シフの演奏を「面白味がない」
と書いてしまったのだが、
このシューベルトはかなり面白い。
左手の音の響かせ方や
右手とのバランスなどが
かなり一般的な演奏とは違っていて、
しかも、それが、
とてもシューベルトらしく感じられる。
シューベルトのピアノソナタの
ある種の愚直さ、つまらなさが、逆に
シフの表現に合っているのかもしれない。
繰り返しの多さをものともせず、
ひたすらエレガントにチャーミングに
弾き続けるのだが、シューベルトの音楽の
新しい発見がたくさん詰まっている。
シューベルトとベートーヴェンの
最後のソナタを併せて弾くという
プログラムも意欲的で、2曲目の
ベートーヴェンの Op.111 も
とても美しくて優しく繊細な音と、
あまり聴いたことがないが
わかりやすい解釈のあいまった
とても面白い演奏だ。
シューベルト的と
言ってもいいかもしれない。
もともとこの曲は、ソナタといっても
普通のソナタ形式ではない
かなり不思議な曲ではあるのだが、
その本質を捉えた演奏のように感じられる。
そして、それは、この2曲を
並べて演奏するというプログラムの
趣旨にもつながっているのだろう。
シフ自身も、齢 69に達して、
心の欲するところに従えども矩を踰えず
的な表現の自由さ、自在さを
獲得している感じがする。
最後の音が消えた後、
しばらく静寂が続くのが
なんともすごい。
そして、アンコールの
シューベルトのソナタ D.959
の第2楽章!!
シューベルト自身が弾いている、
いや、シューベルトはこんなに
ピアノが上手くはなかったはずだから、
シューベルトが乗り移って
弾いているようだ。
* * *
シフはシューベルトのソナタを
全曲録音していて、昔、
即興曲なども含めた
CD 9枚セットというのが
出ていたらしい。
未完の作品も含めて、
網羅的に演奏しているところも
いかにも職人的だ。
バッハについても、
様々なバッハの音楽を
10年以上研究し続けて、
ゴールドベルぐ変奏曲や
フーガの技法に到達する、
というようなことも言っていた。
このあいだ、内田光子さんのものを
衝動買いしたばかりなので、
後で買おうかと思ったが、
中古しかなさそうで、ちょうど
安いものが出ていたので
また衝動買いしてしまった・・・
以下は、amazon の商品ページにあった
tomisan 氏のレビューから引用
CD1
ピアノソナタ第1番 ホ長調 D157(未完)
ピアノソナタ第13番 イ長調 D664
ピアノソナタ第3番 ホ長調 D459
CD2
ピアノソナタ第15番 ハ長調『レリーク』 D840(未完)
ピアノソナタ第16番 イ短調 D845
ピアノソナタ第8番 嬰ヘ短調 D571(未完)
CD3
ピアノソナタ第6番 ホ短調 D566(未完)
ピアノソナタ第14番 イ短調 D784
ピアノソナタ第17番 ニ長調 D850
CD4
ピアノソナタ第5番 変イ長調 D557
ピアノソナタ第9番 ロ長調 D575
ピアノソナタ第18番 ト長調『幻想』 D894
CD5
ピアノソナタ第7番 変ホ長調 D568
ピアノソナタ第19番 ハ短調 D958
CD6
ピアノソナタ第4番 イ短調 D537
ピアノソナタ第20番 イ長調 D959
CD7
ピアノソナタ第2番 ハ長調 D279(未完)
ピアノソナタ第11番 ヘ短調 D625(未完)
ピアノソナタ第21番 変ロ長調 D960
CD8
ハンガリーのメロディ ロ短調 D817
4つの即興曲 D899
6つのドイツ舞曲 D820
楽興の時 D780
グラーツのギャロップ D925
CD9
アレグレット ハ短調 D915
3つのピアノ曲 D946
12のドイツ舞曲 D790
4つの即興曲 D935
最新の画像もっと見る
最近の「音楽」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事