小平奈緒さんの講演会がある
ということを教えてもらい、
出かけて行った。
茨城県が主催の
ダイバーシティシンポジウム?
今年のテーマは、
スポーツとダイバーシティ、
海外留学とダイバーシティ、
ということで、小平さんが
基調講演に選ばれていた。
場所は、つくば市にある
国際会議場の大ホールで、
さすがに立派なホールだった。
客席は1階が7割くらい
埋まった感じ?
少し早めに着いたので、
前から3列目に座れた。
茨城県はダイバーシティの推進に
力を入れているということで、
まずは、大井川県知事がご挨拶。
昨年のラストレースの後の
インタビューを見て
茨城県の担当者が
招聘したいと思ったという。
ベージュの夏らしい
スーツ姿の小平さんが登場。
ラストレース以来だが
とてもお元気そうに見えた。
講演は、特にダイバーシティに関係した話
というわけではなく、ご自身のこれまでの歩みと、
その中での気づきについてのもので、
ほとんどはこれまでもインタビューなどの中で
見たことがある内容だったが、
いくつか新しい情報もあった。
以下、講演中のメモ書きから。
(順番が入れ替わっていたり、
不正確なものもあると思います。
#がついているのは、私のコメント)
競技引退以来、70回以上講演していて、
今回が74?回目、ということで、
落ち着いた感じで話を始められた。
でも、茨城県は今回が初めて
ということだった
・現在の生活について
現在は、平日は、相澤病院で
広報や企画関係のお仕事をしながら、
時々、信州大学で講義をしている
「知るを愉しむ」で
いろいろな新しい経験を愉しんでいる。
「愉」は心が運ばれる、動く、という意味。
#そういえば「愉快」という言葉もある
・スケートとの出会い
末っ子なので、兄弟がスケート場に行くときに
一緒に連れてゆかれてリンクに置かれていた。
初めてのレースでは、100m のゴールの先の
ペロペロキャンディーを目指して走って優勝した
スケートを始めた小平さんに、
お父さんは「ホンモノを観にゆこう」といって、
清水選手などが出る試合に連れていってくれた
・結城先生との出会いと信州大学での研鑽
清水選手のコーチだった
結城先生が信州大で教えている
ことを知って、信州大に入学した
中学の進路希望に「信州大」と書いて、
まずは高校に行ってね、と言われた
結城先生の言葉と問い:
スケートにはサイエンスがある
10年後の世界チャンピオンは
どんなすべりをしていると思うか?
コーチとは:
信じてはいるけど
頼ってはいない存在
答えは教えずに、問いと、一緒に考えるための
ヒント、地図を散りばめてくれる
学びの仕掛けの例:技術討論会
1年前の自分との違い(Before-After)、
その間の学びを整理し、課題を共有してみんなで考える
自分自身の身体と向き合う経験
チーム内での身体の知やそれを表すための言葉の共有
例:「おいしいところ」
=スケートで氷から力が伝わるところ
学びを積み上げた人が進化する
PDCA はサイクルではなく螺旋
チーム内で技術の未来を築きあげる
各人が自分の課題を整理して、
考え、アイデアを共有する
思うようにゆかないときに
「クソッ」と思う:過去、他者に向いている
「ヨシッ」と思う:未来、自分に向いている
・オランダ留学
2年間自己ベストを更新できず
食べ物があわず、ストレスもあって吐いたりしていたが、
自分で覚悟して決めた道なので、
「失敗しても成功してもすべて正解」
と思っていた
「奈緒の人生は神様がくれた時間」
というお父上からのメールに励まされた
言語の壁の前に思考の壁があった
どうしたいか、どう生きたいか、どう表現したいか、
について自分の考えがなかったことに気づいた
自分と対話してはじめて表現できるようになった
金メダリストの言葉 Wie is de baas?
主役は誰だ?
