シン・ウルトラマンを観てきた。
一言で感想を言えば、
いつもながらとてもよくできていて面白かった。
でも、なぜか、感動はあまりなかった。
さすがに言い過ぎかもしれないが、
映画全体よりも、米津さんの楽曲のほうが
「感動的」だった。
そして、映画が感動的ではないのは、
庵野さんの意図でもあったと思う、というか、
作品を素直に「感動的」にはできない
作家なのだと思う。
ネットの評価は二分されていて、わかりやすくまとめると、
ウルトラマンに自分なりの思い入れのある人はダメな人が多く、
オマージュ満載の新しい作品、エンタメとして、
ディテールを楽しめる人は高い評価、
という感じのようだ。
以下、ネタバレありです。
* * *
基本的には、以下に詳しくまとめられているように、
初代ウルトラマンのストーリーを、
大幅にアレンジ、デフォルメして
2時間の映画にまとめた形になっている。
『シン・ウルトラマン』の怪獣・外星人を一覧で紹介!
39話にわたるテレビシリーズを、
その前のウルトラQも含めて
2時間に仕立てた腕前は本当に素晴らしい。
オリジナルに対するオマージュは
山のように盛り込まれているし、
「ウルトラマンとは何だろうか?」
という問いに対する庵野さんの回答、妄想も
しっかり描かれている。
こんなものをよく作ったなぁ・・・
という方向の感動はとても大きい。
その一方で、庵野さん(や樋口さん)が
いろいろと「遊んで」いるのが透けて見えてしまうので、
素直でない性格の人間としては、
素直に感動できなくなってしまう
という感じ?
うーん・・・うまく言えない。
単に、歳をとったということかもしれない。
俳優も、斎藤工さんは良かったが、
それ以外の方々は、人物造形などが
「型どおり」な感じだった。
一方で、エンドロールで流れる
米津さんの楽曲のほうは、
「ウルトラマンとは何だろうか?」
を真摯に考えて作られた、
という感じがした。
贔屓だからかもしれないが、
より深層を捉えているように思えた。
極端に言ってしまえば、
表層で自在に遊ぶ庵野さんと、
深層に迫ろうとする米津さんと、
二つが釣り合っていない、というか、
違う方向を向いている、という感じを受けた。
個人的には、その対比が
一番面白かったかもしれない。
別の言い方をすれば、
メフィラス庵野とウルトラマン米津、
と言えるかもしれない。
ウルトラマンの光の国は M78星雲なのに、
米津さんの曲が「M八七」なのは、
企画段階では M87 だったものが、
脚本で誤植されて M78 になった、
というエピソードにもとづいているらしい。
このあたりにも「オリジンへの帰還」
という意図が見えるのだが、
その一方で、(お約束とはいえ)浅見隊員の<制服姿での>巨大化や、
メフィラス星人と居酒屋で語るシーンなどが、
公式サイトのここにある「真実と正義と美の化身」
というオリジナルの意図からすると、
少し滑ってしまっている感じもしたのだ。
でも、元々のウルトラマンにも
コミカルな要素はあったので、
これもまた一興なのかもしれない。
そういえば、本編の前の予告の時間には、
シン・仮面ライダーとともに、新海誠さんの新作
「すずめの戸締り」が流れた。
こちらも楽しみだ。
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