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容子のふんわり行きましょ/goo別室

エッセイふんわり (5) 98Aug:小さい頃/中学高校/苦い旋律/チマチョゴリ

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ふんわり行きましょ第5回

(ひまわり34号@1998年8月)

*** 小さい頃 ***

私、物心がついた頃にはもう女装にハマってました。3歳の時にスカートがはきたくてはきたくて ・・・ 母にねだって白いブラウスと赤いスカートを作ってもらい(*1)母や近所の女の子とままごとをしていました。

(*1)ひまわりには『母が作って』と書いたけど(ずっとそう思い込んでました)従姉妹のお古をもらってきたのかもしれません。

『自分はお母さんになれない』ことがわかってすごくショックだったのが幼稚園の時です。筋金入りでしょ。前世はきっと女だったのでしょうね。それとも女になりたい男性だったのかしら。

そんなある日、父に怒られて一旦女装はお休みです。でも地下に潜った屈折する気持ちが消えてしまうはずがありません。幸い女の子とも男の子とも遊べる子だったみたいでふつうに学校に通ってはいたけど、母の服が着られる頃になると『盗み着』が始まります。

家族が留守になるのを待ちかねてタンスを開け、母のスリップやショーツをひっぱり出し、ストッキングをガーターで留めて口紅をひきます。その頃は母の靴も足によく合いました。ついには(なくなってもわからない)ストッキングとガーターを私蔵してしまい、ズボンの下に着けるようになりました。

第3回でも書いたように母はお洒落やお化粧をほとんどしない人で、ストッキングはめったに穿かないし(当時パンストはありません)ブラジャーは持ってないし、化粧品も片手で数えられました(*2)。弟と2人兄弟だった私、もし姉がいたらもっと早く盗み着を始めたのでしょうね。

(*2)今思えば(唇になかなか色がついてくれなかったので)母の口紅は古くて油がまわっていたと思います。

*** 中学高校/苦い旋律 ***

初めて精通を経験したのは中学生になった頃です。例によって盗み着をしていて(身体を触ったわけでもないのに)気がついたら出てました。声変わりも始まり、ヒゲやスネ毛が生えてだんだん男になっていくのがほんとうに悲しかった。

その頃面白いものを見つけます。ピアノレッスンの待合室に女性セブンが置いてあり、連載中の『苦い旋律』をなにげなしに読むと女装の下着会社社長曄道征四郎さんや性転換女性マルセール佐紀さん、レスビアン女性たちが登場し、セックスの場面もあちこちに出てきました(*3)

《わー、こんな世界がほんとにあるんだ》と思ってそれからは毎週ワクワクして読むことになりました。この小説は後に上村一夫さんが劇画にされます(*4)

(*3)女装子愛好クラブの記事『苦い旋律』(2021年9月3日)にコメントを書いたのが私の『goo別室』の最初の記事です。文庫本の『苦い旋律』は今も入手可能(集英社文庫デジタル版)。曄道征四郎=てるみち・せいしろう。当時の私はカルーセル麻紀さん(1942-)を知りません。『苦い旋律』にはすごく影響を受けたので作者の梶山季之さんは書店でいつも目に留まりました。梶山季之=かじやま・としゆき(1930-75)。道草ですが梶山さんの本は(女装とは関係のない)李朝残影まで読みました。このお話、たいへんよかったです。『彼は本当はこんな小説を書きたかったのではないか』との解説も印象的でした。

(*4)もちろん読みました。上村一夫=かみむら・かずお(1940-86)。自伝的劇画『関東平野』も好きです(キャラのひとりは女装の男の子/モデルはカルーセル麻紀さん)。どちらも公式サイトから入手可能(デジタル版)

 

苦い旋律 - 容子のふんわり行きましょ(goo別室)

女装子愛好クラブの記事『苦い旋律』(2021年09月03日)に寄せたコメントを加筆修正して読みやすくしたものです。いただいたお返事はここに転載していません。 『苦い...

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苦い旋律/梶山季之 | 集英社 ― SHUEISHA ―

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苦い旋律 | 上村一夫公式サイト

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関東平野 | 上村一夫公式サイト

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高校生になって古本屋さんで雑誌風俗奇譚を見つけます(*5)。これには東京の女装サークル富貴クラブのお話が連載され、小林麻美さんや夢野すみれさんの(名前もよく覚えています)外出場面がよく出てきます。別の人の体験談『△✕さんに女にしてもらって幸せを嚙みしめています』を読んだ時は羨ましくてしかたがありませんでした(*7)

(*7)『風俗奇譚』から受けた影響もたいへん大きいです。バックナンバーをコツコツと30冊ばかり集めていたけれど処分しました。今は古本屋さんでなかなか見つからず高値なので揃えるのはひと苦労でしょうね。

苦い旋律や風俗奇譚の世界を実際に体験するのはもう少し先。風俗奇譚には大阪阿倍野の唄子の広告も載っていましたが、行こうかどうか迷った末にやっと決心がついたのは大学4年生です。紙面がなくなったのでこの話はまた後ほど(*8)

(*8)エッセイふんわり第7回(唄子/垣根越え)&第9回(初体験/Kさん/結婚)

*** 今回の写真 ***

神山町時代のトークばらで池田先生が撮ってくださったもの。1枚目はチマ・チョゴリです。韓国民俗村で買いました。私のお気に入りでちょっとしたパーティーの時なんかに今でも重宝しています(*9)

(*9)青&白=両班カラー(ヤンバン/李氏朝鮮の貴族)。2014年に記念撮影した後トークばらのお店に寄贈しました。

2枚目は赤の半袖ワンピース。半袖は(ウデがたくましくて^^)着ないので外出写真はなく、室内もこれ1枚だけです。ウィグは暑いし、半袖は着られないし、夏は外に出るのがおっくうなつまらない季節ですね(^^)(*10)

(*10)2000年頃までは夏でも『ボディスーツ+ヒップパッド+シリコンバストパッド+長袖ジャケット+スカート+パンスト』の完全武装でした(^^)。腕の筋肉が落ちた今はシリコンパッドなしで『ブラ+五分袖ワンピ/ブラウス・スカート』/『ブラトップ+薄物七分袖ジャケット・スカート』+『ショートストッキング/ナマ足』。夏の外出が楽しくなりました

(1998年7月18日/改訂2023年8月28日)

*** リンク ***

容子のふんわり行きましょ(@アメブロ)

女装子愛好クラブ

トークばらケータイホームページ

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