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平和運動史 2 埋田昇二「君の瞳には視えないか」 20210819

2021-08-19 18:55:01 | 平和運動史


平和運動史 2 埋田昇二「君の瞳には視えないか」 20210819


 埋田昇二さんは浜松市に在住の詩人で同時に浜松市=静岡県平和委員会の平和運動家でした。

 この詩は1972年に静岡県沼津市の今沢米軍基地での米軍上陸阻止の平和行動、9月の「波打ちぎわ作戦」を描いた詩です。

 この日を含む「今沢闘争」についてはまた語りたいと思います。

 埋田さんの詩もすこしづつ紹介していきます。

 

「君の瞳には視えないか 
              埋田昇二

君の瞳には
視えないか
今沢の
朝もやをひき裂き
ぼくらの旗を倒して
LST船の黒い舳が
日本の渚につき刺さるとき

鉄の船腹が割れて
ベトナムの泥をつけた
M48重戦車のキヤタピラが
日本の土を削りとるとき

駿河湾の水平線のかなたに
ヒロシマと同じ色の火の柱が
竜巻のごとく噴きあがるのを

腕を組む
きみの耳にも
一五〇ミリ榴弾砲の
硬い砲身のなかを潜り
出撃していく米第三海兵隊の
自動小銃の乱射に薙ぎ倒されていく
ベトナムの母と子の叫びが聞こえるか

野積みにされた弾薬箱のスタンプ文字のなかに
焔の海に呑みこまれようとしているハノイの街の
松明のごとく燃えている人間の列柱が
きみにも視えているか

日本列島の中央
海兵隊がふみ荒す
冨士の土をにぎりしめるとき

弾痕のざらざら
血溜りのなかの
ソンミ村の
熱いざらざらに触れたか

血のぬるぬるを視たか

目頭に
こみあげてくるものが
空につきあげるこぶしのなかで乾いていく
一九七二年の暁
言葉によってしか
見えなかったものが
てのひらのすじをたどるように
視えはじめたとき

星明りはためく旗のもとで
沖の潮鳴りを聴いている
きみとぼくの
心のなぎさに打ちよせる
日本の海は
はじめて
<祖国の>海となる

           ー 静岡県平和委員会十周年記念によせる ー」



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