由はなく、女性が継承することを制限するべきではない」と盛り込んだことも明らかにした。
福島氏は旧宮家の男系男子が養子として皇籍に復帰する案に関し、「恣意(しい)的に行われる可能性もある。全くの邪道だ」と断じた。
2024年5月13日 世界日報
https://www.worldtimes.co.jp/opinion/editorial/20240513-181253/
皇位継承に関する与野党協議が衆参両院議長の下、今週中にも始まる。「立法府の総意」を取りまとめるには時間を要しようが、重要なことは「男系男子」による継承の原則に沿って協議を進めることだ。安定継承は、皇統を守ってこそ可能となる。
■女系容認へ誘導報道も
政府の有識者会議は2021年末、今上陛下、秋篠宮皇嗣殿下、次世代の皇位継承資格者として悠仁親王殿下がいらっしゃることを前提に「この皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない」との意見で一致し報告書を政府に提出した。皇室典範が定める皇位継承の原則は「皇統に属する男系男子」であり、有識者会議はそれを確認したのだ。
具体的には、皇位継承と皇族数の確保は切り離して考えるべきだとしながら、皇族数確保案として①女性皇族が結婚後も皇室にとどまる②旧宮家の男系男子が養子として皇籍に復帰する──などを示した。
これらに関しては、皇統の断絶を目指す日本共産党は論外にしても、自民、公明、日本維新の会、国民民主の各党は賛意を示している。立憲民主党は論点整理にとどめている。①で重要なことは、女性皇族の配偶者と子供は皇族の身分を持たないことだ。持てば、皇統の断絶を意味する女系天皇の誕生につながる。
意見が分かれるのは「女性宮家」の創設だろう。上皇陛下の退位を可能にした天皇退位特例法(17年)は付帯決議で、退位後速やかに女性宮家の創設など皇位の安定継承について検討し、国会に報告するよう政府に求めているからだ。
有識者会議は、皇位継承の原則を守ることと共に、もう一つ重要な指摘を行っている。「悠仁親王殿下の次代以降の皇位の継承について具体的に議論するには現状は機が熟しておらず、かえって皇位継承を不安定化させる」と述べたことだ。
そこで気になるのは、女系天皇を容認する世論調査を背景に、マスコミによって皇位継承の順位を崩す方向へ誘導報道が行われることだ。朝日新聞は社説(7日付)で「女系天皇を認めてもよい」が74%となった5年前の世論調査を持ち出し、既に決まっている皇位継承順位を「変更するのは現実的ではない」としながらも「しかし、その先も男系男子を墨守するのが『国民の総意』といえるのか、大いに疑問だ」と述べた。暗に女系天皇を認めよ、と言っているのだ。
■認識の深まりを期待
共同通信は4月末、女系天皇に賛成(「どちらかといえば」も含め)84%、女性宮家の創設賛成77%という世論調査結果を公表した。宮家の役割は本来、皇位継承者の確保にある。女性宮家の子孫は皇位継承の資格を得ることになり、女系天皇の誕生につながるため、われわれは創設にも明確に反対する。
民主主義において世論は重要だ。だが、女系天皇や女性宮家が何を意味するのか。皇室を軽視してきた戦後教育の中で、国民にこれらの認識が十分行き渡っているとは思えない。女性天皇と女系天皇の違いが分からない人も少なくないのである。皇位継承を巡る国会論議を通じ、皇統を守る意義について国民の認識が深まることを期待したい。
◎世界日報Xアカウント
https://twitter.com/TheSekainippo
2024.04.30 船田元マイオピニオン - my opinion -
https://funada.org/funadapress/2024/04/30/%e7%9a%87%e4%bd%8d%e7%b6%99%e6%89%bf%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6-2/
自民党の安定的な皇位継承の確保に関する懇談会は4月15日、4回目の会合を開いた。これまでの議論で、政府有識者会議が令和3年に提示した
(1)内親王・女王が婚姻後も皇室の身分を保持する。
(2)皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする。
という2案について、概ね妥当との判断を下した。
今回の有識者・自民党の案は、皇族の数を如何に増やすかを議論の前提としているが、将来の皇室の姿を推定するとき、これらの案にはいくつかの矛盾が指摘される。
(1)はいわゆる女性宮家の創設だが、皇室の諸行事や国事行為や公的行為の負担を、内親王間で分担・軽減することには役立つが、一般の男子との婚姻により生まれた子は女系天皇となり、これを認めないことや皇族として認めないならば、皇位継承の安定確保には直結しない。
(2)は旧宮家を一部復活させるということだが、戦後GHQにより廃止された旧11宮家のルーツは伏見宮家であり、現天皇ご一家とは男系の血縁としては、600年前に分かれている。600年前の男系という細い糸を、無理やり現在に手繰り寄せることとなり、果たして多くの国民の賛同が得られるのか、「国民統合の象徴」「国民の総意」として認められるのか、甚だ心許ない。
確かに明治天皇は、4人の内親王を朝香宮家、東久邇宮家、竹田宮家、北白川宮家に嫁がせて、天皇家と宮家の血縁関係を強くされているが、それにより誕生した男子を天皇にしても、それはやはり女系天皇となる。
皇室典範第一条は「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」として、「男系男子」を頑なに守ろうとしているが、とても窮屈な議論に陥ってしまい、国民の常識からは益々離れていってしまうのではないか。安定的な皇位継承を議論する有識者会議や自民党の懇談会は、男系の男性天皇だけでなく、男系の女性天皇、女系の男性天皇、女系の女性天皇の可能性を排除せず、恒久的な皇位継承の安定化につなげるべきである。
さらに日本国憲法第一条の「その地位は主権の存する国民の総意による」は、当時の日本国民のそれなのか、占領軍GHQの総意なのか、意見の分かれるところだが、今に生きる憲法であれば、現在の国民の総意に基づく天皇でなければならないはずだ。
最近の世論調査では、女性天皇の誕生を望む声が8割にも届こうとしている。さらに男系の女性天皇を望む声は76%、女系の女性天皇を望む声は74%(朝日新聞デジタルより)で、両者の違いがわかった上での回答なのかは疑問だが、いずれにしても現在の国民の総意は、女性天皇の誕生に傾いているのではないか。
4/26(金) 6:17配信 プレジデントオンライン
https://president.jp/articles/-/80731
天皇・皇后両陛下の長女愛子さまが、この春大学を卒業し、日本赤十字社に就職された。神道学者で皇室研究家の高森明勅さんは「敬宮殿下への国民の注目、好感度がますます高まっている一方で、国会では将来の安定的な皇位継承とはまったく無縁な、目先の皇族数の減少を抑えるだけの、後ろ向きで疑問だらけの2案を進めようとしている。国民が敬宮殿下に寄せる期待の高まりと、国民の代表機関であるはずの国会の空気感との隔絶に、目がくらみそうだ」という――。
■高まる愛子さまへの好感度
このところ、天皇・皇后両陛下のご長女、敬宮(としのみや)(愛子内親王)殿下への国民の注目、好感度はますます高まっている。
敬宮殿下はこの春、学習院大学のご卒業と日本赤十字社への常勤の嘱託職員としてのご就職という、人生の大切な節目を迎えられた。これにともない、3月26日・27日に三重・奈良両県を訪れ、皇室の祖先神・天照大神を祀(まつ)る伊勢の神宮と初代の天皇とされる神武天皇の御陵に参拝された。
この時、現地では多くの人たちが詰めかけて殿下のお出ましを歓迎した。そこに集まった人々の表情は笑顔に満ち、あたかも「皇太子」をお迎えしたかのような盛り上がりだった。
2日目に奈良県にお移りになる前には、皇女などが天照大神にお仕えした“斎王”の歴史をたどる「斎宮歴史博物館」と「いつきのみや歴史体験館」にも立ち寄られている。これは、ご自身が令和におけるただお一方だけの「皇女」でいらっしゃることへの深いご自覚から、とくに希望されたコースだろう。
さらに4月10日にも、明治天皇の皇后でいらした昭憲皇太后の「百十年祭」に当たり、穏やかな春の日差しの中、明治天皇とともに昭憲皇太后をお祀りする明治神宮にお参りになられた。ここでも多くの人たちが殿下をお迎えした。
人々の前にお姿を現された敬宮殿下は、高貴かつ優美で、しかも親しみにあふれておられた。国民の間に、敬宮殿下への尊敬と共感の輪が広がるのは、自然なことだろう。
先頃、宮内庁が始めたインスタグラムも、たちまち100万人を超えるフォロワーを獲得した。これは宮内庁当局の予想以上の数字だった。その背景の一つに、敬宮殿下への関心の高さという要素も間違いなくあるはずだ。
■誠実さとユーモアにあふれた記者会見
敬宮殿下はご成年を迎えられた時の記者会見で、国民に強い印象を与えられた。
品格と知性を兼ね備え、手元に用意された原稿に目を落とすことなく、ずっと記者の顔を見ながら答え続けられる誠実さと、温かみが伝わるユーモアに魅了された人も、少なくなかっただろう。
少しでも国民の自由に近い青春の日々を過ごせる、大学院へのご進学や海外へのご留学などが予想されていた中で、ためらいなく日赤へのご就職という選択をされたことも、人々を驚かせた。
■公務と仕事の両立
大学ご卒業に際しての宮内記者会の質問への文書回答の締めくくりでは、以下のように述べておられた。
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「皇族としての務めを果たしながら、社会人としての自覚と責任を持って、少しでも社会のお役に立てるよう、公務と仕事の両立に努めていきたいと思っております」
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普通なら、仕事と個人的な趣味や娯楽などとのバランス、「両立」を図るのではないだろうか。ところが、敬宮殿下は「公務と仕事の両立に努めていきたい」とおっしゃっている。いかに皇族とはいえ、あまりにも「無私」なご決意ではあるまいか。
実際に4月10日は、午前に明治神宮へのご参拝という皇族としての“お務め”を果たされた上で、午後には日赤の“お仕事”に駆けつけておられた。
■「困難な道を歩む方々に心を寄せる」
敬宮殿下は日赤ご就職に際しての文書回答も公表されている。そこには、殿下ご自身の「皇室」観も率直に表明されていた。
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「私は、天皇皇后両陛下を始め、皇室の皆様が、国民に寄り添われながら御公務に取り組んでいらっしゃるお姿をこれまでおそばで拝見しながら、皇室の役目の基本は『国民と苦楽を共にしながら務めを果たす』ことであり、それはすなわち『困難な道を歩まれている方々に心を寄せる』ことでもあると認識するに至りました」
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天皇陛下が上皇陛下から受け継がれた天皇・皇室の「役目」の核心が、端的に示されている。しかも、それだけにとどまらず、「困難な道を歩まれている方々に心を寄せる」というさらに踏み込んだ、殿下が自らつかみ取られた“核心中の核心”ともいうべきポイントが、独自の表現で述べられていた。
まだお若いご年齢で、自らの問題意識に即して、ここまで皇室が果たすべき役割の本質に迫っておられる事実に、驚く。まさに天皇・皇后両陛下のもとにお生まれになり、天皇・皇后両陛下のもとで育ってこられた直系の皇女、敬宮殿下ならではの深いご洞察と言うべきだろうか。そこには、平成時代にいわゆる雅子妃バッシングが苛酷を極め、ご家族が「困難な道を歩ま」ざるをえなかった頃のご自身のお辛いご経験も、しっかりと踏まえられているだろう。
■かつての上皇陛下のご発言(略)
■女性天皇・女系天皇を認めても「皇室の伝統」は守られる
この年の天皇誕生日の1カ月ほど前に、小泉純一郎内閣に設けられた有識者会議が報告書を提出していた。そこには、すでに側室制度があり得ない時代になっており、また少子化という現実もある中で、皇位の継承資格を「男系男子」に縛るというルールをいつまでも維持していては、今後たとえ皇室に男子が生まれても安定的な皇位継承は望めないので、女性天皇・女系天皇も認めるルールへの変更が「不可欠」であると明言されていた。
これを受けて、当時の宮内記者会は「(それが実現すれば)皇室の伝統の一大転換となります」と(勝手に)決めつけた上で、「皇室の伝統とその将来についてどのようにお考えになっているか」を尋ねた。それへのご回答として、憲法上の制約に配慮して政治的な問題は慎重に避けながら、「皇室の中で女性が果たしてきた役割については私は有形無形に大きなものがあったのではないかと思います」とされた上で、先のように述べられたのであった。
これは、「皇室の伝統」はとっくに過去のものになった側室制度がなければ維持できない“男系男子”継承などではなく、「国民と苦楽を共にする」という“在り方”に他ならない、というメッセージだったと理解できる。言い換えると、そのような在り方、その精神が揺るぎなく受け継がれるならば、女性天皇・女系天皇を認めても「皇室の伝統」は立派に守られる、というお考えを示されたことになる。
■「直系優先」が維持されれば次の天皇は愛子さまに
そのような文脈での上皇陛下のおことばを、他でもない敬宮殿下ご自身が真正面から受け止めていらっしゃる事実は、重い。上皇陛下がおっしゃった「皇室の伝統」を受け継ぐご覚悟を、自ら示されたものと拝察できる。
もし国会で「女性天皇」を認める皇室典範の改正がなされ、これまで通り「直系優先」の原則が維持されれば、次の天皇には敬宮殿下が即位されることになる。それは、国民の間に高まっている願いとまさに合致するのではないだろうか。
そのような国民の素直な気持ちを、大衆の気まぐれとか一時的なブームなどと、上から目線で軽んじるのはいただけない。天皇陛下のお子様が即位されることは「世襲制」のもとでは当たり前だ。にもかかわらず、ただ「女性だから」というだけの理由で即位の可能性を排除している今のルールの方が、時代錯誤であり異常だろう。
■対照的な国会の寒々しい光景
ところが、ここで視線を国会に向けると、そこには寒々しい光景しか目に入ってこない。
皇位継承問題は、6月23日まで開かれる予定の今の国会中に、一定の決着を見る可能性が浮上している。だがその中身は、将来の安定的な皇位継承とはまったく無縁な、目先の皇族数の減少を抑えるだけの、後ろ向きな方策にすぎない。
■国会で協議されようとしている2案
具体的には「女性天皇」という選択肢をあらかじめ除外した上で、以下の2案を軸にほぼ各党が足並みを揃えそうな形勢だ。
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①これまでは、内親王・女王が国民男性と結婚されると皇族の身分を離れ、国民の仲間入りをされるルールだった(皇室典範第12条)。だがそれをそのまま維持すると、皇室にはやがて秋篠宮家のご長男、悠仁親王殿下お一方だけが残られることになる。
そこで、それらの方々がご結婚後も皇籍にとどまられるルールに変更する。しかし、配偶者とお子様は国民という位置づけになる。
②これまで天皇・皇族は養子縁組が禁止されている(皇室典範第9条)。それを変更して、皇室から遥かに離れながらも血筋のつながった国民(皇統に属する男系の男子)は意外と多く実在するが、その中から遠く80年近くも前(昭和22年[1947年])に皇籍を離れた旧11宮家の男系子孫の男性に限り、現在の皇族との養子縁組によって皇籍を取得できるようにする。その場合、国民が違和感を抱く可能性を考慮して、養子本人は皇位継承資格を持たない。
ただし、かつて11あった旧宮家の多くはすでに廃絶したり、養子縁組の対象になり得る男子がいなかったりするので、年齢的な条件も考えると実際に制度の適用を受ける人物はかなり絞られる。
----------
率直に言って、①②とも制度化するには疑問点が多い。
■どちらの案も疑問だらけ
まず①は、憲法上「日本国の象徴」「日本国民統合の象徴」であり(第1条)、「国政に関する権能を有しない」とされる(第4条)天皇を中心とする「皇室」を支える内親王・女王が、国民として幅広い自由と権利が憲法によって保障される配偶者やお子様と“一つの世帯”を営むというプランだ。しかし、およそ無理で無茶な制度ではないか。
もし配偶者やお子様が、国民として認められる政治活動・宗教活動・経済活動などの自由を100%行使した場合、どうなるか。
家族は一体と見られるのを避けにくい。だから、それは内親王・女王ご自身の行動に近いものとして、人々に受け取られるだろう。そうすると、公正・中立であり政治に関与しないことを求められる皇室のお立場と、明らかに抵触する。
逆に内親王・女王に配慮して、配偶者やお子様に本来なら保障されるはずの自由や権利が、制度上の根拠がない「無言の圧力」によって抑圧されることも、望ましくないだろう。
②は、もともと憲法上“別枠”とされている天皇・皇族ではなく、平等であるべき「国民」の中から特定の血筋・家柄=門地の者だけが、他の国民には禁止されている皇族との養子縁組を例外的・特権的に認められるプランだ。そのため国民平等の原則に反し、憲法が禁止する「門地による差別」(第14条)に当たるという疑念が示されている。これに対して、内閣法制局も残念ながら説得力のある説明ができていない(令和5年[2023年]11月15日・17日、衆院内閣委員会)。
さらに自ら「養子」になろうとする国民や、養子を受け入れて「養親」になる皇族が実際に現れるかも、不透明だ。
■悠仁さまのご結婚のハードルが高くなる
(中略)
・・・もともと「天皇制打倒」を唱えていた共産党が女性天皇・女系天皇を主張しているのを除くと、かろうじて立憲民主党が①だけでなく、配偶者やお子様にも皇籍を認める方策、いわゆる「女性宮家」も検討すべきことを提唱しているというのが、国会の現状だ。
同党の野田佳彦元首相は次のように述べている。
----------
「私も“愛子天皇”は、今後も選択肢の一つであってほしいと思っています。...
