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へいわが好きでせんそうに反対する市民団体「浜松市平和委員会」は核兵器も戦争も暴力もない地球をめざします。

ゼレンスキー・ウクライナ大統領による国会演説(オンライン)

2022-03-27 11:59:06 | 資料 戦争と平和

ゼレンスキー・ウクライナ大統領による国会演説(オンライン)

               2022年3月25日

(ウクライナ大統領府ホームぺージ掲載の英訳から、衆議院事務局において和文仮
訳を作成したもの)


細田衆議院議長閣下、
山東参議院議長閣下、
岸田内閣総理大臣閣下、
日本国会議員の皆様、
日本国民の皆様、

ウクライナ大統領である私にとって、日本国会において史上初めて皆様に対して演説
を行うことを大変光栄に存じます。

両国の首都は8193キロメートルを隔てております。経路にもよりますが、平均すると、
航空機で15時間を要します。しかしながら、自由に対する我々の感情、生存への希
求、平和への希望に、いかほどの距離がありましょうか。

2月24日、私は両国の間に何らの距離もないことを理解しました。我々の首都の間に
は1ミリの距離もなく、我々の心に瞬時の差もないことを。なぜなら、貴国は即座に支
援のために駆けつけてくれたからです。そして私は、そのことを心から感謝しておりま
す。

ロシアがウクライナ全体の平和を破壊したとき、我々は、世界が本当に戦争に反対し、
自由を求め、世界の安全を求め、全ての社会の調和のとれた発展を求めていること
を即時に理解しました。日本はアジアにおいてこの立場のリーダーとなりました。

貴国は即座に、ロシア連邦により開始されたこの残酷な戦争を終結させるため、ウクライ
ナ、すなわち欧州における平和のために活動し始めました。そしてこのことは大変重
要なことです。地球上の全ての人々にとって重要なのです。なぜなら、ウクライナの平
和なくしては、世界のいかなる人も自信をもって将来を見据えることができないからで
す。

皆様はチェルノブイリ原発のことを御存じかと思います。ウクライナにある原子力発電
所で、1986年に大きな爆発事故が発生した所です。放射性物質が放出されました。
世界の様々な場所にその影響が出ました。チェルノブイリ原発の30キロメートル圏内
は未だに危険なため閉鎖されております。爆発により生じた影響を除去する過程にお
いて、閉鎖された区域の中の森林に何千トンもの汚染物質、がれきや車両などが廃
棄されました。地中にあるのです。

2月24日には、この土地をロシア軍の装甲車が通りました。そして、大気中に放射性
物質の塵を巻き上げました。力によって、また武器によってチェルノブイリ原発は制圧
されてしまったのです。過去に大惨事が発生した原発を想像してみてください。破壊さ
れた原子炉は覆われ、核廃棄物の貯蔵施設があります。ロシアはこの施設をも戦場
へと変えました。そして、ロシアは閉鎖された30キロメートル圏内の区域を、我々の
防衛軍に対する新たな攻撃を仕掛けるために使用しているのです。

ロシア軍がウクライナを離れた後に、チェルノブイリ原発に与えた損傷を調査するに
は数年を要するでしょう。放射性廃棄物の貯蔵施設のどの場所が損傷を受けたか、
放射性物質の塵がどれだけ地球に拡散されたかということです。

皆様、ウクライナには稼働中の原子力発電所が4つあり、15の原子炉があります。全てロシ
アの脅威にさらされています。ロシア軍は既にヨーロッパ最大のザポリージャ原発を
攻撃しました。戦闘により何百もの発電所が被害を受け、多くが危険な状態にありま
す。爆撃によってガスや石油のパイプライン、炭鉱が脅威に直面しています。

先日、ロシア軍はウクライナのスムイ州にある化学工場を攻撃し、アンモニアが流出
しました。我々は、特にサリンといった化学兵器を使用した攻撃が起きる可能性があ
ると警告を受けています。それは、シリアで起きたのと同様のことです。

そして、世界中の政治家が議論すべき大きな課題が、ロシアが核兵器を使用した場
合、どう対応すべきかです。核兵器が使用されれば、世界のいかなる人の信頼も、い
かなる国も、完全に破壊されてしまいます。

