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ふんわり行きましょ第7回
(ひまわり36号@1998年12月)
*** 唄子@阿倍野 ***
第5回のつづきを書きます。『初めて阿倍野の唄子に行ったのは大学4年生の時でした』というところからです。冬のある日、一大決心をして京都の東山二条でかつらを買いました。そして、大阪の船場の問屋さんでブラジャーとショーツとガードル(パンストは持ってました)大国町の靴屋さんでパンプスを買い、夕方の唄子の開店時間に行きました。
こう書くと簡単だけど、実際はかつら屋さんでも問屋さんでも靴屋さんでも唄子でも、お店の前を何度も行ったり来たり、思い切ってお店に入ったと思ったら喉はカラカラ、頭に血がのぼってしまって満足にしゃべることもできません。初めてトークばらに来られるお客さんの中にはそんなウブな方が時々おられるけど、なんだかあの時の自分を見ているようで微笑ましくなります。
唄子のお店の中は赤いライトで照らされ、ずいぶん暗く感じました。当時は『雄唄子』と『雌唄子』の2つがあり(おすうたこ/めすうたこ)雄はホモとSM、雌は女装のお店です。私が最初に入ったのが雄だったのでお客さんが雌まで案内してくれました。雄とか雌とか、なまなましい名前がズバリ大阪っぽくて面白いでしょ(^o^)
雌のお店で「女装したいです」と言ったら、二言三言質問された後すぐに2階でメイクしてくれました。手早いメイクに感心したことと(鏡の中の自分はたしかに女だけど)ドーランの厚塗りが少し不満だったことが印象に残っています。
あとはよく覚えてません。下のお店で水割りを飲み、お客さんとおしゃべりしていたはずだけど、ふわふわした気分であっという間に閉店時間がきて、家に帰るまでは雲の中を歩いているような、そんな感じでした。初めて本格的に女装したんだもの、無理ないですよね。
こうして垣根を越え、唄子に通っているうちに化粧品を揃えて自分でメイクできるようになりました。当時は脱毛してなかったので(脱毛のお話⇒第2回)ヒゲを抜き、ムダ毛を剃り、すごく時間がかかるのね。メイクの後お店でお話したり、お客さんに外につれて行ってもらったり、時間の経つのが速いこと!
初体験はKさん。卒業して東淀川区のアパートで一人暮らしを始めてからのことです。その頃までには女装にも慣れ、アパートでメイクして唄子に行くほどになっていました。次の機会に書きたいと思います(第9回↓)
*** 飛騨高山(今回の写真) ***
今回の写真は冬の高山。女装を始めて2年後の12月、週末に高山に行って飛州屋さんという旅館に一晩泊まりました。1枚は汽車から降りて寒さにふるえているところ、もう1枚は飛騨民俗村です(飛騨の里/撮ってくださったのはKさん)
*** 秋は女装の季節 ***
秋はいいですよね。夏は暑いので長袖が着られる夕方にならないと出歩く気にはなりませんが(半袖でも平気なのは近くのスナックセブンまでです)秋になると自然な格好でお昼に出られるから。
今週の火曜日は久しぶりにまる1日休みを取って京都に行ってきました。朝方少し会社で仕事を片づけ、10時にトークばらのメイクルームに入り、11時にスタートです。まず阪急17番街でランチして阪急で京都の大宮へ。千本釈迦堂へ行って朱印帖にハンコを押してもらい、そのあとは寺町京極と錦商店街と河原町と高島屋を散歩してきました。
前にも書いたように、オバさんになると目立たなくなるんですよね、保護色の動物みたいに。派手な服とメイクはトークばらのお店の中だけにして、外に出る時はオバさんに化けてしまうのがコツ。振り返ったり指さしたりする人もいないからリラックスしてやりたい放題。おいしいコーヒーを飲み、ケーキを食べ、深まる京都の秋を存分に楽しんできました。
(1998年11月11日/改訂2023年10月3日)
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