日々の寝言~Daily Nonsense~

オラフソンのゴルトベルク変奏曲

とても久しぶりに
サントリーホールまででかけて
オラフソンのゴルトベルク変奏曲
を聴いた。

X でも絶賛されているが、
とても素晴らしかった、としか
言えないくらい素晴らしかった。

バッハが、ゴルトベルク変奏曲が、
ピアノが好きで良かったと心から思ったし、
さらに好きになった。

演奏は 80分間休憩なし(当然だが)で、
最後のアリア以外すべて繰り返しあり。

前半は、座っていた席のせいもあると思うが、
(コンサートで過呼吸になったことが
あるので、いつでも出られるように
壁に近い席にしている。今回は、
右翼の二階席で、弾いている表情がよく見えた)
特に速くて音が多い変奏で、
音が響きすぎて、絵具がぐちゃっと
なるような感じになることもあった。

それもまたそれでとても美しいのではあるが、
グールドのドライでクリアな録音演奏に
慣れているので、違和感もあった。

その中でも、第13変奏はゆっくりとしたテンポ
(CD よりも遅かったと思う)で丁寧に弾かれて
素晴らしかった。

コンサートのプログラムによると、
オラフソンさんも13変奏が一番好きな変奏だそうで、
一緒(クオドリベットを除く)なのが嬉しい。
しかも、「白日夢の変奏」というイメージも
とてもよくわかる。

同様に、短調のアリア(第15変奏)
と第25変奏、もCD と同じく
とてもゆっくり演奏されて、胸に深く刺さる。

そして、第26変奏から一気加勢に
停まることなく第29変奏まで弾いて、
クオドリベットもそのまま愉しく弾いて、
静寂の中、最後のアリアが帰ってきた瞬間、
いろいろなことがあった
長い旅=人生から返ってきた、
という感じがこみあげて、
思わず泣いてしまった。

コンサートに行く前に、
「麗」のラストを見ていたせいも
少しはあるかもしれない。

アリアが終わったあと、
オラフソンが立ち上がるまで
誰も拍手することなく、
静寂が続いたのもとても良かった。

アンコールは無し。
カーテンコールの
万雷の拍手を制して、
「ゴルトベルクの問題は、
アンコールを弾くことが
不可能なことだ」
というようなことを言っていた。

確かに、アンコールはいらない。
ただただ余韻に浸りたい。

無性に、おいしい白ワインが
飲みたくなった。

疲れるけど、やっぱり
ライブはいいなぁ・・・
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