ウクライナ軍は既に28日間にわたり堂々と祖国を防衛しています。世界最大規模の
国が28日間にわたり全面的な侵攻を仕掛けています。しかし、ロシアの潜在力は最
大規模でもなく、大きな影響力もありません。モラルに至っては最低です。

ロシアはウクライナの平和な町に1000発以上もミサイルを打ち込み、数え切れない
ほど多くの爆弾を使用しました。ロシア軍は何十もの町を破壊し、完全に焼け落ちた
場所もあります。ロシア軍に占領された多くの町や村では、人々は、殺された親戚、
友人、隣人を尊厳をもって埋葬することもできません。壊れた家の庭や近くの道端な
ど、どこでも可能な場所に埋葬するしかないのです。

数千人が殺され、うち121人は子どもです。

およそ900万人のウクライナ人がロシア軍から逃れ、自宅や住み慣れた場所を去る
ことを余儀なくされました。ウクライナの北部、東部、南部では、恐ろしい脅威から逃
れるため人々が退避し、いなくなりつつあります。

ロシアは我々の通常の交易路である海さえも封鎖しました。世界のほかの潜在的な
侵略者に、海路を封鎖すれば自由主義国を脅すことができると示しているのです。

皆様、今日、ウクライナとその友好国、そして我々の反戦の連帯こそが、世界の安全を完全
に崩壊させないことを保障します。国家の自由、人々、社会における多様性、また国
境の安全の確保のための土台を保障するのです。我々、我々の子供、孫たちの平和
を守るためにです。

国際機関が機能しなかったことを目の当たりにしました。国連や安全保障理事会でさ
えもです・・・。彼らに何ができるのでしょうか。改革が必要です。誠実さの注射が必要
なのです。機能するため、すなわち、ただ議論をするだけでなく、真に決断し本当の影
響力を及ぼすためにです。

ロシアによるウクライナに対する戦争により世界は不安定になりました。世界は多くの
新たな危機にさらされています。誰も明日どうなるか分からないのです。

全ての資源輸入国にとって、世界市場の混乱は問題です。かつてないほどの環境問
題、食糧危機はかつてないほどの状況です。しかし、何よりも重要なことは、今、地球
上の全ての侵略者、また侵略する可能性のある者に対し、戦争を始めれば大きな罰
を受けることを知らしめ、抑止することです。世界を破壊するべきではないことを知ら
しめることです。責任ある国家がまとまり、平和を維持することは全くもって論理的で
正しいことなのです。

日本が、この歴史的な瞬間に、ウクライナを真に支援するため、信念に基づいた立場
をとられていることに感謝します。日本は、アジアで最初に、平和を取り戻すためにロ
シアに圧力をかけ、制裁を課すことに踏み切ってくれました。どうかこの取組を継続し
てください。

ロシアが平和への道を追求し、我々の国ウクライナに対するこの残酷な侵略の津波
を止めるよう、アジアの友好国と一丸となって情勢の安定化に取り組んでいただくこと
を求めます。資金がロシア軍に流れないよう、ロシアとの貿易を禁止し、ロシア市場か
ら企業を引き上げる必要があります。また、我が国、またロシア軍に対抗している我
が国の防衛軍、兵士を助ける必要があります。ロシアにより破壊された都市や、荒廃
した領土に再び人々が戻れるよう、今から、ウクライナの復興について考え始める必
要があるのです。

人々は、住んでいた故郷、子ども時代を過ごした故郷、住み慣れた故郷に戻る必要
があります。皆さんにもきっとこの気持ちが分かると思います。故郷に帰る必要があ
るというこの気持ちを。

平和が脅威にさらされるたびに、予防的かつ強力に行動できるよう、我々は新しい安
全保障体制を構築しなければなりません。

既存の安全保障体制を基盤にして、それは可能なのでしょうか。この戦争を見ればわ
かるとおり、絶対にできません。我々には新しいツールが必要なのです。それはいか
なる侵略に対しても予防的かつ強力に対抗する、新たな安全保障の体制です。その
発展のためには日本のリーダーシップが不可欠なのです。ウクライナのためにも、世
界のためも、私の心からのお願いです。

