辺見さんの番組から。
他者の痛み、他者のメティエールを
どうやって理解するか?
もちろん、原理的には理解不可能だが、
それをわかった上で、そこに
どのようにして迫ろうとするのか?
それを繰り返す中で、
奇跡的にインタラクトが
起こる瞬間もある。
今の人間は、あまりにも痛みを知らない。
だからこそ、他人の痛みもわからない。
平板なディスプレイの中には、
痛みも、マティエールも存在しない。
そのとおりだ・・・
他人の病気を治すには、
病気になった経験があるほうがよい。
他人の痛みを感じるには、
自分が痛んだ経験が必要だ。
こういうことは、
何度でも繰り返し語られるべき、
あたりまえのことだろう。
私たちは、何も痛い思いをせずに、
その背後で簒奪されている人々のことも感じずに、
自分の権利と欲求だけを満たすことに
あまりにも慣れてしまっている・・・
* * *
ペストと戦う唯一の方法は、
誠実さということです。
-アルベール・カミュ「ペスト」
表現はマルクス的で古めかしいが、
辺見さんはあいかわらず誠実だ。
誠実であるためには、
自分がいかに誠実でないかをも
よく知っている必要がある。
今となっては、
誠実という言葉の中にすら、
見えない悪が潜んでいる。
「資本」とは何か?
「市場」とは何か?
それらと「人間」との関係は?
これもまた21世紀の人間に
ゆだねられた問いだろう。
マルクスからの宿題、
とでも言えるかもしれない。
人が路上で寝ているときに、
それに何も感じないで、
わが身の幸せだけを噛みしめられるような
人間にはなりたくない。
それは荒んでいる。
なんだかひどく懐かしい本を
読んだような気がした。
昔はそんなことを考えていたなぁ、
最近は何も考えてないなぁ、と、
思い出させてくれる辺見さんは、貴重だ。
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