日々の寝言~Daily Nonsense~

白熱の攻めと受け

将棋の竜王戦は、おおかたの期待どおり、
羽生名人がトーナメントを勝ち進み、
木村八段との挑戦者決定三番勝負を戦っている。

その第一局が先日行われたのだが、
羽生名人の攻めと、木村八段の受けが
真っ向からぶつかる熱戦だった。

後手番の木村八段が矢倉に誘導し、
羽生名人は、王位戦第5局と同じく、
矢倉から穴熊に組み替える作戦。

もちろん、それが木村八段の注文で、
そこから木村さんらしい受けの趣向を見せたが、
羽生名人の攻勢が決まって、
やや有利のまま攻め続ける展開に。

しかし、さすがに、最近、
千駄ヶ谷の受け師と呼ばれれている木村八段。
すぐには土俵を割ることはない。

粘り強い指し回しで、
なかなか決め手を与えず、
ついに反撃を開始。
奥深く閉じこもる羽生玉に迫る。

両者とも、徐々に時間が無くなってゆき、
先にミスしたほうが負け、という展開に。

そして130手目、木村八段が、
金で弾かれた龍を6九に逃げたのが、
そこから5手先の6六桂以下の攻め筋を見落としたミスで、
そこから、さらに、馬を縦横無尽に使って龍を追い払う
まことに鮮やかな筋が炸裂。

セオリーどおりに、
攻めながら自玉を万全の体制にして、
それから相手玉をじっくりと寄せる。

191手までで羽生名人の勝ちとなった。

最初から動かなかった駒は、
羽生名人の穴熊の歩2枚と桂馬の3枚のみ。
最後は木村玉が逃げ込んだ9筋に駒柱が立つという
大変な熱戦。

冷静に振り返れば、
全体を通して羽生名人優勢だったのだろうが、
リアルタイムで見ているときは、
最後のほうまで、攻めきれるのか、それとも
受け切られてしまうのか、手に汗握る展開。

ぎりぎりの攻めと、ぎりぎりのかわしで、
まさに、剣豪同士のつばぜり合いを
見ているようだった。

こういう、攻めと守りのメリハリが
はっきりしている将棋も面白い。

そうした中でも、どこで受けるか、
どこで攻めるかの判断が、
勝敗を決めるのだ。

短い解説つきの棋譜は、
竜王戦中継サイトで無料で鑑賞できる。
http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/080829.html

それにしても、このところの
羽生名人の日程がものすごい。

8月26,27と徳島で王位戦を戦って、
中一日の29日が東京でこの竜王戦。
4日空いて9月3日に東京で竜王戦の第2局があり、
また中一日で5日に東京で同じ木村八段との王座戦。
3日空いて9日,10日に神奈川の陣屋で王位戦。

陣屋と言えば、昨年の王位戦で、
深浦さんに王位を奪取された因縁の場所。

超ハードスケジュールの中、
王位を防衛して七冠への(将棋ファンの勝手な)夢を
つなぐことができるのか?
不滅の王座戦17連覇はなるのか?
そして、初代永世竜王の行方は?

当分、目が離せない展開が続く・・・
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