世界が再び自信を取り戻し、明日の姿に自信を持てるように。安定した平和な明日が
訪れると、我々、そして次世代が確信できるように。

皆様、
日本の皆様、
私たちが力を合わせれば、私たちが想像する以上に多くのことを行うことが可能です。
私は、日本の皆さんの輝かしい発展の歴史を知っています。いかに調和を築き、守っ
ているのか。規範に従い、命の価値に重きを置いているのか。環境を保護しているの
か。その根底にあるのは、ウクライナ人も大好きな、日本の文化です。これは本当の
ことです。

②019年、私が大統領に就任して半年経過した頃のことですが、私の妻オレーナが視
覚障害を持つ子どものためのプロジェクトに参加しました。このプロジェクトはオーディ
オブックを作るものであり、妻がウクライナ語で音声を吹き込んだのは日本のおとぎ
話でした。我々ウクライナ人にとって、そして子どもたちにとって共感できる内容だった
からです。そして、これは我々ウクライナ人が日本の文化に対して持っている多大な
関心のほんの一部です。

両国間の距離は遠く離れていますが、ウクライナ人と日本人は似通った価値観を有し
ています。同じように温かい心を持っているため、実際には距離が存在しないのです。
両国の協力及びロシアへの更なる圧力によって、我々は平和を達成するでしょう。そ
して、我々は国土を復興し、国際機関を改革できるでしょう。

私は、その時も、共に反戦連合に加わる現在と同様に、日本が我々と共にあるだろう
と確信しています。今は、我々全員にとって極めて重要な時期なのです。

ありがとうございます(ウクライナ語)。
ありがとうございます(日本語)。
ウクライナに栄光あれ!
日本に栄光あれ 


 


資料 日本平和委員会の2月24日と2月21日の声明を紹介します 20220226

2022-02-26 17:15:46 | 資料 戦争と平和

資料 日本平和委員会の2月24日と2月21日の声明を紹介します 20220226

 


ロシア大統領・ウラジミール・プーチン殿

ロシアによるウクライナ攻撃に断固抗議し、即時中止を求める

2022年2月24日 日本平和委員会


本日、ロシア国防省は、ウクライナの軍事基盤、防空兵器、軍事飛行場、空軍を対象とした精密
攻撃を行っていると表明。「ウクライナの防空システムを制圧した。空軍基地の軍事施設も破壊した」と発表した。

一方、ウクライナのクレバ外相は「プーチンがウクライナへの全面侵攻を開始した。平
和なウクライナの都市が攻撃されている。これは侵略戦争だ」と発信した。

このロシアの攻撃は明らかに、国連憲章違反の無法な侵略行為そのものである。この攻撃のエス
カレートは、無辜の市民に多大な犠牲と被害をもたらしかねない。しかもロシアは核保有大国であり、攻撃に先立つプーチン大統領の演説でもロシアが世界最大の核保有国であることを強調し、威嚇を強めている。

これは、核兵器禁止条約が禁止した核兵器による威嚇を背景にした武力攻撃であり、断じて許されない。また、ウクライナにはチェルノブイリ原発事故現場はじめ多数の原発が存在している。この武力行使は核の惨禍を生み出す危険もはらんでいる。

私たちは、貴職に対し、ただちにこの無法な武力攻撃、侵略行為を中止するよう求めるものであ

 

ロシア大統領・ウラジミール・プーチン殿

    ウクライナに対する軍事威嚇をただちに中止せよ 

                    2022年2月21日  日本平和委員会

 

貴国がウクライナ国境周辺に大規模な部隊を集結し、激しい軍事演習を行いウクライナに対す
る軍事的威嚇を強めていることが、極度の軍事緊張を高めています。軍事侵攻は、無辜の市民に
多大な犠牲と被害をもたらすものであり、断じて許されません。

ロシア軍による軍事威嚇と挑発をただちに中止することを強く貴職に求めます。

特に、2月19日に、貴職が、核弾頭も搭載可能な大陸間弾道ミサイルや極超音速ミサイルを発射する軍事演習を指揮し、核使用の可能性もちらつかせて、威嚇していることは重大です。被国の平和運動として、核兵器の使用とその威嚇につながるいかなる行動も行わないことを強く要求します。

国連憲章は、「すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない」「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇または武力の行使を…慎まなければならない」と明記しています。貴国の一連の行動がこれに反するものであることは明らかです。

