最強の批判者であるジャッケンドフが
一般向けにわかりやすく書いた、
科学としての言語学の真髄。
その内容は、狭い意味の言語学には
全くとどまらず、脳科学、
社会学、文明論にまで亘る。
そのカバーする領域の広さは、
ベイトソンの「精神と自然」
の心意気を継ぐと言えるだろう。
ジャッケンドフは、
言語、世界認知、社会関係、文化、
のすべてを通して普遍的な
人間の特性を「生成性」であるとする。
構成素と構成ルール(文法)から
無限の構造を生み出す能力。
経験したことを記憶して真似るのではなく、
生得的なものと経験とから構成素とルールを獲得して、
経験していないことを構成できる能力。
この意味では、まさに
チョムスキーの精神を
まっとうに継承している。
「精神と自然」と並んで
すべての人に読んで欲しい本のひとつであり、
言語学の通俗書は、これ一冊だけで十分。
惜しむらくは、原書が出たのは1993年で、
特に脳科学などの知見がやや古いこと。
今なら、ミラーニューロンなどの話題も
取り込んでいることだろう。
コメント一覧
ぐれい
ひなの侍
最新の画像もっと見る
最近の「本」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事