おどるなつこ 「あしおとがきこえる?」

タップダンサー・振付家おどるなつこの日常から浮かびあがることばを束縛せず書きとめています。2005年開設。

潮目と営み2.29/2020

2020-03-01 | あしもとからの思索
2,29に連絡が来て、3/1から横浜市内のあらゆる文化施設が使用不可となった。わたしの仕事もほぼ飛んだ。
あたりまえの日常がくずれ、うろたえそうになる自分を支えてくれるのは、一朝一夕には行えない確かな仕事だ。

自転車屋のおじいさんの手は、いろいろが染み込んで真っ黒。にこやかにテキパキとパンクを見て、「あ、こりゃもうダメだよ」とタイヤ交換に。ほぼ毎日乗っているのでタイヤがツルツルだった!「30分はかからないよ」とのことだったので、作業を眺めて待つ。時間もあるしね。手作りの治具にのせられたマイチャリは、迷いない手順で解体され、古びたボディに新しいタイヤが入り、キュッとブレーキが効くようになる。おじいさんの身体にしみこんでいる作業工程には、経験値から物事を変えていく確かさがあり、安心する。油をさすさまから、愛情の注ぎかたをならう。



老舗のお蕎麦屋さんもしかり。疲れた夜に、かわらないもてなしにほっとする。美味しいのはもちろん、食べる愉しみがあり、お茶のおかわりや会計時のやりとりにまで、場のくつろぎがある。自分の持ち場を愛している人々。

そして「風の谷のナウシカ」歌舞伎、後編は、なんとこうくるか!の展開で、大きな愛でおわった!これがナウシカ原作の通りなのか、それとも歌舞伎脚本なのか、わからないのだが!愛にも闇と光が共存する。なんにせよ、クシャナ七之助様のブレない在り様にしびれる…。



私は創作の世界、フィクションを通して様々なことを学んできた。
山谷典子氏のよこはま震災音楽劇で振付させていただいていた時には、戯曲はもちろんのこと、日常が徐々に戦争に向かわせられた昭和の歴史もたくさん読んだ。流されないで自分の心を保つことは、誰にとっても難しい。ナウシカでも、恨みに我を忘れた民がまた殺し合いをつづけようとする。この数日のジャパンの様子は、震災後の計画停電みたいだ。交差点の消えた暗闇では、交通事故がたくさんあった。関東大震災の後、人々の不安をあやつり敵にむかわせた状況も、同じだったかもしれない。


まわりをみわたせば、絶える事のない確実な仕事を日々されている方が在る。それに触れて安心するのは、当座しのぎではない継続から、人の営みが未来まで続きそうに思えるからかな。

まあ、ともかくも、閏年2020.2.29は何かの潮目だったろう。


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