私たちは NATO(北大西洋条約機構)の東方拡大など、軍事同盟強化で緊張を高める動きにも
反対ですが、それは貴国の軍事威嚇の行動を正当化することにはなりません。

私たちは、貴国がウクライナに対する軍事威嚇の行動をただちに中止し、ウクライナの主権と
領土保全の尊重を基礎に、諸問題を平和的外交的に解決する立場で行動することを、強く求める
ものです。

また、私たちは、日本政府も含む国際社会が、危機を増幅させる軍事的対応ではなく、国連憲章と国際法にもとづき、ウクライナの主権尊重の原則に立って、外交的政治的な事態打開の努力を尽くすことを求めるものです

 

 


資料 静岡県平和委員会抗議文 20220224

2022-02-25 16:28:36 | 資料 戦争と平和

資料 静岡県平和委員会抗議文 20220224

                                          
                                  《抗 議 文》
                                          
ロシア大統領・ウラジミール・プーチン殿
ロシアは、ウクライナ東部地域の「独立」承認と派兵指令を撤回し、ウクライナに対する軍事威嚇をただちに中止せよ

                                        2022年2月24日 静岡県平和委員会
                                                      代表委員・榛葉悦郎
                                                     代表委員・小林和江
                                                    理事長代行・渡辺正寿

 プーチン大統領は21日(日本時間22日未明)、ウクライナ領土の東部で親ロシア勢力が2014年に「独立」宣言している2つの地域を独立国として承認し、両地域へのロシア軍の派兵を指示する大統領令を発しました。

 また、ロシアと両地域の友好協力相互援助条約に署名し、ロシアは軍事基地を建設する権利を持つとしています。

 これは、国連加盟国の主権、独立、領土保全の尊重、武力による威嚇の禁止を明記している国連憲章、国際法の基本原則に反した侵略行為そのものです。

 私たちは、この暴挙を断固糾弾するとともに、「独立」承認と派兵指令のすみやかな撤回を、断固として強く求めるものです。

 国連事務総長も貴国の暴挙が「ウクライナの領土保全と主権を侵害するものであり、国連憲章の原則に反している」と厳しく糾弾し、ロシアとウクライナ、フランス、ドイツの4カ国で2015年に定めた和平プロセス「ミンスク合意」にもとづき、平和的に解決することを求めています。

 貴職はテレビ演説で、ウクライナはロシア史の不可分の一部で、ウクライナ東部は古代ロシアの領土だったとも述べています。

 これは、2014年のウクライナのクリミア併合に続き、自らの領土拡張を国際法の上に置く、大国主義・覇権主義そのものです。今日の世界で、このような覇権主義は、時代錯誤そのものであり、断じて許されません。

 私たちは、かかる国連憲章と国際法に違反する覇権主義的暴挙を厳しく糾弾し、「独立」承認と派兵指令のすみやかな撤回、そしてウクライナに対する軍事威嚇の中止を、断固として求めるものです。

 日本国静岡の静岡県平和委員会の総意は戦争反対です、ウクライナ政府は・(自称)ルハンクス人民共和国、ドネツク人民共和国の代表とロシア・ドイツ・フランスと協議すべきと考えます。戦争は絶対回避してください。           


資料 軍人勅諭(陸海軍人に下し賜はりたる勅諭)

2022-02-09 16:02:09 | 資料 戦争と平和

軍人勅諭(陸海軍人に下し賜はりたる勅諭)

 我か国の軍隊は世々天皇の統率し給ふ所にそある

 昔神武天皇躬つから大伴物部の兵ともを率ゐ中国のまつろはぬものともを討ち平け高御座に即かせられて天下しろしめし給ひしより二千五百有余年を経ぬ

 此間世の様の移り換るに随ひて兵制の沿革も亦屡なりき

 古は天皇躬つから軍隊を率ゐ給ふ御制にて時ありては皇后皇太子の代はらせ給ふこともありつれと大凡兵権を臣下に委ね給ふことはなかりき

 中世に至りて文武の制度皆唐国風に傚はせ給ひ六衛府を置き左右馬寮を建て防人なと設けられしかは兵制は整ひたれとも打続ける昌平に狃れて朝廷の政務も漸く文弱に流れけれは兵農おのつから二に分れ古の徴兵はいつとなく壮兵の姿に変り遂に武士となり兵馬の権は一向に其武士ともの棟梁たる者に帰し世の乱と共に政治の大権も亦其手に落ち凡七百年の間武家の政治とはなりぬ