(更に続き)
陛下は(20)19年5月に即位された。5年間で評価する活動(二つまで回答)は「国際親善」が53%、「国民との触れ合い」が42%の順だった。
皇室への関心は「大いにある」「ある程度ある」が計67%。天皇制については「あった方がよい」が「どちらかといえば」を含め88%だった。
その有料部分をSNSで上げてくださった方がいらしたので、内容をこちらに転記させていただきます。むしろこちらの方が重要な内容ではないでしょうか?
(続き)
皇族以外の男性と結婚して生まれた子が皇位を継ぐ「女系天皇」は「賛成」「どちらかといえば賛成」が計84%だった。
戦後間もなく皇室を離れた旧宮家の男性子孫を皇族にし「男系・男子」の天皇を維持する考えには、計74%が「反対」「どちらかといえば反対」とした。
女性皇族が結婚後も皇室にとどまって活動する「女性宮家」の創設は計77%が賛意を示した。
2024年4月28日 05時13分 共同通信・東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/324004
共同通信社は27日、天皇陛下の即位5年を前に皇室に関する全国郵送世論調査の結果をまとめた。皇位継承の安定性について「危機感を感じる」が「ある程度」を含め72%に上った。女性天皇を認めることは計90%が賛同した。2021年に政府が継承制度の検討を先送りした判断に対し「支持する」は52%、「支持しない」は46%で賛否が拮抗した。
天皇陛下より若い世代の皇位継承資格者は秋篠宮家の長男悠仁さま(17)だけとなっている。継承策の議論をどうするのが望ましいか聞いたところ、「現時点から早急に検討するべきだ」が35%で最多だった。ただ「将来にわたり慎重に検討するべきだ」が26%、「悠仁さまの状況を見ながら検討するべきだ」が19%となり、国民の間で考え方が割れている状況が明らかになった。
女性天皇に賛成の理由は「天皇の役割に男女は関係ない」が最も多く50%。反対理由は「男性が皇位を継承するのが日本の文化にかなっている」が45%で最多。
2024/04/23 FNN
https://www.youtube.com/watch?v=9HdMDc3LMP4
天皇皇后両陛下が主催される「春の園遊会」が赤坂御苑で開かれ、長女の愛子さまが初めて出席されました。
15年ぶりに再会した大物俳優の北大路欣也さんとは、どんなやり取りがあったのでしょうか。
♪愛子さま 初めての園遊会 淡いピンクのスーツ姿で笑顔のご歓談も
2024/04/23 テレ朝
https://www.youtube.com/watch?v=toND1bK_Avc
天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが春の園遊会に初めて出席されました。招待客とどんな話をされたのでしょうか。
♪春の園遊会 愛子さまが初出席
2024/4/23 16:21 MAINICHI PHOTOGRAPHY
https://mainichi.jp/graphs/20240423/mpj/00m/040/105000f/20240423mpj00m040101000p
(お写真多数あります)
♪愛子さま 春の園遊会に初出席 可憐な装いでにこやかに言葉を交わされる
2024/04/23 13:42 テレ朝
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/photos/900002249.html
(お写真多数あります)
♪園遊会に愛子さまが初出席 天皇陛下「復興が進むことを心から願う」
2024年4月23日 19時19分 朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASS4R358ZS4RUTIL00XM.html?iref=pc_photo_gallery_bottom
(朝日にしては珍しく、他の宮家の皆様のお写真もあります)
2024/04/23 TBS
https://www.youtube.com/watch?v=kB0TCvwKgzk
天皇皇后両陛下の主催で開かれる春の園遊会の最新映像をお送りします。
園遊会は毎年春と秋の2回、東京・港区の赤坂御苑で開催され、オリンピックの金メダリストなど各界で功績のあった人らが招待されます。今回は、コロナ禍以降初めて出席者にマスクの着用を求めず、軽食も提供されます。
♪愛子さま“さくら色コーデ”で園遊会デビュー 皇后さまは「仕事ではとてもいい方に囲まれて」声弾ませる 約1350人出席「春の園遊会」
2024/04/23 TBS
https://www.youtube.com/watch?v=r2cGZIevnZc
天皇皇后両陛下が主催する「春の園遊会」に、両陛下の長女・愛子さまが初めて出席されました。皇后さまが愛子さまについて、「仕事ではとてもいいかたに囲まれて」と、声を弾ませる場面もありました。
きょう(23日)午後、赤坂御苑で開催された「春の園遊会」。きょうが“園遊会デビュー”となった愛子さまは、「さくら色」一色のコーディネート。
秋篠宮家の次女・佳子さまと並び、落ち着いた表情で演奏に耳を傾けられていました。
きょうの園遊会、出席したのは1400人あまり。食事の提供も5年半ぶりに再開され、華やかな催しとなりました。
こちらは、俳優の北大路欣也さん。
俳優 北大路欣也さん
「お誕生日が一緒なので頑張っております」
実は、北大路さんは陛下と同じ2月23日生まれ。去年「文化功労者」にも選ばれ、皇居に招かれていました。
陛下
「本当、長年にわたり文化芸術に」
俳優 北大路欣也さん
「ありがとうございます、ありがとうございます」
そして、初めての園遊会となった愛子さまは、にこやかな表情で懇談。愛子さまは多くの招待者らとどんな言葉を交わされたのでしょうか。
小雨も降った「春の園遊会」。懇談が始まるころには、その雨も上がりました。
こちらは、能登半島地震で被災した石川県の県議会議長を務める善田さん。
石川県議会 善田善彦 議長
「天皇皇后両陛下には2度も能登にお越しいただきまして、本当にありがとうございます」
両陛下は3月と4月に2度被災地を訪れ、避難生活を続ける人たちへ労いの言葉をかけられています。
陛下
「色々大変だと思いますけど、お体に気をつけて。復興が順調に進みますことを心から願っております」
皇后さまは、俳優の北大路欣也さんとの懇談の際、社会人になったばかりの愛子さまの話題になると、声を弾ませました。
皇后さま
「(愛子さまは)仕事では周りの方、とても良い方に囲まれて、とても楽しく」
俳優 北大路欣也さん
「そういう出会いというものは一番大切ですからね」
園遊会のあと、北大路さんは。
俳優 北大路欣也さん
「皇后さまから、愛子さまが新しく働く場所でいろいろ素晴らしい方々と出会って、大変喜んでいたというお話を伺ったもので、そのことを愛子さまに言ったら、(愛子さまは)『そうなんです』と、『良いスタッフの方々と一緒に、これから頑張っていきたい』とおっしゃっていた。やっぱり仕事ってのはそういう素晴らしいスタッフの人に支えられているから、(自分も)81歳まで頑張れるわけですよ。どの仕事であろうと、出会いというのが大事だなと」
そして、漫画家の里中さんは愛子さまの印象について。
漫画家 里中満智子さん
「花のような方といいますか、なんて素敵な方かなと思いました」
愛子さまは、今後も仕事と公務との両立に努められます。
♪愛子さま 春の園遊会に初出席 可憐な装いで にこやかに言葉を交わされる
2024/04/23 テレ朝
https://www.youtube.com/watch?v=GJrWZORhPK4
天皇皇后両陛下の主催で赤坂御苑で開かれた「春の園遊会」に長女・愛子さまが初めて出席されました。
「春の園遊会」は23日午後、赤坂御苑で開かれました。
天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが園遊会に出席されるのは初めてです。
園遊会には、地方自治体の職員や各分野の功績者とその配偶者らが招待され、およそ1500人が出席する予定です。
両陛下は俳優の北大路欣也さんや漫画家の里中満智子さんらの招待客に声掛けされる予定で、愛子さまも続きます。
今回の園遊会からコロナ禍以降、初めて、マスクの着用は求めず、軽食が提供されることになりました。
献立はサンドイッチやちまき鮨、海苔巻に加えて、御料牧場のハムやチーズなどとなっています。
今月1日に日本赤十字社に入社した愛子さまは事業局の青少年・ボランティア課に配属され、側近によりますと、グループや個人による赤十字のボランティア活動について、ウェブ上などで閲覧することができる情報誌の編集を担当されているということです。
2024年4月23日 19時40分 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240423/k10014430721000.html
春の園遊会が開かれ、俳優の北大路欣也さんなど招待されたおよそ1400人が天皇皇后両陛下や皇族方と和やかなひとときを過ごしました。
園遊会は両陛下の主催で春と秋の2回東京・港区の赤坂御苑で開かれていて、両陛下の長女の愛子さまも初めて出席されました。
5年ぶりに開かれた去年の春と秋の園遊会では、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて会場内での食事やアルコールの提供は控えられましたが、今回からサンドイッチやオードブルなどの軽食の提供が再開され、両陛下や皇族方は庭園を回って招待された人たちと和やかにことばを交わされました。
このうち時代劇を中心に数多くの映画やテレビドラマに出演している俳優の北大路欣也さんには、天皇陛下が「本当に長年にわたり、芸術に大変尽力されておられますね」などとことばをかけられました。
北大路さんは天皇陛下と同じ2月23日生まれで、「誕生日が一緒なので、頑張っています」と話すと、両陛下は笑顔を見せられていました。
グラフィックデザインから絵画まで幅広く手がける現代美術家の横尾忠則さんとの懇談では、飼っていた猫を描いた横尾さんの作品に関するやりとりの中で、皇后さまがバッグからお住まいで飼っていた猫の写真を取り出して示しながら話される場面がありました。
皇后さまが「この子野良猫で、うちで保護しまして」などとことばをかけられると、横尾さんは「うちも野良は1匹だけいます」と応じ、「きょうはこんなお写真を見せていただけると思っていなかったので、大変うれしく思いました」と話していました。
また、日本サッカー協会と日本バスケットボール協会で会長を務めた川淵三郎さんは、天皇陛下が「サッカーにしてもバスケットボールも日本選手が海外で活躍を」とことばをかけられると「国内だけでは限界がありますから、海外に出てどれだけ活躍できるか、それが日本代表の実力をレベルアップさせるんです」などと答えていました。
出席した人たちは時折小雨が降る中、庭園を散策して記念写真を撮るなどして、和やかなひとときを楽しんでいました。
◇北大路欣也さん「大変うれしく思いました」
俳優の北大路欣也さんは天皇皇后両陛下との懇談を振り返って「40年以上前の学校の先生をやった私のドラマを『見ていましたよ』とおっしゃって、びっくりしました。楽しんでいただいたんだなと、大変うれしく思いました。本当にびっくりするような作品まで見ていただいて、自分の前向きな姿勢をとても支えて下さって、『その前向きな心で頑張ってね』というふうにおっしゃっていたので、『頑張ります』と答えました」と話していました。
今回初めて出席された愛子さまとは15年前、吹き替えを担当した映画の試写会で会ったことがあるということで「愛子さまに『覚えていらしゃいますか』と申し上げると、『当然覚えています。とてもいい映画でした』とおっしゃられて、とても感動しました」と話していました。