自分の挑戦する舞台は、常に主役は私である
自分を信じて認める力
自分自身への期待をしっかり持てれば
他人からの期待を重荷ではなく
応援に変えられる
1人で何とかしなくてはいけない状況に
身をおいたときに、本当の自分が現れる
いろいろ差別的なこともあったが、
違いがあるって何だろう、と考えた
違うことを排除、拒否するのではなく
違いを知る愉しさに変えればよい
違いの中に共感を感じ取る瞬間の
心地よさがある。温かい気持ちになる。
そして、スポーツはそういう機会を増やす
・ライバル(イ・サンファさん)について
同じように困難を乗り越えてきた同志
リスペクトし、互いに高めあう無二の存在
平昌のレースの前夜、
怪我をしていたイ・サンファのことを考えていた
それがレース後のシーンを生んだ
金メダルをとって
金メダリスト=私という人間の価値ではない
数字、順位、記録で私という人間が評価されることの
生きづらさを感じることもあった
これからの生き方が大事
自分自身の生き方、人生を変えられるのは自分だけ
2019/10 の台風 19号の被害を受けた農家のおばあさんが
「もう農業は諦める」と言っているのをテレビで見て、
行動したくなった。
海外遠征が終わった翌年の3月に
ボランティアに行った
「実物ですか?」
「ほとんど実物だと思います」
お父さんから昔言われた言葉
人は人なり
木は木なり
人は人の中にあって人であり
木は森の中にあって倒れずにいられる
地域の中の1人であるだけでも良い
・唯一無二の自己表現について
北京オリンピックの直前に、
雪道で滑って、靭帯を2本切る怪我をした
負けるとわかっている試合に
のぞまないくてはならないときに
どう乗り越えてゆくか
その状況を受け入れて、
自分がコントロールできることに意識を注ぐ
成し遂げることはできずとも
自分なりにやり遂げることはできた
そんな結果でも応援を受けて
等身大でいい
どんな状態でも私は私でいい
ということが感じられた
目標の上に生き方があると思う
私として誇り高く生きてゆきたい
生き方:唯一無二の自己表現、知るを愉しむ
目標:オリンピック出場、金メダル、記録、成績
行動:トレーニング、学び
生活習慣:食事、睡眠、体調管理
・ラストレース
自由にコントロールできる身体で滑る
500メートル一本に絞って、凝縮する
6085 人の会場の温もり、優しさ、心が震えて共鳴した
長野オリンピックのテレビではわからなかったこと
究極の滑りは健全な身体に宿る
競技からの引退のタイミング
スポーツは人生を豊かにする文化
ボロボロになるまでやるというのは違うと思った
ラストレースを駆け抜けたままの勢いで
走り続けている感じ
・お母さんからの色紙
諏訪のお寺のことば
人間はね 仮面ライダーやウルトラマンのように
簡単に変身して 強くはなれないんです
涙ながして、汗かいて
だんだん強くなるんです
時間がかかるんです
それで人間なんです
#薬師寺の大谷徹奘さんの法話、
という説もあるようだ
それが諏訪にも伝わっていた
ということかもしれない
以下は、車いすラグビーの
三阪 洋行さんや、このイベントの企画者の
茨城県の小田木真代さんも交えた Q&A から
・子供のサポートのしかたについて
子供の心の動きをよく見て感じる
子供の感情にふたをしない
心のスイッチを大切にする
ワクワクしている感情を大切にする
心が動く瞬間は人それぞれ異なる
頑張らなくてはダメということはないが
愉しまなくてはダメということもない
子供の素直な気持ちを聞き取る、
感じ取ることが大切
子供が他人の目を気にしたり
親の機嫌を気にしたり
親に心配をかけないように思う、
というのは良くない状態
病院でガン患者のサポート
をしている看護師さんの言葉:
言葉にできない人の気持ちを
代弁することで、言葉が出てくるようになる
いつでも味方でいる、と思ってもらう
・失敗したときや落ち込んだときの
メンタルの立て直し方は?
基本はニュートラルでいること
モチベーションを「上げる」ということはしない
良くても、悪くても、いつもの自分に戻る
未来も含めて、結果であまり揺らがない
小さな成功を大切にする
昨日できなかったことが
今日できる悦び、愉しさ
誰かに「わかって欲しい」と思うことはない
わかってくれる人は、
どこかにいると思ってやっているから
#そう思える家族やライバルがいることが幸せ
スポーツなので順位はついてしまうのだが
そういうものとは関係なく、
人間として本当に素晴らしいと思える人はいる
そうした人たちと競い合って
自分を高めてゆけることの幸せを感じる
フランスの選手に、
あなたが何位でも、何色のメダルでも、
私はあなたが大好きです、と言われて
とてもうれしかった
・応援する人に望むことは?
スポーツの応援のついでに、
それを支えている地元の人とも
交流していただけると嬉しい
ラストレースのときも、
会場で配ったりんごを育てた
小諸のりんご農家さんを訪ねたり
してくれた方がいた
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