 世の様の移り換りて斯なれるは人力もて挽回すへきにあらすとはいひなから且は我国体に戻り且は我祖宗の御制に背き奉り浅間しき次第なりき降りて弘化嘉永の頃より徳川の幕府其政衰へ剰外国の事とも起りて其侮をも受けぬへき勢に迫りけれは朕か皇祖仁孝天皇皇考孝明天皇いたく宸襟を悩し給ひしこそ忝くも又惶けれ

 然るに朕幼くして天津日嗣を受けし初征夷大将軍其政権を返上し大名小名其版籍を奉還し年を経すして海内一統の世となり古の制度に復しぬ是文武の忠臣良弼ありて朕を輔翼せる功績なり

 歴世祖宗の専(もはら)蒼生(さうせい)を憐み給ひし御遺沢(ごゆゐたく)なりといへとも併(しかしながら)我臣民の其心に順逆の理を弁(わきま)へ大義の重きを知れるか故にこそあれ

 されは此時に於て兵制を更め我国の光を耀さんと思ひ此の十五年か程に陸海軍の制をは今の様に建定めぬ夫兵馬の大権は朕か統ふる所なれは其司々をこそ臣下には任すなれ其大綱は朕親之を攬り肯て臣下に委ぬへきものにあらす子々孫々に至るまて篤く斯旨を伝へ天子は文武の大権を掌握するの義を存して再中世以降の如き失体なからんことを望むなり

 朕は汝等軍人の大元帥なるそされは朕は汝等を股肱と頼み汝等は朕を頭首と仰きてそ其親は特に深かるへき朕か国家を保護して上天の恵に応し祖宗の恩に報いまゐらする事を得るも得さるも汝等軍人か其職を尽すと尽ささるとに由るそかし

 我国の稜威振はさることあらは汝等能く朕と其憂を共にせよ我武維揚りて其栄を耀さは朕汝等と其誉を偕にすへし汝等皆其職を守り朕と一心になりて力を国家の保護に尽さは我国の蒼生は永く太平の福を受け我国の威烈は大に世界の光華ともなりぬへし

 朕斯も深く汝等軍人に望むなれは猶訓諭すへき事こそあれいてや之を左に述へむ

一 軍人は忠節を尽すを本分とすへし凡生を我国に禀くるもの誰かは国に報ゆるの心なかるへき況して軍人たらん者は此心の固からては物の用に立ち得へしとも思はれす軍人にして報国の心堅固ならさるは如何程技芸に熟し学術に長するも猶偶人にひとしかるへし其隊伍も整ひ節制も正しくとも忠節を存せさる軍隊は事に臨みて烏合の衆に同かるへし

 抑国家を保護し国権を維持するは兵力に在れは兵力の消長は是国運の盛衰なることを弁へ世論に惑はす政治に拘らす只々一途に己か本分の忠節を守り義は山岳よりも重く死は鴻毛よりも軽しと覚悟せよ其操を破りて不覚を取り汚名を受くるなかれ

一 軍人は礼儀を正くすへし

 凡軍人には上元帥より下一卒に至るまで其間に官職の階級ありて統属するのみならす同列同級とても停年に新旧あれは新任の者は旧任のものに服従すへきものそ下級のものは上官の命を承ること実は直に朕か命を承る義なりと心得よ己か隷属する所にあらすとも上級の者は勿論停年の己より旧きものに対しては総へて敬礼を尽すへし

 又上級の者は下級のものに向ひ聊も軽侮驕慢の振舞あるへからす公務の為に威厳を主とする時は格別なれとも其外は務めて懇に取扱ひ慈愛を専一と心掛け上下一致して王事に勤労せよ

 若軍人たるものにして礼儀を紊り上を敬はす下を恵ますして一致の和諧を失ひたらんには啻に軍隊の蠧毒たるのみかは国家の為にもゆるし難き罪人なるへし

一 軍人は武勇を尚ふへし

 夫武勇は我国にては古よりいとも貴へる所なれは我国の臣民たらんもの武勇なくては叶ふまし況して軍人は戦に臨み敵に当るの職なれは片時も武勇を忘れてよかるへきかさはあれ武勇には大勇あり小勇ありて同からす血気にはやり粗暴の振舞なとせんは武勇とは謂ひ難し