そのうえで「愛子さまが初めて参加される園遊会に自分も参加できて、この出会いに感謝します。15年前の愛子さまも存じ上げていますけれども、いろいろ勉強されてこれから新しい世界に向かっていく時期に園遊会でお会いできて、本当に幸せです」と話していました。
◇川淵三郎さん「試合見に来てくださいとお願いしました」
元日本サッカー協会会長の川淵三郎さんは懇談のあと報道陣の取材に応じ「愛子さまがサッカーが好きだというのが、きょうの大収穫です。ロシアワールドカップをすごく応援していただいたというのを聞いて、心からうれしく思いましたし、これからもっと好きになってもらいたいなと思いました」と話しました。
そのうえで「ぜひサッカーの試合を見に来てください、宮内庁が許可してくれないでしょうかと言ったら、愛子さまが『いや、そのお誘いは1回もありません』と話されたので、これを機会にお誘いさせていただきます、おもしろそうな国際試合の時にサッカー協会の方からご招待しますので、ぜひ国立競技場に見に来てくださいとお願いしました」と話していました。
2024/04/23 日テレ
https://www.youtube.com/watch?v=_Wd51JBNoyQ
天皇皇后両陛下主催の「春の園遊会」に長女の愛子さまが初めて出席されることが発表されました。
宮内庁は、天皇皇后両陛下の長女、愛子さまが今月23日に行われる園遊会に出席されると発表しました。
愛子さまが園遊会に臨まれるのは、初めてです。
両陛下主催の園遊会は、春と秋の年に2回、赤坂御苑で開かれ、令和になってからの開催は3回目となります。
今回は、文化功労者に選ばれた俳優の北大路欣也さんやJリーグ創設などに尽力し文化勲章を受章した元日本サッカー協会会長の川淵三郎さんなど、去年より500人程度多いおよそ1700人が招かれています。
今月日本赤十字社に就職した愛子さまは毎日出勤していて、今後、仕事と皇族としての活動を両立されていくということです。
♪「春の園遊会」始まる 愛子さま初出席 2024/04/23 日テレ
https://www.youtube.com/watch?v=NlDs5kyU83M
天皇皇后両陛下主催の「春の園遊会」が23日午後から開かれています。令和になってからの開催は3回目で、両陛下の長女、愛子さまは初めての出席となりました。
23日午後、東京・港区の赤坂御苑で、天皇皇后両陛下主催の春の園遊会が開催されました。
天皇陛下が即位されてからは、3回目の開催となります。
23日の園遊会には、天皇皇后両陛下のほか、秋篠宮ご夫妻をはじめ、10人の皇族方が出席し、愛子さまが初めて臨まれています。
♪北大路欣也さんがコメント「春の園遊会」両陛下、愛子さまと歓談を終えて
2024/04/23 日テレ
https://www.youtube.com/watch?v=-aXA8z2nJ7g
23日、天皇皇后両陛下主催の園遊会が開催されました。今回の招待者は去年と比べて500人ほど多い、およそ1700人で、俳優の北大路欣也さん、美術家の横尾忠則さんらが出席し、両陛下や皇族方とマスクなしで歓談しました。両陛下、愛子さまと歓談を終え、北大路欣也さんがコメントしました。
♪【春の園遊会】愛子さま初出席、招待者と笑顔で歓談
2024/04/23 日テレ
https://www.youtube.com/watch?v=Fjw-qkMm7L0
23日、天皇皇后両陛下主催の園遊会が開催されました。長女の愛子さまは初めて出席し、招待客と笑顔で歓談されました。
23日午後、東京・港区の赤坂御苑(ぎょえん)で春の園遊会が開催され、天皇皇后両陛下をはじめ皇族方が臨まれました。愛子さまはピンク色のドレスを着用し、初めて園遊会に出席されました。
今回の招待者は去年と比べて500人ほど多いおよそ1700人で、俳優の北大路欣也さん、美術家の横尾忠則さんらが出席し、両陛下や皇族方とマスクなしで歓談しました。
俳優・北大路欣也さん「愛子さま本当に、ご卒業、それから就職おめでとうございます」
両陛下「ありがとうございます」
北大路欣也さん「本当に大変だと思いますけど、頑張っていただきたいなと」
皇后さま「仕事では周りの方、とてもいい方に囲まれて、とても楽しく」
北大路欣也さん「そういう出会いというのは一番大切ですからね」
皇后さま「先輩がたが優しく、楽しく」
北大路欣也さん「あ~よかったですね」
今回、初めての出席となった愛子さまも終始笑みを絶やすことなく、招待者と、作品やペットの話題などについて、時折笑い声も交えながら歓談されていました。
♪春の園遊会開催 両陛下の長女愛子さまも初めて出席
2024/04/23 テレ東BIZ
https://www.youtube.com/watch?v=cA118bfWdwU
春の園遊会が23日東京の赤坂御苑で開かれ、天皇皇后両陛下の長女愛子さまが初めて参列されました。動物がお好きな皇后さまが猫好きの美術家・横尾忠則さんに御所で撮った猫の写真を用意して見せると猫談義に花が咲きました。横尾さんが世話をしている猫はぷくぷくに太っていますと話すと愛子さまは「幸せな猫ちゃんですね」と笑われていました。愛子さまは日本赤十字社に就職されたことから石川県県議会の議長と災害ボランティアの活動などについて言葉を交わされたと言うことです。今回の園遊会ではちまきなどの食事が出され、コロナ以前の状況に少しずつ戻りつつあります。
大変申し訳ありません。
以下が当該記事のURLです。
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20240422/se1/00m/020/002000d
(サンデー毎日×エコノミスト)
4/22(月) 16:26配信 サンデー毎日×エコノミスト
◇これでいいのか「旧宮家養子案」―第14弾―
旧宮家養子案を推す人、すなわち男系継承の重要性を強調する人たちは「男系」だけが皇位継承を説明する唯一の論理だと考える。だが、それは適切ではない。中宮欣子内親王と光格天皇の次の時代の継承の議論をたどれば、女系によって天皇本家の血筋をつなごうとする意識も観察されるからだ。(一部敬称略)
内親王欣子(よしこ)は1779(安永8)年に生まれた。9カ月後、父、後桃園天皇が亡くなり、中御門(なかみかど)天皇系の血筋を引く最後の遺児となる。側近たちが将来、欣子と縁組をさせる前提で、閑院宮家から師仁(もろひと)(当時8歳)を迎え光格天皇としたのは、これまで見てきたとおりである。欣子が光格の正式な后(きさき)(中宮)となったのは1794(寛政6)年、15歳のときであった。ときに光格は22歳。
欣子が中宮となる以前、光格天皇は女官に5人の子を産ませていた。第1子は嫡出(正室の子)で、という原則があったはずだが、欣子と光格との年齢差からこうした事態になったと考えられる。ただし、5人は門跡として出家することが想定され、皇位継承者とはみなされていなかった。かつ全員が夭逝(ようせい)している。期待は欣子にかかった。
欣子の初出産は立后の6年後、1800(寛政12)年1月。親王温仁(ますひと)の誕生である。彼は誕生直後に儲君(ちょくん)(皇位継承者)とされた。一方、1カ月後には典侍(てんじ)、勧修寺(かじゅうじ)婧子(ただこ)も出産している。親王恵仁(あやひと)(寛宮(ゆたのみや))である。彼こそが次代の仁孝(にんこう)天皇となるのだが、誕生時には皇位継承者とは考えられていなかった。空位になった京極宮家を継ぐことが想定されていただろう。
1800年はじめに生まれた2人の皇子だが、温仁は3カ月で亡くなってしまう。ただ、皇位継承者は天皇本家の血統を継ぐ欣子が産んだ子であることが前提で、弟、恵仁が直ちに継承者となることはなかった。欣子の新たな懐妊が待たれたのである。
しかし、欣子はなかなか子に恵まれなかった。1807(文化4)年、欣子が28歳のとき、欣子による嫡出子を得ることは断念され、恵仁(当時7歳)を儲君とすることが決まる。同時に、恵仁は欣子の「実子」と擬制され、同居して欣子に養育されることになる。18世紀の前例に沿った措置だが、欣子の「実子」とされたことは、中御門系皇統の連続性を強調する意図があっただろう。
◇他人の子を育てる中宮欣子の苦しみ
ところが、同居直後から、欣子が「常の通りにもあらせられず」という状態になる。状況は想像するしかないが、おそらく心的ストレスからの異常であっただろう。欣子は、天皇本家の遺児として、男子を残すことが求められた。しかし、1度しか懐妊せず、その子も夭逝してしまった。そんな欣子にとって、女官の子を「実子」として養育することは大きな負担や苦しみとなったに違いない。結果として2年後に同居は解消された。同じ年、9歳となった恵仁は皇太子となった。
それから7年後の1816(文化13)年1月、驚くべきことが起きる。37歳となった欣子が2度目の出産をするのである。高齢出産と言ってよい。生まれた皇子は悦仁(としひと)(高貴宮(あてのみや))と名付けられた。中宮、それも皇女による嫡出子が再び誕生したのだが、皇位継承者が直ちに変更されたわけではない。しかし、高貴宮という命名が示唆的であると近世史研究の佐藤一希が指摘する。江戸前期、兄から皇位を受け継いだ霊元天皇の幼名が同じ高貴宮であったためである。霊元と同様、兄からの皇位継承が想定された。恵仁は「中継ぎ」的な立場となった。
その後、光格天皇の生前退位を受け、恵仁が即位し、仁孝天皇となった。正室(女御)鷹司繋子(つなこ)との間に第1皇子(安仁(しづひと)〈鍠宮(おさのみや)〉)が誕生したのは、1820(文政3)年である。このとき、次代の皇位継承者は安仁ではなく、依然として天皇の弟、悦仁(当時4歳)であった。つまり、光格→仁孝→安仁という男系継承よりも、後桃園→欣子→悦仁という女系継承のほうが重視されたのである。
しかし、歴史は思いどおりには進まない。1821(文政4)年、悦仁、安仁が相次いで亡くなってしまう。ここで、天皇家には、21歳の仁孝天皇しか若い皇子がいない状態が出現する。さらに、繋子が再び懐妊するが、1823年4月、皇女出産時に母子ともに死亡するという大変な事態が起きる。
ここで光格上皇は、仁孝天皇の後室を再入内させようとする。選んだのは繋子の妹、鷹司祺子(やすこ)であった。江戸時代の宮廷では、五摂家の娘を天皇の正室とするのが通例だったが、特定の家に権力が集中しないよう一つの家から連続して入内させないようにしていた。実際、このとき、一条家にも適齢期の別の娘がいた。それにもかかわらず、光格上皇は祺子を選んだ。
◇仁孝の血の薄さを「女系」血統で補充
先の佐藤一希は、関白鷹司政通の日記に「皇胤(こういん)も御薄いので」とある記述に注目する。仁孝天皇の血筋は薄いので、鷹司家から正室をとりたいと解釈するのである。どういうことか。
欣子の年齢から考え、欣子の子を天皇にする当初の構想は断念せざるを得ない。しかし、閑院宮家系の仁孝天皇では、本家、中御門系皇統からどんどん離れていく。そこで鷹司家から連続して正室を入れ、せめて閑院宮系の血は濃くしていきたい―。光格上皇はこう考えたのではということだ。
鷹司家は1743(寛保3)年、閑院宮家から養子(輔平(すけひら))を入れ、皇別摂家となった。繋子も祺子も、鷹司輔平の孫であり、東山天皇の玄孫(やしゃご)になる。仁孝天皇の「血の薄さ」を、天皇家と血がつながる正室によって補強しようと考えたわけだ。ただし実際には、祺子は男子をなさず、構想は功を奏しなかったわけだが、傍系の光格上皇が血のコンプレックスを持ち続けていたことが分かる。
天皇から親等が離れれば当然、血統は薄くなる。仁孝天皇は、「女系」によって「血の補充」をしなければ、正統性が薄いと考えられていたのである。
<佐藤一希「寛政~文化期の皇位継承過程と光格天皇―中宮欣子と皇子をめぐる動向を中心に」『史学雑誌』132編3号(2023年)を参照した>
https://news.yahoo.co.jp/articles/a4f45b8dede9ab5c2b836beee31ac42317ec3412
このような案で、本当に国民の納得を得られると考えているのでしょうか?
