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藤本泰久著『日本軍用鳩年表 2 大正編1 シベリア出兵』

2021年06月22日 | 軍用鳩

藤本泰久著『日本軍用鳩年表 2 大正編1 シベリア出兵』

第一次世界大戦では欧州各国の軍隊が鳩による通信を行なった。フランス軍だけでも6万羽が軍用鳩として登録された。

青島のドイツ軍も軍用鳩による通信を採用した。

大正8(1919)年3月30日、神戸港に亜細亜丸が入港。フランスから軍用鳩1000羽とフランス軍将校3名が乗船。4月1日、東京到着。買い集めたフランス産軍用鳩1000羽の他に、教官が携えて来た優秀鳩(巴里号、ナポレオン号、オルレアン号などがいたという)も秘蔵されていたと言われる。
東京中野の鳩舎で繁殖がはじまり、鳩兵の教育も開始される。

7月には飼育鳩数が2000羽になる。8月以降には雛の一部を民間に払い下げる。

8月には、シベリアへ鳩通信班を派遣することになる。ウラジオ派遣軍に配属される。

1922年10月、シベリアから帰還するが、すぐに関東軍付となって出港した。

 


藤本泰久著『日本軍用鳩年表 1 紀元前~明治編』

2021年06月21日 | 軍用鳩

藤本泰久著『日本軍用鳩年表 1 紀元前~明治編』

近代的な伝書鳩(レース鳩・軍用鳩・通信鳩・運搬鳩・使役鳩など)はヨーロッパで野生種の鳩から作り出され、主にベルギーで帰巣能力が高く飛翔力もある鳩の飼養が注目され始めたのが18世紀初頭であり、鳩レースが行われるようになるのが19世紀はじめだった。

ヨーロッパでは、鳩の飼育は中世の農村で始まったが、食用にせよ肥料用の糞採取にせよ、領主(城主・貴族)の特権として飼育された。村々にはドブコートと呼ばれる鳩小屋(大きな塔、数千羽も住めるような巨大なものもある)が設けられ、鳩が繁殖し、糞は下に集まるようになっている。

鳩との密接な関係が何百年も続く中で品種の改良がおこなわれ、帰巣能力の発達した鳩の種類が誕生した。それは日本では無かった。

日本にも野生種の鳩はいたが、人に慣れるような身近な存在ではなかった。たまに人里に現れる山鳩(キジバト)にしても、食用になっただけであり、飼育や繁殖の習慣には至らなかった。放生会で放された鳥の中に中国から土鳩がいて寺などに住み着いたが、中にはそれを捕らえて食べたり、趣味で飼う者もいたが、一つの文化として定着することは無かった。

つまり、伝書鳩は日本へは完成されたものとして伝わり、そのまま繁殖して日本で飼養され、日本の伝書鳩となったのです。

日本には鳩を飼育する伝統は無く、ヨーロッパから完成された伝書鳩が輸入され、その子孫が日本の軍用鳩となり、通信鳩やレース鳩(競翔鳩)になったのです。それが特徴であり、限界でもあったのでしょう。

第1巻は明治まで。まだ本格的には輸入されていない頃です。世界では太古から鳩と人間の付き合いがありました。

当時の鳩の写真を観たいので、本書中のものを載せてみます。