 軍人たらむものは常に能く義理を弁へ能く胆力を練り思慮を殫して事を謀るへし小敵たりとも侮らす大敵たりとも懼れす己が武職を尽さむこそ誠の大勇にはあらされは武勇を尚ふものは常々人に接るには温和を第一とし諸人の愛敬を得むと心掛けよ

 由なき勇を好みて猛威を振ひたらは果は世人も忌嫌ひて犲狼の如く思ひなむ心すへきことにこそ

一 軍人は信義を重んすへし

 凡信義を守ること常の道にはあれとわきて軍人は信義なくては一日も隊伍の中に交りてあらんこと難かるへし信とは己か言を践行ひ義とは己か分を尽すをいふなりされは信義を尽さむと思はは始より其事の成し得へきか得へからさるかを審に思考すへし朧気なる事を仮初に諾ひてよしなき関係を結ひ後に至りて信義を立てんとすれは進退谷りて身の措き所に苦むことあり悔ゆとも其詮なし

 始に能々事の順逆を弁へ理非を考へ其言は所詮践むへからすと知り其義はとても守るへからすと悟りなは速に止るこそよけれ古より或は小節の信義を立てんとて大綱の順逆を誤り或は公道の理非に踏迷ひて私情の信義を守りあたら英雄豪傑ともか禍に遭ひ身を滅し屍の上の汚名を後世まで遺せること其例尠からぬものを深く警めてやはあるへき

一 軍人は質素を旨とすへし

 凡質素を旨とせされは文弱に流れ軽薄に趨り驕奢華靡の風を好み遂には貪汚に陥りて志も無下に賤くなり節操も武勇も其甲斐なく世人に爪はしきせらるゝ迄に至りぬへし

 其身生涯の不幸なりといふも中々愚なり此風一たひ軍人の間に起りては彼の伝染病の如く蔓延し士風も兵気も頓に衰へぬへきこと明なり

 朕深く之を懼れて曩に免黜条例を施行し略此事を誡め置きつれと猶も其悪習の出んことを憂ひて心安からねは故に又之を訓ふるそかし汝等軍人ゆめ此訓戒を等間にな思ひそ

 右の五ヶ条は軍人たらんもの暫も忽にすへからすさて之を行はんには一の誠心こそ大切なれ

 抑此五ヶ条は我軍人の精神にして一の誠心は又五ヶ条の精神なり心誠ならされは如何なる嘉言も善行も皆うはへの装飾にて何の用にかは立つへき心たに誠あれは何事も成るものそかし況してや此五ヶ条は天地の公道人倫の常経なり行ひ易く守り易し

 汝等軍人能く朕か訓に遵ひて此道を守り行ひ国に報ゆるの務を尽さは日本国の蒼生挙りて之を悦ひなん朕一人の懌のみならんや


  明治十五年一月四日
  御名

 


核兵器不拡散条約(NPT)に関する日米共同声明および日本外務省の説明

2022-02-01 20:04:50 | 資料 戦争と平和

核兵器不拡散条約(NPT)に関する日米共同声明および日本外務省の説明 


共同声明の主な内容

意義
・ 新型コロナウイルス感染症の影響で第10回NPT運用検討会議の4度目の延期が決定された中、日米で、国際的な核軍縮・不拡散体制の
礎石であるNPTへのコミットメントを再確認する本件共同声明をすることにより、同会議の早期開催を含め、「核兵器のない世界」に向けて
前進するための機運が維持され、高まることが期待される。
(なお、2015年のNPT運用検討会議に際しても、日米はNPTに関する共同声明を発出。)

・広島・長崎への原爆投下の想起、核兵器不使用の記録の維持の必要性。NPTへの完全なコミットメント。(パラ1)

・第10回NPT運用検討会議における意義ある成果への貢献を全締約国に要請。「賢人会議」の議長レポートにある「議論における礼節」を強調。(パラ2)

・第6条を含むNPT上の義務を再確認。過去の運用検討会議の最終文書に含まれるコミットメントの履行の重要性を認識。核兵器使用の非人道的結末を認識し、持続的で、実践的で、積極的で、進歩的な不拡散及び軍備管理プロセスを支持。必要な取組にはFMCT(核兵器用核
分裂性物質生産禁止条約)の即時交渉開始・CTBT(包括的核実験禁止条約)の発効が含まれる。全ての関係国は核爆発実験・核分裂性物質生産モラトリアムを宣言・維持すべき。軍備管理対話に取り組む全核兵器国の責任、全核兵器国による透明性向上の奨励。世界の核兵器減少
の流れの維持・逆行阻止。(パラ3)