現在の案は基本的には、女性皇族を単にこれかも公務を担わせる存在にしか考えていません。夫になる人も、子どもも宙ぶらりんとなり、極めていびつな家庭ができあがります。
また、旧宮家を直接皇族にできるような方法は、男系ということだけで天皇としてしまう案です。象徴天皇制の展開過程ともズレていると思います。
もっと、今の時代や社会にふさわしい案があるのではないでしょうか。そうした声をもっと強く訴える必要があります。
◎「男系」より「直系」が皇位継承の本質原理だ 社会学的皇室ウォッチング!/111 成城大教授・森暢平
4/15(月) 15:45配信 サンデー毎日×エコノミスト
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20240415/se1/00m/020/001000d
◇これでいいのか「旧宮家養子案」―第13弾―
過去に8人いた女性天皇のうち最後の即位は、江戸中期の後桜町天皇である。彼女は幼少の甥(後桃園天皇)の即位までの「中継ぎ」だと語られることが多い。しかし、彼女が女帝となった経緯をみると興味深いことが分かる。それは、皇位継承原理の本質は実は男系よりも直系が重視されていたことだ。(一部敬称略)
後桜町の弟、桃園天皇は1762(宝暦12)年7月12日午後1時すぎ、21歳の若さで亡くなった。脚気(かっけ)の悪化であり、前日に体調を崩したうえでの急死であった。突然の事態に次の天皇をどうするのか、関白近衛内前(うちさき)ら五摂家当主ら(摂家衆)が密議を行う。天皇家には、桃園の第一皇子、4歳の親王英仁(ひでひと)(のちの後桃園天皇)、そして後桜町天皇となる内親王智子(としこ)(21)がいた。取りうるオプションは三つである。
①そもそもの継承予定者である英仁が即時、践祚(せんそ)(皇位継承)する
②宮家親王のいずれかが中継ぎとして、践祚する
③智子が中継ぎとして践祚する
結果は③である。しかし、この措置は前例にも伝統にも則(のっと)っていなかった。当時の公家たちにとっても唐突の感は否めなかった。正親町公功(おおぎまちきんかつ)の日記には、桃園天皇の決定(勅定)ならばそうすべきだが、人びとの議論は喧(やかま)しい(衆説、嗷々(ごうごう)たり)とある。実際、桃園天皇には勅定する余裕もなかったようで、摂家衆による決定とみてよいだろう。
一般には、英仁が幼少であったから中継ぎを立てたと言われている。しかし、幼帝の前例はあるし、単に幼少だからというだけでは、当時の宮廷の状況を十分説明していない。
実は、②はありそうにないように思えるが、捨てきれない選択肢だった。なぜなら、1654(承応3)年、後光明天皇が21歳で亡くなり、皇位継承者と目された弟の高貴宮(あてのみや)(のちの霊元天皇)がまだ生後4カ月であったとき、中継ぎとして即位したのは高松宮家を継いでいた親王良仁(ながひと)(後西(ごさい)天皇)だったからである。
1762年の段階で、「中継ぎ」をできそうな宮家の人物には、閑院宮典仁(すけひと)(29)、京極宮公仁(きんひと)(29)、有栖川宮職仁(よりひと)(48)らがいた。しかし、いずれも桃園天皇とは5親等から7親等も離れ、血縁は遠い。もう一人の重要人物として、英仁の弟で、伏見宮家を継いでいた貞行(さだもち)(2)がいた。しかし、英仁より年少であったから中継ぎ候補とはなりえない。
◇男系重視では皇統変更の恐れ
近世史研究の野村玄が書いた「女帝後桜町天皇の践祚とその目的」(『日本歴史』701号、2006年)によれば、当時の宮廷には、英仁が無事成人できるかという不安があった。最大の懸念は疱瘡(ほうそう)(天然痘)にかかっていないことだった。継嗣を残す前に亡くなる可能性も低くないと考えられていた。仮に亡くなった場合、次善の策として好ましいのは、伏見宮家にある貞行の即位である。それならば、中御門(なかみかど)天皇から始まる当時の皇統が維持できる。
しかし、閑院宮、京極宮、有栖川宮の親王が、中継ぎとして天皇にある間に英仁が亡くなってしまうと、その瞬間、「中継ぎ」が「中継ぎ」でなくなる。皇統は非中御門系に移行してしまう。それは避けたかった。
そこで、前例とは異なるが、英仁の伯母にあたる智子を女性天皇とし、英仁の成長を待つことになった。英仁が10歳になるまでの期限付きであった。一方、女帝をおくという摂家衆の措置に対して、宮家側では不満があった。1762年7月27日の後桜町践祚の日、京極宮公仁の父、家仁(やかひと)は「摂家衆ばかりが新帝に対面し、宮家の親王と対面がなかったが、はなはだ納得のいくことではなかった」と日記に書いている。
こうした経緯から分かることは、皇位継承で最も重要だったのは直系相続であることだ。皇位は、桃園天皇の子どもへとつないでいくという原理である。裏を返せば、男系でつながっているだけで実は系統が遠い傍系には、皇統を移したくなかった。
野村玄は先の論文で「宝暦期の天皇家と世襲親王家は血縁として遠く、世襲親王家からの践祚は、事実上の皇統変更になってしまう恐れがあった」「近世において、男系相続の考え方は確かに存在したが、より本質的には直系相続が模索されており、女帝後桜町天皇の践祚と譲位はその方法的一環であった」と書いている。
現在、旧宮家復帰案を唱える人たちは、男系継承だけが皇位継承の伝統と考えている。だが、直系継承こそがより本質的な原理であるという近世史家の指摘は重要である。その原理で言えば、悠仁さまより愛子さまへの継承のほうが、より近世の伝統に近いということになるだろう。
◇聡明な後桜町 愛子さまを想起
後桜町天皇は1770(明和7)年までの8年間、英仁が12歳になり後桃園天皇となるまで皇位に留(とど)まる。その後、73歳で亡くなるまでの43年間、上皇として、後桃園、次々代の光格天皇の後見役を果たす。
後桜町は2000首近くの和歌を残した。1788(天明8)年、「窓」と題し、次の歌を詠んでいる。
まな(学)びえぬ/おろ(愚)かさは(恥)づる/窓のうち/雪の光を/いく(幾)へ(重)そ(添)へても
雪の光を窓を通して浴びながら学び続けても、なお学びは尽きることがないという意味である。謙虚であることの大事さを自分に対して戒める歌であったが、同時に、当時17歳であった光格天皇への教訓歌でもあっただろう。
後桜町は譲位後も論語を学び、「仁」「恕」の概念を、31歳年下の光格天皇に書き付け、天皇としてのあり方を、女性らしいこまやかさをもって説き続けた。中御門系の天皇本家に残った者として、大姪(おおめい)の夫(光格)に天皇のあり方を教えなければならないという決意を持った生涯であった。
後桜町天皇の聡明さは、現在の愛子さまを彷彿(ほうふつ)とさせる。女性だから皇位に就けないというのは日本の伝統ではない。女性だからこそできることもあると後桜町の生涯が教えてくれる。
4/15(月) 17:33配信 TBS
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1115752?display=1
天皇陛下はきょう、皇居で国会議員の代表者から定例の挨拶を受け、「国、社会、人々のために、力を尽くしていかれるよう願っております」と述べられました。
陛下はきょう午後3時ごろ、皇居・宮殿の「春秋の間」で衆参両院の議長ら国会議員あわせて41人と面会されました。
陛下は、額賀福志郎衆院議長と尾辻秀久参院議長からそれぞれ挨拶を受けた後、国会議員に対し「皆さんが国会の運営や審議のために日々尽力しておられること、まことにご苦労に思います」と労われました。
そのうえで「皆さんにはくれぐれも体を大切にされ、国民の信託に応え、今後とも、国、社会、人々のために、力を尽くしていかれるよう願っております」と述べられました。
◎天皇陛下、衆参議長らと面会、「今後とも人々のために力尽くして」
4/15(月) 16:00配信 朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASS4H2G3CS4HUTIL01CM.html
天皇陛下は15日、皇居・宮殿で衆参両院の議長や常任委員会委員長、憲法審査会長をはじめとする国会の役員らと面会した。
天皇陛下は年に1度、国会運営に携わる役員らと面会している。
この日は宮殿・春秋の間で額賀福志郎衆院議長ら41人と面会。一同を代表し、額賀氏と尾辻秀久参院議長があいさつすると、天皇陛下は「くれぐれも体を大切にされ、国民の信託に応えて今後とも国、社会、人々のために力を尽くしていかれるよう願っています」などと述べた。
◎天皇陛下、衆参両院議長らと面会 皇居・宮殿
4/15(月) 17:58配信 東京新聞(共同通信)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/321370
天皇陛下は15日、皇居・宮殿「春秋の間」で、衆参両院議長をはじめとする国会議員ら約40人と面会された。陛下はあいさつで「国民の信託に応え、今後とも国、社会、人々のために力を尽くしていかれるよう願っています」と述べた。
これに先立ち、額賀福志郎衆院議長と尾辻秀久参院議長が陛下にあいさつした。
宮内庁によると、衆参両院議長らとの面会は例年実施され、引き続き、飲み物を手にして懇談していた。2019年の代替わり後、新型コロナウイルス禍の影響で取りやめが続き、22年から面会だけの形式で再開した。
◎天皇陛下、衆参両院の役員らとご面会 皇居・宮殿で
2024/4/15 18:21 産経新聞
https://www.sankei.com/article/20240415-EFZT2MQ4EJLCRLHY3MBHT2H6T4/
天皇陛下は15日、皇居・宮殿「春秋の間」で、衆参両院議長をはじめとする国会議員ら約40人と面会された。陛下は「国民の信託に応え、今後とも国、社会、人々のために力を尽くしていかれるよう願っております」と述べられた。
これに先立ち、額賀福志郎衆院議長と尾辻秀久参院議長があいさつした。
宮内庁によると、衆参両院議長らとのご面会は例年実施。代替わり後は新型コロナウイルス禍の影響で取りやめが続き、令和4年から再開した。
2024/4/10 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20240410/ddm/005/070/094000c
国のあり方に関わる問題である。政治の責任で速やかに結論を出すべきだ。
皇族数の確保について、立憲民主、公明など各党が見解を発表した。自民党の案がまとまれば、衆参正副議長の下、政党間協議が始まる見通しだ。
政府の有識者会議が2021年12月に報告書を公表したが、その後、議論が停滞していた。
天皇陛下より若い世代の皇族は長女愛子さまら6人おられるが、皇位継承資格を持つ男子は秋篠宮さまの長男悠仁さましかいない。
皇室典範は、皇族女子は結婚すると皇籍を離れると定めている。手をこまぬいていれば先細りする一方だ。国民と触れ合う公務の担い手が減るだけでなく、皇室制度そのものが維持できなくなる。
報告書には、主に二つの方策が盛り込まれた。
一つは、皇族女子が結婚後も皇族の身分を保持する案だ。超党派で合意を目指し、早急に実現しなければならない。
旧宮家出身の男系男子が養子として皇室に入る選択肢も、併せて検討すべきだと報告書は記している。自民保守派が制度化を求めたものだ。
だが、旧宮家が皇室を離れたのは70年以上も前にさかのぼる。その子孫の民間人が唐突に皇族となることに、国民の理解が得られるのか疑問だ。
そもそも、皇室に入る意思を持つ男系男子がいるのだろうか。政府は「具体的に把握していない」と国会で答弁している。
両案が実現したとしても、一時的に皇族数を確保するための、その場しのぎの策にとどまる。今国会で結論を出し、持続的な皇位継承策を話し合う次の段階に進まなければならない。皇位継承権を女性に広げるかどうかの議論を避けて通ることはできない。
愛子さまは大学を卒業し、日本赤十字社に就職した。悠仁さまは9月に18歳を迎え成年となる。若い皇族の人生設計に関わる問題であり、時間的な猶予はない。
憲法で天皇は「日本国の象徴」と定められ、その地位は「国民の総意に基づく」と明記される。与野党は、国民の幅広い支持が得られる制度改正の道筋を示さなければならない。
4/12(金) 8:17配信 プレジデントオンライン
https://president.jp/articles/-/80562?page=1
■仕事と公務をこなす超多忙な日々が始まる
「皇室の役目の基本は『国民と苦楽を共にしながら務めを果たす』ことであり、それはすなわち『困難な道を歩まれている方々に心を寄せる』ことでもあると認識するに至りました」
これは4月1日、日本赤十字社に入社した天皇の長女・愛子さんが、宮内記者会の質問に答える形で公表した文書の中の言葉である。
記者からの、「皇族数が減り、公務の担い手が先細ることについて、内親王としてどのように受け止めているか」という質問には、
「公務に携わることのできる皇族の数は、以前に比べて少なくなってきていると承知しておりますが、制度に関わる事柄につきましては、私から発言することは控えさせていただければと思います。私自身は、そのような中で、一つ一つのお務めに丁寧に向き合い、天皇皇后両陛下や他の皇族方をお助けしていくことができればと考えております」
と答えた。
22歳になる愛子さんの動向に注目が集まっている。日赤ではボランティア活動推進室の青少年・ボランティア課に所属して、若手の社会人や学生たちのボランティア活動の育成や研修を行うという。
就職に先立ち、3月26日には三重県にある伊勢神宮の外宮と内宮、27日には奈良県の神武天皇陵を参拝し、卒業と就職の報告をした。
これからは仕事と公務の両方をこなす超多忙な日々が始まる。
■「私も『生んでくれてありがとう』と伝えたい」
年頃の愛子さんのお婿さんが誰になるのか。週刊誌の中には候補者リストまで作って掲載するところも出てくるなど喧(かまびす)しい。愛子さんは以前から、結婚相手は「一緒にいてお互いが笑顔になれるような関係が理想的」だといっている。
彼女の描く理想の夫婦像は、両親である天皇・皇后であることは間違いないだろう。
国民の間から「愛子天皇待望論」が澎湃(ほうはい)と起きてきたのは、彼女が成人を迎えたときに行われた人生初の記者会見からだったと思う。
そこで愛子さんは、臆することなく自分の言葉で自分の思いを伝えた。そこにはこのような言葉があった。
「『生まれてきてくれてありがとう』という母の言葉に掛けて、私も『生んでくれてありがとう』と(両親に)伝えたいと思います。これからもどうかお体を大切に、長く一緒に時間を過ごせますように、という言葉も添えたいと思います」
多くの国民はこの時、彼女は天皇に相応しい女性だと思ったのではないか。
■安倍元首相は「愛子天皇」を認めていた
しかし、愛子天皇誕生には越えなければならない高いハードルがある。その上、政治家たちの動きが鈍く、2021年に政府の有識者会議が提出した、皇族数の確保のために「女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する」「旧宮家の男系男子が養子縁組で皇籍復帰する」の2案の意見書さえも、長く店晒(たなざら)しにされてきた。
しかし、ようやく昨年10月30日に岸田文雄首相が衆院予算委員会で、安定的な皇位継承などを検討するため、自民党内に総裁直轄の新組織(会長は麻生太郎副総裁)を設置したことを発表した。
さらに今年4月に入って、額賀福志郎衆議院議長が促したこともあって、立憲民主党、公明党、国民民主党が意見書を提出。各党の考えがまとまり次第、国会で協議が始まるようである。
しかも、支持率低下に悩む岸田首相が、起死回生の支持率アップ策として、愛子天皇実現に向けて動き出すのではないかという“観測”も流れてきている。
