”知財コミュニケーション研究所 知財コミュニケーター”® 知財活用コンサルタント・セミナー講師:新井信昭のブログ 

「社長! その特許出願ちょっと待った!」。「見せない 出さない 話さない」と「身の丈に合った知財戦略」で企業を元気に!

もっと分かりやすく書いてほしい。特許侵害、立証しやすく 日経新聞

2015-03-08 10:00:25 | 知的財産経営(知財経営)ニュース
おはようございます。知財経営プロデューサーの新井信昭です。

いつもいうように、知財の解説は正確に行おうとすると分かりづらくなる。

詳細はこちらです

しかし、この記事は何を伝えようとしているのか?

一部を引用します。

「特許法見直しでは、・・・証拠を集めやすくしたり、算定規定を見直したりすることによって、世界的にみて低いとされる日本の勝訴率(23%)を欧州の先進国の水準まで引き上げたいとしている。」

侵害論と損害論をごっちゃにしているようです。

損害額算定の基準(推定規定のこと)を上げると、どうして日本の裁判の勝訴率が引き上がるのかよくわかりません。

ちなみに、英国の勝訴率は20%と日本と同じぐらいだが、ドイツは63%。結構高いですね。

フランスは39%、オランダは41%だそうです。

記事は、「日本の低すぎる賠償額は知的財産権の海外流出の要因にもなっている。企業は侵害されたときの賠償額を考慮し、特許権を出願する国を選ぶ傾向にあるからだ。」といっている。

これが、まったくわからない。

属地主義のもと権利は国ごとなのに、どうして「知的財産権」が海外に流出するのか?日本で取った特許権が海外に流出することはあり得ない。知的財産と知的財産権を区別できていない。

ここでいう「知的財産権」が「技術」とか「発明」の意味でつかわれているのなら、損害賠償が高く取れる国で権利を取ろう、と解釈できなくもない。それがいいたいのか?

技術流出をいうなら、日本だけしか出願していないので、公開されることによって、実質的に海外に流出してしまっている。損害賠償額の多寡とは無関係だ。

私は、知財立国を実現するためには、知財コミュニケーションが大事だと思う。

そうすれば、記事も正確な情報を伝えるようになるだろうし、受け取る側も正確に理解できるから。

足元を固めないと、せっかくの政策が絵にかいた餅になってしまう。

今日もお読みいただき有難うございました。

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