・「核戦争に勝者はなく、決して戦われてはならない」との5核兵器国の全首脳による史上初の宣言の歓迎。政治指導者及び若者等による広島・長崎への訪問の要請。(パラ4)

・日本提出の核廃絶決議を歓迎。NPDI(軍縮・不拡散イニシアティブ)、ストックホルム・イニシアティブ、賢人会議及び1.5トラック会合で日本が果たしている役割を歓迎。(パラ5)

・米露による新START(新戦略兵器削減条約)延長の歓迎、現行の米露対話の進展への期待。その他の国及びより広範な兵器システムを含む将来的な軍備管理措置の必要性の強調。中国に対して、核リスク低減・透明性向上・核軍縮進展のアレンジメントへの貢献を要請。(パラ6)

・IAEA(国際原子力機関)包括的保障措置協定及び追加議定書の普遍化を含む国際的な核不拡散体制の強化へのコミット、国際輸出管理レジームの維持・強化の重要性について一致。(パラ7)

・北朝鮮の全ての核兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVID(完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄)に強くコミット。北朝鮮に対し、関連安保理決議の遵守とNPT及びIAEA保障措置への早期復帰を要請。イラン核合意の遵守への相互復帰を目的とした協議を支持。イランに対し、核活動の拡大停止とIAEAとの完全・即時の協力を要請。(パラ8)

・不拡散義務遵守国による平和的な原子力応用へのアクセスについての明確な支持。(パラ9)~


1月21日、日本外務省及び米国国務省は、「核兵器不拡散条約(NPT)に関する日米共同声明」を発出しました。

 新型コロナウイルス感染症の影響で第10回NPT運用検討会議の4度目の延期が決定された中、日米で、国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石であるNPTへのコミットメントを再確認する共同声明を発出することにより、同会議の早期開催を含め、「核兵器のない世界」に向けて前進するための機運が維持され、高まることが期待されます。

 

核兵器不拡散条約(NPT)に関する日米共同声明

2022年1月21日

1 世界の記憶に永遠に刻み込まれている広島及び長崎への原爆投下は、76年間に及ぶ核兵器の不使用の記録が維持されなければならないということを明確に思い起こさせる。

日本と米国は、発効以来51年にわたって核軍縮・不拡散の礎石で在り続けてきた核兵器不拡散条約(NPT)に対するコミットメントを完全に再確認する。

NPTは、これまでの核兵器の大幅な削減を可能とし、また、将来的な核軍縮の不可欠な基礎となる。

NPTは、原子力、原子力科学及び原子力技術の平和的利用(以下「平和的利用」という。)の恩恵を共有するための協力を促進してきた。全世界はNPTから恩恵を享受してきた。

2 我々の2015年の共同声明を想起し、日本と米国は、NPTが核兵器の拡散防止及び核兵器の全面的廃絶の達成のために不可欠なものであると認識している。

その目的のために、両国は、全てのNPT締約国に対し、第10回NPT運用検討会議において、3つの柱のそれぞれを強化する意義ある成果を出すことに貢献するよう要請する。

それに際し、我々は、NPT締約国に対し、日本が2017年に立ち上げた「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」の議長レポートを振り返り、「議論における礼節」の強調を基礎とすることを求める。

3 日本と米国は、第6条を含むNPT上の全締約国の義務を再確認する。我々は、1995年、2000年及び2010年のNPT運用検討会議の最終文書に含まれるコミットメントの履行の重要性を認識している。

日本と米国は、今日、世界が直面する危険を現実的に捉えている。

厳しい国際的な安全保障環境の下、核兵器の使用の壊滅的で非人道的な結末を認識し、持続的で、実践的で、積極的で、進歩的な不拡散及び軍備管理プロセスを支持することは、これまで以上に喫緊の課題である。

二国間交渉に加えて、必要な取組には、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約に関する交渉を即時に開始すること及び包括的核実験禁止条約を発効させることが含まれる。