以前にもここで触れたように、故・安倍晋三元首相は女系天皇を絶対認めないというスタンスだったが、女性天皇は認めてもいいと考えていたといわれる。
■この宙ぶらりんな状態を早く解決すべきである
さらにいえば、2006年に小泉純一郎首相(当時)が衆議院本会議での施政方針演説で、「皇位が将来にわたり安定的に継承されるよう、有識者会議の報告に沿って、皇室典範の改正案を提出します」と述べ、その後、有識者会議が最終報告を出している。
そこには、女性天皇および女系天皇(母系天皇)を認める、皇位継承順位は男女を問わず第1子を優先とする、女性天皇および女性皇族の配偶者になる男性も皇族とする(女性宮家の設立を認める)と明確に書いてあったのだ。
このときは、秋篠宮夫人・紀子さんが悠仁さんを懐妊したことで議論は立ち消えとなり、答申を受けた法案の提出も見送られることになってしまったのだが。
自立した一人の女性が自分の人生設計さえ考えられないまま放置されてきたことを、この国の政治家や国民は猛省するべきである。そして、すぐにも彼女を宙ぶらりんな状態から救い出してあげようではないか。
もちろんその選択肢には、彼女が自らの意思で皇室を離れる自由も含まれるべきだと思う。
少し古い論考だが、政治学者の水島治郎氏が朝日新聞のインタビューに答えた記事から引用しておきたい(朝日新聞デジタル、2021年12月1日11時00分)。
■なぜ民主的な国に君主制が残っているのか
「オランダには、愛子さまと同世代の王女がいます。いずれ女王になる予定のアマリア王女で、彼女もこの12月で18歳になって成人を迎えます。
オランダ首相は先日、『もし王女が同性婚を望む場合も王位継承権を放棄する必要はない』と表明しました。王室存続と人権の議論がここまで来ているのかと感じました。
英国、北欧3国、ベルギー……。欧州を見て気づくのは、人権が保障され政治参加が進んだ先進国に君主制が残っていることです。
君主制とは特定の家系に特権を与える差別的なものであり、民主主義とは相反する――。おそらくそれが一般的な理解でしょう。しかし欧州では、最も民主的に見える国々にしぶとく君主制が生き残っています。このパラドックスをどう見ればいいのか。
君主制が民主主義と適合的だからではなく、時代に合わせてうまく変化してきたから残ったのだと私は見ます。『民主化の波に敵対した王室は倒れ、受け入れた王室が残る』現象が、20世紀前半に起きました。波に乗らなかったドイツやロシアなどでは王制が終焉(しゅうえん)を迎えています」
時代の流れを見ることのできないこの国では、遠からず天皇制は崩壊するのかもしれない。
■紀子さまの「体調がすぐれない」という報道
ところで、天皇になることが義務付けられている秋篠宮家の悠仁さんだが、愛子さんと比べて明るい話題がない。
2022年10月に伊勢神宮に参拝したときは、私的なのに皇嗣職大夫を付き添わせたと批判された。
1年後の2023年11月に発表したトンボに関する学術論文は、専門家の力を借りた、東大推薦入学のための実績作りだと、これまた批判された。
当初、東大一直線だと思われたが、最近では、同じ東大でも東京農業大学ではないか、筑波大附属高校だから筑波大学、明治時代に農学校として開校した名門・北海道大学ではないかとさまざまに報じられている。
次女・佳子さんの別居問題などもあり、何をしても批判の対象になることを気に病んでか、最近、紀子さんの体調が優れないという報道もあった。心配なことである。・・・
(以下は小室夫妻の記載についてなので省略。詳しくは上記URLから辿ってお読みください)
4/6(土) 6:01配信 スマートフラッシュ
https://smart-flash.jp/sociopolitics/280828/
日本赤十字社に入社し、新しい一歩を踏み出された愛子さま(22)。今後、常勤の嘱託職員として公務のない日に出勤され、皇族としてのおつとめと両立させていかれるという。
3月26・27日には三重、奈良両県へ初めて単独で訪問され、行く先々で爽やかな笑顔を見せられた。そうした姿が報じられるたび、SNSでは賞賛の声が寄せられる。そうした声のなかには「愛子天皇」待望論もある。
《喋り方とかも穏やかで声のトーンもお若いのに聞いていて落ち着く声色をされている。動物にも愛情深く接していて国民のことも考えられる、未来の天皇は一択だと思っていますけども》
《『国民からの圧倒的な人気』これは紛れもない事実 敬宮さまが多くの国民から敬愛されてる証であり未来の象徴に相応しい御方、という事だと思います》
《包み込むような優しさと神々しいオーラを感じます 敬宮さまに天皇になって頂けたら一国民としてとても幸せです》
皇室研究家の高森明勅氏も「愛子さまは、ますます天皇にふさわしくなられた」と認める。
「各方面でそういう声が聞かれますが、私もそう感じます。2月の天皇陛下のお誕生日の一般参賀でも、お手振りのときは落ち着いておられました」
皇室典範を根拠とする現在の「皇位継承は男系男子に限る」というルールのままでは、いずれ皇位継承者は途絶えてしまう。それもあり、高森氏は次代の皇位継承者として「愛子天皇」を強く望んでいる。
「未来永劫、皇室が続いてほしいと願うのであれば、女性天皇を認める以外の選択肢はないのです。
いちばん大きな理由は、日本は一夫一婦制であるということです。日本以外のおもな国で、一夫一婦制で男系男子に限定しているのはリヒテンシュタインだけ。リヒテンシュタインは人口が4万人に届かない超・ミニ国家です。つまり、わずかな例外を除けば、一夫一婦制で男系男子に限定している国は日本だけなんです。
イギリスも女王の時代が長く続きましたし、オランダは今の国王の前は、3代、女王が続きました。なぜかというと、代々必ず男子が生まれるとは限らず血統が続かないからです。しかもどこの国でも、女性の君主を男性の君主と同じように敬っています。
日本の場合、世界に先駆けて少子化が進んでいます。皇室の方々も、恐れ多いですが、女王殿下のお三方は、それなりの年齢に達しておられますが、ご結婚されていない。皇族のご結婚の高齢化も進んでいる。一夫一婦制プラス少子化という逆転しがたいトレンドが厳然としてあるのです。
それを考えると、憲法が求めている『皇位の世襲』に応えるためには、『男系男子』というルールを変える必要がある。
皇位を継承するのは男系でかつ男子であるという規定は、もともと明治の皇室典範で採用された新しいルールですが、その当時は側室が認められていて、側室のお子様にも皇位継承資格があるという前提があった。そして、『男系男子』という前近代になかった新しいルールを採用したわけです。
しかし、その前提とされていた側室制度は現代ではまったくあり得ないことです。一夫一婦制で少子化という現状で『男系男子』という、きわめて不自然なルールは持続不可能です。このルールを見直せば、女性皇族方にも皇位継承資格が認められますから、女性天皇が可能になるわけです」(高森氏、以下同)
第2の理由、憲法1条に天皇の地位は「国民統合の象徴」だと書いてあるからだという。
「『国民統合の象徴』ということなら、国民の半数は言うまでもなく女性ですから、男性しか象徴になれないというルールで、はたして国民統合の象徴にふさわしいのかということになってくる。男女ともにその地位につけなければ、象徴制において十分でない、損なわれるものがあるという問題ですね」
第3の理由は、「国民の総意」が敬愛される天皇のお立場にとって無視できないことだ。これも憲法第1条にある「この地位は主権の存する国民の総意に基づく」が根拠となる。
「現在、『国民の総意』がどこにあるかと言えば、世論がそれを示しています。世論調査では『女性天皇を認めるべきだ』という結果がコンスタントに7割から8割、ときに9割近い数字も出ています。
各種調査で『女性天皇』が高い支持を集めているという現実を考えれば、明らかに女性天皇を排除している今のルールは国民に求められていないことになる。『国民の総意』に照らしてみれば、女性天皇は認められるべきだということになります。」
4つめの理由が、現代の普遍的な価値観だ。
「生物学的な性別とは区別された文化的・社会的な性差において平等に扱われなければならない『ジェンダー平等』ということが、現在の普遍的な価値観になっています。そういう現代の価値観に照らして、天皇皇后両陛下にお子様がおられても、ただ『女性だから』というだけの理由で排除されるようなルールはやはりふさわしくない。
皇室の存続、安定的な皇位継承、古風な言い方をすれば『皇室の弥栄(いやさか)』を願うなら、女性天皇という選択は必然だと申し上げていいと思いますね」
「女性天皇」が必然だとしても、現実には議論は進んでいない。
「昨年秋以来、与野党で安定的な皇位継承の確保についての検討が進められていますが、与党は当然のこと、野党もほとんどが男系男子に傾いている。今回も中途半端な形、不本意な形でしか決着がつかないと思います。第2ラウンドに向けて、なにより世論の喚起が必要です」
いったいなぜ議論は進まないのか。
「それは政治家の問題です。国会内にある『男系男子』への根拠のない思い込みによる固執ですね。
彼らは『男系男子』が明治になって初めて採用されたルールであることさえ知らない。推古天皇以来、後桜町天皇まで10代・8人の女性天皇が実在したわけです。明治になって排除されただけですから、男子限定というルールはなかったということです。
古代の大宝令、養老令は『女帝の子』に女系で『親王』の身分を認めており、そういう意味でも、男系に限定したのは明治からということがわかる。『男系男子』が、神武天皇以来の皇室の伝統だという錯覚に基づいて思考停止している。それが、政治家として、いちばん楽だからです」
「愛子天皇」実現のためには、皇室典範の一部を書き換えるだけでいいという。
「今の皇室典範第1条には、《皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する》と書いてある。天皇の血を父方から受け継いだ『男系』の男子のみが天皇になることを定めているわけです。 男系であっても女性であれば天皇になることを認めず、母方に天皇の血筋を持つ『女系天皇』も除外されてきました。
明治の憲法と皇室典範は、『男系男子』という縛りがありましたが、今の憲法には『世襲』としか書いてありません。『世襲』には男子、女子、男系、女系すべて含むというのが政府の見解であり、憲法学界の通説です。
憲法という最高法規は『男系男子』に限定していないんです。憲法の下位法である皇室典範にのみ『男系男子』と書いてあるわけです。これが女性天皇を阻み、皇位継承の行く末を険しくしている。
しかし、解決策がある。皇室典範の『皇統に属する男系の男子』の『男系の男子』という部分を『皇統に属する子孫』と書き換えればいい。それだけです。
これによって、女性天皇も女系天皇も認められるようになる。そして『男系男子』だけ削れば、次の皇位継承者は愛子さまということになります」
皇室典範第2条には天皇になる順番が書かれているが、その1番めが「皇長子」。これは天皇の第1皇子のことだが、男女の区別はない。そのため、第1条の『男系男子』さえ削れば、継承順序はそのままで「愛子皇太子」が誕生し、次は「愛子天皇」となる。
「愛子天皇」は、じつは上皇陛下の強い望みでもあるという。
「ノンフィクション作家の奥野修司氏が、上皇陛下が天皇であられた平成当時、以下のように述べておられたと著書で書いています(『天皇の憂鬱』新潮新書)。
『ゆくゆくは愛子(内親王)に天皇になってほしい。だけど、自分も長く元気ではいられないだろうから、早く議論を進めてほしい』と。はっきりと『愛子に天皇になってほしい』と語られたというんです。
私は信憑性が高いと思っています。そう思うのには理由があります。それは平成17年(2005年)の天皇誕生日に際しての記者会見でのご発言です。ちょうどその前、当時の小泉純一郎内閣の有識者会議に提出された報告書に、『女性天皇、女系天皇を認めないと皇室が存続できなくなる』という内容が書かれていたんです。
ある記者が『女性天皇、女系天皇を認めるということは、これまでの皇室の伝統の一大転換になる』という主旨の質問をしたんです。これに対し、天皇は政治的な発言が憲法で禁止されているなかで、ギリギリのお答えをされました。それは、こういうものです。
『皇室のなかで女性が果たして来た役割について、私は有形、無形に大きなものがあったのではないかと思いますが……天皇及び皇族は、国民と苦楽を共にすることに努め、国民の幸せを願いつつ務めを果たしていくことが、皇室の在り方として望ましいということであり、またこの在り方が皇室の伝統ではないかと考えているということです』
要するに、政治的な問題に立ち入るのは慎重に避けられながら、女性が果たして来た役割について大きなものがあったと、さらに男系男子という狭い血筋ではなくて『国民と苦楽を共にすること』こそが皇室の伝統であると、ある意味では、結論を言っておられるんです」
はたして、「愛子天皇」は実現するだろうか――。
2024/03/27 13:00 プレジデントオンライン
https://president.jp/articles/-/80004
安定的な皇位継承をめぐり、与野党で議論が進められている。神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は「将来の天皇として、国民からは天皇皇后両陛下の長女・愛子さまに期待する声がある。他方で、国会議員や大手マスコミは、『愛子天皇』について議論することをかたくなに『タブー視』しているのではないか」という――。
■「限られたメンバーで、静かな環境で議論を深めたい」
自民党の「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」は、3月18日、政府の有識者会議がまとめた報告書について意見を交わし、会長を務める麻生太郎・副総裁が「皇室の在り方は国家の根幹をなす、極めて重要な課題だ。限られたメンバーで、静かな環境で議論を深めたい」と述べたという。
実の妹が皇室に嫁いだ麻生氏だけに、下々の声というか、余計な雑音が入らない「静かな」状況を望んだのかもしれない。
同じ与党の公明党は、皇族数の確保に向けた意見書の案をまとめ、野党の立憲民主党は、論点整理を衆議院と参議院の議長に提出した。
政府の有識者会議が報告書をまとめてから2年が過ぎ、いま開かれている通常国会のなかで与野党協議が行われると報じられている。
どの政党も、そして、それを報じる新聞もテレビも、「女性宮家の創設」が論点かのように話を進めている。
自民党や、その支持層とされる「保守派」にとっては、論点にするなどとんでもないのかもしれない。あるいは逆に、「天皇制」そのものの廃止を訴える人にとっては、ズレていると見えるのだろう。
ただし、ここで考えたいのは、皇位継承や、女性宮家、あるいは、旧宮家の皇族復帰、といった点ではない。
「愛子天皇」についてである。
なぜ、どの政党も、そして、大手メディアも「愛子天皇」を考えようとしないのだろうか。
■「愛子天皇」というタブー
ネット上や週刊誌には「愛子天皇」があふれている。
私が公式コメンテーターをしているYahoo!ニュースのコメント欄(ヤフコメ)では、愛子さまの話題が取り上げられるたびに、「愛子天皇」が飛び交うし、X(旧ツイッター)上でのレスバには間断がない。いつも「愛子天皇」をめぐって、誰かが議論をしている。
メディア論を研究する者として興味深いのは、このギャップである。
自民党や立憲民主党、さらには、大手新聞やテレビには、ほぼ「愛子天皇」は見られない。一方で、ネットや雑誌には、常に「愛子天皇」が取り沙汰されている。前者にとっては存在しないかのようであり、反対に後者にとってはデフォルトのようになっている。
マルチバース(いくつもの宇宙)のように、正反対の世界線を描いているのは、なぜなのだろうか。
とはいえ、前者のなかでも皆無だったわけではない。
