公私conGRECO 

大塚の隠れ家ライヴハウスGRECOより音楽的酒と薔薇の日々

大失態の長谷川等伯展

2010-03-10 16:36:36 | Weblog
国立博物館で開催中の長谷川等伯展に誘われて
「10日水曜日ならOK 11時半に上野公園口でいかがですか?」
3日前そういったのは私である。

本日11時37分着信あり 
「どこにいますか?」
「え?.....イ,家にいます。。。ご、ご、ごめんなさ~~~~イ」
全く飛んでた私の記憶。
どうした?昨日は一滴も飲んでないぞ。
しっかりしろ!私の海馬! 3日前じゃ約束が早すぎたというのか?

不幸中の幸い、いつもはスッピンの顔が虫の知らせか化粧済み。
着の身着のままスニーカーつっかけてダッシュ。
運だけはよい 発車間際の山手線に駆け込み
田端でホーム向かい側に滑り込んできた京浜東北快速に飛び乗る
11時55分上野着。
着信から18分で公園口に立つ。早っ!(って喜んでる場合じゃない)
待たせた君は 「もう着いたの?」(言われて顔緩めてる場合じゃない)

かくして無事たどりついた「長谷川等伯展」
会期が短いせいもあって大盛況だが阿修羅展を思えばなんのその。

日蓮を崇める能登の絵仏師から 京へ上り秀吉、利休のもと長谷川派を形成、
狩野永徳と障壁画を争った隆盛期から晩年までの大作を集めて素晴らしい見応えである。

なかでも「萩芒図屏風」の素晴らしさ!!
金箔の上に描かれた萩の 連なる丸いひと葉ひと葉は緑青の緑がつややかで 
重なる小さい花びらのひとひらひとひらは白がきらきらと輝き
一様に日の差す方を向きやや傾きつつ伸びやかに姿を立てている。
すっと立つ穂とシャープに弧を描く切れそうな葉の群れる芒(すすき)には
時折愛らしい野菊が混ざりリズミカルに頭をそろえるその上を
やはらかに吹きぬける秋風が肌を撫でて感じられるようだ。
二枚の屏風を前に いにしへの秋の野にひとり立ち風の匂いを嗅いだような錯覚に陥り涙がにじんだ。

そして「柳橋水車図屏風」の緻密な柳、堅固にかけれた金箔の橋の下力強く流れる水の渦、
繊細で揺るぎない筆致に思わず吸い込まれ時間を忘れて見入った。

等伯というひとは政治力もあったひとなのだろう。
およそ芸ごとは金と力と深い縁がなくては成り立たぬ。
描くこと演じること奏じることとそれを表現しうる場を得るのは別の才覚が必要となる。
そしてその両方を兼ね備えたひと またはそのブレーンに恵まれたほんの一握りのひとを
後世私たちは芸術家として知るのだ。
まこと理不尽なひとの世の常でありますね。昔から変わらず。。。
 

「長谷川等伯展」@国立博物館 ~3/22まで開催中
http://www.tohaku400th.jp/
おすすめですぞ!!!