かなり飛ばし読みしたので、
いつかもう一度読みたいが、
その時間があるかどうか。
近代の成り立ち以降のところは、
今の社会の基盤を形作っている「妄想」「信仰」が
どのようなものか、を突き付けられて、
かなり鬱勃とした気分になるが、面白かった。
その後の、人類の幸福、と、人類の未来、
についての章は、ちょっとおまけという感じ。
特に、人類が超人になるという後者は
私が生きている間にはあまり関
係がなさそうな気もする。
もちろん、医療や介護の資源分配の問題は、
既に起こっているが・・・
* * *
この本によると、人類は2度、
大規模な殺戮をしている。
1度目は、アフリカから世界に散らばったときで、
多くの動物種を絶滅に追い込んだ。
2度目は、ヨーロッパから世界に散らばったときで、
多くのローカルな文化を絶滅に追い込んだ。
そして今は、グローバル資本主義、自由主義、個人主義と、
科学主義が全世界の基本的宗教として信仰されている。
個人の創意による科学技術のイノベーションによって
世界は進歩するものであり、資本が増殖し、
経済が成長することが是である、という妄想。
人為による進歩や変化をそれほど望まない私は、
そういう価値観に十分に適応できていない、
昔の人、なのかもしれない。
* * *
人類史的に見ても特異な宗教であるとういう
仏教についての記述も、面白かった。
―――
人間は、あれやこれやのはかない感情を経験したときではなく、
自分の感情はすべて束の間のものであることを理解し、
そうした感情を渇愛することをやめたときに初めて、
苦しみから解放される。
それが仏教で瞑想の修練を積む目的だ。
瞑想するときには、自分の心身を念入りに観察し、
自分の感情がすべて絶え間なく湧き起っては消えてゆく
のを目の当たりにし、そうした感情を追い求めるのが
いかに無意味かを悟るものとされている。
―――
お金や地位などの客観的条件はもとより、
快や不快につながる主観的な幸福感とも無縁になったところにこそ、
真の幸せと安らぎがある、というのが仏教の教え
ということになる。
理屈ではわかるのだが、刹那的快楽主義者としては、
それでも生きている意味があるのだろうか・・・というのが疑問。
でも、きっと、そうした雑音を絶った境地には
大いなる悦びがあるのだろうなぁ・・・
他にもいろいろ面白いことが書かれていて、
ベストセラーになっているだけのことはある。
相対主義や唯幻論も含めて、
書かれていることには違和感はあまり無い。
自分でこういう本が書けたらよかったのに・・・
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