名古屋市立美術館で開催中の
「至上の印象派展 ビュールレコレクション」
を観てきた。
東京でも開催されていたが、
時間が取れず、見逃していたもの。
ビュールレさんという、スイスの富豪が、
個人で集めた、印象派を中心とした名画が揃っているのだが、
今回の展覧会の目玉は、なんといっても
ルノワールの「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の肖像」。
当時8歳という、可憐な少女の肖像画は、
ルノワールの作品の中でも必ず取り上げられる
有名なもの。
私が小学校低学年子供の頃、家に、
たまたまルノワールの画集があって、
そこで見て、ほとんど一目ぼれした絵だ。
中学校の図工の時間に、名画を選んで模写する、
という課題があって、この絵にしようか迷って、
でも難しそうだったので、他の絵(何を描いたか忘れた)
にしたのだが、別の子がこの絵を選んで、
悔しかったのもいまだに憶えている。
というわけで、〇十年ごしの、
本物との対面は、とても素敵な時間だった。
幸い、名古屋の美術展は、東京よりは
だいぶ空いていて、何度も立ち戻りながら、
ゆっくりと見ることができた。
全体に抑えられた照明の中、
透き通るような美白+桃色のご尊顔が、
言うまでもなく美しい。
精細に描かれた顔に対して、
衣服や背景は、ルノワール的なタッチで
柔らかく描かれていて、
そのコントラストがまた効果的に
くっきりとした顔を引き立たせている。
服と髪飾りに使われている青も、
肌の淡いピンクを引き立てている。
流れるようなブロンドの毛髪には、
さまざまな色が混じっていて、
柔らかい手触りさえ感じさせるし、
胸についたレースのリボンがまた
全体の華やかさに貢献している。
うーん・・・溜息しか出ない。
今年一番の眼福。
* * *
ちなみに、Wikipedia によると、
スイスのチューリヒにある個人邸宅の美術館に所蔵されているが、
美術館は 2015年に、警備上の負担増などにより閉館し、
現在は見ることができない状態にあるという。
2020年にはチューリヒ美術館に移管されるらしいが、
今回の機会に見られて、本当に良かった。
さらに、Wikipedia によると、ビュールレさんは、
ナチスに武器を売って儲けた武器商人なのだそうだ。
この絵についても、
> 第二次世界大戦の最中、ナチス・ドイツに没収され
> ベルリンで保管されていたが、戦後の1946年に
> 当時74歳のイレーヌに返還された[3]。
> しかし3年後にナチスドイツを始め世界各国に兵器を売って
> 巨万の財を成した武器商人で、スイスに帰化した
> ドイツ人の印象派コレクターのビュールレが競売で入手し
> ビュールレ・コレクションに収められるという
> 皮肉な経緯を辿り現在に至っている[3]。
> イレーヌの娘ベアトリスも二人の孫も
> アウシュビッツで死亡している。
という説明がついている。
確かに、なんとも言えないなぁ。
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