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顔面移植 ー 医学の進歩

2011-05-12 05:25:47 | 日記

APによれば3月に顔面移植を受けた患者が記者会見をしたという。

まずは事実経過:
テキサス州出身の Dalla Wiens (25) が 2008年11月に教会のペンキ塗りをしていて電線に触れてしまう。
電撃創によって視力、鼻、唇、顔面の筋肉と顔面の神経(顔面神経と三叉神経)を全て失った。
いわゆる「のっぺらぼう」状態になってしまった彼は昨年秋に移植を決意する。
YouTube で彼は心境を語っている。(生々しい映像なので注意)
今年3月に臓器提供者が現れ、15時間にも及ぶ手術を受けた彼は順調な順調な回復ぶりをみせ記者会見に臨むことになった。
手術費用は国防省が提供した。

まず何故、国防省か。
戦場で顔面を負傷する兵士がいるため、顔面移植で得られる知見が国防省の利益になると判断したからだ。
そのため、5例の顔面移植手術費用として3億円の研究費を支出している。

昨秋の心境吐露では、鼻から息を吸う、食べる、笑うという行為はあまりにも当然でありがたみを感じたことがなかったと伝えていた。
失って初めて分かる価値があると。
4才の娘、スカーレットのキスをほほに感じたいし、もう一度笑いたいから移植を受けたいと語っている。

今回の記者会見ではそれに加えて、「娘が一見してパパかっこいいよと言ってくれた。」と明かした。
「想像できないかもしれないが、病院のラザニアがとてもおいしそうに香った。」とも。

視力の回復はかなわなかったが、息が出来るようになり、顔面の神経も回復しつつある。
当初は全てをゆるめに設定するのでまだ見た目はすっきりしないが、これからが楽しみだ。
LA Times に受傷前、受傷後、術後の写真が掲載されている。
顔面移植は世界で十数例ほど(米、仏、西、中)報告されているが、日本では皆無だ。