日々の寝言~Daily Nonsense~

井上道義さん+読売日本交響楽団のブルックナー交響曲第9番@ミューザ川崎

ミューザ川崎のサマーフェスティバルで、
井上道義さんのブルックナー第9番
を聴いた。演奏は読売日本交響楽団。

少し前に、YouTube のクラッシックの
チャンネルで井上さんのインタビュー
動画を見て、すぐにチケットを予約した。

新型コロナの感染拡大で
中止になるのではないかと心配したが、
ありがたいことに(奇跡的に?)、
無事に開催された。

いやー、素晴らしかった・・・

特に、第1楽章と第2楽章は
個人的にはほとんど完璧な響きで、
圧倒的な分厚い音を全身に浴びながら、
何度も天上を仰いで涙した。

全力で弾く弦楽器群
(特に、コンミスの日下さんと
チェロの遠藤真理さん!)、
吹きあがる金管、完璧なティンパニ。
木管のアンサンブルも素晴らしい。

それに対して、最後の第3楽章は、
自分の印象としては、少しだけ
画龍点睛を欠いた感じがあった。

部分的には素晴らしかったのだが、
座っていた席のせいもあるのか、
コーダのワグナーチューバの音が大きすぎて、
他の音を隠してしまっているところが
気になったし、全体的なまとまり感も、
少し希薄に感じられた。

マエストロも、演奏直後、
退場するとき、少し不満げ?
にも見えたのだが、
これはたぶん気のせいだろう。

第2楽章までで興奮し過ぎて、
第3楽章は少しこちらの体調が
悪くなって、落ち着いて
聴けなかったせいも
かなりあると思う。

それに、もともと、
第3楽章は難しくて、
よく理解できていないし。

しかし、そうしたことを
全部ひっくるめて、
これもまた一期一会の
ライブならではだ。

前半のハイドンの
「休暇申請」?「休暇宣言」?
もとても楽しかった。

弾いていた団員の方々の
それぞれの夏休みを映した
スライドは後でもう一度
ゆっくり見たいし、
最後、指揮者も去ってしまった後に、
第1、第2ヴァイオリンの二人が
会話するように弾きながら退場してゆく
姿の楽しそうだったこと!

全体的に素晴らしい演奏会を堪能した。

 * * *

演奏前のトークでは、
「ブルックナーを配信で聴いても
意味がない」、などと身も蓋もない
ことをおっしゃっていたが
(あのトークは配信されていなかったのだろうか?)、
あの音圧と振動、そして空気感、
膨れ上がり立ちのぼり、空間を満たす音、
そして、全休止の息を飲むような真空感と
その後の空気の色と温度が変わる感じ、
などはやはりライブならではだ。

これが一晩だけ、というのは
すごく贅沢というか、
本当にもったいないと思う。

2019年に8番をやって、
読響とのブルックナーはこれで最後、
というようなこともおっしゃっていたが、
是非是非また演奏して欲しい。

今回は直接音が飛んでくる席だったが、
次の機会があれば、もう少し後ろの方の
ホールの響きを感じられる席でも
聴いてみたい。

配信は 8/31 まで何度も視聴できる
アーカイブもあるようなので、
もう少ししたら、
そちらも視てみようかなぁ。

追記:
だいぶ記憶が薄れたので、配信を聴いた。

生を聴いているせいもあってか、
配信もとても楽しめた。

出待ちの様子なども見られて楽しい。

3楽章の管楽器のバランスは、
生で聴いたときの印象ほどは
悪くなかった。

それでも、やはり、コーダが
惜しいかなぁ・・・

自分の中では、
チェリビダッケの 1995年の録音が
圧倒的な規範なので、どうしても
それと較べてしまう。

最後はほんとうに
音楽が彼岸へと立ちのぼって
消えてゆく感じが
あって欲しいのだ。
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