チームラボ 猪子寿之さんへのインタビュー, An interview with Toshiyuki Inoko (TeamLab)
2024-03-02 18:46:08
「ボーダレス」「プラネッツ」などの
作品を送り出しているチームラボの
猪子寿之さんのインタビュー
紡ぎ出される言葉が、
一切のややこしさがなく、クリアだ・・・
本質をついていてとてもわかりやすい
聴く側も、余計なまとめをせずに、
基本的に聴くことに徹しているのがありがたい
「ボーダレス」は最初の頃に何度か行って
感動したが、その背景に
こういう思考があったとは・・・
今興味があること、認知、生命論
組織論=文明論、生命論、未来に向けて
ーーー
以下は、視聴ながらのメモ:
レンズの発明が、それを通して見る世界の客観的な見方
=自分の身体、意志を失う、催眠状態の見方を生み出した
それが近代科学の基にもなっている
すごいからスターなのではなく、
レンズの向こうに現れるからスターに見える
アートというのは、そういう新しいものの見方を提示するもの
チームラボの「ボーダレス」はそういうレンズを通した見え方を
ひっくり返そうとするもの
人間の認知を少しかもしれないが拡げる、新しい体験を与える
人類にとっての認知革命をほんのちょっとでもいいから
できたらいいと思っている
人間は世界を認知しているわけではなく
認知した世界だけを見ている
認知上存在すれば存在する
認知上存在しなければ存在しない
ある作品をみて認知が変わると、見えるものが変わる、
見え方がかわり、行動もかわる
論理的に話しをあわせようとするのは無駄
認知している世界が違うと話があわない
言語は世界から一部を切り取って抽象化して分解して理解する
境界のないものに境界をつける
脳がさらに進化して、切り取らないまま抽象化して
理解する行為が絵を描くということ
関係しあってつながっているものをそのまま抽象化しようとするのがアート
人間はなぜ言語以外に絵を描きはじめたのか?
複雑に関係しあっていることを、言語で切り取らないで、
なんとか抽象化して共有する手段
連続していることがそのまま美しいと
感じられる体験が作れたらいいと思っている
VR や生成AI は頭いい人たちがやればいい
世界のトレンドにあわせるのは優秀な人たちがやること
技術としては最新の手段は使うが、
それをやりたいわけではない
ゴールドラッシュに群がった人は誰も勝っていない
ごく一部のプラットフォームを作った人は
儲かっているだろうけど
みんなが思っているよりも、
人間は身体で世界を把握して、身体で考えている
身体で感じたり考えたりしているときに価値観が変わる
認知パターンが増えれば、世界をよりあるがままに
見られるようになるかもしれない
本人にとって「意味がある」
と思うことを積み上げてゆけば
ニッチなところでやってゆける
人は、意味がないと生きてゆけない
生きている意味を見いだしたい
意味を求めているので、一見よくわからないものでも、
ありえないくらい積みあがっているものには
意味を感じてしまう
感動してしまうところがあるのではないか
雲南省にあるハニ族の棚田を見たが、
意味がわからなすぎて、意味があるように感じる
意味がわかるものはつまらない、
意味があるように思えない
世界で勝つには、人口がすべて
人は生産と消費がセット
日本は人口的には大国だった
人口規模と人口動態が良かった時代は経済も良かった
それ以外はテクニカルな話
チームラボでは、
デジタルのソリューションが 700人いて、
そこで稼ぐお金で 300人くらいが
アートをやっているという感じ
経営はよくわからない
よくわからないことにコミットしてもあまり変わらない
一方で、蒸気機関は確実に「知」で、それを知っていれば
イノベーションをおこせる
「知」のほうが組織のクオリティを上げられる
ほんのちょっとでも汎用的な知が共有されると、
組織の全メンバーのクオリティが確実にあがる
人類の文明は「知」の発見と
「知」の共有によって発達してきた
超偉大な発見はできなくても、
自分たちがやっていることにたいする小さな「知」を
発見して共有することで、組織も発展すると信じている
ファイル名のつけ方とか、興味がある
というか、3日に一回くらい怒っている
ニッチな知だから作っている間に見つけやすい
知は確実に組織のクオリティをあげる
作品自体は個別的でも、ものをつくる
というレベルについての知は共有できる
印象派は、絵具のチューブができて、
外に持ち出せるようになったから生まれた
外で描くので、明るい絵を描きたくなる
絵具で混ざった紫はもとの赤、青より暗くなってしまう
まぜないで2つの点で描けば、
もとの赤、青と同じ明るさの紫がつくれる
モネは人類ではじめて、明るい絵を描いた
それが後のドットベースのカラー印刷や
テレビにもつながってゆく
文明とはなにか、森とはなにか、
というようなことのほうが
汎用的だと思うので興味がある
みんなそんなに普遍性がないようなことに
夢中になり過ぎていると思う
30分でその人の未来がわかるとは
思わないので、面接はしない
ほんのちょっとでも、人類の認知を拡げたり、
増やしたりできたらいいなと思っている
作品は、誰も興味がないようなことで、
自分にとって意味があるようなことを
延々とやっているうちにできてくる
自分にとって意味があると思えることは
たとえうまくゆかなくても、自分にとって意味があるから、
それでいいと思えるから、続けやすい
他人から評価されなくても続けられる
目的が明確化しすぎると、
うまくいかなかったときに挫折してしまう可能性がある
夢や目的が明確なほうがいいのかもしれないが、
強いハートがいる
稼ぐのがやりたいことではなくて、
やりたいことをやり続けるために稼ぐ
作品<秩序はなくてもピースは成り立つ>について
引き込み現象、同期現象、秩序形成
それはいったい何んだろうということに興味があった
人はそもそもなんで踊るのか?に興味があった
同期現象は、結果的に大きな秩序構造が定常する状態
生命は石にくらべて自分で構造をもっていないので、箱に入れると形を維持できない
生命は渦といっしょで、連続する流れがつくっている秩序が定常しているもの
流れの中で生きている
食べて排泄しているから生きている
食べているだけだと生きていけない
流れが作った奇跡的な秩序の高くなっている
状態が定常している状態が生命
人類は自分で構造をもっているものを作ってきた
箱詰めして運べるもの
生命はそうではない 箱につめたらすぐに壊れる
そうではなくて、何か流れを生む特殊な環境をつくり、それが現象をうみ
それが定常して、それが存在になる、そういうものを作りたいと思った
そういうものに興味があって、最初はよくわからないおじさんたちが
同期して踊っている作品をつくっていた
それが最近の作品につながっている:
<質量のない雲 彫刻と生命の間>
<質量のない太陽と闇の球体>
<生命は結晶化した儚い光>
ーーー
語られていることは
福岡伸一さんの動的平衡や
自己組織現象としての多くの生命論、
坂本龍一さんの音楽論、
柄谷行人さんの「意味という病」
などとも重なることが多い
ナウシカの「いのちは闇の中のまたたく光だ!!」
とも重なっているが、無駄な飾りや言い訳がなく、
本質だけを語っているので、
さらにわかりやすくなっている
「ほんのちょっとでも、人類の認知を拡げたり、
増やしたりできたらいいなと思っている」
これはとてもやりたいことだし、
そう思っている人は多いと思うが、
それを実際にできているのがすごい
都市国家アブダビには、
古典:ルーブル、
現代:グッゲンハイム、
未来:チームラボ、
が並んでいるのだそうだ
自分にとって意味があること、と言っても、
何か大きなことをするには、
他の人も巻き込んですることになるので、
そのあたりをどう折り合いをつけているのか
質問してほしかった。
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