ペレアスとメリザンド6

アルモンド王国

Allemonde

アルモンド王国はどこにあるのでしょう？
フランス語でドイツをAllemagneというので舞台はドイツだという見解が多いのですが
メーテルリンクはベルギー人ではあるもののフランス象徴派の作家。
ドイツが舞台って何かしっくりこない。

1幕でペレアスが
il aura mauvaise mer cette nuit...
今夜は時化が酷い...

お城は海辺の立地である事が明言されている上、


ゴローが3幕で
Je suis ici comme un aveugle qui cherche son trésor au fond de l’océan!
と歌っていることから海洋に所縁ある土地条件である事が読み取れます。



演出家のニコラス レーンホフさんは
All 全ての monde 世界
どこにも存在しない、そして誰の心にも存在する世界
と解釈されているので

やはり舞台は
昔々あるところ、遠い遠いフランスの大西洋沿岸。


メーテルリンク自身架空の国を設定しているので
象徴主義のお話の舞台を探すのは無意味ですが
ちょっと気になって調べてみました。

日照時間が比較的短い北フランス、柳の生息や泉など水が豊富な湿地帯で洞窟のある沿岸を探してみると
中世のお城が今も残るロワール地方の街に数々の伝説が残された洞窟がありました。
荒波の打ち付ける沿岸のコリガン洞窟。「薄暗い内部は砂利や壁に血痕があるよう」という説明。
最初メリザンドがゴローに出会った時、
Vous êtes un géant! あなたは巨人！
それに対してゴロー
Je suis un homme comme les autres...私は普通の人間だ
というやりとりがあります。

コリガンはブルターニュ の伝説で妖精・小人族の事だそう。
メリザンドはコリガンだったのかも？(笑)