毎日新聞は2年前(2022年)の年明けに、「年末年始の雑誌がこぞって『愛子天皇』待望キャンペーンを張っている」と署名記事で触れている。また、その2カ月後には日本経済新聞で、皇室を担当する編集委員が「秋篠宮家たたきの反作用なのか、悠仁さまを差しおいた『愛子天皇論』もさかんだ」と批判している。
どちらも「愛子天皇」を否定する文脈で使っており、別の宇宙での出来事のごとく、実現しない、反実仮想として言及しているのである。
■「フィルターバブル」に陥っている
後者にとっては、どうか。
強く主張しているひとりは、『ゴーマニズム宣言SPECIAL 愛子天皇論』(扶桑社)を出版した、漫画家の小林よしのり氏である。「皇太子は天皇の子供! 本来、愛子さましかなれないのだ!」との立場に明らかなように、「男系固執派」に対峙している。
小林氏をはじめとする「愛子天皇論」者への反論や別の議論もある。
評論家の八幡和郎氏は、「愛子天皇」誕生への期待を理解しつつも、「より広く、現実的な視点で皇位継承を議論していくことが必要だ」とプレジデントオンラインに寄稿しているし、先に述べたように「女性宮家の創設」を認めない声も見られる。
あたかも、いろいろな考え方が自由に交わされているかのように映るかもしれないが、そうではない。
逆に、「愛子天皇」に関して、無視する立場(政党と大手マスコミ)と、前提とする立場(ネットや週刊誌)が、お互いのスタンスを視野に入れていない。昨今の情報社会の危うさとして指摘される「フィルターバブル」(みずからの考え方や価値観の泡の中に孤立する)に、どちらも陥っているのではないか。
■なぜ「NGワード」になっているのか
いや、正確に言わねばなるまい。
「愛子天皇」をめぐって侃侃諤諤な人たち(ネットや週刊誌)にとっては、それをタブー視する人たちもまた議論の対象と言えよう。賛成であれ反対であれ、精緻であれ稚拙であれ、「愛子天皇」について考え、言葉を交わしている以上、その世界には確かに存在しているからである。
他方で、「愛子天皇」を口にしてはならないかのように、もしくは、せいぜい非難の的でしかない人たち(政党や大手マスコミ)にとっては、触ってはいけない「NGワード」になっているのではないか。
理由は、反発を恐れているからである。たとえば読売新聞は、3月24日朝刊の社説で、次のように指摘している。
―自民党は、女性宮家の創設に慎重だ。女性宮家に子供が生まれた場合、皇位継承権を与えるのかどうかといった議論が生じ、皇位継承は父方が天皇の血を引く「男系男子」に限る、という制度が揺らぎかねない、との懸念からだ。―
■閉じこもり続ける政党と大新聞
こうした反応を恐れているために「愛子天皇」など、めっそうもない、という態度になっているとみられる。
読売新聞は、「女性宮家を認めずに皇族女子に皇室に残ってもらう、とはどのような仕組みになるのか、イメージが定まらない。自民党は具体的な案を示す責任がある」と主張している。
自民党に責任があるのは言うまでもない。と同時に読売新聞は、日本一の発行部数を誇り、「役員クラス」や「世帯年収2000万円以上」にも「世帯での金融資産額5000万円以上」にも、最も高い新聞到達率だと自社サイトで示している以上、自民党と同じぐらいの責任があるのではないか。
ネット上では、もはや「女性宮家の創設に慎重」かどうかよりも、「愛子天皇」をめぐって、さんざん言葉が交わされている。寝た子を起こすな、式の議論にとどまっているのは、政党や大新聞(とテレビ)ぐらいではないか。
■「本人の気持ちに思いをはせる」こと
朝日新聞の喜園尚史記者は、2020年に同社のサイト「論座」(現在は閉鎖)に寄せた「『愛子天皇』を語ることへのためらい」と題した文章を、「愛子天皇」の文字は、「本人の気持ちに思いをはせると、口にするのをためらう言葉です」と結んでいる。
もちろん、皇族のお一人おひとりも人間であり、「本人の気持ち」を、ないがしろにしてはならない。それどころか、生身の感情を持っている以上、「気持ち」を最優先にすべきだとさえ言えるかもしれない。
けれども、問われているのは、「安定的な皇位継承の確保」であり、仕組みをどうするのか、ではないのか。制度をどうやって続けるのか。もしくは、続けられないのならシステムを変えたり、やめたりするのか。
なるほど「本人の気持ちに思いをはせる」態度は美しい。人間であれば当然であり、かくありたい。記者の文章に血が通うのは大切である。
だからといって、「気持ち」に流されるあまりに、「口にするのをためらう」ばかりで、良くも悪くも「愛子天皇」がネットや週刊誌で使われている現実に目を逸らし続けるのは、あまりに無理ではないか。
そんなタブー視をやめ、「天皇制」そのものをどうするのか。あくまでも制度の問題としてとらえ、冷静かつ忌憚きたんのない議論を進める。それこそが、「本人の気持ちに思いをはせる」ことではないのか。
3/14(木) 11:12配信 弁護士ドットコムニュース
https://www.bengo4.com/c_18/n_17304/
愛子さまが4月より日本赤十字社の嘱託職員として勤務することが内定し、公務でお姿を拝見する機会も増えることになりそうです。しかし現在、皇位継承順位は1位が秋篠宮さま、2位が悠仁さま、3位が常陸宮さまとなり、若い世代での男性皇族は悠仁さましかいません。皇位継承の安定性には不安が残されています。
2021年12月には、皇位の安定的継承に関する有識者会議が報告書をまとめ、皇族数を確保するため(1)女性皇族(内親王・女王)が婚姻後も皇族の身分を保持する、(2)皇族として認められていない養子縁組を可能にし、旧11宮家の男系男子を皇族とする、の2案を提示しました。
安定的に皇室制度を維持していくために、皇位継承のあり方、議論はどうあるべきなのでしょうか。弁護士ドットコムでは、会員弁護士にアンケートを実施し、258人から回答が寄せられました(実施期間:2月14日~2月20日)。
女性天皇については「賛成」が53.1%、「どちらかといえば賛成」が21.7%。続いて「どちらともいえない」が12.4%。「どちらかといえば反対」(6.6%)「反対」(6.2%)となりました。
一方で、「男系男子による継承」ではなくなる「女系天皇」については「賛成」が43%、「どちらかといえば賛成」が16.3%となる一方で、「反対」とした人は15.9%にのぼります。
「皇室のあり方をめぐる議論のタイミングについて、どう考えますか?」との質問については「もはや手遅れ」(20.2%)、「いま結論を出すべき」(56.6%)となり、「悠仁さまが即位するまで先送りすべき」の11.6%を大きく離しました。
以下、詳しくみていきます。
●天皇制に「賛成」「どちらかといえば賛成」が60.8%
「そもそも現行憲法下での天皇制に賛成ですか、反対ですか」と質問したところ、「賛成」が36.0%、「どちらかといえば賛成」が24.8%で、60.8%が賛成であることがわかりました。
「どちらともいえない」は20.5%。「どちらかといえば反対」(9.3%)「反対」(9.3%)で、18.6%が反対の立場でした。
なぜ天皇制度に賛成・反対なのか。次のような声があがりました。
「象徴として、国民に親しまれている。外交上も重要な役目を担っている」(賛成)
「天皇の存在は憲法が制定される前よりも我が国に定着したものであり、天皇制云々を憲法の下で論ずるべきではない。天皇の存在を前提とした憲法づくりをすべき」(賛成)
「日本の文化であり、歴史であって、世界に誇るべき存在であるから」(賛成)
「皇室の方々のニュースを見るのが楽しいから」(賛成)
「法の下の平等に関する例外として意味があるのかは不明だが、諸外国の要人を国賓としてもてなすことに一定の外交メリットはあると思われる」(どちらともいえない)
「あまり考えたことはない」(どちらともいえない)
「皇族に自由がなくて気の毒」(どちらともいえない)
「第二次世界大戦で天皇が果たした役割につき、責任を取っていない。また、皇室の維持に費用が掛かりすぎる」(どちらかといえば反対)
「法の下の平等、個人の尊厳の理念に反する。天皇崇拝の非合理的な思想や行動をはびこらせる」(反対)
「天皇制は直ちに廃止すべき。その起源からして嘘で塗り固めた天皇制は民主主義制とは相容れない」(反対)
「日本国憲法が依拠する近代人権思想の理念に反する。天皇制こそ民営化すべき」(反対)
●女性天皇に「賛成」「どちらかといえば賛成」が74.8%
女性天皇については「賛成」が53.1%、「どちらかといえば賛成」が21.7%。「どちらともいえない」が12.4%。「どちらかといえば反対」が6.6%、「反対」が6.2%でした。
理由としては、次のような声が並びました。
「ジェンダーで分けることは現代社会の倫理からかけ離れている。天皇が象徴ならなおのこと恥ずかしい」(賛成)
「歴史上、女性天皇もいた」(賛成)
「憲法上禁止されていないし、男性・男系に限る合理的理由もない」(賛成)
「別に男性でも女性でも資質に差はないし、年長の者がいるのに、男子だからといって幼少の者に天皇を継がせることに合理性がない」(賛成)
「世界の趨勢。男系などと力んでも神話の時代からの話のこじつけ」(賛成)
「なぜダメなのか皆目わからない。当然良い。性別でわける意味は全く見出せず、むしろ不自然不可解」(賛成)
「象徴としての機能や各種行事を遂行できれば足りる。健康かつ一定の品位を備えていれば男女間に特段の優劣はなく、女性であっても問題が生じるとは思われないから」(賛成)
「やむを得ない」(どちらかといえば賛成)
「男性天皇以上に結婚相手探しに苦労することが目に見えているので、安定的な皇位継承にさほど有益ではないし、ご本人も気の毒だから。眞子様の結婚であれだけ世間から色々いわれて可哀想だったのに、女性天皇となるとあれ以上に色々言われるのは間違いない」(どちらかといえば反対)
「皇位継承の継続性に繋がらない」(どちらかといえば反対)
「男系男子の次期天皇への中継ぎとしてなら認めてもよいと思うが、それ以外は反対」(どちらかといえば反対)
「血統が途切れるから」(反対)
●女系天皇に「反対」は15.9%、「女性天皇反対」の2倍以上に
女系天皇については「賛成」が43.0%、「どちらかといえば賛成」が16.3%。「どちらともいえない」が17.4%。「どちらかといえば反対」が7.4%、「反対」が15.9%でした。反対の声は女性天皇に反対とする人(6.2%)の数を倍以上上回りました。
理由は様々です。
「男系、女系を理解している国民はほとんどいない」(賛成)
「男女平等の要請から女系天皇を排除する合理的根拠もないように思うから」(賛成)
「憲法上禁止されていないし、男性・男系に限る合理的理由もない」(賛成)
「男系でも女系でも遺伝子的には変わらない。不合理な制度である」(賛成)
「逆に、女系天皇を反対する理由がないのでは」(賛成)
「天皇という存在に血筋を厳格にする必要はない」(どちらかといえば賛成)
「何をもって女系天皇と定義するかについての知見を持ち合わせていないから」(どちらともいえない)
「1代限りの女系天皇では意味がないし、恒久的な女系承継を想定するには議論が不足している」(どちらかといえば反対)
「万世一系の血筋は守るべき」(反対)
「我が国の血統として家制度と男児血統が伝統的に認められ、女系は傍流の認識であるから」(反対)
「天皇制は廃止すべきであり、天皇制の存続につながる制度改革には反対」(反対)
「今まで男系だったから」(反対)
「神武以来というつもりはないが、ある程度長期間にわたって男系の系譜を維持していたのであるから、一時代の価値観で変更するべきではない」(反対)
●女性宮家の設立、「賛成」「どちらかといえば賛成」が過半数
女性宮家の設立については「賛成」が34.1%、「どちらかといえば賛成」が16.7%。「どちらともいえない」が26.7%。「どちらかといえば反対」が10.5%、「反対」が12%でした。
その理由について、次のような声が並びました。
「男女平等の原則から女性宮家を排除する合理的根拠もないと思うから」(賛成)
「反対する理由がないし、女系天皇制度であれば、女性宮家は自然な流れなのではないか。ただし男性・女性関係なく宮家が増えすぎないようにする方策は必要」(賛成)
「皇族の絶対数が増えなければ、安定的な皇位継承などできるはずがないから」(賛成)
「皇室外交の必要性」(どちらかといえば賛成)
「皇統男子と婚姻した場合のみ女性宮家賛成」(どちらともいえない)
「天皇制の継続には必要だが、対象となる個人の負担は重いと思うから」(どちらともいえない)
「皇位継承権を持たない以上、必要性に乏しい。旧皇族の方々を養子あるいは婿に迎えるなら別」(どちらかといえば反対)
「歴史上女性宮家はほとんど存在していないから」(どちらかといえば反対)
「皇族の公務の担い手が少ないという理由であれば、公務を減らせばよい」(反対)
「そこまでして天皇制を維持する理由がない」(反対)
「配偶者問題で皇室の権威が損なわれる」(反対)
「皇室の維持に費用が掛かりすぎるので、これ以上宮家を設けるべきでない」(反対)
●「女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する」案、賛成が26.4%
「女性皇族(内親王・女王)が婚姻後も皇族の身分を保持する」との案については「賛成」が26.4%、「どちらかといえば賛成」が17.8%。「どちらともいえない」が27.9%。「どちらかといえば反対」が11.2%、「反対」が16.7%でした。
理由について質問しました。
「女性天皇を認めるのであれば認めざるを得ないから」(賛成)
「女性のみ皇室を出ることに違和感があるから」(賛成)
「男女分けない結果の必然」(賛成)
「女性のみ婚姻によって身分が大きく変わる合理的理由がないから」(どちらかといえば賛成)
「婚姻後も皇族から自由意思で離脱できるようにするのであれば良いと思います」(どちらともいえない)
「本人に選択肢が与えられるようにする方が良いと思う」(どちらともいえない)
「当該女性皇族に皇位継承権を認めないのであれば賛成」(どちらともいえない)
「皇位継承権を持たない子供が生まれることになり、不安定な地位におくことになる」(どちらかといえば反対)
「皇室の血を持たない皇配に一定の権威を認めうる可能性があるから」(どちらかといえば反対)
●「旧宮家の男系男子を皇族に」→「どちらかといえば反対」「反対」が43%
「皇族として認められていない養子縁組を可能にし、旧11宮家の男系男子を皇族とする」との案については「賛成」が14.3%、「どちらかといえば賛成」が17.1%。「どちらともいえない」が25.6%。「どちらかといえば反対」(14.3%)「反対」(28.7%)でした。
その理由を詳しくみていきます。
「最も現実的な皇室を維持する方法」(賛成)
「男系男子を軸とする皇位の安定的継承に資するから。旧11宮家の廃止がGHQによる占領下での特殊な経緯によるものであることも考慮すべき」(賛成)
「実現可能であればよいが、当事者の意向を無視した議論が多すぎる」(賛成)
「男系を維持するためには必要だと思う」(どちらかといえば賛成)
「状況としてやむを得ない場合にはそれも選択肢。それでも、養子選定には血統の重みを最優先の判断基準にすべき」(どちらかといえば賛成)
「旧宮家の男系男子を皇族にして、男系男子の維持することが重要と考えるから」(どちらかといえば賛成)
「どうしようもない場合に皇室廃止となるよりはマシ」(どちらかといえば賛成)
「過去にはあったかもしれないが、養子縁組までくると天皇制そのものを一度リセットしたほうがよい」(どちらともいえない)
「議論の内容を知らない」(どちらともいえない)
「養子縁組を可能とする制度には賛成だが、皇族を男系男子に限定することへの合理的理由がない」(どちらかといえば反対)
「...
