公私conGRECO 

大塚の隠れ家ライヴハウスGRECOより音楽的酒と薔薇の日々

15een

2009-12-21 01:13:47 | Weblog
龍の買い物に付き合って新宿へ出かけたときのこと
池袋から僕らのじいちゃんくらいのおっさんとおばさんがつるんで乗ってきた。

空いていた一席におっさんが座り前におばさんが立って
「あたし餃子臭い?」なんて一生懸命しゃべりはじめたんだけど
やけに楽しそうでハイテンションでなんか変なんだ。
僕の意識はふたりに釘付け、
いったいこの違和感はなんだ?

顔を見るのは憚られたのでおばさんのファッションチェックだけはさせてもらった。
ヨーカドーか西友ラインのダウンコート、 
膝の出た足は厚手の黒柄タイツ、
白いステッチのローヒールパンプスは4、5年前に20代のお姉さんたちに流行った形で
頑張ってるんだろうけど思いっきりチープな若作りだ。

嫌な予感は的中した。

高田馬場でもう一つ席が空き 二人が並んで腰掛けたと思ったら
なんとおばさん おっさんの肩に顔を持たせかけ膝の上で手と手を絡め始めたんだ。
げっ うそだろーーー!

信じらんないけど この二人ってラブラブ!?
リアルは僕らの想像を軽く飛び越えて襲ってくる。
残酷だ。
そう思った瞬間
向かいに立ってた龍がiphoneいじりながらつぶやいた。
「妖怪」

ぶはっ!
ぼくが思わず吹き出したのをみて
「砂かけばばあ」.....
視線はあくまでiphoneにおとし眉一つ動かさず、指はスクロールを繰り返しながら 
まるで曲目を告げるかのように龍はクールに畳み掛けてくる。
「クリーチャーだぜ」 
も~笑い声を殺しきれないってとこでドアが開いた。新宿だ。
ふう。。。
おりる間際に振り返った。
龍は間違っちゃいない。


「あたし、餃子臭い?って、くせーよ!」
一部始終が視界の端に入っていた龍の吐き出すようなマシンガントークが始まった。
「ったくべたべたいちゃついてんじゃねーよ」
にこやかな口元にどんな罵詈雑言が並んだかはご想像にお任せしよう。

いやはや大人の世界は深淵だ。
じいちゃんもばあちゃんも恋をするんだ。
そして恋心ってやつは10代の僕らと もしかして少しも変わらなかったりするんだ。

けれど僕らは願う。
おっさん、おばさん、じいさん、ばあさん、
あなたがたの恋する心は美しい、けれど姿はもう美しくはない。
公衆の面前でいちゃつけるのは20代まで、と思っちゃくれまいか。
僕らが羞恥心を失わずお行儀のいい大人になるために。
だってそれ日本人の美徳だろ?