私のタップシューズは、2足のハイヒール以外どれもカペジオのK360という型のシューズ。一番古い黒シューズはもう25年目になる。タップ歴1年だった25年前に、ひと月ぐらい滞在したNYではなく、帰国してから初期BASEMENTさんで購入した。アパートの家賃にするはずのお金を持って、かなり思い切って買った記憶がある。
Gregory Hines: Tap Dance In America1989
私の出したい音のイメージは、コクのある軽い音。革や塗装によって音は少しづつ違うのだが、どの靴もほぼ同じ加工にしている。4〜6ミリビルドアップ(厚底)して、タップスは2番(少し小さめ)、黒ボード(金属と革の間に挟む紙っぽい素材)、密着付。厚底にすることで靴は重くなり、コクが出る。黒ボード以外に金属ボードやボードなしにもできるが、私は黒ボード密着付の音が気に入っている。
密着付とは、履いているうちにネジが緩まない加工だが、タイトな音になる。通常のネジ留めだと、経年でネジが緩みチャリチャリした音になるのだ。
でも、今は観られるようになった古い映像の中で、タップマスターたちが「タップスの取付がタイトすぎる」と言っておる。「少しルーズな方がいいよ」とか。YouTube のコメントにまで「古き良きチャリチャリしたタップシューズははかないの?」ときた。
以下の映像の中でも、先輩のサンドマンがタップスのネジを締めなおしているグレゴリーにルーズにすることを勧めて、やんわりきっぱり断られている。
Gregory Hines: Tap Dance In America1989
それにしても、こんなモノがYouTubeでみられるなんてなー。31年前、まだ私はタップを始めていない。始めたのちもこのビデオは回ってこなかったな。
タップをアートに押し上げていった第一世代、敬愛する第二世代、貴重だし楽しいので、よかったらぜひどうぞ!
ということで、気になっていたタップスのルーズな取付をBASEMENTさんに依頼しました。上記の映像でも出演するダイアン・ウォーカーにちなみ「ダイアンルース」という加工名がついています。
K360ではなく、長らくソフトシューズとして履いていた別メーカーの軽いシューズに取付依頼。今朝届き、さっそく履いてみたのですが、第一世代のマスターたちが、こちらを薦めるワケがわかりました。音がチリチリと華やかに大きく響くのです!
初期のマスターたちは子どもの頃から旅公演でバンドと共演されていました。タップにマイクがセットされるようになるのはいつ頃なのか。タップ板にこだわれるようになるのはいつからなのか。なるほどなー。増幅効果もあったのだろうなぁ。
美しい音にするには、リズムの余白多目なフレーズにし、かなり軽めに扱うのが良さそうだなぁ。あと、音の拡散しやすい大道芸の時に、この音はかなり強みになる感じ。
試しに録画したので、水曜日にこちらで公開の予定です。初下ろしです!