https://www.youtube.com/watch?v=To6sXeZ9dXI
(内容書き起こし)
はいこんばんは、乃万チャンネルの時間になりました。今日は、本当は毎週スライドを作成して皆様にご覧に入れるわけですが、土曜日の日にお話ししましたように、今日は私のちょっとお話を聞いていただければありがたいなと思っております。
今日のお話は、私これまで旗色を鮮明にしてこなかったんです。と申しますのは、秋篠宮様の立皇嗣宣命の儀の際に、陛下に御祝いのおことばを申し上げました。陛下からは「祝ってくれてありがとう」というお返事をいただいた。このことがずっと私の脳裏にありまして、立皇嗣というものについてこれまで皆様とも色々と法律上の問題でどうなのかということをご説明申し上げてきたのですが、本日からこのチャンネルは敬宮愛子内親王殿下の立太子、これを強く進めていくチャンネルにしたいと思っております。このことを本日皆様方にお話をしたいですね。
私は特に秋篠宮様に対して個人的にどうのこうのということを申し上げるつもりはまったくありません。これまでお話ししたように、私と秋篠宮様は同じ学習院で、まあ私が先輩になるわけですが、先輩後輩、そして秋篠宮様と個人的なおつきあいをさせていただいて参りました。ですから秋篠宮様のお気持ちもよく分かる。
しかし、私はやはりこの国、日本という国を考えた時に、やはりこれからの行き先、皇統というものがどういうふうにあるべきなのか、このことをやはり真剣に考えなければならない時期に来ているのではないのかと。
只今国会は会期中でございます。しかし、この皇統に関する質疑についてはおそらくなされないのではないだろうか。もし、よしんば出されたとしても、それについては文字通り法律的な官僚の今までの言葉通りの答えが返ってくるにすぎないと思っているのです。しかし私が与党の皆さんに申し上げたいのは、このまま秋篠宮様はじめ秋篠宮悠仁親王殿下、秋篠宮家に皇統が移ってしまった時に国民は大変残念に思うだろう、いや、国民ではなくて、私達今この日本に生きている人間が、後世に対して大変な過ちを犯す可能性があると私は個人的に思うわけです。
ですから少なくともたった小さなチャンネルではありますが、私はこのチャンネルで将来の日本ということ、国を憂いた心として、やはり敬宮愛子内親王殿下に立太子をしていただきたいと強くここで申し上げるつもりで今日は収録をしております。
皆様方は、敬宮愛子内親王殿下が、私もそう思っておりましたが、大学院へもご進学されず、ご留学もなされず、日本赤十字社にご就職あそばされた、このことについていささか驚かれたことだろうと思うのですね。私も実は日本赤十字社へのご就職ということは念頭にございませんでした。「中世の和歌」という題の卒業論文を提出された内親王様ですから、おそらくそういう国文学系の研究所、そういったところに研究員としてお勤めをなさることを私は想定しておりました。
ちょっと話が外れますが、まだ愛子内親王殿下にはお目にかかっておりませんので、もうしばらく落ち着いてからお目にかかった時にお伺いしようと思っているのですが、なぜ「中世の」和歌、和歌はいいのですが、「中世」という時代を選ばれたのか、ここを伺ってみたいと、個人的には思っております。
それはともかくとして、愛子様がなぜそういった日本赤十字社にご就職あそばされたのか、という意味を私は深く考えてみる必要があるのではないかと思います。
皆さん、こういう「歌」ご存知ですか。これは軍歌になってしまうのですが、赤十字社を歌った一つの曲があります。この曲の中で歌われているのは「世界平和」、今現実の平和、こういったものをご婦人方が看護婦として勤めていた時の歌詞を是非見て頂きたい。その曲の名は「婦人従軍歌」であります。本来ならばここで曲を流しそして歌詞を皆様にお届けしなければいけないと思うのですが、著作権の問題がございますので、本日見て頂くわけにいきません。Youtubeで簡単に検索ができます。「婦人従軍歌」と入れて頂ければコロムビアレコードの曲など様々出てまいります。
これは軍歌でありますから当然戦場のことを語っているわけです。しかし、何も私はここで軍国主義を賛美するつもりは毛頭ございません。むしろその逆でありまして、やはり世界恒久の平和、日本国の平和、ということをこの歌は強く訴えていると思うのです。どうでしょうね、皆様どうお感じになるか。是非この曲を聴いていただきたい。そして歌詞を読んでいただきたい、そう思います。
突然なんでこの曲のお話をするかというと、私は敬宮愛子内親王殿下が日本赤十字社にご就職あそばされるという決意をなされた、その決意の結晶なのではないかと思うからなんですね。もちろん、御母様でいらっしゃいます皇后陛下は日本赤十字社の名誉総裁でいらっしゃいますから、その影響をお受けになったと一般的には語られているかと思います。
しかし、私は皇后陛下も愛子内親王殿下も、ともに非常に仲睦まじく会話を交わしていらっしゃる、日々おそらく議論をされていらっしゃるのではないかと思うのです。正直申し上げて、陛下にはその気持ちをよくお分かりになると思うのですが、陛下のお立場ではこの皇統の行方の問題に触れることはあいできません。このことは皆様ご承知いただきたい。私が陛下のお気持ちを慮ってこう申し上げているわけであって、これは決して陛下のお気持ちを代弁したものではないということはお断りしておこうと思います。また、この皇統の行方の問題に関して、私と陛下とで話し合いを持ったり、議論をしたこともございません。今後も私は陛下に対してそのようなことを申し上げるつもりもございません。
しかし、皇后陛下・敬宮愛子内親王殿下には強く申し上げたい。今、私達が決断をしないとこの日本という国、この国柄、そしてこの長い皇統の歴史、こうした私達一人一人、国民一人一人が持っているその生き様、有りよう、こういったものを将来に禍根を残すことになる可能性が高いことを申し上げたいと思うのです。
特に国会議員の先生方におかれましては、この問題をやはり今一番の議題として取り上げ、そして国会内で議論をしていただき、法律、立法化をして、愛子内親王殿下の立太子ということを考えていただく。いかに私どもが考えていても、やはり立法府でこのことを考えていただかないと、事は前に進みません。宮内庁や皇室がこの問題について云々することはできないんです。また、仮にできたとしても、それはあまり意味がない。日本は法治国家でありますから、そして議員制をとっているわけですから、国会でこの決議をしていただくしか方法はない、と私は思っております。
百歩譲って国会内で議論がまとまらないのであれば、これは国民投票に訴えていただきたい。どれだけの国民がこの問題について真剣に考えていけるか、ここが私は大切なところだろうと思っているのです。
ですから今後、このチャンネルでは、いかに私達がこの問題について考えていくことができるのか、そういったことをまだまだ小さなチャンネルではありますが、皆様方で議論をしていこう、この問題を話し合っていこうというチャンネルにしたいと思うんです。もちろん、反対だというご意見も大いに歓迎したいと思います。オープンな議論を私は望んでおります。好きとか嫌いとか、そういう問題でこの問題を捉えていただきたくはない。そうではなくて、私達の孫・子の世代に対していかに私達が責任を持てるか、こういった上でこの問題を考えていきたい、そう思うのです。
お陰様で、(おそらく複数のアカウント名紹介?)、皆さん、色々と議論していただいております。こういった方々がどんどん増えていくことを私は願っております。ひとつお願いです。このチャンネルを育てていただきたい。そのためにはやはり力が必要です。私は正直申し上げてこのチャンネルで金銭の対価を頂こうとは思いません。仮に百歩間違って五万人とかそういう大きな数字のチャンネル登録者数が出ればそれなりのものも入ってくるのかもしれません。しかし私はそれはすべて敬宮様の立太子、このことについてお金を投じて参りたいと思っております。
皆様方のご理解とご支援、ご協力、そしてオープンな議論、これをしていきたい。コメントをいただくのは大変ありがたいことです。しかし、きちんと理由を述べてコメントをいただきたい。私はそういったコメントの方にはどんなコメントの内容であってもきちんとお答えしていくつもりでおります。
今日は皆様にそのことを申し上げ、皆様のまたコメントをお待ちしたいと思います。土曜日、もう少しこの問題、深堀りをしていきたい。来週からまた皇室典範、特例法、ここをきちっと考えていきたいと思うんですね。今後の特例法については特に経済、そして警察権、この問題について特例法で定めております。経済に関しては皇室経済法のことも考えなければいけないと思います。そうした情報もチャンネルでお伝えをしていき、皆様方の色々な考えをなさるその糧としていただければありがたい、そのように思っております。
本日は私の決意というものを申し上げてお別れをしたいと思います。では土曜日、またお目にかかりたいと思います。本日はありがとうございました。
◎「婦人従軍歌」歌詞・再生
https://www.kkbox.com/jp/ja/song/DXntXydSg_DL994dG1
2/23(金) 9:01配信 弁護士JPニュース
https://www.ben54.jp/news/914
2月23日、天皇陛下が64歳の誕生日を迎えられた。
能登半島地震の発生を受けて元日に中止が決定された一般参賀も今回は開催され、おめでたいムードに包まれているが、一方で皇室をめぐっては「皇位継承問題」という大きな課題が国によって“放置”された状態が続いている。
2006年、小泉純一郎政権下で皇室典範改正案の国会提出が見送られて以来、棚上げとなっているこの問題だが、皇室研究者・高森明勅氏は「今年、通常国会が閉会する6月末までに決着する可能性が高い」と指摘する。
◇永田町は「一度動き出すと早い」
皇位継承問題については、2022年1月に政府の有識者会議が国会に報告書を提出してから1年以上まったく動きのない状態となっていたが、昨年2月の自民党大会で岸田文雄首相が議論を進めるよう呼びかけて以来、事態が連鎖的に動き出したという。
「現在の上皇陛下の退位に際して『天皇の退位等に関する皇室典範特例法』ができたときもそうでしたが、永田町は一度動き出すととても早いです(※)。今はまさに、当時と同じ流れになっています」(高森氏)
※ 陛下がビデオメッセージで退位のお気持ちを示したのが2016年8月、その翌年6月には法が成立しており、わずか1年足らずで事態が大きく動いた
高森氏がこう発言する背景には、昨年10月の臨時国会における所信表明演説で、岸田首相が皇位継承について「『立法府の総意』が早期に取りまとめられるよう、国会における積極的な議論が行われることを期待します」と述べたことなどがある。
「通常、法案は衆参両院で過半数を得ることで可決されますが、退位に関する特例法のときは、このひとつ手前に、各政党会派の合意を得た上で法案を国会に提出するという手順がとられました。実は、このときにも『立法府の総意』という言葉のもとで議論が進められたのです。
そもそも『立法府の総意』という言葉はなかなか使われる表現でなく、今回の総理の発言は明らかに退位特例法の手順を念頭に置いたものであると考えられます」(高森氏)
さらに岸田首相にとっては、9月に控える自民党総裁選も少なからずモチベーションに影響を与えているだろう。
「もちろん、岸田首相が一国を背負うリーダーとして、皇位継承問題にリアルな危機感を抱いていることは間違いないと思います。ただし、もし今国会中(6月末まで)に決着をつけることができれば、小泉政権以来20年近く棚上げされてきた問題を与野党合意の上で解決したということで、再選の大きな後押しとなるでしょう」(高森氏)
◇現状の案は「支離滅裂」
高森氏は、長年進展のなかった皇位継承問題の議論が動き始めたことは評価するものの、その肝となる有識者会議による報告書については「支離滅裂」と酷評する。
「まず、次の世代の皇位継承者は悠仁さまおひとりである以上、もっとも議論すべきは『安定的な皇位継承』を目指す方策のはずです。しかし政治的配慮によって、報告書では論点が『皇族数の確保』にすり替えられているという根本的な問題があります。
報告書には『次世代の皇位継承者(編注:悠仁さま)がいらっしゃる中でその仕組みに大きな変更を加えることには、十分慎重でなければなりません』と悠長なことが書かれていますが、悠仁さまは過去に軽い交通事故に遭われており、テロ未遂事件なども実際に起こっていて、今後も不安は残ります。
また現行制度のままでは、悠仁さまの妃(きさき)となられる方は『何が何でも男子を産まなければ』というあまりに重たいプレッシャーを背負うことになります。失礼ながら、そのような状況では、お相手を見つけるハードルも非常に高くなってしまうのではないでしょうか」
報告書は、悠仁さま以外の未婚の皇族が全員女性であることから、悠仁さまが皇位を継承されるときには他に皇族がいらっしゃらなくなることが考えられる、よって「まずは、皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図ることが喫緊の課題」であるとして、以下2案を提示している。
①内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持する
②皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子(編注:現在一般国民となっている旧宮家の男系男子孫)を皇族とする
しかし高森氏は、この2案についても「実現性が低すぎる」と疑問視する。
「まず①については、内親王・女王の配偶者やそのお子さまは『一般国民としての権利・義務を保持し続ける』としています。ご存じのとおり、皇族は参政権や経済活動の自由をはじめとするあらゆる権利が制限されており、いわば憲法上“正反対”の立場に置かれている皇族と一般国民が同じ家庭を営むというのは、現実的に考えてかなり無理があるのではないでしょうか。
また、皇族のお住まいや生活費などは国費でまかなわれていることから、一家がどこに住まわれるのか、家計管理はどうするのかなど、生活の根本的なところから多くの問題が出てきます。
そして②については、日本国憲法第14条が禁止する『門地による差別』に真正面からぶつかりますし、一般国民として生まれた旧宮家の方も、養子を受け入れる皇族側も、果たして“目先だけの皇族数確保”のための養子縁組に手を挙げる方はいらっしゃるのかという疑問が残ります」
◇実は国会議員も「女性天皇賛成派」が多い
高森氏は前述を踏まえて「『皇室を存続させたい』ということを前提とすれば、古い時代の正妻以外の男子でつなぐやり方はとっくに否定されており、現実的に考えて女性・女系天皇を認める以外の選択肢はありません」と言う。
「政府も本心では分かっているでしょうし、有識者会議だって曲がりなりにも公的な諮問機関ですから、報告書が支離滅裂であることは承知していると思います。しかし一部の熱烈な男系支持者がいる以上、女性・女系天皇論を真正面に掲げたら議論は1ミリも進まないと考えたのでしょう」
一般的に、「国会議員の中では男系支持者が優勢」とのイメージがあるかもしれないが、実は2019年に『週刊朝日』が衆参両院の議員に行ったアンケートでは、以下のような結果が出ている。
Q.愛子さまが天皇に即位できるように皇室典範の改正をするべきと思いますか
A.「するべき」28%、「するべきではない」8%、「無回答・回答拒否」65%
Q.女系天皇を認めることに賛成ですか、反対ですか
A.「賛成」29%、「反対」13%、「無回答・回答拒否」58%
「そもそも『天皇』は日本国憲法第1章に掲げられた大切な問題なのに、国会議員の圧倒的多数が『無回答・回答拒否』というのが問題ではありますが、少なくとも明確に意思表示している人たちで見れば、女性・女系天皇を認めるべきという意見の方が実はかなり多いという結果になっています。ただし少数であるはずの反対派の声が大きく、一定の政治的配慮をせざるを得ないというのが現状です。
岸田首相のメッセージは必ずしも女性天皇の可能性を全面的には排除しておらず、今回予想される国会での決着も、野党などの取り組み次第では、少しでも皇位継承を安定化させる方向に報告書の案を近づけることは可能でしょう。そこで残った課題は、今後さらに議論が進むことに期待したいですね」(高森氏)
◎愛子さま 担当記者は「まさか就職されるとは」と驚き…忘れてはならない“危機”も
2/12(月) 10:55配信 デイリー新潮(朝霞保人)
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/02121045/?all=1