当面、全ての関係国は、核爆発実験に関するモラトリアム及び核兵器その他の核爆発装置に使用するための核分裂性物質の生産に関するモラトリアムを宣言し、又は維持すべきである。

全ての核兵器国は、軍備管理対話に積極的かつ誠実に取り組む責任を有し、また、ドクトリン、兵器及び核軍縮に係る取組に関する定期的な報告書の提出を通して透明性を向上させることが奨励されている。

40年にわたる世界の核兵器の減少の流れを維持しなければならず、逆行させてはならない。

4 日本は、核戦争に勝者はなく、また、核戦争は決して戦われてはならないとの5核兵器国全ての首脳による初めての宣言及び「核の使用は広範囲に影響を及ぼす」との認識を歓迎する。

日本と米国は、オバマ元大統領による広島訪問を想起し、政治指導者及び若者等に対し、理解の向上・維持のために広島及び長崎を訪問するよう要請する。

5 米国は、国連総会で採択された日本の決議「核兵器のない世界に向けた共同行動の指針と未来志向の対話」を歓迎し、米国が本決議を共同提案したことを嬉しく思う。

米国は、世界的な不拡散体制の構築における日本の長きにわたるリーダーシップに深く感謝し、軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)、ストックホルム・イニシアティブ(SI)、核軍縮の実質的な進展のための賢人会議及び核軍縮の実質的な進展のための1.5トラック会合において現在日本が果たしている役割を歓迎する。

6 日本は、核軍縮のための環境創出(CEND)イニシアティブ及び核軍縮検証のための国際パートナーシップ(IPNDV)のための米国のリーダーシップを称賛する。

日本は、核兵器に関する透明性のために核兵器国の中で米国が果たしているリーダーシップも称賛する。

日本は、新戦略兵器削減条約(新START)の延長を歓迎し、米国とロシアとの間の戦略的安定性対話の進展を期待する。日本と米国は、その他の国及びより広範な兵器システムを含む将来的な軍備管理措置の必要性を強調する。

これに関し、中華人民共和国による核能力の増強に留意し、日本と米国は、中華人民共和国に対し、核リスクを低減し、透明性を高め、核軍縮を進展させるアレンジメントに貢献するよう要請する。

7 「核兵器のない世界」を追求するための不可欠な基礎として、日本と米国は、NPTに基づく保障措置の事実上の標準としての国際原子力機関(IAEA)の包括的保障措置協定及び追加議定書の普遍化を含め、核不拡散のための国際的な体制の強化にコミットしている。

我々は、IAEAの権限、客観性、専門性及び独立性を強く支持する。

日本と米国は、国際輸出管理レジームの維持及び強化の重要性について一致している。

原子力技術のいかなる輸出も、最も高い不拡散の基準を満たさなければならない。

8 我々は、関連する国連安全保障理事会決議に従った、北朝鮮の全ての核兵器、その他の大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイル並びにその関連計画及び施設の完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄に強くコミットする。

我々は、北朝鮮に対し、全ての関連する国連安全保障理事会決議を遵守し、NPT及びIAEA保障措置に早期に復帰し、完全に遵守するよう求める。

我々は、国際社会全体に対し、これらの関連する国連安全保障理事会決議を完全に履行するよう要請する。

我々は、包括的共同作業計画(JCPOA)及びJCPOA上のコミットメントの遵守への相互復帰を目的としてウィーンで行われている協議を支持する。

我々は、イランに対し、核活動の拡大を停止するよう求める。

我々は、また、イランに対し、未申告の可能性のある核物質及び核活動に関するIAEAの疑問点を明確にし、解決することを含め、完全かつ即時にIAEAと協力することを求める。

9 NPTの51年の歴史は、平和的利用を通じた人類の前進に貢献してきた。

原子力技術は、気候変動に対処し、国連の持続可能な開発目標を達成するための解決策を提供する。

原子力科学は、がん治療及び感染症対策を含む医療の改善、食料と水の確保及び海洋の浄化に貢献する。

日本と米国は、不拡散義務を完全に遵守する国による平和的な原子力応用へのアクセスについて明確な支持を再度表明する。

我々は、技術協力基金への財政支援、平和的利用イニシアティブへの継続的で自発的な貢献及び他のIAEAの平和的利用活動への専門知識及び資源の提供を含め、平和的利用の恩恵を促進するIAEAに対する我々の支持を再確認する。