天皇家の長女・愛子さまが3月に学習院大学を卒業した後、日本赤十字社に嘱託職員として就職されることを宮内庁が発表したが、担当記者の間では驚きが広がっている。
「愛子さまは2020年4月に学習院大学に入学したものの、当時はコロナ禍で入学式が中止になりました。コロナが落ち着き、昨年4月にようやくキャンパスライフが始まった。大学生活で失われた時間を取り戻すために、卒業後は大学院に進まれると思われていました」
元宮内記者会の民放報道局関係者は、こう打ち明ける。
埼玉大学などが2021年11月から翌年1月にかけて行った世論調査では、7割超(76%)が女性天皇を容認。女性天皇実現への期待度や愛子さまの即位を望む声は依然として衰えない中、「『学生生活をまだ楽しみたい』なんていう俗物的な考えはお持ちではないことが改めてはっきりしました」(前出・報道局関係者)と、感心する声さえ聞こえる。
愛子さまが、日赤で正規職員ではなく、嘱託職員として働かれるのも理由がある。今後、増えることが予想される「天皇家の一員としてのご公務」を優先させながら、日赤職員が担う奉仕活動を、うまくバランスを取りながら両立させるために選択されたものだ。
「紀宮さま(黒田清子さん)が、ご結婚前に山階鳥類研究所で研究員としてご活動中も、天皇家(現上皇家)の長女としてのご公務は疎かにしないために非常勤で勤務されていたのと同じです。叔母のなさりようを見習われたということでしょう」
と、宮内庁関係者は解説する。
献血運動などで知られる日赤は、災害や病気、紛争などで苦しむ人を救うための支援を目的とする。小松宮彰仁親王が初代総長だった1877年設立の博愛社を前身として1887年、日本赤十字社に改組した。初代名誉総裁は引き続き小松宮が務め、その後、代々の名誉総裁は皇后がバトンをつないできた。
現在は皇后陛下が名誉総裁、秋篠宮妃紀子さまと常陸宮妃華子さま、三笠宮妃百合子さま、寛仁親王妃信子さま、高円宮妃久子さまが名誉副総裁に就かれており、その黎明期から皇室との関係は深い。
「もっと学生生活をエンジョイしたいといった世俗的なご発想は微塵もなく、日赤の活動とご公務に邁進されるご決意だということでしょう。さすがは天皇陛下の一人娘。幼い頃から今上天皇のお背中を見て育ち、事実上の帝王学を修められた結果です」(前出の宮内庁関係者)
◆「裏金の旧安倍派に関心集中」皇室は……
岸田首相は2022年1月12日に「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」について国会報告を行い、
「平成29(2017)年、当時安倍内閣の時代に衆院は6月1日、参院は6月7日、皇室典範特例法案特別委員会で、それぞれ附帯決議をしてもらい、その附帯決議で示された課題について令和3(2021)年3月、政府の有識者会議をスタートさせた。以来10回を超えて議論を行い、取りまとめてもらった。政府はこれを衆・参両院に報告する」
と述べ、両院議長に報告書を提出した。昨年12月には、就任間もない額賀福志郎衆院議長が、安定的な皇位継承方法について与野党の幹部らと個別に会談。各党の検討状況を聴き取り、党としての考え方を取りまとめるよう議論を促した。これは国会に提出された報告書が「皇位継承の問題と切り離し、皇族数の確保を図ることが喫緊の課題」と指摘し、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保有するか、皇族の養子縁組を可能にして旧皇族の男系男子を復帰させるかの両案の検討を求め、衆・参両院の議長に各党での議論を促進するよう要請していたことを受けたものだった。
だが国会は、自民党の派閥を巡る裏金事件で「政治とカネ」に関心が集中してしまった。
「元々、目先の自分たちの選挙にしか関心がない政治家ばかりなので、党内最大派閥の安倍派解散の余波は大きい。今国会は、皇室の危機について掘り下げた議論ができる雰囲気には全くなっていない」
と、全国紙政治部記者は語る。一方で今年は秋篠宮家の長男・悠仁さまが成年され、次女の佳子さまは30歳となられる。なのに、愛子さまが大学を卒業される段階に至っても皇室の将来展望は全く開けていないのだ。
◆「ホントに10代8人だけなのか」の声も
今上天皇が第126代天皇となる皇室の歴史で、女性天皇は10代8人いたと定義されている。
飛鳥時代の593年に即位した第33代の推古天皇に始まり、江戸時代の1771年に退位した第117代の後桜町天皇までの計8人だ。この間、斉明天皇として再び皇位に就いた(重祚した)皇極天皇と、称徳天皇として重祚した孝謙天皇の2人がいた。天皇・皇族の戸籍に当たる大統譜や皇族譜といった皇統譜、明治天皇紀や大正天皇実録、昭和天皇実録といった歴代天皇の伝記(紀・実録)を扱う書陵部の勤務経験がある宮内庁元職員は、
「幕末から大正時代にかけて大枠が整理された皇室の歴史は、しっかりとした根拠に基づく正当なものです」と指摘する。だがその上で「史学、考古学の研究が日々進んでいる以上、全く誤りがないとはもちろん言えません」と、本音も吐露する。
10代8人の女性天皇が天皇史上では「ワンポイント・リリーフのような存在」というのが、男系男子の皇位継承を絶対視し、女性天皇に反対する識者の主流的な考え方とされる。
「126代のうちの10代ですから約8%。少ない印象ですが男性天皇が大原則と言うのであれば、十分に多い数字であるとも言えます。それに『女性天皇ってホントにそれだけなのかな?』といぶかる(疑う)声も、仲間内ではありました」(前出の宮内庁元職員)。
明治時代以前には、三韓征伐の武勲で軍神と呼ばれる神功皇后を天皇とみなして第15代の帝とした『扶桑略記』『常陸国風土記』『神皇正統記』などの史書もあった。中国の史書『宋史』には「神功天皇 開化天皇之曽孫女、又謂之息長足姫天皇」とある。だが、1926年の皇統譜令で皇統譜の歴代天皇から外された。
「皇位の男子継承絶対主義に基づき女性天皇にカウントしたくなかったからではないでしょうか」(同)
第何代とナンバリングはされていないが、飯豊天皇の名で知られる女性皇族もいた。お墓(はか)については、皇族が一般国民と同様の墓(ぼ)なのに対して、天皇は陵とのネーミングで区別されている。飯豊天皇の場合は『日本書紀』で「葛城埴口丘陵」と記載されている。また死去した場合も皇族は薨去だが、天皇だけは崩御で、『日本書紀』には飯豊天皇について「崩(御)」と表記されている。『扶桑略記』では「飯豊天皇」とはっきり明記されている事実もある。
さらに女帝だった可能性がある3人目として「穴穂部間人皇女」も史家の間ではよく知られる。第29代欽明天皇を父とし、異母兄の大兄皇子(第31代用明天皇)に嫁いで、廏戸皇子(聖徳太子)らを産んだ。久子さまが奉賛会の名誉総裁を務められる奈良の中宮寺は、聖徳太子が母の御所の跡を寺にしたものとされる。
「歴史の解釈である以上、10代8人も捉え方の1つ。皇室の減退を憂うるのなら、歴史の枝葉末節ではなく本質に目を向けるべきです」(同)
さらに宮内庁プロパーの元幹部は、
「愛子さまは社会人の一歩を踏み出されます。議論を妨げているのは保守を掲げながら皇室の将来に責任を負わない人たちです」
と“自称保守派”に手厳しい。愛子天皇待望論は単なる待望論で終わるのか。今国会に注目だ。
◎(フォーラム)象徴天皇の未来は
2024年2月11日 5時00分 朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/DA3S15861428.html
天皇が代替わりをして、もうすぐ5年になります。憲法で日本国と国民統合の象徴と位置づけられている天皇の地位は、主権者である国民の「総意に基づく」とされています。象徴とは、そして象徴にふさわしい皇位継承とは。みなさんと考えます。
■安定的な継承へ、若い世代の議論に期待 05年「有識者会議」座長代理・園部逸夫元最高裁判事
小泉内閣で「皇室典範に関する有識者会議」の座長代理を務めた元最高裁判事の園部逸夫さん(94)に、当時の議論などについて話を聞きました。
◇
昭和天皇のお声を初めて聞いたのは台湾の山奥でした。ラジオから甲高い声が流れてきましたが、声が小さく、雑音も多くて何を言っているかわかりませんでした。
陸軍の二等兵として、日本の植民地だった台湾の北部に派遣されていました。いわゆる「玉音放送」が終わると、上官が「より一層励めというお言葉だ」と言いましたが、アナウンサーの話で戦争に負けたことを知りました。
悲しいとか、悔しいといった感情はありませんでした。ただ、「助かった」という思いだけです。16歳の時でした。
天皇は神である。そう信じていました。それが終戦をさかいに「象徴」に変わりました。ただ、いきなり象徴といわれても、よくわかりませんでした。それでも、為政者ではなく、その存在があるということは、国を安定させる上で意味があると感じます。
では、その地位をどうつないでいくのか。私が座長代理として関わったのが2005年の政府の有識者会議でした。当時、未成年の男子皇族はいませんでした。
歴代天皇の約半数が、側室制度に基づく非嫡出(ちゃくしゅつ)子による継承です。側室制度がなくなった今、男系で皇位をつなぐことは、極めて困難と言わざるを得ません。
このような状況を踏まえ、女性天皇と、母方だけに天皇の血をひく女系天皇をいずれも認めるべきだとする報告書を当時の小泉純一郎首相に提出しました。しかし翌06年、41年ぶりに男子皇族が誕生したことで議論は立ち消えになった。こういう時こそ、落ち着いた議論ができるはずなのですが。
2021年の有識者会議の報告書では、将来的な皇位継承策については踏み込んでいません。皇族数を確保する策として、旧皇族の男系男子の養子縁組による皇族復帰などの案が挙げられました。
旧皇族の復帰は、前回の会議でも一部の識者から出されました。しかし、戦後皇族を離れて長い年月がたっていることから国民の理解と支持を得るのは難しいこと、また、当事者の意向に左右されるため安定的な制度とは言えないことなどの理由で見送られました。皇族の数を維持するために、当事者に復帰を事実上強制するような事態も危惧されます。
退位についても、前回は特例法で対応しましたが、今後はどうするのか。即位の辞退ということも想定する必要があります。
安定的な皇位継承を考える時、女性・女系天皇という選択肢を議論することは避けて通れません。これまで通り男系でつながなければ伝統が崩れる。そう考える人がいるのも当然ですが、それで皇室が維持できるかは疑問です。
皇室制度が難しいのは、それが皇室ご一家を対象にしている制度だからです。法律が生身の人間の人生を大きく左右するという、極めて例外的なものなのです。
戦争が終わってから来年で80年になります。天皇制の未来をどうするのか。それは主権者である国民が決めることです。特に若い世代に考えてほしい。それが私の願いです。(聞き手・喜園尚史)
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そのべ・いつお 1929年生まれ。筑波大教授などを経て最高裁判事。著書に『皇室法概論』など。
■定義あいまいな「公的行為」、象徴の意味問い直しを
「象徴という意味如何(いかん)。この字はありふれた漢和辞典にはない。日本国民統合というのもわからぬ」
1946年4月、旧憲法下で天皇の諮問機関だった枢密院の審査委員会。日本国憲法の起草にあたって質問が相次いだ。担当閣僚は答えた。「象徴とは抽象的なものを具体的に表現する。統合云々(うんぬん)は、日本国民の中心点となって、その旨を表現する意味なり」
「象徴」
その言葉は2カ月前、連合国軍総司令部(GHQ)から出されたマッカーサー草案に盛り込まれていた。当初案は象徴(symbol)ではなく元首(head of the State)だった。明治憲法のような解釈が出るのではないか、との懸念が示されたため、変更されたという。
当時の日本人にとっては耳慣れぬ言葉だったようだが、80年近くたった今も、さほど理解が進んだとは思えない。
異例の退位への道を開いた国民へのメッセージで、明仁天皇(現上皇)は「天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました」としたうえで、日本各地への訪問を「象徴的行為」と表現した。このような活動は憲法に明示された国事行為ではなく、「公的行為」とされる。それは国民の強い支持を得た一方で、定義があいまいなため、天皇の政治利用や国政への関与に触れる危うさもはらんでいる。
皇位継承も難題だ。
最大の論点は、女性天皇と、母方だけに天皇の血を引く女系天皇を認めるかどうか。この点については過去に何度も議論があった。明治に旧皇室典範が制定される際には、男系が途絶える時は女系も認めるという案などが出された。戦後すぐにも、男女平等の観点や側室制度の廃止、宮家の皇籍離脱などにより、皇位継承権者の減少が予想されることから、女性、女系を認めるべきだとの指摘があった。
近年の各種世論調査では、女性または女系天皇を認めるべきだとする回答が6~7割程度にのぼることが多い。今回のアンケートで女性天皇について聞いたところ、同様の結果だった。
一方、2021年に出された政府の有識者会議の報告書は、皇位継承策については踏み込まなかった。その理由について「悠仁親王殿下の次代以降の皇位の継承について具体的に議論するには現状は機が熟しておらず、かえって皇位継承を不安定化させるとも考えられる」などと説明している。
この議論が折り合うことは容易ではない。だからこそ、国会に委員会を設け、腰を据えた議論を始めることが急務だ。象徴の意味を問い直す。議論はそこから始めるべきではないだろうか。その先に道筋がみえてくると思いたい。
時計の針を約90年前に戻してみる。1933(昭和8)年12月23日早朝、国中にサイレンが2回鳴り響いた。皇太子誕生を知らせる合図だ。当時、天皇家では内親王が4人続いており、初めての男子だった。
〈日の出だ 日の出に 鳴った 鳴った ポーオポーオ サイレン サイレン……〉
北原白秋が作詞した奉祝歌「皇太子さま お生まれになった」が発表され、朝日新聞には奉祝飛行の社告が掲載された。
そんな時代もあった。
100年後、天皇制はどうなっているのか。その未来からみると、今の時代はどう映るだろう。(喜園尚史)
■高い倫理観が重要/直系長子なら真の男女平等/先例に倣うべきだ
アンケートは、すべての世代から、たいへん多くの回答が寄せられました。結果はhttps://www.asahi.com/opinion/forum/194/で読むことができます。
●日本の連続性と共同意識 象徴天皇とは、日本国の連続性と共同意識を担保する存在。今、政治の無策で皇室が風前のともしびとなっており、とりかえしのつかない事態を招いている。(広島、男性、60代)
●心のよりどころ 私の心のよりどころだ。「私たちと共にいてくださる」ということを令和になり強く感じる。女性が皇位継承をできないことは、「日本が女性の存在意義を認めない国である」ことを世界に示していることになる。(神奈川、女性、50代)
●日本の源だ 天皇とは、法治国家としての日本の源だ。「国体」である。いまどきの言い方をすれば「国柄」「国の形」だ。皇位継承は皇統史と先例に倣うべきだ。(東京、男性、30代)
●女性には負担 天皇の仕事は国事行為や宮中祭祀(さいし)、国際交流など多岐にわたる。仮に愛子さまが天皇になられると、お世継ぎを産むという重圧もかかる。女性にばかり負担がかかる女性天皇には反対だ。(富山、女性、60代)
●真の国民の象徴に 皇位継承を直系長子に認めれば、性別を問わず承継を認める形になり、真の男女平等となる。日本の進むべき方向性とも合致して、真の国民の象徴となる。(栃木、女性、40代)
●国民のことを考えられるか 尊敬できる存在であってほしい。男女の差よりも、象徴にふさわしい教育を受け、高い倫理観を持ち、国民のことを考えられるかどうかが何よりも重要だ(東京、女性、40代)
●皇位継承、時代とともに 象徴天皇制とは皇室と国民をつなげる一つの形であり、現代に合わせた皇室の形でもある。皇室も時代と共に変わってきたように、皇位継承の形も時代と共に変わっていくものでは。(東京、30代)
●即位しない選択肢も 品位を保ち、国民に寄り添う姿勢も決して忘れない。それは不断の努力と忍耐で築き上げられている。自由や権利を制限され、重責を課せられる。退位だけではなく、即位を拒絶する選択肢を設けてもよいのでは。(埼玉、女性、50代)
●考えが右往左往 象徴天皇については、考えが右往左往して定まらない。冷静に制度や歴史を国会やメディアで議論することが大事。この問題については迷子だ。(神奈川、女性、30代)